ようこそ非日常の溢れる教室へ   作:地支 辰巳

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 全く別の話の投稿すみませんでした。お詫び代わりの爆速投稿です。
 次回から気をつけます。

 感想欄で教えてくださった方々本当にありがとうございます。


縁は侮れなく、勝利には欠かせないものである

 

 龍園から言われた場所へと向かう幽。緊張などしない幽はただどんなキャラでその人物で会おうかと考えていた。どんな相手すらも龍園から共有されることは無く、ただ情報を引き出してこいしか言われていない幽。あまりにも荒唐無稽な指令であると改めて感じていた。

 

「あんたが龍園の使者? あんまりAクラスに見られたくないから、早くして」

 

 デッキにいたのは掲示板で優待者だとバラされ、つい今ほどグループが終了した神室と、同じく坂柳の右腕である杏里だった。二人の立場は現在、Aクラス内で非常に悪く、他クラスと会ってるところを見られたならばあらぬ疑いをかけられる立場にあった。

 

「どうしてこんな大変な時間に龍園の呼び出しに応じたんだ?」

 

「龍園くんには言われたら困ることがあるから」

 

「そういうこと。だから、要件を早くしてくれない?」

 

 Aクラスの情報を龍園に流そうとした。無人島試験では未遂気味に終わったが、その行為があったという事実を今の三好がリーダーの状況で流されると、容易くAクラスは崩壊の危機に陥ることになる。そんな危機感から神室と杏里はこの場に来たのだが、幽には詳細を知るよしも無かった。

 

「あの優待者のことは本当だよね? 誰に話したの?」

 

「誓って言うけど、私は優待者であることを三好と杏里以外には言ってない。一応、坂柳にも言ったりはしたけど……そういえば、あいつ」

 

 グループが終わり、もう隠しておく意味も無くなったのか、この状況への愚痴を吐くように神室は情報を出していく。最後の言葉は聞けなかったものの、幽は考え込む。友達であり、一番身近にいた杏里が情報を流すとは考えづらく、他二人の可能性が高く、坂柳の考えは理解が得られにく、彼女の可能性が高いとも。

 

「本当に君が流してないんだよね?」

 

「私がそんなことをするメリットが無い。立場が悪くなるだけだから」

 

「坂柳に電話かけて」

 

 いきなり幽から言われたその指示に神室は冗談かと幽の目を覗き込むが、その目は真剣そのものであり、冗談なんてものでは語れないものだった。その実、今の幽は少々高圧的なキャラを演じており、情報を得る為だったら手段は問わなかった。

 

「辞めた方が良いと思います。坂柳さんは底が見えないから」

 

「良いよ杏里。別に坂柳から電話をかけるなって言われてないから」

 

 慣れた動作で坂柳に電話をかけ、出たのを確認すると、神室はそのままスマホを幽へと渡してくる。

 

『もしもし』

 

『……どちら様ですか?』

 

『Cクラスの平和島幽だ。聞きたいことがある』

 

『あの平和島くんでしたか。良いですよ。お話しましょう』

 

 急な電話でほとんど知らない相手だったにも関わらず、坂柳は直ぐに状況を察知をすると、声を上擦らせ、今の状況を楽しむようにお話をすることにする。その二人の電話を声が聞こえないながらも、神室と杏里は緊張の面持ちで見守る。

 

『神室真澄の優待者情報を誰かに流したか? それとも、神室に何かに指示したか?」

 

『本来なら嘘をついても良いんですけど、貴方には興味があります。正直にお話しましょう。私は誰にも情報を流していませんし、指示もしてません。ふふ、楽しいことになっているみたいですね』

 

 坂柳は答えることだけに答えると、そのまま一方的に電話を切る。本来ならば失礼にも値する行為だが、幽からすれば得られる情報は得られた。それだけで充分だと考えた。

 

「これでもう充分でしょ? 私たちもう行くから」

 

「失礼します」

 

 これ以上いると他の人に見られ、不都合が生じると思い、神室と杏里は去って行く。それを見届けながらも、幽は思考を巡らせる。

 坂柳の言葉は坂柳が信用出来ない人物だということを差し引いても、有りうる可能性であること。神室自身で他の人間に情報を流すことは今の自分の立場を悪くし、他クラス全員に情報を与える行為であること。杏里が情報を流すメリットが存在しないこと。この三つの事実から幽はある事実を閃く。

