現在、オーズの確認されているメダルは………
タカ×1
トラ×1
チーター×1
クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×1
ゴリラ×1
ウナギ×1
Side翔一
「……あの時とは違う?」
レイナーレのそんな声を聞きながら俺は自分の身体の変化に気づいた。
「赤龍帝の籠手が発動してる?」
一体どういうことだ?
『恐らく、相棒のアーシアを助けたい。という願いが神器を進化させたのだろう。相棒がオーズに変身している間も赤龍帝の籠手は発動し続けることが出来るようになったのだ』
「……そうか。そういうことなら!!」
『何せコンボであり初の試みだ。倍加は三段階で切らせてもらうぞ!!』
「上等!!」
俺はレイナーレに向かい走り出す。
「ハァァァァァッ!!」
俺はカマキリソードでレイナーレを斬りつける。
「クッ!!」
レイナーレは空を飛んでかわし、光の槍を俺に放ってくる。
「ハッ!!」
それを俺はジャンプしてかわして、レイナーレにクワガタヘッドで電撃を浴びせながら斬りつける。
「……何度やっても無駄よ」
レイナーレはアーシアから奪った神器でダメージを回復した。
ーーーboost!!
「なら、これならどうだ!!」
俺はカマキリソードに電撃を纏わせてレイナーレを攻撃する。
レイナーレも負けじと光の槍を放つ。
「ふふふ、無駄よ。わからないの?私は貴方に傷つけられた傷は何度でも私が回復できる。貴方に勝つ道はないわ」
レイナーレは傷を負ってない状態までになっており、全て回復したようだ。
つーか、回復速度が速すぎないか?
『相棒。奴は恐らくだが、神器を理解し、操ることに長けている』
「つまりどう言うことだ?」
『あいつは神器の持ってる隠された能力をも即座に見切り神器の性能を120%以上で使用することが出来る!!』
「………マジで?」
俺はそれに驚きを隠せない。俺だってまだ赤龍帝の籠手を全部知ってる訳じゃない。それをあのレイナーレという堕天使は出来るってのか!?
『最も、それにあいつは気付いてはいないがな。あの回復速度も神器の初期性能だと思っている節がある』
ドライグの声を聞き、俺は思う。そんな才能を持っておきながら何故?
『アイツが堕天使だからではないか?』
ドライグの言葉に俺は納得する。
神器が先天的に宿るのは人間もしくは人間の血が混じっている者だけであり、他の種族には宿らないと前に教えてもらった事がある。
アイツが他人から神器を奪ったのがあれが最初ならば気付かないのも無理はないだろう。
「さて、そろそろ終わりにしましょう」
レイナーレはそういうと、周りにいた神父達を一瞬で回復させた。
……離れた相手にも可能なのか?
ーーーboost!!
「さぁ、いくら貴方の力が強大でもこれだけの数が相手ならばどうでしょうねぇ」
レイナーレは俺を嘲笑うようにこちらを見ている。
「ドライグ、数は?」
『30……いや、40といったところか?』
それを聞き俺は笑う。
「ハハッ……少ないなぁ、ドライグ」
『あぁ、全くだ。少ないにも程がある』
俺はドライグと一緒なりまた笑う。
「……その程度で」
『赤龍帝を……』
「オーズを……」
「『止めれると思うな!!』」
その言葉と同時に俺は、分身した。
2人
4人
8人と増えていき、最後には50人の俺が現れた。
ここで、コンボについて説明しようと思う。
コンボは同じ系統のメダルを組み合わせることにより、出来る変身、謂わばその系統のメダルの集大成である。
コンボは凄まじいまでの力を持っているが、体力の消費が激しい。
そしてコンボは他にもあり、緑のメダルのコンボの他に
黄色のコンボ、
白のコンボ、
青のコンボ、
赤のコンボ、
と様々だ。
そしてコンボにはそのメダル特有の固有能力があり、このガタキリバの能力は……自分の分身を作ること。
その数は最大……50人
「………な、なんですって!?」
レイナーレは分身した俺達を見て驚いている。
「よし皆、行くぞ!!」
「「「「「応!!!!」」」」」
俺は、神父達に攻撃を仕掛ける。
神父達一人に一人俺をつける形で倒していく。
何人か2対1になってはいるが……
「オラァ!!」
一人は蹴り飛ばし、
「ハァァァァッ!!」
一人は殴り飛ばす。
「セイヤァァァッ!!」
そして一人は電撃で気絶させる。
そしていつの間にか、神父達は全員倒されていた。
「そ、そんな……あれだけの悪魔祓いを一瞬で……」
レイナーレは分身した俺を見て驚愕している。
「……悪いが、これで最後だ。レイナーレ」
ーーーboost!!
