ようこそ非日常の溢れる教室へ   作:地支 辰巳

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人間関係の構築は将来の糧に

Dクラスが学校の真のシステムについて、説明を受けていた頃。Bクラスも同じように説明を受けていた。

その内容は変わらずとも、Bクラスの状況や担任の口調なども相まってDクラスのように落胆、怒り、あきらめの声は少なく、少しの喜びそしてAクラスを目指すことへのやる気など、希望に満ち溢れた声が多いようだった。

そしてそんな中、説明を聞いた帝人は『これから僕の味わって来なかった非日常が味わえるんだ』というある意味で誰よりもこれからの日々に期待と夢を抱いていた。

 

 

Bクラスは、他クラスとは違い、その後の時間をこれからこのクラスを引っ張っていくであろう人間をクラス役職へ投票することになった。

その後の投票で、委員長に一之瀬帆波が、副委員長に神崎隆二が就任することとなった。余談だが、一之瀬のリーダーシップな感じは4月時点で多く、印象が強かったので、帝人も他の大多数と同じ一之瀬に投票をしていた。

その後も勉強会の実施の決定や、Aクラスを目指すという目標を設定してその時間は終わりになった。

 

 

 

時間は進み昼休み。Bクラスでは食べながら、ポイントの管理や今後の予定などを色々決めていこうと言うことで、弁当やコンビニのおにぎりなどバラバラでありながらも、全員が教室にそろっていた。

そんな中、Bクラスのドアがノックされた。それに対してBクラス内は一体誰がノックしたのだろうかという警戒、そして困惑の雰囲気に包まれていた。

 

「失礼しますー。Dクラスの紀田正臣っすけど、ご相談があって来ましたー」

 

その時、Bクラス内の空気が凍った。クラス会議中にチャラチャラしている髪の毛や態度で入って来た敵とも言えるDクラスの人間。警戒しない方が無理だった。

そんな中、一番戸惑っていたのは正臣と幼馴染である帝人だ。正臣は挨拶として帝人に対して手を振り、また近くの席にいる柴田からは前に正臣のことを話したことがあり、あいつは何なんだというのを目線で訴えられる。帝人は困惑のあまり乾いた笑みをするしか出来なかった。

 

「今日いきなり敵となったわけだが、その直後の相談とは気になるな」

 

Bクラスの知将である神崎の警戒はもっともだが、それとは裏腹に正臣は顔の笑みを崩さないでいた。

 

「別に警戒なんてしないで欲しいんだけど、普通に同盟を組もうという提案だからさ」

 

その言葉を聞いたBクラスの人間の誰もが、学級委員長である一之瀬の方を向いた。そこには、クラスを引っ張る義務がある委員長への期待や、クラスの行く末に関わるような選択をしてくれる人へのすがりなどが含まれていた。もちろん、天才でも無い普通の人間である帝人も同じ思いだ。

 

「紀田君がさ、なんでその提案をしたのか聞いても良いかな?」

 

「DとBって今のところ直接争うことなんて無いじゃん?だからお互いが上に登れるように協力とかしたいなーってクラスで決まったからさ。だから代表でイケてるメンツであるこの紀田正臣が来たってことよ」

 

この提案に対して、神崎や頭の回る浜口などは良い案だと考えていたが、決定権はリーダーである一之瀬にあるということで、何も言わずに黙っていることにしていた。

 

「う〜ん、今すぐには答えられないかな。私の意見だけじゃ決めることは出来ないから。だから、放課後まで返事を待ってくれないかな?」

 

これが、学校のシステムが発表されて、少し経ってからだったのなら一之瀬も少し考えて了承しただろう。しかし、今日いきなり敵だと言われて、すぐに同盟を組みに来ることには流石の一之瀬も警戒はするというものだ。

 

「じっくりと考えて良い返事を返してくれれば、全然オーケーだから。んじゃ、ナイスバディの一之瀬ちゃんの返事待ってるよー」

 

