しばらくご無沙汰いたしておりました。
ブレワイ楽しいけど収集癖のある自分は鞄の管理が……
ズン……ズン……と、結構な重量を持った足音が、身を隠している壁の向こう側から地面を通して響いてくる。
「いやー、出ちまったなぁ大型種」
「フフ、いかに華麗なる僕とはいえ、ヴァジュラ相手では単身突撃などしないさ。だから地味に壁の外へ押し出そうとするのやめてくれないかな押すなやめろあっ待って足出てる足出てるから!」
「エリック囮してこいほら。大抵の戦闘には恐怖心なんて抱かないんだろ」
「無謀だ。やめてやれ御原」
こちら防衛班。
内側の壁と居住区の見回りが終わったので外壁まわりの点検を行っておりますっと。アラガミ防護壁の外壁はアラガミの接触が多くてとても劣化しやすいから、アラガミが食い破る前に修復する作業を繰り返さないといけない。
で、その修復場所に来たは良いが……
ヴ ァ ジ ュ ラ が 出 ま し た
うーん。よりによって強個体。
「やっぱ倒した方がいいか?」
「無理に倒すのは返って危険だと思うが………たしか、事前に確認した資料を見た限りここのアラガミ防護壁の近くは大きなヒビが入っていたはずなんだ。修復履歴もまだ出ていなかった。相手は大型種、そして見る限り強個体だ。戦闘で崩れたりでもして中にあいつが入ってでもみろ、民間に相当な被害が出る」
そう言い切るブレンダン。
こういう時の情報の事前準備は流石の一言だ。
「けどよぉブレンダン、奴さんがここに居座られちゃ修復作業も出来ねぇんだぞ?討伐した方が良くないか?」
「僕もタツミに賛成だね。今は大丈夫でも、どうせいずれは壁を破壊しようとする。壊れかけているのなら、むしろ壁の破損が広がる前に華麗に倒してしまう方が良いじゃないか」
あ、そうだ。こういう時こそ…
「折角なら、新装備試してみればいいじゃん。チャクラムの投擲なら接近もしなくていいし、複数人の強化ホールドでどれだけ動きを封じられるか見とけば?」
「……分かった。それで行こう」
ふふふ……! 新装備に使われているのは、ホールドトラップの拘束性能を強化したオラクル!
つまり、動きを封じて一方的にボコれば勝てる!いかに強個体といえど延々とホールドかけ続けて殴り潰せば勝てるだろ。
そうと決まれば作戦会議だ。
「まず俺がチャージ捕食を準備、エリック、たしか爆発系のバレット持ってたはずだよな?」
「ああ、準備している」
「よし。それ使って一瞬でいいから目を潰して注意を引け。その隙に捕食する。そのあとの行動は遊撃と周囲警戒を。タツミさんとブレンダンは俺が食らいついたのを確認してチャクラムを投げてくれ。その後ブレンダンはチャージクラッシュの準備とタツミさんは前に出てヘイト管理。その間にリンクバーストで援護する」
「捕食を避けられたら?」
「タツミさんのスタングレネードでカバーをお願いします」
「「了解」」
さーて、大筋は決まった。それじゃあ……狩りますか!
ヴァジュラに動きなし。ガシャリガシャリと壁のすぐ傍の車を捕食している。あれか?お前も電気使うからってバッテリーとか電子回路とか機械製品食べてんのか?
チャージ、開始。
ーギギ、ギチギチギチ……ズジュル……
重い金属のような何かが粘着質の液体にまみれて擦れ合うような、不快で歪な音を立てながら、黒く生物的な神機の捕食形態が刀身の周りから生えていく。
神機捕食形態、一式の個人的魔改造版【八咬み大蛇】
ミズチの広範囲捕食と回避、強襲型の獄爪から発想を得た、追尾型の捕食形態。
7つの捕食口と一際大きい捕食口でガッツリオラクルを食う。
「(おいおいおーい、なんか前に見た時より更に禍々しくなってないか?)」
「(気のせいですよー(棒)リッカに頼んで改良はしてもらいましたけど)」
「(完全に原因それじゃねぇか!!)」
ドン引いているタツミさんを放置して、右隣にあるビルの陰で隠れているエリックにアイコンタクトをとる。
……せっかくリッカが頑張ってくれたのになぁ。
ーいつでもOK
ー了解、撃つ
数秒後、エリックのいる崩落したビルの隙間から青い閃光と炸裂音。そして音に反応し振り向いたヴァジュラの鼻先に虹色の爆発が起こった。
不意を突かれた動揺と爆発の衝撃で怒号を撒き散らしながら、完全にエリックのいるビルの方向へと意識を向ける。
その隙を待っていた!