俺はオースキャナーでメダルをスキャンする。
ーーースキャニングチャージ!!
それに合わせて分身の俺もスキャンする。
ーーースキャニングチャージ!!×50
俺は分身達と共にジャンプする。
ーーーexplanation!!
「「「「「セイヤァァァッ!!」」」」」
そこで三段階の倍加を解放しレイナーレに向けて必殺技『ガタキリバキック』を繰り出す。
「アァァァァァッ!!」
そして俺は光に包まれた。
Side木場
「こ、これが……オーズの力?」
僕と小猫ちゃんが地下にいる神父達をあらかた片付け終え、翔一君の援護に向かうところで部長が来て翔一君の力を確かめるために手を出すなと言われて見ていたが、僕は驚きを隠せない。
翔一君が緑色のオーズになり、大量に分身して堕天使達を蹂躙していた。
「……ハハッ」
部長が突然力のない笑い声を上げる。
「確かにこれは私達は必要なかったわね」
その部長の言葉に部長といた朱乃さんも小猫ちゃんもそして僕も同意する。
あの緑色のオーズ単体でも勝てる気がしなかったのにそれが50人……無理にも程がある。
光が収まり、立っていたのは翔一君だった。
翔一君は何故か上を向いて動かない。
「……先輩、泣いている?」
ふと小猫ちゃんがそう言う。
僕は翔一君を見る。仮面に隠れて顔は見えないが、僕にも泣いているように見えた。
「まだ、堕天使の気配がありますわね」
「ッ!!……それは本当なの?」
「えぇ、微かですけど感じますわ」
僕はそれを聞いて驚く。
あれが効いていなかったのか!?
「とにかく行ってみましょう」
部長の言葉に同意するように僕達は翔一君の元に向かった。
Side翔一
「……アーシア」
俺は変身を解除してアーシアの名前を呟く。
手には淡い緑色の光、アーシアの神器だ。
変身を解いた俺の左手には赤龍帝の籠手が装備されている。
『……相棒』
ドライグが俺の名前を呼ぶ。
「……やっぱり俺は甘いのかもなぁ。お前もそう思うだろ?ドライグ」
『いや、お前はそれでいい。その優しさに俺も救われた。そんな俺がお前を責めたりせんさ』
俺の言葉にドライグはこう答える。
俺はドライグの言葉にいくらか救われた気がする。
「ありがとう。ドライグ」
俺は前を向き辛うじて残っていた教会の壁に打ち付けられているレイナーレに近づく。
俺はライダーキックをまともに食らわせていない。それでもレイナーレはボロボロで動けないとは思うが
「……こいつも自分の力が原因だったんだよな」
『ああ、こいつは自分にない力を求めた。お前とある意味で真逆なのだろう。こいつは無き力に苦しみ、お前は有りすぎる力に苦しんだ』
「そういう意味では、俺とこいつは似た者同士だったんだな」
俺はレイナーレを見てそう思った。
「翔一!!」
「……部長、それに皆」
俺は声がしたので振り返る。すると部長を初め、木場達もいた。
「元気そうだな」
「翔一君こそ」
俺はそう言いながら木場と小猫ちゃんを見る。たいした怪我はないようだ。
「翔一……」
部長がレイナーレを見て俺を見てくる。
「安心してください。もう戦うことはできません」
「うぅ………」
するのレイナーレが苦しんだ声をあげながら目を覚ます。
部長達は警戒の態勢入るが俺は手で制する。
「部長、俺に任せてください」
「翔一……えぇ、わかったわ」
部長は俺の言葉を聞き入れてくれ、後ろに下がる。
「……私をどうするつもり?」
レイナーレは力のない目で俺を見る。
