出撃!第一部隊の隊長さん!!   作:夕陽に影落ち

2 / 5
前回の、あらすじ~

主人公→以下主
「無茶振り任務の榊博士ぇ」

アリサ→以下ア
「最近、リーダーばっかり無茶し過ぎです…」

榊博士支部長→以下サ支
「最近色々頼みすぎてたからお休みあげるね☆」





出張前に打つ手

支部長から呼び出された帰り、俺は神機格納庫に足を運んでいた。

 

「やーや整備員諸君、今日も俺らの生命線の整備お疲れさん。リッカ君はいるかね~?」

「まーた変な口調で……いやなんでもないす。リッカちゃんあっちで見ました。はい」

「ありがとよ、ほい」

 

ぺほ、と男性整備員の胸ポケットに、低ランクではあるが嗜好品配給のチケットをいれてやる。飴か香辛料のキツイ干し肉(名称はストレートジャーキー)くらいしか貰えないけど、それでも貴重なチケット。こんな高価なのを…と苦笑いされながら見送られた。

 

いいんだよべつに。無茶振り任務も報酬は良いから大盤振る舞いできるぞ。べつに俺贅沢とかほとんどしないから、配給チケットが余るんだよね。下手したら10枚単位で換金する。

っとここらへんかなー?

 

「よー、リっちゃん。やってるー?」

「あっコウくんもう来たんだ。また出撃命令が出たの? まだ神機の整備終わってないよ?」

 

だろうな、と返しながら談笑する。

 

楠リッカ。

神機の整備員をまとめるこの部署のリーダー。

懐が深いというか、性格がザックリしてるというか、良い意味でいい性格をしている好人物。

 

彼女自身はアーク計画に乗らず地球に残った側だが、アーク計画に賛同して地球を見捨てた人間に対しても「家族を、大切な人を守る決断をした人の何が悪い」とバッサリ斬り捨てる気持ちのいい性格をしている。

 

かく言う俺も、彼女の人柄には助けて貰うことが多い。

そんなカリスマ性を持つ彼女だからこそ、ゴッドイーターの基盤を支える整備士のリーダーをやれているんだろう。

 

「今日はちょっと、リッカに相談があってな」

「私に、って言うのは珍しいね。神機のこと?」

「いや、実はな……」

 

リッカに、支部長から呼び出されてしばらくは他の支部に出張することになったと説明をする。

その間に技術者でもあり、支部長としての立場もあることでやることが広がった榊博士が何をやるか、それとなく探って欲しいとお願いもする。

 

「あの人なら、やりかねないか……」

「すまんなリッカ。何かしらをする気ならお前にも話は行くだろうし、できればでいい。とんでもないことをやるつもりだったら止めてくれ」

「……ま、できる範囲で頑張るよ」

「頼んだ。見返りは用意しとく」

 

お互いにクスクスと笑い合う。

……ふと思い出したが、結構前に俺が提案したアレの進捗はどうなんだろうか、と気になる。

 

「あっ、そうだった。ねぇコウくん、この前話してたアレ……試作品だけど完成したよ!」

「おおー! 出来たか! 効果の検証は……試作品だからまだか」

「うん、だからこれは個人的なお願いだけど……」

「いーよ、やる。試す相手はオウガテイルでいいよな?」

「ありがとう! これで、少しは対応できるようになれるかな……」

 

少しだけ俯いて、震える手で胸元を押さえるリッカ。

あれは、そう。神機格納庫にヴァジュラテイルが侵入したときの事だ。あの時リッカは、俺がリンドウさんの神機を使ってヴァジュラテイルを倒さなければ、アラガミに食われて死んでいてもおかしくなかった。

だが、そんな経験をした彼女だからこそ、この提案に乗ってくれたんだろう、と勝手で悪いが思っている。

 

「そうなるために、この装備を開発したんだろ?」

「うん」

 

顔を上げた彼女の顔は、芯の通った戦う者の顔をしていた。

 

「神機じゃない、対アラガミ用の対抗兵装……これが完成すれば、私たちでも小型種の足止めくらいならできるようになるはず」

 

そう言って、棺のような形をした神機の保管装置に手を掛ける。

ガシュン、という音と共に保管装置のロックが外れ、中からいくつかの円筒形の装置と神機のショートブレードパーツ程のサイズの剣、側面にオレンジのラインが通った輪っかが出てきた。

 

「特殊オラクル武装、仮称【バインドスティンガー】!」

 

スティンガー……刺し傷、剣の英訳か。

……かっこよ。もうそれが正式名称でいいじゃん。

 

「と、もう一つ。バインドスティンガーの失敗作から出来た、使い捨て前提の小型板【バインドチャクラム】」

 

側面にオレンジのラインが描かれて…違う、これは……

 

「中に入ってるのか」

「ご名答、その通りだよ。当たらなかったら回収して使い回せるけど、当たればそこから吸着して、注入されるようにしてみたんだ。弱いけどホーミング機能も付けてるから、そうそう外れないと思うけどね」

 

そう、リッカに開発を頼んでいたのは神機の使えない整備士や警備員などが使用することを前提とした、対アラガミ用の補助武装の開発。

 

「スティンガー型の武器はカートリッジ式にして繰り返し使えるようにしたよ。この円筒形のカートリッジに、ホールドトラップのオラクル配列を弄って安定性を犠牲に拘束力だけを求めたオラクルを使うって聞いた時はびっくりしたけど」

「代わりに刀身部分で制御機構を組み立てるのはなかなか良い案だったろ?」

「まぁ、苦労はしたけど、結果的に出来ちゃったし」

 

