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正臣が茶柱先生からトラブルの種だと暗に示され、聞いたその日の内に正臣は須藤に連絡したのだが、須藤は正臣からの聞き取りや軽い揺さぶりに対して、少し慌てた様子を普通で装いながら電話をしていた。正臣は疑問には感じたものの詰めすぎるのもよくないと考え追求することはしなかった。
そして、次の日。朝のHRの時間に、茶柱先生からポイント支給が遅れている原因について説明がなされた。曰く、先日須藤が実習棟にて、Cクラスの生徒三人に対して、暴行を行ったということだった。普通ならば早く終わるこの事件も須藤とCクラスの生徒との間で証言が食い違っているので、ここまでの大事になっていた。
そして、このまま証拠も無く、目撃者が居ない状況で火曜日に須藤の審判が下されることまで説明すると茶柱先生は教室を後にした。
「ねえ皆。少し私の話を聞いてもらってもいいかな?確かに先生の言うとように須藤くんは喧嘩したかも知れない。でもね、須藤くんは巻き込まれただけなの」
「巻き込まれたって、櫛田ちゃんは須藤の言ったこと信じるわけ」
「改めて聞くね。もしこのクラスに、友達に、先輩たちの中に見たって人がいたら教えてほしいの。いつでも連絡下さい。よろしくお願いします」
須藤の喧嘩を売られて正当防衛だという悪びれもしない意見に対して櫛田が協力示すと、初めは難色を示していたクラスメイトだったが、Dクラスのカースト上位の平田と軽井沢、美香が賛成したことで、Dクラスの空気感は一気に賛成に傾いた。しかし、Dクラスの実質的なリーダーである正臣は本人も自覚するほどの難しい顔をしていた。リーダーである彼の意見を聞きたがっていた生徒達からすると、その表情に不安になり、聞くことを憚らていたのだが、ここで松下が一石を投じるかの如く声をあげた。
「ねぇ、リーダーの紀田君は須藤君についてどう思ってるの?」
教室の声が一気に小さくなった。誰もが気になっていることを声に出したからだろう。正臣は自分に何か意見が求められることが分かっていたのか、ゆっくりと立ち上がった。その姿はDクラスの人間ならば、多少の見覚えがあるお調子者の様子が鳴りを潜めたシリアスな正臣の姿だった。
「須藤聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「な、なんだよ」
須藤は誰にも言っていないが、時々正臣に対してビビっていた。それは1度正臣に殴られて上下差をわからされたからであり、嫌ってはいないが素直に言うことを聞くことなどを嫌がっていた。だから、弱みを見せぬように電話では誤魔化したり、今でも正臣の方を出来る限り見ないようにしていた。
「相手の方が悪いと思ってるのか?」
その発言に対する反応を見せたのは、この時間ずっと教室内を観察していた堀北だった。しかし、反応と言ったも正臣を何秒か見つめただけだが、確かに反応を見せたのだ。
「そらそうだろ!あいつらが呼び出して喧嘩を先に売って来やがったんだから」
正臣は顔を少し歪めると、ゆっくりゆっくりと須藤の元へと近づいて行き、その胸ぐらを軽く掴んだ。
「どっちが仕掛けようが、どれだけ納得出来なくても、お前がやったことには変わりはない。お前が喧嘩を買わなきゃこんなことにはならなかった。自分が出した被害を自分で考えろ」
今の正臣には気迫があった。分かる人間には分かってしまう、自分も同じような経験をした上での気迫だった。その結果、教室が一気に静まり返りそれぞれの人が自分の人生を振り返るほどだった。須藤も何か思うことがあったのだろう、正臣を振りほどくと荷物を持って教室を出て行ってしまった。周りの人間から見て、少なくとも怒ったりキレたりしていないことだけは確かだった。
「須藤くん待って!」
櫛田が急に出て行ってしまった須藤を追うようにして教室から出て行き、その後の教室の空気は止まったままであった。クラスの人間は櫛田の善意だけを明確に感じ、後の感情を整理出来ていなかった。
♦ ♦ ♦
HRの時間の終わりのチャイムが鳴りながらも櫛田が須藤を追っている中、そこそこのスピードで走ってる櫛田の目の前にいきなり人影が現われた。
「きゃ!」
「わっ!!」
まるでお手本のようにぶつかった二人はそのまま倒れ込んでしまった。幸いもう一人の方が小柄な男の子だったこともあり、特に二人とも大怪我することは無かった。