「喰らいつけよッ!」
爆発的な勢いで7つの捕食口が伸び、それを追って大きな口が喰らい掛かる。命中。
と、同時に左右に飛んだブレンダンとタツミさんがバインドチャクラムを投げてヴァジュラにヒット。
予定通りホールド効果が発動し、ヴァジュラは行動不能。ブレンダンはチャージクラッシュのオラクルを蓄積して、タツミさんはヴァジュラの顔面に飛びかかる。
――食い終わった。
捕食口を引き戻して即座に銃形態へ換装。
弾種設定をヴァジュラから食い取ったアラガミバレットに変更。
「バースト行きます!」
【八咬み大蛇】で入手できるアラガミバレットは5つ。2人に2連射ずつ受け渡すことで二段階までバーストを引き上げる。余った1発はエリックに撃ってバースト状態にさせることでオラクル回復を補助。
俺はそのまま、銃形態で砲撃を続ける。
「うぅおおおおおお!!!」
――ガギッガガガッガガガッ! ギィン!
バーストの乗ったタツミさんの剣戟は凄まじい。
切りつけながら飛び上がるライジングエッジから、空中での三連撃を終えた直後、エアステップで滞空時間を伸ばしてまた三連撃。連撃の締めに滑空攻撃というお手本のような空中連撃で、地上に降りてからも着地の反動を溜めにして連撃の乱舞。絶える間もない連続攻撃をしながら、それでいてスタミナ管理も欠かさないからこの人は恐ろしい。
流石は防衛班の隊長。
「タツミ!下がれ!」
ブレンダンのチャージクラッシュも溜まりきった。
タツミさんがブレンダンとヴァジュラの直線上から飛び退いた瞬間、巨大な剣状に膨れ上がったオラクルのオーラが解放された。
咆哮と共に踏み込み、振り落とす。
「ハァァアアア!」
ヴァジュラの頭が地面に強制的に叩き落とされ、グチャグチャに潰れる。しかし極東基準のアラガミはこの程度で潰れることは無い。それでもなお、死なず。
割れた顔面とその下の肉が緩衝材の代わりになって、奥のコアを衝撃から守っているのだ。
普通なら即死のはずの重症を負いながら、ゆっくりとヴァジュラは体を持ち上げる。
「……ほんっと、嫌になるほどタフだねぇ」
「仕方がないさタツミ。ここは極東なんだから」
エリックとタツミさんは、他支部の援助に行ったことあるらしく、極東とそれ以外ではずいぶん違うという。だからどれだけ極東が……というか、極東のアラガミが異常か分かるらしい。
「戦闘音で耳のいいアラガミ共が寄ってくるのも嫌だし、サクッと仕留めるよ。ブレンダン!割った顔面削ぎ落とせ!」
「承知した!」
「援護する!……あれ今のフラグじゃね?」
タツミさんがスタングレネードの閃光で目を潰せば、すくい上げるような横薙ぎに振るったバスターブレードでブレンダンがヴァジュラの鼻から上を削ぎ落とす。
首の付け根、うなじの場所に青と金が混ざったヴァジュラのコアがわずかに露出する。
「獲った」
エリックの銃撃がコアごと首を抉り、
「オォラァッ!」
俺がヴァジュラの真上に跳び上がって捕食、コアを摘出する。
ヴァジュラ沈黙。討伐成功。
エリックの銃撃でコア割れたかと思ったけどヒビ1つ入ってなかった。小型ならまだしも、中型以上のアラガミは完全な状態のコアを摘出するのが難しく、下手に手を出すより壊す方が早くて確実。もし取り出すことが出来れば結構な高値で買い取って貰える。
これは出来高報酬も期待できるな。
「よし、終わったな」
「ああ、外壁修理のマーカーをつけて帰るぞ」
「よくあるフラグ回収って早いのが多いよな。耳のいいアラガミ……多分コンゴウ、とか......」
『防衛班の皆さん!聞こえますか!?緊急です!』
「はい来たぁ!」
急にどうしたタツミさん。コンゴウが何?来たの?
