そう言って本を閉じたウォズは、囁くように呟いた。
「そうそう………この世界には、フォウと言う動物はいません。この意味が皆さんには分かりますか?」
それはすぐに動いた。
七つの聖杯を手に入れたカルデアに対して、魔神柱は攻撃を仕掛ける。
だがカルデアはすでにオーマジオウ達によって改造されていて、先制攻撃に耐えるくらいはできる。耐えてしまえば彼らのターンだ。
魔神柱に対してリムルの配下、悪魔で統一された軍隊
頂点にいるのは原初の悪魔と呼ばれる、始まりの悪魔の
『今回の作戦で出て来るのは異世界の悪魔、しかも魔術王と言う存在に仕えたって言う大悪魔なんだ』
『クフフ、大悪魔ですか?我々と同格とはとても思えませんが』
彼らの感覚で言えば、魔神柱は
『まあ付け加えるのなら、主のいない悪魔ってところだね。ソロモンはすでに死んでいるし、彼らは君達のような存在と言うより、術式と言った方が正しいから』
『なるほど、術者のいない術式ですから、その程度の実力しか出せないと?』
ディアブロの言葉にロマニと言う人間はそうだと頷く。
そしてリムルはそれに興味を持った。
『生きた術式って言うのを、少し興味があってね。オーマや元術者からも許可はもらったから、できる限りリソースを回収しながら倒したいんだ』
―――できるよね?
その言葉に悪魔達は是と答え、ひれ伏し、各々が自分でできる限り、リソースを奪いだす。
魔神柱達からリソースを奪う。その為に彼らは強大な魔法を繰り出しながら削り、修復させ、体制を整えさせてから崩す。
「なかなか面白い、さすがはリムル様。このような舞台を用意してくれるとは」
そそり立つ魔神の柱を掴み、へし折る悪魔はそう言いながら、各々が好きに攻撃していた。
核撃魔法で粉砕する
各々が無限に増殖する魔神柱の再生を待ちながら、好きにリムル、最愛の主の命令を遂行するのであった。
◇◆◇◆◇
「解体作業か、儂に任せろッ!行くぞ銀さんッ」
「応よ両さんッ! ギャグマンガの力見せてやるよッ」
そう言ってジェイアークを使い、魔神柱をへし折りに出向く銀さん達。新八がツッコミを叫ぶのだが、実際普通に突撃すると死ぬので、スーパーロボットの力を借りる事にした。
そんな中、敵味方問わず、魔法を放つ存在がいた。
『クッハハハハハハ、我、参上ッ!!』
暴風竜ヴェルドラ。彼の災害が魔法を放ち、魔瘴を放ちながら魔神の腹の中で暴れ回る様はまさに暴風であり、厄災である。
各部署の魔神柱達が各々で対処する中、それでも火力面で言えば転生者同盟が上であった。
【なんなのだ………】
各部署からの悲鳴を聞きながら、人理焼却式、魔神王ゲーティアは顔を歪めた。
【なんなのだ貴様は………】
「最低最悪の魔王だよ、ゲーティア」
三日月のように釣り上げる笑みに、ゲーティアは吐き気を催す。
【気持ち悪い気味が悪い忌々しいッ!一度己の手で世界を壊して起きながら、救うだと? 貴様は一体何を考えている!?】
「……? 別に、なにも?」
その反応はまるでソロモンのようだった。それにゲーティア達は嫌悪を通り過ぎて気持ち悪さが先に来る。
「俺がお前の前に立つのは、新たらしい世界を壊す事に納得ができないからだ」
「心ってのはね、簡単に壊れるんだ。君が持つ私への嫌悪感は正しい。私はおかしい、狂っている。けど、仕方ないよね? 初めの時、私はこうしていれば何もかも救えていたのだからね」
初めから全力を出す、または力をコントロールする。きっと犠牲は出さず、無辜の血は流れずに済んだ可能性は立証された。
ゼロでは無い。だが格段に違う。
「物語に厚みを求めるのは部外者か観客くらいさ。舞台上の人間からすればすべては救われた。それだけでいいんだよ」
誰だって楽な方が良いし、面白味が無くても良いから平和が良いに決まっている。少なくても彼はそうだ。冒険や苦難など想像上の中だけでいいんだ。よかったんだ。
「私はもう、現実も幻覚も理解できない。それほどまでにねゲーティア、現実が嫌になったんだ。だけどね、だからと言って壊れて欲しいとは思わないんだ」
【だからなんだと言う!?何が言いたいッ!】
「なぜ世界を救いたいのに全てを壊す?綺麗な物だけを愛でて、汚い物は愛せない?」
【愛する?愛すると言うか!? お前達の歴史をッ、絶望を、憎しみを、怨嗟の全てをッ】
「それら全てを含めて人だ。俺の力の大本の戦士達は、人を愛して、平和を愛して、自分のみを顧みず、全てを救おうとした自意識過剰な正義のヒーローだ」
その戦士達を召喚して、魔神柱達の解体を始める。
「お前はソロモンを見て、打破するべきと決めたようだが、ソロモンは神によって、王として機能する以外できない神の被害者だ。彼を救おうとしなかった、嫌悪し、打破すべき外道と決めたお前に、世界を救う権利は無い」
最も悪意があるのは、それを悪と認識せず、行動する事だ。