「ごめんなさい!怪我とか無いですか?」
「ううん、こっちこそごめんね。私が走っていたのが悪いの」
本気で焦って心配している温和そうな少年はBクラスの竜ヶ峰帝人だった。櫛田は彼が正臣の友人である帝人だということに気づくと須藤を追うこと止め、帝人とコミュニケーションを取ることに決めた。
「えっと、紀田くんの幼馴染みの竜ヶ峰くんだよね?」
「はい!ええっと、櫛田さんだよね?」
「うん。それで竜ヶ峰くんに聞きたいことがあるんだけど、空いてる日ってないかな?」
帝人は今、心臓がドギマギしていた。ほとんど接点の無い学年の中でもトップクラスの外見と内面を持つ櫛田桔梗にお誘いを受けたのだ。これで緊張しない男など居ないし、普通の少年である帝人に受けない選択肢など無かった。
「ええっと、明後日の放課後は遊ぶ予定だから、それ以外はいつでも大丈夫です!」
帝人のついついの敬語に対して笑顔を向けながらも、櫛田は話を続けていく。
「分かった!じゃあ、明日の夜に竜ヶ峰くんの部屋にお邪魔しても大丈夫かな?」
「ええー!う、うん。大丈夫だよ」
少しの上目遣いを使いながら、部屋への許可を取ってくる櫛田に驚きながらも帝人は許可するのだった。
帝人は勘違いしている。櫛田は何も善意や帝人に興味があるから、部屋を訪ねようとしている訳では無いことに。
櫛田は気づいていない。帝人は見た目通りの下心がほとんど無い純朴で無害な人物では無く、心に他人には理解出来ない大きな欲望を飼っているということに。
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須藤はまたポイントが減ることで迷惑をかけることを嫌ってか一時間目が始まる時間にちょうど帰って来た。一足先に帰って来ていた櫛田が見る限り、須藤の様子は出で行った前と変わっていなくて,何をしてきたのかという純粋な疑問が浮かんでいた。
そして、放課後になると、須藤は黒板の前まで進んで行くと、大きく頭を下げた。
「すまなかった!殴っちまって迷惑をかけたのは俺だ。本当すまねぇ。でも、頼む。俺の無罪のために協力してくれねぇか?」
教室中が唖然とした。朝まで自分は悪く無いと言っていた人間が真逆のことを言っているのだ。一旦何があったのか、それが教室全員の思うところだった。
「俺は紀田に対して何も言い返せ無かった。多分、頭のどっかで俺も悪いって分かってんだ。それで、頭冷やしたくなって出て行ったら、中庭で変な先輩にも悩み聞いてもらって、吹っ切れた。紀田、許してくれ」
須藤の成長、変化。それを目の当たりにしたクラスメイトの反応はさまざまだった。まだ須藤のことを疑っている者、今の状況に一安心している者、須藤の変化を素直に喜んでいる者、だが、総じて騒がしかったことに変わり無かった。また須藤に近づいて行く正臣。誰もがその雰囲気に口を閉じていき、また何かが起こるのかという空気感になっていた。
「ふぅー、須藤!分かってくれればいいんだよ~。いやぁー、マジで、次からは人のこと殴る時はしっかり場所選べよな。俺の天使のような説得が聞いちゃったのかな?んまぁ、またその先輩にもお礼言いに行こうぜ」
明るく早口でしゃべる正臣の台詞には負の感情など一切見えなかった。その効果や頭を下げた須藤のお願いにより、須藤の無罪証明に対してDクラスが一丸となって取り組めるようにはなった。
♦ ♦ ♦
Dクラスが暴力事件捜査を開始してから一日後、そこそこの捜査をしながらも全く情報が得られずに迎えた夜。櫛田は約束通り、帝人の部屋を訪ねていた。櫛田も長居する気は無く、そこそこで帰るつもりだったので携帯だけしか持って来ていなかった。
「えっと、ただのお茶だけど」
「ううん、ありがとう!」
帝人が持ってきたお茶を飲み、櫛田は世間話や雑談を交えながら会話を進めることにする。その内容は本題に触れずとも濃い内容で弾んだ会話だったため、帝人からの櫛田への印象は良くなっていた。この場の空気が暖まったと感じた櫛田は本題に入ることにした。
何故櫛田がわざわざ知り合いですらなかった帝人の部屋に訪ねたかと言えば、Dクラスのリーダーである紀田正臣の弱みや秘密握っておきたいと考えたからだ。櫛田からしてみれば全員の秘密を聞いておきたい。しかし、紀田、平田や一之瀬などの人間は自分から人に秘密を話すことことはほとんどしない