『第二接触禁忌種ハガンコンゴウを中心とした中規模の群れが接近中です!』
「まさかのタツミさん預言者説!?」
「いやフラグ立てたのコウだからな?」
フラグってなんだフラグって。
それより、敵の規模はどれほどだろうか。中規模の群れなら小型あわせて50体は超えないはずだ。その程度なら俺一人でも片付くし、ささっと終わらせよう。
「オペレーター、で、アラガミの種類と数は?」
『えっ?あっ、御原大尉いるんですね!なら一安心です!
えー、接触禁忌種はハガンコンゴウ一体のみ、大型種がヴァジュラ2体とサリエル、中型種はコンゴウが3体とその堕天種、シユウ2体です。
小型種を捕食しながら近付いて来ています。オウガテイルやザイゴートは逃げたものもいますが大半が食べられてますね。進路上のコクーンメイデンは言わずもがな全滅です。
あ、それとこの群れとは関係ないですが、クアドリガ堕天種が近くのエリアで発見されていますのでお気をつけて』
うっわ思ったより居た。
しかも小型がいない分身代わりの盾や障害物が少なくてちょっと厄介だな。
しかも近くにクアドリガの堕天種がいる、と。あいつデフォで硬くてタフだし嫌いなんだけどな……リーク状態になると面倒だし。
しかし、
「いやまぁ、1人で倒せるけども……」
「おっ、やる気かコウ?」
「ん、無理って範囲じゃないし」
「俺たちじゃ、まだあの数を相手にするのは無理だな……」
そう、難易度的には1人で倒せる範囲だ。詳しく聞くに強個体のアラガミはいないらしいし。
……そういえば任務受けるときにまだフリーのやつ残ってたような。ヴァジュラとハガンコンゴウのフリー任務が残ってたのは覚えてる。
「オペレーター、残ってるフリーランスのミッションにこいつら全部居ないか?できるなら受けときたい」
『マジですか。はい、ちょっと確認しますね……ああ、居ますね。
【破顔大笑】ハガンコンゴウ1体の討伐。
【双虎の乱】ヴァジュラ2体の討伐。
【空の覇者】サリエル1体とシユウ2体の討伐。
【大猿の宴】コンゴウ3体とその堕天種の討伐。
となっています。
…………ハガンコンゴウの発生はエイジス跡地、そこから愚者の空母にいたサリエルとシユウ、鉄塔の森で捕食活動中だったコンゴウ……最後は贖罪の街でヴァジュラと合流ですか。道中のアラガミを従えてまぁ……こちらに攻め入る気ありすぎでしょう』
仕方がないさ、それがアラガミなんだから。
しっかし、よくもまぁここまでゾロゾロと引き連れて来たものよ。
「それ全部受けるわ。ちょうどハガンコンゴウとヴァジュラの素材欲しかったんだよな。あとは小遣い稼ぎで」
『はい、承知しました。受注処理はこちらでやっておきますので』
「よろ」
「いやー、流石だねキミは。あの群れを単騎で狩る気とは……」
「おっ、よかったらエリックもやるか?」
「お断りしておくよ。僕まだ死にたくない」
「ハガンコンゴウだけでも殺らない?」
「接触禁忌種を第1世代の僕にぶつけてこないでくれる?殺す気かな?」
その程度じゃ死なねぇクセに。お前には最低でも大型種相手に生身で逃げ切れる程度は仕込んだわ。
ーガラガラガラ……ガシャン べギィィ……
っと、瓦礫の隙間からかき分けるみたいにしてコンゴウ……いや、ハガンコンゴウのお出ましだ。
うわー、後ろからもゾロゾロと。
「じゃ、お気をつけて」
「死ぬ……わけないだろうけど怪我しないようにな!」
「健闘を祈る」
「先に帰って、暇なら修理班呼んどいてくれ。それまでには終わらせる」
『御原大尉、受注処理終わりました。それでは、通信終了。帰還した後に書類認証があるのでお忘れなく』
プッという回線が切れる音がしてオペレーターの声が消える。
さ、ここからは俺の仕事だ。
俺は重い腰を上げて神機を肩に担ぐ。
「さー、お仕事しますか」
【はいはい分かりましたよカレルさん!はぁ、やりますって……それじゃあ今から、ジャストタイム始めますよー!】
突然、支部内外に全体放送でなんか聞こえてきた。
しかもこれさっきのオペレーターだし、ジャストタイムってそれ賭け事じゃねーか。計ったタイムにどれだけ近く予想できるかってやつ。
おっとと、向こうさんもヤル気みたいだし、BGMの代わりとでもしようか。
【大尉の討伐タイムで賭けるなんて雨宮さんに知られたら殺されますよ?】
あ、なるほど。カレルのやつ死んだな。こんな馬鹿の騒ぎをあの人が見逃すはずないし。
これは知らないフリしてるほうが愉しいな。
「クックック……全体放送になってるのは意図的なのかねぇ……」
【随分と面白いことをしているようだなカレル・シュナイダー】
アッーーー!ダメです雨宮教官!伏線回収早い!もう嗅ぎ付けたのかこの人!?