 

「三好吉宗。名前の通り、危ない人かもな」

 

 

★ ★ ★

 

 

 三回目の会議の時間。一夜明けたものの、いきなり子グループが無くなったことに対して動揺が巡り、このグループも優待者が当てられ無くなるのではないかと誰もが思っている中、卯グループは前回と変わることなく、ほぼ全員でトランプゲームなどをしていた。

 

「うわー負けちゃったよ。みんな本当に強いね」

 

「竜ヶ峰殿は弱いでござるな。ジョーカーの位置がバレバレですぞ」

 

「竜ヶ峰くんは運が悪いだけだよー。他のゲームしよ。それなら勝てるかも」

 

 ババ抜きを何グループかでやってる中、一之瀬、綾小路、帝人、軽井沢、外村のグループでは竜ヶ峰が五連敗をし、気分転換も兼ねて大富豪をすることになった。

 

「嘘でしょ。そんな手札で勝ったの?」

 

「また、またでござる。大貧民ばっかり」

 

「大富豪の方が得意みたい。何か、ごめんね」

 

 大富豪を三ゲームほどすると、今度は帝人が負けることは無くなり、軽井沢や外村などが大貧民となることばかりだった。帝人も自分の為にゲームを変更してもらったのに、こんなに勝ってしまうのは気まずいのか、素直に喜べていなかった。そんな帝人を綾小路はじっと見つめていた。

 

「あ、もうこんな時間だね。次は人生ゲームとかしようね」

 

 チャイムが鳴り、グループ会議の時間が終わる。軽井沢が部屋を出て、その後を真鍋が追い、それを綾小路が尾けるようにするなど、裏べ色々と動いていたものの、部屋の中には結果的に片付けをするように残った一之瀬と伊吹のみが残った。

 

「なんで、子グループについてに触れなかったの?」

 

「このグループの中で不和をもたらすようなことは言いたくなかっただけだよ。それに、このグループにそれと関係あるような人は居ないと思うから」

 

 伊吹が探るような視線を一之瀬に向けたにも関わらず、一之瀬は臆する事無く伊吹を見つめ返す。その視線と言葉には確固たる信念のようなものが感じられ、一之瀬はこのグループの人間を全く疑っていなかった。

 

「そこまで言う根拠なんて無いでしょ。私がやってるかもしれないし」

 

「うーん、勘かな。みんながやってるようには今日見てて、見えなかったから」

 

 一之瀬自身は勘と語っているが、それは一之瀬の観察力と考察力を使った上での勘であり、他の人が口にする勘とは精度が違った。それを伊吹は薄々とは言え、理解した。

 

「それで本題って何かな。龍園くんから何か伝言でもある?」

 

「龍園から伝言。交渉なら幾らでも乗るって。それだけ」

 

 周りの状況や龍園の様子に構わず、伊吹はあまり本気で勧誘する事無く、部屋を出ていく。そのような伊吹の様子から一之瀬は龍園が今回の件についてはやっている側では無く、追っている側なのだと薄々ながらも察する。

 

 

★ ★ ★

 

 

 一之瀬が会議終わりに伊吹から交渉の誘いを受けた頃、正臣、吉宗に対してもCクラスから同じような勧誘がされており、そのことを情報共有した正臣と一之瀬は集まったのだが、その直後に学校側からメールが二通届いた。

 

「これ、本当に早くした方が良さそうだよな」

 

「うん、そうだよね。DクラスとBクラスの優待者が狙われちゃったし」

 

 新たな優待者の密告は午グループと亥グループで行われ、どちらの優待者もDクラスとBクラスであり、正臣と一之瀬に不安と焦りを覚えさせるには充分な要素だった。しかも、それに拍車をかけるようにその優待者の指名がされる数分前に例の掲示板にそのグループの優待者の名前が書かれていた。

 

「普通に考えれば龍園の可能性が高いんだけんだけどなー」

 

「でも、その可能性は低いんだよね。龍園くんからの使者が全クラスに行っているみたいだし、龍園くんが掲示板側だったら優待者も分かっているから、必要が無いんだよね」

 

「そこまで読んで龍園の野郎がやってるかもしれないんだよな。あいつが普段から品行方正だったら、こんなこと疑わなくても良いんだけどな」

 

