インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 番外編 作:灰崎 快人
某日。今日はちょっとした日になる、最近俺は無理をしすぎると厳重注意を受けたためIDに触れることを禁止されてしまった。そのせいもあり俺は昔と変わらない学園生活を送ることとなった、ISの実習では見ているだけで黒式を展開することはない。というかそもそも手元に黒式がない、黒式は今千冬の手元にある。預ける時は信用できている人間に頼ることが一番であるが、黒式が何か悪いことをしないか副産物を作り出さないかが問題だ。
彼女に黒式を渡したことでコアとの会話は一切できなくなった。滅多に無いがべっとの隣に置かれているときの距離感によっては反応することができるようで、そのたびに彼女たちの愚痴などを聞くことになった。
「千冬、俺はいつまでこうしていればいい」
彼女に聞いた。実際にこの生活は悪くはないがISという存在を扱うために建てられてのがこの学園だ、しかし俺の現状はID、ISに一切触れず実習においても特に何もせず説明や知識を聞いたり個人的に話をしたりだ。
ISの整備においても俺は言葉だけで実際に参加することはない、ここまでになるとIS学園に入学したというかここにいる意味が無いのでは?と思ってしまう。
俺は俺の存在価値がほしいのかもしれないな。
「そうだな。少なくともお前の体と精神が安定してからだな」
「精神の安定?」
「気づいていないのか?お前と黒式の調和が最近合わなくなり始めているのに」
その言葉は若干ではあるものの身に覚えがあった。それは黒式を使って福音と対峙したときだ、その時は黒式が大破して装甲をすべて変えなければならないほどの大惨事だった。
それしか原因が思い浮かばない、おそらくそこで黒式との波長が合わなくなり始めた。あの作戦自体黒式は最後まで納得しなかった、あそこまでされてしまえば嫌われても仕方が無いと思う。
そして装甲を変えたとき黒式の動きが鈍くなった。俺の状態はいつものように万全で問題は無かった、やっぱり黒式のどこかで無茶をしたことが許せないのだろう。
コアとの会話の時も俺と黒式はほとんど会話をしていない状態が続いている、白式や紅椿とはよく会話をするが・・・・・・しっかり対話をしなけれはならなかったな。
「一度お前の精神と黒式のコアを落ち着ける必要があると考えた、だからこそお前から黒式を離した」
「そうか」
「少しはリフレッシュになければならないな?ということで今日は出かけるからな?」
「どこに?」
「温泉だ。リラックスするのであれば温泉に限る」
温泉ね・・・・・・三人で入ったときのことを思い出す。福音と戦う前に入ったがまさか束が入ってくるとは思いもしなかった、千冬もな。それでいてえっエッチなことをしてしまった、束はもちろん処女で苦しそうで最後には気絶してしまった、千冬は俺に酒が入ってるときに行為をしてしまったこともあって少しなれているような感覚だった。その後個室の方でまた一度キスをしてエッチをして・・・・・・夜を共にした。そんな思い出がある。
「まぁ千冬がそういうならそうなんだろうな」
「ではいくぞ」
そう言って彼女はガレージへと俺を連れて行く。前件のこともあり俺は右目を失ってしまっている、義眼を入れようとしているがその義眼を造るのに手間取っている状態だ。小型の精密なもにはある程度腕を磨いてきていたが、義眼を造るには今回が初だということもあり難航している。
義眼が完成するまではラウラと同じように眼帯で隠すことにした。彼女はその状態に複雑そうな表情をしながらも「お揃いですね」と言ってくれた、複雑そうな表情をしたのは俺が目を失う原因を知っているからだろう。
そんなこんなもあり現在は車の運転を千冬に任せている状態になる、マニュアル免許証を持っていることは確認しているから安心して任せられる。それと同時に申し訳なさが出てしまう。
「心配するな、お前が自己犠牲をしたときには心配したがな」
「悪かったよ」
「言葉では簡単に言えるが身体には響いているだろうが、言葉よりも実際に身体に聞いた方が早い」
「だから最近寝るときベタベタしてきたのか」
「文句あるか」
「ないよ」
あったらあったで文句言うんだろ?わかってるってそれくらい。千冬っていつもそうですよね!俺のことなんだとおもってるんですか!?