【ヒッ!?あ、雨宮さんいつから!?】
【馬鹿が騒ぎ出した頃だ。賭け事の胴元がどうとかカレルが言っていた辺りから居た】
あーあー、カレルが主犯格か。これはご愁傷さまで。
シユウの滑空突進は見切りやすい。見切って潜り抜け様に胴体輪切りではい終わり。おっ、鳥神翼じゃん。レアレア。
【はぁ、全く馬鹿者が多い……】
ツバキの姐さんもご愁傷さまで。
【どうせ聞こえているんだろう、御原大尉?】
カチカチカチ
「あら、バレてたっすか?」
【えっ?】
無線のチャンネルを合わせて受け答える。
そいコンゴウ、抱き潰しは上が安置だ。代わりに爆弾でも抱いてろ。
そしてオペレーター。お前全体放送になってるの気づいてなかったのか。
コンゴウに身代わりとして抱かせた爆発球で顔面が割れて両腕も消し飛んだ。あー、素材が……猿神面が……
【当然だ。というより、貴様も全体放送になっているのに気がついていただろう?なぜ止めなかった】
「そっちの方が面白いからですね。主にカレルが」
【……はぁ……】
ため息吐かれた。
っとシユウ、回し蹴りの後の硬直はいい的だぞ。後頭部がガラ空きだ。油断大敵、隙を晒したお前には貫通弾をプレゼントしてやろう。
うぉ、浮神丹!いいの出たな!
【まあいい。とにかく、お前の出張先が決まった。所用で伝えるのが遅くなったが問題ないだろう。10分以内に片付けて支部長室まで来い。榊支部長が話したいと言っていた】
「ういっす、了解です」
『気のない返事はやめろ。お前は着任時から態度が軽い』
「はい教官。善処しますよっと」
サリエルの光弾とヴァジュラの雷球を避けながら適当に答える。直す気?無いよそんなもの。
それにしても、10分か。無理じゃないけど、今のペースだと大型種を処理するのには30分弱かかる。
コンゴウ堕天種は火に弱い。股下を滑り抜けて斬りつけざまダウンさせ、排気パイプの結合破壊を狙って背中に爆撃弾をくっつけまくる。
残った普通のコンゴウも同じ様にして爆破。素材がー、とか考えたけど、よく思い出すとコンゴウ系のアラガミはめっちゃ素材の在庫余ってた(笑)
さて残るは……
「さ、前菜は平らげた。次はメインディッシュだねぇ。活きのいい虎が2匹、瑞々しい果実が1つ、金箔で彩られた猿の肉……クク、どいつもこいつも美味そうだ」
サリエルちゃんはデザートにでもとっておくかね。女の子は最後のお楽しみだ。
「遠慮なく、たらふく喰わせて貰おうか!」
それからきっちり5分後、デザートに残しておいたサリエルの胸のコアを捕食して帰投した。
書きたいネタは結構ある
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ネタからネタへ繋ぐ話が上手く作れない
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何度も練り直し
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よくあると思いますこんな循環
なるべくはやく投稿したいけどね
自分の文章力の無さがちょっと嫌になりそう