 龍園の普段からの言動、行動から黒幕と疑われるのは仕方のないことであり、正臣や一之瀬がその可能性を捨てきれないことも避けられない事実であった。

 

「でも、龍園くんを外して考えると、他にやりそうな人は居ないんだよね。葛城くんも三好くんもしそうな人じゃないし」

 

「あーまぁそうだよな。俺も……あんまり思いつかないな」

 

 一之瀬の前だと無意識に真剣モードになりかける正臣。その顔通りに正臣が

真面目に色々考えた結果はあまりにも自クラスに隠し事が多い人間が多いことだった。

 実力を隠している節のある綾小路、恋人に一途過ぎる美香、実力と同じくらい何を考えるか分からない高円寺。何故Dクラスなのか分からない平田。考えれば考えるほど怪しい奴しか居ないDクラスに正臣は考える事を辞めた。

 

「とりあえず、優待者情報交換するか。二人で共有したらバレないよな」

 

「そうだね。法則性も思いつくかもしれないし」

 

 二人はお互いに信用し合い、信頼し合い、自クラスの優待者を書き出す。ここに書き揃ったのは6人の優待者。その名前、情報、部活、性格などから共通点を見出す。しかし、二人で考えるにはあまりにも共通点が無造作過ぎた。

 

「やっぱり干支も関係あるかなー。わざわざ干支をグループ名に使っているぐらいだし」

 

「どーだろうな。そんな難しい共通点じゃないと思うんだが」

 

 二人は平仮名で書き出したり、数字で書き出したり、様々な方法を試したが、中々に情報が出てこなかった。そんな中、誰にも知らせていないはずのカラオケルームが勢いよく開けられる。

 

「よぉ、てめぇら。二人きりで何したんだ?」

 

 その男、龍園は下卑た笑みを浮かべながら、二人に対して挑発をかける。そして、正臣と一之瀬は龍園が入ってきた瞬間、優待者に対する思考をまとめた紙を隠す。

 

「何しに来やがった龍園。ここにお前は呼んでないぞ」

 

「ハッ、本当にバレたくなきゃ後ろに気をつけるんだな」

 

 龍園が交渉に石崎やアルベルトまでも向かわせたのは何も交渉をすることだけが目的では無かった。尾行をさせ、今回の黒幕を探ることが一番の目的だった。交渉はただのついでであり、龍園だって本気で交渉出来るとは思っていなかった。

 

「無理やり入ってくるなんて、これを先生に報告したら龍園くんもただじゃすまないよ」

 

「今回の黒幕が分かった。だから、黒幕に無関係なてめぇらに協力してやろうっていう話だ」

 

 こんな風に言っている龍園を完全に信用するほど正臣と一之瀬も馬鹿では無い。そして、龍園も切迫詰まっている状況であり、黒幕側よりも一之瀬と正臣を組まざるを得ない立場になっていることぐらいは二人は気づいていた。

 

「そっちも色々と提供してくれないと、俺らも協力出来ねぇって。なぁ、帆波ちゃん」

 

「もちろんだよ。龍園くんは信用が無い。私たちもただでは協力出来ないよ」

 

 そう言われることが分かっていたのか、龍園はある紙切れを二人へと見せる。そこにはCクラスの三人の名前が書かれており、配属された干支グループも書かれていた。

 

「これって、もしかして」

 

「ああ、Cクラスの優待者情報だ。どうだ、話を聞く気になったか?」

 

 本物か偽物か。そんな事を精査させる暇を与えないというように龍園は威圧感を欠かす事無く放ちながら選択を迫る。

 

「紀田くん」

 

「ああ。話を聞かせろよ龍園」

 

「ククク、交渉成立だな。早速だが、この試験の黒幕は……三好吉宗だ」

 

 その名前は二人に衝撃を与えるようなものだったが、それと同時にスッと二人の中に納得感を与えるような名前でもあった。





 やっとこの章の折り返し地点に来ました。勢力図がはっきりしてきましたね

カップル同士などの描写の深さについて

  • 仄めかしもやめてほしい
  • 仄めかす程度ならば問題なし
  • 軽い描写なら良し
  • 多少深くてもok
  • ギリギリまで攻めてよし
  • どれでも気にしない
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