そして、紀田が怒ると怖いことも分かっていた。だからこそ、弱みや秘密を知ってそうな幼馴染みで人のよさそうなから聞きだそうと帝人とのコミュニケーションを図ることにしたのだ。
その上で、会話の内容から紀田のことが好きだと周りの人に悟らせないように帝人との関係を噂されるリスクを抱えるのも承知で帝人の部屋に来ていた。
「それじゃあ、紀田君とは中学は同じゃないんだね」
「うん。僕も外見が変わっていてびっくりしたよ。でも、中身は変わっていなかったよ」
「そうなんだねー。二人の仲のやりとりが目に浮かぶよー」
その後も櫛田が巧みに途中、途中、紀田の話題を挟みながら会話をしていると、帝人がふと会話を止めて自身の顎に手を考えると、真顔で櫛田のことを見つめた。
「櫛田さんは紀田くんのことを知りたいんだよね?」
「え?うん、同じクラスだし、知っておきたいとは思ってるよ?どうしてそんなことを聞くの?」
「どうして正直に聞かないの櫛田さん。櫛田さんの話題の提供の仕方からすると、知りたいのは紀田くんの秘密だよね?櫛田さんはみんなからよく相談される人みたいだし、人の秘密を知ろうとするのは否定しないし信頼されている証拠だと思う。でも、僕にそんなことを聞くのは紀田くんに対して失礼だと思うし、櫛田さんは狡いと思うよ」
言い切った帝人の言葉に対して、言った本人も言われた櫛田も呆気に取られたように言葉が出なかった。そして、自身が今言った言葉は流石に言い過ぎだと、ハッと気づいた帝人はその後の言葉が続かなくなっていた。
「あ、えと」
中々のことを言われたのに、今の櫛田の表情の微笑ましいものだったが、内心は何故帝人に対して自分の本性がバレかけているのかが、気になって仕方がなかった。櫛田桔梗という人間を本当の意味で知っている堀北や綾小路からバレたのかと勘ぐったりもしたが、帝人の話し方的にそれは無いと確信し、これが帝人の洞察力のだと結論付けると、櫛田は帝人にバレた悔しさとその能力と平気な顔してこのことを言えることへの恐怖を心に味わった。
そして、彼を利用すれば堀北を退学させる可能性が高くなるのではと思いつき、櫛田はこのまま親交を続けることを決意する。
「うん、竜ヶ峰くんが言ったように、人から秘密を聞くのは好きだよ?でも、ただ聞くのが好きなだけなんだ。確かに言うように狡いよね。これからは竜ヶ峰にしたみたいことはしないよ」
櫛田桔梗の全てを知られる前に、櫛田は秘密が好きな女子と自分をすることで、それが全てだと思わせた。対して、基本、純朴な帝人はそれを信じると、特に何も言うことは無かった。
「こんな私でもよければ、これからもよろしくね」
「う、うん?よろしくお願いします」
櫛田は気をつけなければならない。自身が駒にしようとしていても、いつの間にか自分の方が駒にされるかもしれない可能性を。
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「兄さん。最近機嫌か良さそうだね」
「ん、ああ。よくわかんねぇ後輩の悩み聞いちまってから、懐かれたんだよ」
人に懐かれた経験などほぼ無いこの男。平和島静雄は少し嬉しそうに弟に対して近況を話すのだった。
デュラララのキャラの過去は年齢変更などによる矛盾を無くすように若干変わっています。大きな違いはありませんが。
なので、美香の顔も整形前です。
カップル同士などの描写の深さについて
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仄めかしもやめてほしい
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仄めかす程度ならば問題なし
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軽い描写なら良し
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多少深くてもok
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ギリギリまで攻めてよし
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どれでも気にしない