漢がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:ぱんてー男爵

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4話

「う、んぅ……どこだここ?」

 

まぶたの裏から眩しさを感じ僅かに目を開けると、目の前は白い天井で埋まっていた。

意識が段々と覚醒していく。

お腹の上に僅かな重みを感じ目を向けると、そこには彼の主神ヘスティアが突っ伏して眠っていた。

そこで思い出す。

 

(そうか、俺、倒れたんだっけ?とりあえずここまで運んでくれた人にお礼言わないとな………。そういえばベルは大丈夫だろうか、気絶する前に助けてくれた人に頼んだばいいけど)

 

そんなことを考えながらも根拠もないのに心配はないと心のどこかで安心している。

とりあえずヘスティア様を起こさないようにとゆっくり起き上がろうとするが、

 

「うがぁ!」

 

少し動くと身体中に痛みが走り、声が漏れる。

外傷はない、きっとポーションを使ってくれたのだろう。

しかし身体の疲労からか思うように動かせない。

しばらくするとヘスティア様も目を覚ます。

 

「ん、ん?……えーじろーくん!起きたのかい!一応ポーションできずは塞いでるけどどこか痛い箇所はあるかい!?」

 

「すんません。筋肉痛で全身痛くて動けません。」

 

「そうか……、兎に角無事でよかったよ。」

 

他にも言いたいことはある。ヘスティアにとっては自分の子供が1番なのだ。だから他の何を犠牲にしても生きて帰ってきて欲しいというのが本音だ。しかし、誰かを救うというその行動を誰が責められようか。

ヘスティアは説教したい気持ちをぐっと堪える。

 

ヘスティアの目は真っ赤に腫れており泣いていたことは切島にもわかった。それが自分を思って泣いてくれたことも。

 

「ヘスティア様ベルのやつは大丈夫なんすか?あいつもきっとミノタウロスに会ってるはずなんす」

 

切島は申し訳なさから気まずさを感じ、急いで話を変える。

 

「心配はないよ。すんでのところで助けられたらしくてね。返り血を浴びたぐらいさ。ただね、、、」

 

「どうかしたんすか?」

 

切島は神妙な顔をする神様に次の言葉に警戒する。

 

「ベル君ったら助けてくれた女性に惚れてしまったんだよー!」

 

(な、なんだ、良かった。)

 

警戒は杞憂に終わり、ほっとする。

同時に親友の恋を心の中で応援をするが、問題がある。

 

「まぁ、他のファミリアとの結婚は厳しいって聞いたこと有ります。」

 

「それだけじゃないんだ!惚れた女性のファミリアがロキのやつのところなんだ!」

 

どうやらヘスティア様はロキ様という神と仲が悪く、会う度に喧嘩をしてしまうらしい。

 

「ヘスティア様、ロキ様と仲直りしましょう。俺も応援しますんで。」

 

「いや、別に元々仲間とかじゃないけど、えーじろーくんが応援してくれるなら努力はしてみるさ……!」

 

切島は親友の恋を応援すべく早速行動に出る。

一方ヘスティアは優しく諭されてしまい、反論が出来なくなっていた。

 

 

 

 

 

夕方になると、ヘスティアはベルがダンジョンから帰ってくる前に家で待つと言って先に帰って行った。

切島は退院の手続きを終えると、遅れてホームへと歩いていく。

 

「ただいま!あれ、ヘスティア様は?」

 

「おかえり!鋭児郎!無事に退院できたんだね。神様なんだけどステータスを更新してもらったら何故か怒って出てっちゃったんだ。」

 

「え!?探しに行くぞ!」

 

詳しいことは知らないが喧嘩をしたらしい。

とにかく仲直りさせるためにも切島は探しに出ようとする。

 

「でも、ご飯は2人で食べて来いって言ってたから大丈夫じゃないかな?」

 

「そうか?まぁ、飯はみんなで食いたかったけどしょうがないな、何にするんだ?」

 

「それなんだけどね、朝に"豊穣の女主人"ってとこに誘われたから行かない?」

 

「俺はどこでもいいぜ。」

 

切島は一応納得し、豊穣の女主人という店にベルと向かう。

 

「あ、ベルさーん!」

 

「あ、シルさん!」

 

「本当にきてくたんですね!それと、そちらの方は?」

 

「俺は切島鋭児郎って言うんだベルとは同じファミリアなんだよろしくな!」

 

「シル・フローヴァです!よろしくお願いします!それじゃ、早速中へどうぞ!」

 

切島は持ち前の明るさでシルともすぐに仲良くなることが出来、2人とも店の中へ招き入れられる。

 

「席はこちらになります!」

 

「ありがとうございます!」

 

「あざっす!」

 

2人はテーブルの席へ案内される。

すると大柄な女性が歩いてくる。

 

「あんたがシルの言ってたお客さんかい?可愛い顔してるじゃないか。そっちの赤い髪のやつは連れかい?あんたは男前な顔してるね!私はミア・グランドだ。みんなからはミア母さんって呼ばれてるよ。」

 

「あはは…ベル・クラネルです。」

 

「切島鋭児郎っす!男前っすか!」

 

ベルは苦笑い、切島は男前という言葉に反応する。

 

「あんた相当大食漢らしいじゃないか!じゃんじゃん食べて金使いな!」

 

「え!?」

 

「ベル!初耳だぞ!俺も負けてられねぇ!」

 

切島は対抗心を燃やすがベルにとっても初耳である。

シルの方を見ると、テヘペロと舌を出し拳を自分の額に乗せていた。

 

「シルさん!?」

 

「あ、あはは、では私は仕事に戻ります!」

 

シルは慌ててその場から逃げるように厨房の方へと逃げていった。

取り敢えず、2人は好きなものを頼み食べながら話に花を咲かせていた。

少しするとシルが戻ってくる。

 

「鋭児郎さん、ベルさん、どうですか?」

 

「はい、ここの料理も美味しいですし、凄く気に入りました。」

 

「めっちゃ美味ぇ!いくらでも食えるぜ!」

 

「それは良かったです!」

 

シルの質問に高評価で返すと嬉しそうに顔をほころばせる。

そこで切島は気になっていたことを聞く。

 

「そういえばなんであそこだけ席空いてるんだ?」

 

シルは切島の指さす方を見ると納得したように答える。

 

「ああ、あの席はうちのお得意様の予約席です。」

 

「お得意様?」

 

ベルがまたもや質問で返すと

 

「ご予約のお客様、ご来店ニャー!」

 

猫人の店員が大勢の客を招き入れた。

 

 

 




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