ゴールドシップの理想の三角関係 作:カランコエ(Kalanchoe)
毎年恒例となっている合宿場近くのお祭りに担当ウマ娘の二人、メジロマックイーンとゴールドシップを連れてやって来た。
が…
「よくみんな夏祭りではしゃげるよなぁ…俺なんか外に出てるだけでグッタリしてるのに…」
うだるような暑さに
周囲には俺達と同じように担当ウマ娘を連れてお祭りに来ている顔見知りもそれなりに居る。俺と違って、彼らの大部分は担当と一緒にはしゃいでいる。
「トレーナーさんは暑いの苦手ですものね。無理はなさらないでくださいね?」
右腕に抱き付いている青い浴衣を着たマックイーンが答える。
「とりあえず、かき氷でも食うか?かき氷って、みぞれ味があるのに雪味と雨味が無いのはエコ
左腕に抱き付いている赤い浴衣を着た髪を下ろしているゴルシが、かき氷と書かれた
………二人とも離れるという選択肢は無いらしい。
両腕に美少女二人を
「……そうだな。かき氷でも頂こうか。」
この二人なら離れてはくれないだろうとは思っていたので、ゴルシの提案通り、かき氷で涼を取ることにする。
「分かりましたわ。」
「オッケー。」
二人を両腕に引っ付けたまま歩き始める。
トレーナーと担当ウマ娘の恋愛はタブーとされていて、トレセン学園関係者も多数居る中、こんなに担当ウマ娘と堂々とベタベタしながら歩く人間は当然ほとんどいない。
当然、めちゃくちゃ目立っているが、俺とマックイーンが結婚を前提にお付き合いしていることは周知の事実なので
……咎められはしないけど、ほぼ全員がゴルシを見て困惑している。髪を下ろしていて、しおらしくしているからかゴルシとは全く認識されていないようで『メジロマックイーンさんの反対側に居るあの葦毛の美人は誰?』とか『二股?愛人?それとも隠し子とか?』みたいな声が聞こえる。
「なぁ、トレーナー、かき氷食ったら射的やろうぜ。」
「トレーナーさん、射的の次はヨーヨー釣りに行きませんか?」
二人共聞こえているはずなのに、まるで気にする様子も無いので、俺も気にしないことにした。
「なあ、トレーナー。マックイーン。この後、アタシおすすめの花火スポットに行かねーか?」
ひとしきり夏祭りを堪能したところで切り出す。
声が震えている。
こんなに緊張するなんて『ゴールドシップ』様らしくねぇな。
「まぁ!『渡りに船』とは、このことですね!早速行きましょう!」
今のハイテンションのマックイーンは何も思わなかったようだが、トレーナーは怪訝な顔でアタシを見ている。トレーナーはしばらくアタシを眺めた後、諦めたような笑顔を浮かべる。
「……まぁいいか。じゃあ、そのおすすめスポットに案内してくれないか?」
トレーナーが疲れた声でそう言う。
……見透かされてそうで、なんか
先程ロビーで受け取ったカードキーで鍵を開け、部屋へと踏み込む。
「ゴルシ…いつの間にホテルなんか予約してたんだ…」
「夏合宿の予定が発表された日には予約してたな。去年と同じ場所だから、前々から下調べはしてたけどな。」
「……そうか。」
彼らしく簡素な返事だが、熱のこもった声だ。
アタシ達のトレーナーとして、大人として、男として言いたいことがあるだろう。なのに、アタシ達と同じ目線に立って目一杯楽しもうとしてくれてる。そういう所も好きなんだぜ?
「素敵なお部屋ですね。ここからなら
「だろだろ!他にも幾つか候補はあったんだけどさ、トレーナーは人混み苦手だし、マックイーンは花火がしっかり見れる場所の方が好きそうだなって思ったからさ!」
念入りに下調べした甲斐があったってもんだ。
ホテル以外にも幾つか候補はあったけど、アタシの目的から考えて、ここ以上の場所は他に無かった。
「俺、人混みが苦手だってお前に言ったことないと思うんだが…」
「学園内でも人混み避けるためだけに遠回りしたりするじゃねーか。今日もお祭り中は居心地悪そうだったしさ。」
トレーナーが苦笑してる。
アンタ、いつも言葉に詰まるとそうやって笑うよな?
……。
「花火が上がるまで、もうしばらく時間がありますし、見晴らしも良いことですし、星空を見ながら語らいませんか?」
アタシ達二人の会話が続かないことを察したマックイーンが、穏やかな声で喋りだす。
「乙女座とか天秤座とかが見えるかもな。」
テキトーに乗っておく。ここで難色を示しても良いことないし、時間を潰すにはちょうどいいしな。
「じゃあ、電気消すかな。」
そう言ってトレーナーは、立ち上がろうとしていたアタシを押し留め、立ち上がって照明を消しに行った。
「……ありがとな、二人共。」
ボソッとトレーナーが呟いた。
黒い夜空が明るくなった後、ドーンと重い音が響き、パチパチパチと断続的な音が続く。
「始まったな。」
「キレイですね。」
「……。」
さて、作戦開始だ。
トレーナーの右隣、手を伸ばせば余裕を持って届く距離。位置取りは悪くない。
後は仕掛けるタイミングを見計らうだけだ。
トレーナーとマックイーンを見つめる。
よしよし。視線は花火に釘付けだな。
トレーナーとの間合いを詰め、ここで……
……伸ばしかけていた手が止まる。
トレーナーとマックイーンが示し合わせたかのように向かい合う。
フッとお互いに微笑んで、二つの影が重なる。
……本当にお似合いの二人だ。
手を下ろそうとして………
………手を掴まれる。
いつの間にか
「ゴルシ、今日はありがとな。」
「ありがとうございます、ゴールドシップ。」
トレーナーの左手が右頬に添えられ、顔が近づいてくる。
咄嗟に目を瞑ると、すぐに唇に暖かい感触がやってきた。
唇を重ねるだけの優しいキスだ。
しばらくして彼の方から離れていく。
心臓は早鐘を打っていて、体の奥底からは熱が沸き上がってくる。
「次は私の番ですね。」
息つく暇もなく、マックイーンに両頬を手で挟まれ、口を塞がれる。
完全に予想外の展開にボーッとしていると、強引に口の中に舌が侵入してきた。
逃げようにも顔をしっかりと固定されており、身をよじることすら出来ない。
歯茎を丹念に舌でつつかれ、ほんの少しだけ顎の力が抜け、歯の間に隙間が出来るや否や、強引に舌がねじ込まれた。
マックイーンの舌を噛む訳にもいかないけど、こういう時どうすればいいのかも分からず、されるがままに口内を蹂躙される。
マックイーンが離れ、銀色の橋が架かる。
彼女は頬を上気させ、濡れた瞳で妖しく微笑む。
一方で、アタシは脱力しきっていた。体が
「トレーナーさん?」
「了解。」
振り向くこともせずにマックイーンがトレーナーを呼び、呼ばれたトレーナーがアタシを横抱きにする。
あぁ…くそっ…本当によくお似合いだ…
"一心同体"とはよく言ったもんだぜ…
まるで割れ物かのように優しくベッドへと寝かされる。
トレーナーがアタシの浴衣に手をかけ……動きを止める。
「本当にいいんだな?」
「……わざわざ言わせんなよ。」
ウマ娘の
……アンタのことだから、分かった上で確認してるのは知ってるけどさ。
アタシの遠回しなセリフを聞いて、彼は返事代わりにチュッと