妖精國の妖精達のように、あのクソ神が俺の家族が死んだのは自分の所為では無いとほざいたときのように。
自分は悪くない、関係ないと耳を防ぐどころかなぜ自分に言うと言う心こそ、吐き気を催す邪悪である。
「ゲーティア、人を救いたいと、世界を救いたいと言うのなら、全てを受け入れろ。でないとお前は、ただの獣だ」
【黙れッ!!】
人を知れと、我々は見ていた。人の歴史を、お前達の諸悪を、お前達の蛮行を。
全てを知った、全てを見た。だからこそ、我々はやり直さなければいけないのだッ。
「やり直す? 人が積み上げた罪はそんな事で許されるほど軽いのか?」
【もはや賽は投げられたッ!人は正さなければならぬ】
「………やり直したところで、人の罪、神々の罪が無かったことになる?」
ふざけるなッ。
「その罪は人が背負い、償わなければいけないッ。神もまた、償え。無かった事にする事なぞ、俺の母さんや父さんを殺しておいて、世界を壊しておいて無かった事になぞさせない。その程度では許さない。許される、はずではない」
【祝福の刻】
「俺の罪も捨てない、世界を壊した罪を問われれば、別の形で償う。どんなな物語でも、無かった事にだけはさせられない。変身」
最低最悪の魔王はそう告げてゲーティアと向き合う。すでに彼らの戦いは終わっている。
【これで終わりだ、ゲーティア。やり直すのではなく、新たらしい道を探す事が人が世界に対する償いであり、俺が選んだ、生き方だ】
【黙れ黙れ黙れ!】
こうして二人の王は激突した。
◇◆◇◆◇
ゲーティアは第三宝具である
すでにオーマジオウが特殊能力により、光熱エネルギーをリソースへと変換する術を知っているからこそ、これは無駄だと理解したからだ。
人類悪であるビーストⅠの能力としてサーヴァントによる攻撃の有無を否定、破却する力もまた、サーヴァントですら無いオーマジオウには通じない。
ただの打撃による殴打を初めとした攻撃を軸に、オーマジオウと討ち合うゲーティア。
だが、それを緑と黒の風が防ぎ、赤き龍が現れ防ぐ。
無数の黄金の蝙蝠が羽ばたき、カードから雷鳴が放たれ、炎の音色が肉体に響く。
時を超える斬撃が放たれ、高速世界に入り連続の打撃。エネルギーを封印する紋章に、解放する紋章。
【ッ?!これは………ッ!?】
オーマジオウは宝具と呼ばれる力をいくつも持っている。
それだけで無い。
たかが数年の歴史であろうと、彼らが持つ熱量は決して始まりから終わりまでを焼き尽くした熱に焼かれる事は無い。
そう、ゲーティアは挑んでいるのは、世界の可能性である。
【ぐっはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――ッ!?】
いつの間にか自分を囲む20人と4人の仮面ライダー。25人のライダーが現れ、静かに………
「イッエーイッ♪テンションアゲアゲで行くぜーッ!」
「バイスうるさいよ」
「これが静かにいられるかーッ!一気に決めようぜっ!」
【終焉の刻】
そして彼らは飛び上がる。それはゲーティアにとってたかが1年の歳月であった。
【アァァァァァァァァァァァァ――ッ!!】
その程度の年月なぞ粉々に壊せるはずであった。
【逢魔時王必殺撃】
だが、拳が彼らが放つキックにぶつかる時、全身に響き、伝わるほどの振動を受けながら、徐々に後ろへと吹き飛ばされる。
【認めない、認める物か………たかが人が、人間が、世界に刻まれた歴史を上回るなど】
【刻まれた歴史に上も下も無い、〝比較"できるものではないんだよ。その時を生きる、今を生きる者達の力、これが、生きる者達の力だッ!!】
拳が砕け、そのまま腹部へとキックが決まる。
なぜ惜し負けた?その答えは彼ら仮面ライダー否、今を生きる者の力が、憐憫の獣なぞに負けない証明である。
初めから決まっていたのだ。今を守る戦士の力と、人類を憐れむ獣の力。どちらが上なぞ明白であった。
故にこの結末は、決まっていたのだ。
【バカな………人の時代に、人の世に、これほどの力が、あるものなのか……?】
【信じる信じないはお前が決めろ憐憫の獣よ。だがこれが人の力だ】
【お前は、一体】
【私か?私は最低最悪の魔王、傷つける勇気の無いのに傷つけ、助ける事しかできない愚か者。自意識過剰なヒーローよりも質の悪い、人の願望。〝比較された瞬間に上になる存在"】
【………貴様、ビースト】
【さあな、私は私として世界を救う。ただ気に食わないから、助けをを求められたから。それだけで、私が世界を救う意味がある】
そう獣に言い放ち、最低最悪の魔王はトドメを刺す。
【安心しろ、世界は守る。この私がいる限り、私の他にこの世に悪は栄えない】
その言葉に、ゲーティアはそうかと安堵した。なぜ安堵したか分からないが、彼はこうして終わりを告げる。
物語に割り込み、好きに内容を変える最低最悪の魔王。彼がいる限り、絶望は存在しないのだから………