「その様子だと、お前の仲間の堕天使がやられたのも、俺がお前を簡単に殺すことが出来るのも理解してるみたいだな」
俺がそう言うとレイナーレは笑いながらこう答える。
「あんなのを見せられて戦意喪失しない方が可笑しいわよ」
「……そうだな。まぁ、お前の命は俺が握っているわけだ」
「ふふっ、それでどうするつもり?アーシアの復讐でもするの?」
レイナーレの力のない笑いが見える。
俺はそのまま続ける。
「ついでに、俺の神器についても教えてやる」
俺は左手を挙げて赤龍帝の籠手を見せながら言う。
「『赤龍帝の籠手』、使用者の力を10秒間毎に倍にする神滅具の1つ」
「……まさかあなた!?」
レイナーレが驚いた目で俺を見る。
「そう、お察しの通り、俺は赤龍帝だよ」
その言葉にレイナーレはおろか、部長達まで驚いている。
……まぁ、驚くよね
「……成る程ね。貴方が何故危険な存在かわかったわ」
「あぁ、そいつは何よりだ。さて、そろそろやるか」
俺は右手に持ってるアーシアの神器を見る。
「……アーシア、一回だけ力を貸してくれ」
ーーーboost!!
そして俺はレイナーレに聖母の微笑みをかざす。
ーーーexplanation!!
俺は、倍加を解放し、聖母の微笑みの回復力を倍にして、レイナーレの傷を直す。
倍加したこともあり、俺でもすぐに回復される事が出来た。
「……どういうつもりかしら?」
レイナーレが疑問を抱き、そう聞いてくる。
「俺の目的はアーシアの神器を取り返すこと、お前を殺すことじゃない。それにアーシアはこんなことを決して望まない」
俺はさらに続ける。
「……お前の気持ち、少しは分かるよ。辛いことも、認めて欲しかったことも」
俺はレイナーレを見ながら続ける。
「俺もそうだった。お前とは逆で、唯の人間には過ぎた力で苦しんだ。俺も認めて欲しかった」
俺は手から炎を出して答える。
「辛かったさ。化物とまで言われて、いつもこんな力なくていい。いつも、そう思っていた」
「……翔一」
部長が俺の名前を呟く。俺は気にせずに話を続ける。
「でも、両親が認めてくれた。初めてこの力を持って良いって思えた。いつの間にか、そう言ってくれる奴も増えていった。そんとき俺は思ったんだ。この優しい人達を失いたくないって」
俺は笑顔になる。この世界の母さん達が認めてくれなかったら、俺は前の世界と同じようになっていただろう。
「だからさ」
俺は一呼吸置き、こう答える。
「お前は、お前自信を見てくれる奴を大切にすれば良かったんだ。お前についてきた堕天使達は、お前を見てくれていた……違うか?」
「……カラワーナ、ミッテルト、ドーナシーク」
レイナーレはあの堕天使の名前であろうものを呟く。
「そいつらを慈しむ心がお前にはある。だからまだ間に合う!!今は道を間違えて、そんで迷っただけだ。唯、それだけだから」
「……私は」
レイナーレがか細い声でこう答える。
「……私は、また前に進めるのかしら?」
俺はそれに笑顔で答える。
「進めるさ。今、あの堕天使の死を背負って前を向こうとしてるお前なら。
……まぁ、あの三人を倒しちまった俺が言うのもなんだけど」
俺は苦笑しながら言うとレイナーレも笑って答えた。
「本当にね」
俺はしばらく笑ってからまたレイナーレを見る。
「もしも、また道に迷いそうになったら、俺が助けてやるよ。絶対に」
俺は前にレイナーレが悪魔を見下しているから話し合いは無理だと思った。