微妙に反感に買いそうなことを言ってから、正臣は去っていた。一之瀬からの反応は苦笑いが返されていた。

 

「えーと、まずみんなに聞きたいんだけど、あの紀田正臣君と知り合いの人は居ないかな?」

 

正臣は美女をチェックをするという意味を込めて、一之瀬のことを名前だけは帝人から聞いていたが、一之瀬からすれば、初対面の人間である。放課後までに答えを出さなければならないので、正臣のことをクラスメイトに聞いておくことにした。

ほとんどの人物が首を傾げていく中、柴田や正臣の帝人に向けていた視線を気づいた人達の早く手を挙げろよみたいな目線に負けて、クラスメイトが全員がいるこの場で帝人は手を挙げることにした。

 

「竜ヶ峰君。紀田君のこと知ってるんだね?良かったら教えてくれないかな」

 

「うん。紀田君とは小学校まで一緒で、中学からは引っ越しちゃった幼馴染です。ギャグは面白く無いし、チャラチャラしてるけど、根は優しいし、人を騙すようなことはしないから、同盟は組んでもいいかなと僕は思ってるよ」

 

「うんうん。教えてくれてありがとう竜ヶ峰君」

 

それで、一之瀬は充分良く分かったようで、この話は終わらせて、別の話へとシフトした。

 

 

そして放課後になり、同盟の件を了承してくるねと言った一之瀬はDクラスへと向かった。

Dクラスの中は、どうやら対策会議の様なものをしていたようで、ほとんどのクラスメイトが椅子に座った状態で、しかも黒板にはこれからの対策みたいものが堂々と書いてあった。それを見た一之瀬は反射的に両手で目を覆った。

 

「え、ええと。紀田君今は忙しいみたいだから、また後でお邪魔することにするよ」

 

そう言った一之瀬は目を隠しながら、後退りでDクラスの教室から出て行こうとしたが、それを正臣に止められた。

 

「ちょ、待てよ。全然黒板のやつなんて見ても問題ねぇから。てか、可愛い一之瀬ちゃんには逆に喜んで見せちゃうよ」

 

「そ、そんなこと駄目だよ紀田君。私なんかに見せちゃ」

 

本当に大丈夫なんだけどなーとか正臣が言いながら、このやりとりがもう少し続いた後、ついに仲介の名人こと平田が仲介に入った。

 

「えーと、とりあえず一之瀬さんの同盟の件の答えを聞かせてもらってもいいかな?見るにしても見ないにしても味方かどうか分かった方が良いからさ」

 

それならということで、正臣も一之瀬も納得すると、ついに一之瀬から同盟の件の答えが聞かされることとなった。

 

「うん。私たちBクラスはDクラスからの同盟を受け入れることにしました。よろしくお願いします」

 

そこからは味方だからということで、黒板に書いてあった中間テストに向けた勉強会の予定を見せたり、それに関連して一之瀬から合同の勉強会の提案がされDクラスが了承した辺りで、また後日打ち合わせをするとして、今日のところは一之瀬は帰った。

こうして円満な形でDクラスとBクラスとの間で同盟は結ばれた。

 

 

★ ★ ★

 

 

DクラスとBクラスの間で同盟が結ばれてから、一週間と少しが経った頃。この日カラオケルームのある一室には、龍園とCクラスの中では、所謂龍園の部下と認識されている人物達が集合していた。

 

「今日呼んだのは他でもねぇ。テストの過去問を上の連中に聞き回っていたら、妙な奴の名前が多く出たらしいからな。そいつへの接触の場だ」

 

「へぇー、あんたにしてはこんなにも人数を集めて何事かと思ったら、先輩にビビったからってこと」

 

伊吹の言う通り、この場には腕っ節の強いアルベルトと石崎に加えて、参謀役である金田に幽までいる。総勢6人という一人の人間と会うにしては少々多い人数だ。

 