「ついたぞ。あとくだらないことを考えるな」
はい心読まれてましたね。もうお手上げだよ。
「お前の身体は回復は早い、だがそのダメージが消えているわけではない。見えていないだけで内から壊れている状態だ」
確かに俺の身体の傷は致命傷などでなければ回復は早い、だがそれでも若干痛むときがある。外部からの見せかけの回復状態なだけであって中身はボロボロか・・・・・・これは完全に参ったものだな。
「少しでもお前の負担を外しておきたいんだ、お前がこれ以上傷ついて行くのを見たくないんだ」
彼女の横顔は暗かった。確かに俺は自身を犠牲にして機転を見いだしている。他に作戦を考えられたらよかったがそこまで頭が回らなかった俺の落ち度だ、もう少しまともな脳内であればどれだけの被害を抑えられたことか。
「これから先、お前の身体が血に染まるのを見たくない。だから少しの期間は前線に出てはだめだ」
「わかった……これから先はあの子たちを信じることにする」
少しは彼女たちのことも信用して後ろからのサポートに回った方がいいのかもしれないな、俺も年なのかな?いやまだまだだろう?
俺はなぜ彼女たちを前線に立たせたくないのか、彼女たちが傷つくのを見たくないからか?俺は少なくとも彼女たちのことを信用しているはずだ。ではなぜ?
簡単に答えは出せなかった。もしかしたら心のどこかで頼りにしてほしいや、彼女たちに無理をさせたくないという気持ちがあるのかもしれない。
「ついたぞ千春、ここが今日止まるホテルだ」
ん?ホテル?今日の目的は温泉に入ることではなかったのか?いや温泉だったはずだ。それなのに何故彼女はこのホテルを選んだ?何か意図があるのかもしれないな。
「千冬?何故ホテルなんだ?それにこんなところに来てしまっては雑誌に書かれたりしてしまうぞ?」
「そんなの問題ないだろう、お前は私の幼なじみであるのだから。そこいらの記事書き共など相手ではない」
「そういうものか」
「そうだ」
その理論はよくわからないが、彼女が言うのであればそうなのであろう。彼女を敵に回してしまった人物には災いが起きるだろうな、記事に書きやすい人間第一位ではあると同時に最も敵に回してはいけない存在であるということだろう。
それだけ彼女の権力というか地位は高いものである。そんな人物の隣にいられる俺は幸福ものなのだろうな。
「このホテルではリラクゼーションや、整骨マッサージなど幅広く扱っている。一々いろんなところに回るよりもここならすべて解決するから問題は無いだろう」
「凄いなこのホテルは健康ランドか?いやそれ以上かもしれないな」
「だろう?山田くんと何回かここに来たんだが、とても居心地がよくってな」
千冬が気に入るほどか……それはさらに期待が膨らむな!もしかしたらこのホテルにバーとかあるかもしれないな、そこでドロドロによっている彼女がいるかもしれないが。今日は千冬の運転であるから禁酒してもらう。
「今日は禁酒だな」
「帰ったら飲む」
「ダメ」
「中は思ったより綺麗なだ」
「それはそうだろう、結構お高めなホテルなのだから」
そんな高級ホテルの常連客になっているのか、それはそれで凄いことだ。ホテルマンにも顔を覚えられていそうだな酒癖の悪さとかも・・・・・・
「少し肌寒いけどな」
「確かにそうだな、他の客からはそんなこと一切感じていないような雰囲気だが」
「何か起こるかもしれないな」
妙な寒気だ。こんなこと戦場でしか感じることは出来なかった、それが今この場で起きている。用心する必要があるだろうと彼女とアイコンタクトをとった。
こんな時に戦闘や殺人など起きなければいいのだが、俺の勘と彼女の勘は嫌なときほど良く当たるものだ。つまり何が言いたいかわかるだろう。
「おらぁ!動くんじゃねえ!」
数人の覆面が銃を手にホテルに殴り込みに来た。なんというかいつの時代でもこういった輩はいるものだ、それと遭遇してしまったのは人生の中でも不幸な部類になるのであろう。それでもこういったものは警察が来るまでは大人しく犯人の指示に従うのがオーソドックスであるが、俺たちはそういったものは大嫌いだ。犯人の指示に大人しく従う理由はない。
まずは相手の人数と武装を確認した上で作戦を立てる、それはどの状況下かにおいても同じだ。むしろ作戦を立てないでぶっつけ本番で実行するのがおかしいのだ。
「相手は十人だな」
「武器はやはりというべきかAK47とグロックだな、世界中に使用されている拳銃なだけある」
