漢がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:ぱんてー男爵
☆9イシュリー様、G-WOOD様、せんせん様
☆8唐乃桃様、アルトラ様
☆6わけみたま様
ありがとうございます!
今回のベート戦は中途半端になってしまうので分けました。
店から出た広場で切島とベートは向かい合っていた。
ベートはまだ酔いが覚めていないが、その足取りはしっかりとしていた。
Lv5からの余裕からか、構えはしていない。
元々切島はベートに勝とうなんて1ミリも考えていなかった。
ミノタウロスに勝ったとはいえ、目の前の男は格が違ったからだ。
勝てる確率はゼロ。
自分に出来ることは、自分の1番の強みは………、
守ること!
切島の取った構えはミノタウロスの時と同様、腕を前でクロスした状態で固まる。
「おい、あいつ見てみろよ。足震えてるぜ。」
「あーあ、格上に立ち向かう勇気はいいけど、震えるくらい怖ぇならやんなきゃ良かったのにな。」
「相手は凶狼だぜ?一撃でおしまいだろ、」
周りのヤジの声で自分が今震えていることに気がつく。
今まで戦ったことがないような強敵に身体が拒否反応をおこしているのだ。
「フィン!何故とめない!」
「団長、流石に無理ですよ。」
リヴェリアとティオネは反対のようだ。
フィンも本当は止めたい。だが、それが出来ない。
「僕も止めたいんだけどね。ティオナがね……。」
そう言い、ティオナの方を見る。
戦いとなればうるさくなるティオナだが、今回だけは真剣な表情で黙って見ている。
まるで、止めることを許さないような雰囲気にフィンは押されてしまったようだ。
「まぁ、ベートも手加減はするだろうから心配ないよ。」
フィンはそう言って納得させる。
「鋭児郎さん………。」
シルは心配そうな表情で切島の出ていったドアの方を見つめる。
また、そんなシルを悲しそうに見るエルフがいた。
そのエルフはリュー・リオン。
豊穣の女主人の店員の1人である。
彼女もベートの言動を見ていた1人であり、友のために立ち向かう切島に好感を抱いていた。
シルのためにも喧嘩を止めに行こうとするが、
「邪魔するんじゃないよ。あの少年は、今、漢として譲れない戦いをしてるんだから」
"漢"という言葉に足が止まる。
かつて、世界中の男達から尊敬された冒険者を思い出す。
きっと彼もかのクリムゾンライオットに魅せられた1人なんだろう。
リューは踵を返すと皿洗いに戻って行った。
「おい、犬って言ったこと今謝れば見逃してやるぜ?」
「………」
「まさか、あのトマト野郎の友達か?友達を酷く言うやつは許さねぇってか?」
「…………」
「何とか言えよ、お前たち雑魚のせいで俺たち冒険者の品位が下がってるんだぜ?たまったもんじゃねぇよなぁ」
「………………」
切島は口を開かない。
いつ攻撃がきてもいいように構え続ける。
(今、ベルはダンジョンで戦ってるんだ。自分の弱さと不甲斐なさに抗ってるんだ。だから、ここは1歩も引けねぇ!)
「ちっ、つまんねぇな、…………雑魚が!一撃で沈めてやるよ!」
ベートは一瞬で距離を詰めると、切島の腕を目掛けて蹴りを放つ。
目で追えない。凄まじいスピードの蹴りは破壊力も桁違いだった。
重い蹴りを真正面から受けてしまい、切島は後ろへ吹き飛ばされてしまう。
ヤジたちは何が起こったかも分からず気がつくと赤い髪の少年が吹き飛ばされていた。
切島の腕はスキルで固められていたにもかかわらず一撃で敗れ、白目を向いて気を失っていた。
「はっ、あんな啖呵切っておきながら手加減した一撃でおしまいかよ。」
べーとは期待はずれだと言わんばかりの足取りで帰ろうとする。
周りの人々も予想通りの結果に冷めていた。
リヴェリアは困ったようにため息をつき、ベートを一瞬攻めるように睨んでから介抱に向かう。
切島は夢を見ていた。
小さい頃、森に迷い込んでしまった時があった。
友達とかくれんぼをしている途中、気がつくと知らないうちに森へと入ってしまっており、モンスターに脅えて森から出ようとしていた。
ガサッ
近くの草むらが揺れ、恐る恐る見てみると、
ゴブリンが3体飛び出してきた。
「うわぁぁ!」
切島は腰が抜けてしまい、涙目で後ずさる。
ゴブリンの棍棒が振り上げられ、ダメだと思ったその時。
「うらァァァ!」
そんな雄叫びが聞こえ、目を開けると既にゴブリンはいなく、でかい背中が目に映る。
「大丈夫か?」
そう言って手をさしのべられる。
この時、切島は目の前の紅の大男に憧れを抱いた。
"クリムゾンライオット"切島の住んでる小さな村にまで轟くような大物の名前だった。
そこで切島は質問をする。
「クリムゾンライオットさん!モンスターを相手にするのって怖くないの?」
「あるさ。死地に向かうのに恐怖を感じないやつなんざ余程のアホゥだけよ。」
「じゃあ、漢気ってなに?」
「心のあり方だ。自信を持つとか、恐れ知らずだとか、1度心に決めたならそれに準じる!ただ、後悔のねぇ生き方!それが俺にとっての漢気よ!」
小さい頃は何を言っているのかいまいち分からなかったが今ならわかる。
そうだ、クリムゾンライオットに教えてもらったんだ。
1度決めたなら突き通す!
後悔をしないように!
ベートという相手にに恐怖しないわけが無い。
でも、それでも!
目が覚めるとベートは背中を見せて帰ろうとしているところだった。
治療のためにポーションを持って駆けつけてくるエルフも目に映る。
「待てよ、」
その発せられた声にヤジは皆信じられないような顔で切島を見る。
止めようとするエルフを無視すると、もう一度ベートと向かい合う。
皆が驚愕に目を見開かせる中、ティオナは熱の帯びた視線を送る。
ベートは面白そうに笑みを浮かべ切島を相手に構えをとる。
もうベートは酔いが覚めていた。
「第2ラウンドだ」
すでに切島の足の震えはない。
さっきと同じように構えを取り、いつでも掛かってこいと目線で訴える。
コメントが増えてきて今アドレナリンがえぐいです!
本当はまた明日投稿しようと思ってたんですけど、勢いで書いちゃいました!