「ククク、そいつは学校の中で、ヤバい奴らしいからな。念には念をというだけだ。金田ここにいる全員に詳しく説明してやれ」

 

石崎から、先輩達に過去問のこととか、これから起きることなんかを聞き回っていると、必ずそいつに聞いた方が早いとと全員が口を揃えた名前と、前置きがあってから金田からの説明が始まった。

 

「その先輩の名前は折原臨也(おりはらいざや)で通称情報屋。2年Bクラスの生徒ですね。何でもポイントか別の情報を渡せばなんでも情報を売ってくれる文字通りの情報屋らしいです。ですが、非常に癖のある性格らしく、この場の話を通しに行った時も、教室で一人でいました。それになんでも平和島静雄(へいわじましずお)という人物とはよく喧嘩しているらしいです」

 

最後の説明から、この場にいる人の視線が一斉に幽の方に向いていた。

 

「確かに僕の兄さんの名前は平和島静雄で、この学校に入学はしている。だけど、その折原って人は知らないよ」

 

「まぁ期待はしてねぇ、どうせ直ぐにそいつが来るだろうしな」

 

その後龍園の期待通り、3分ぐらい経って部屋の扉が開けられた。入って来た人物は一眼見れば誰もが端正な見た目をしており、とてもヤバい奴と呼ばれるような人物には見えなかった。

 

「やぁ、一年Cクラス諸君。お招き感謝するよ。それで何について今日は話すつもりなのかな龍園翔くん」

 

「ククク、流石情報屋といったところか。俺の名前を知ってやがるとはな。まぁ座れよ取引といこうじゃねぇか」

 

龍園と臨也どちらに関しても、不敵な笑みを崩さない。そしてその笑みはどちらもが相手のことを格下だと思い合っているようだった。

 

「やっぱり情報通り面白いね君は。直接見た甲斐があったよ。この際君が先輩に敬意を払わないなんて些細なことは気にしないでおこう。だってそれが、君の個性な訳なんだしね。それに、周りの子達も面白いね。俺を見てからビビっているけど、それを頑張って面に出さないようにしているそっちの彼女とか、無表情過ぎて気持ち悪いけど、中々肝が据わっている彼とか。実に人間味が溢れていて素晴らしいよね。もちろん他の彼らも魅力だとは思うよ。ああ、話が逸れちゃったね。取引の話だったよね」

 

この時点で、何人が臨也を普通のイケメンだと思えるだろうか。いや、思える人間なんて一握りだ。そして、ここにいる全員はその一握りでは無かった。普通では無い、そんな感情が心の中を支配していた。

 

「ハッ、ヤバい奴とは聞いていたが、ここまでイカれた奴とは思わなかったぜ。まぁ良い情報さえ提供してくれるならそんなことは気にしねぇがな」

 

「そう言ってくれると助かるよ。その方が取引がしやすいからね。それで、どんな情報がお望みだい?」

 

「ククク、そうだな。期末後か、もしくは夏休みにあるポイントが変動する試験についての詳細だな」

 

それは暗にお前にこれほどの情報が用意出来るのか?という龍園の問いにならなかった。そして用意出来なければお前を二度と使うことなど無いともとれる笑みを浮かべて。

 

「そこまで調べているなんてね。てっきりテストの過去問を欲しがっているかと思っていたよ」

 

「そんな物はもう手に入っている。YESかNOの2択だ。さっさと答えて貰おうか」

 

「もちろん用意出来るだとも。俺を侮らないで欲しいね。これでも、一応情報屋と名乗っているからね」

 

不敵に笑う二人。龍園からは一年ほぼ全員の大まかなプロフィールを、臨也からは試験の名前を二つ口に出した。そしてこの取引は完了した。

 

カップル同士などの描写の深さについて

  • 仄めかしもやめてほしい
  • 仄めかす程度ならば問題なし
  • 軽い描写なら良し
  • 多少深くてもok
  • ギリギリまで攻めてよし
  • どれでも気にしない
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