剣柄と刀身との間には、カートリッジを嵌めるための穴がぽっかりと空いている。峰から刃の部分にかけてまで差し込めるような穴が。

強度が心配だがこれはこれでいい。極論、これに強度なんて必要ないからな。

 

「いいね。最高」

 

互いに拳をつくり、打ち付け合う。

 

「それにしても、最初に聞いた時は驚いたなぁ」

 

腕を組んで胸元の二つの果実を支えるように持ち上げる彼女。何故と聞けば速攻で答えが帰ってきた。いやぁ、意外とリッカさんもご立派なモノをお持ちで……

 

リッカさん曰く、普通のゴッドイーターなら、アラガミを倒すための自分の神機の強化、補強パーツ、強化パーツなど、究極的に言えば自分を強くするための依頼をリッカに注文してくるもの、とのこと。

 

俺のような補助武装やアイテムの開発を頼んできたゴッドイーターは、彼女が整備士になってからは初めてらしい。

 

「いや、確かに神機の強化は大事だろ。強くなればなるだけ生存率も、アラガミを倒せる可能性も高くなるし」

「それじゃ、なんで君はわざわざアイテムの開発を頼んできたの? 確かに君は強いけど、それは君が神機を強化し続けた結果だけ、ってこと?」

 

そういう訳じゃなくてだな……と言葉を続ける。

ゴッドイーターとしての実力があり、扱う神機が強ければ確かに生き残れる。だけど、それだけではないのだ。

 

「いつの任務だったかな……俺が下手打ってヴァジュラの雷撃に巻き込まれてさ、スタンを食らったんだ。その時にさ、一緒に任務に来てくれてたソーマとタツミさんがヴァジュラを倒してくれたんだよ。

 

俺に飛びかかろうとしてたヴァジュラを、タツミさんがスタングレネードで牽制してソーマがホールドトラップで拘束。そのあとすぐにチャージクラッシュの溜めに移って、その間にタツミさんはヴァジュラの後ろ足を斬り続けてて、ホールドが溶けた瞬間にダウンを取った。

 

で、そのあとはソーマがヴァジュラの顔面に結合崩壊を起こして、スタンが抜けた俺とタツミさんで仕留めた」

 

そこで思ったわけだ。アイテムの使い方次第で一方的に有利な状況を作り続けることができるなら、アラガミを足止めすることが可能なら、リッカが襲われたケースのようなことが起きても対処が可能ではないか、と。

 

「まぁ、そんなわけで、非戦闘員にもある程度対抗手段があればなってことでこんな物を作って貰ったわけだ」

「……本当に君は、お人好しだね」

「おう。ホールド効果を持つオラクル細胞ってことで、オラクル細胞を持っているやつなら大抵効果あるから、新人ゴッドイーターが技術局に生意気な態度取って来た場合の制圧にも使える。囲んでリンチしてツバキさんに突き出してやれw」

 

それは流石にかわいそう、とリッカは言うが、俺たちゴッドイーターの活動を支えてくれているのは、神機の整備や強化をやってくれている技術局だ。

それを疎かにする奴には手加減しなくていいと思う。

是非痛い目を見てくれ。

 

「それじゃあ、ヒバリちゃんに任務の発行は申請しておくから、準備が出来たら受理してね。満足行く結果を待ってるよ」

「おー」

 

さて、それじゃ俺は、俺の仕事をさせて貰いますかね、っと。

サクヤさんは部屋に……リンドウさんとお取込み中でしたら申し訳ないので後でメッセージ飛ばしとこう。

 

 

 

◇◇◇エントランス・ロビー◇◇◇

 

 

 

「ってことで! 今日はジーナさん来れないから、居住区の見回り、代理で入ってくれ!」

「いや何が「てことで!」なんですかタツミさん。俺は俺でやることもやりたいこともあるんですけど?」

「何だ、急ぎの用事か?」

「そんなことはないけど……」

「なら大丈夫だろ。なぁ、頼むよ……」

 

ロビーに出てくるなりいきなり引っ張られてそれはないだろう。自室に戻ってサクヤさん宛にメッセージ飛ばしてたら、もう神機の準備と試験任務の発注しといたよ、ってリッカちゃんからメッセ来たんだが?

 

「俺、これから仕事なんだけどなぁ……」

「悪いが御原。俺からも頼む、正直なところ人手が足りていないんだ。シュンのやつもあまりやる気がないし、そういう状態で戦っていれば、いつか余計なミスを生む。小さな失敗も多く積み重なれば無視できない歪みになる。何よりあいつは口が悪いからな……子供の多い居住区の見回りには向いていない」

 

ブレンダンは相変わらず慎重派か。

や、悪くはない。タイミング以外は。

臆病者と揶揄されることもあるが、慎重なのはいいことだ。何より、俺は堅実に事を進めていくブレンダンは好ましいと思っている。

 

「……幾つか、条件付きでいいならそっちも手伝う」

「おっし! ありがとうなコウ! 俺たちに出来ることなら、大抵のもんはこなしてやるさ!」

「協力に感謝する。御原」

 

ということで、新装備の実験d…んっん。検証のお手伝いさんをゲット。

居住区の住人には悪いが、アラガミが侵入してくれるとこっちの仕事も出来るからありがたいかな。

 

出ないなら出ないで外に狩りに行くが。

 

 

 

 




主「タツちゃんタツちゃん。新装備あげりゅ(^∇^)」

大森タツミ→以下タ
「お、どしたどした」

ブレンダン→以下ブレ
「新しい装備か。俺も少し興味があるな」


主「(実験台は多いほどいいよね……(((´^ω^)」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。