「五人ずつ始末すればいいな。銃は全て分解するか?それとも警察に回収させるか?」
「迷わず破壊する。ナイフなどには気をつけろよ?」
それからの行動はとてもスムーズだった。千冬は圧倒的な戦闘技術で相手を戦闘不可能にさせていく流れ技のようだった、大して俺の方は敵に対して致命的なダメージを与えているわけではないが出血させ一部の機能を不能にさせた。片目というハンデ?があったがそれでも軍人を経験していた分のアドバンテージはあったらしい。奪った相手の銃を少し物欲しくなってしまったのがばれたようで、彼女から「ダメだ」とお叱りを受けてしまった。だがこのグロックだけは見事に手入れがされているのだ。
まずこのグロック34というものだ。これは同じグロックである17をベースにした競技用モデルである。バレルとスライドが延長されており、リアサイトが改良されている。これにより命中率の精度を上げることに成功している。またスライドには独特な肉抜きがされており、これによって軽量化と放熱の向上に成功している。
ここまでは普通のグロック34なのだがこの個体にはTTIという刻印が刻まれている。TTIというのは
このタイプはカスタムスライドにゴールドバレルが特徴的だ、しかしこんなモデルをそこらの雑魚が手に入れられるわけがない。となると盗品の可能性もある、ならば本来の持ち主に返すのが妥当である。
「千冬」
「ダメだ」
「いや……欲しいけどこれ盗品みたいだ」
「盗品かならば本来あるべき場所に返すべきだな」
だが持ち主が判明していない状態、少し関わりづらいのだがあの子に聞くしかないか
「ひとまずこいつらは警察に任せて私たちはのんびりリラックスするぞ」
「わかった」
施設の人から感謝として今日一日全てを無料で提供すると言われた、ありがたいのだが普通に遠慮させていただいた。
千冬はやれやれと言葉を漏らしていたが、俺は無料で提供されるほどのことはしていない。したことは反社会的な存在を粛正しただけだ。
「まずはマッサージだな、身体のコリをほぐしておく必要があるからな」
「確かにここ最近身体の疲れが取れないんだよな、何故か部屋に入ってくる奴らがいるから」
「………やつら?」
「なんでもない」
「おい待て詳しく聞かせろ」
「それより今はリラックスしよう」
「くっ……しっかり聞かせてもらうからな!」
千冬は奴らという言葉に反応していたが、その中にはお前も入ってるんだぞ?もしや自覚がないのかそれとも自分自身以外にいたのが驚きなのだろうか?
どちらにしろ鍵をしっかりとかけておけば問題は無いだろう、合鍵を造った千冬以外は対処できるだろう。
「ぐっ……あっ・・・・・・」
「キツそうだな?」
「押されるたびに身体からバキバキ音が鳴る……うっ」
「それだけ身体を酷使してしまった証拠だろう」
「そうだな。しばらくの間は前線に出ることはしないでおこう、それがあいつらの成長にも繋がるからな」
実践を交えつつしっかりとした実力を身につければ代表候補生は代表生へとランクアップすることが出来る。織斑は普通の男子という枠を超えているから状態、貴重な男性操縦者としてさらに注目されることは間違いないだろう。そうなればこの社会もひっくり返せる。姉よりも強く育つ弟か……良い者だな。
俺は大人しく隠居生活でも送れたら良いのだが、恐らく彼女たちがそんなことを許す気がしない。なんかそんな気がする。
篠ノ之と凰そして織斑は代表生として確定だろうがシャルロットは企業、ラウラは軍人、セシリアは貴族であるが……その後はどうするつもりなのだろう?簪においても更識の家系だ、本音は確かそこの傘下に入っているはずだな。
ここら辺は代表者になるか事を受け継ぐかのどちらかだろう、これに関しては俺は口を挟む必要は無いと考えている。将来は自分自身の力で切り開く者だ。
「少し身体が軽くなったな」
「効果がしっかり出ているな、定期的にここに来れば良い」
「そうさせてもらうとしよう」
その時は織斑や篠ノ之達を連れてくるとしよう。二人で堪能するのはもったいない。
千冬から少し睨まれた気がしたが気のせいだと感じたい。
「さてと個室に行くとしよう」
「個室には露天があって風景を楽しめるみたいだな、本当に一流の施設だ」
一つ星ホテルも顔負けだと思いながらも、俺たちは時間が許す限り今を楽しむことにした。
後にいろんな問題が起きてしまうのだがそれはまた別の問題である。