けど、戦ってわかった。こいつも、苦しんでただけであり、ある意味で被害者なのだと。
レイナーレは驚いたのか苦笑しながら言う。
「フフ……お人好しね」
「なんだ知らなかったのか?仮面ライダーってのはお人好ししかいないんだぜ……さっさと行きな」
これ以上話を続けても代わりないので俺はそう促す。
するとレイナーレも同意したのか。堕天使の魔方陣が出現する。
「そうさせて貰うわ。……ありがとう。仮面ライダーさん」
そう言ってレイナーレは転移した。
俺は部長達に振り向く。
「……すいません。こんな結果になって」
謝る俺に部長は首を振る。
「いいえ、貴方が決めたことよ。反対なんてしないわ」
「……ありがとうございます」
本当に優しい人だ。
「……アーシアを助けることが出来なかったけど」
俺は手をきつく握りしめる。
「それなのだけど……」
そう言うと部長はあるものを取り出す。
それは何かに反応して光っている僧侶の駒だった。
「部長、まさか……」
俺の言葉に部長は頷く。
「えぇ、翔一が思ってる通りよ。前代未聞だけど、このシスターを僧侶として悪魔にてんせ……」
フラッ、ドサッ!!
俺が聞けたのはそこまでだった。
ガタキリバコンボは分身から一人に戻るとき、分身が受けている疲労やダメージを一気に受ける。
つまり、今の俺は50人分の疲労やダメージを受けている状態なのだ。
今まで動けていたのが不思議なのだ。
普通はこうなる。
「先輩!!」
「翔一!!」
皆が倒れた俺を囲む。
俺は部長の方を向く。これだけは伝えたいのだ。
「アーシア、を頼、みま、す……」
そこで俺の意識は途切れた。
「………知ってる天井だ」
あれから3日程がたち、俺は何時もの朝と同じように目が覚めた。
えっと、まず結論から言えば……アーシアは生き返った。悪魔としてだけど。
神器もまたアーシアに宿り、今は俺の家で一緒に暮らしてる。
まぁ、一応ハッピーエンドと言った所だ。
「翔一さん、おはようございます」
とりあえず起きたので、リビングに行くとそこには駒王学園の制服を着ている。アーシアがいた。
アーシアは駒王学園に転校して来たのだ。
「あぁ、おはようアーシア」
笑顔で挨拶してくるアーシアに俺も笑顔で答える。
「おはよう翔一。朝食は出来てるわよ」
「おはよう母さん。……あれ、父さんは?」
何時もならいる。あの父親が見当たらない。
「あぁ、仕事で今日は早くに出てったわ」
どうやら仕事らしい。
「なら、さっさと食って学校に行くか」
「はい!!」
と言うわけで俺とアーシアも早く出ることにした。
通学路を俺とアーシア二人で歩いていると、途中見知った顔に出会った。
黒い髪の美少女なのだが何処かで会ったことがある。
「久しぶりね。仮面ライダーさん」
「……お前、レイナーレか?」
そう言うとレイナーレは頷く。
「今は、天野夕麻と呼んでくれないかしら?堕天使なのは隠しているから」
「で、一体何のようだ?」
俺は気軽に話し掛けているが、アーシアは俺の背中に隠れている。
まぁ、警戒はするよな。
「貴方にではなく、アーシアに用があるのよ」
「えっと、私ですか?」
アーシアが未だに警戒しながらも答える。するとレイナーレ……天野夕麻は頭を下げる。
「え!?……えっと、あの!?」
アーシアも混乱しているようだ。
「アーシア、ごめんなさいね。私のしたことは許されないことかも知れないけど、貴女には謝っておきたかったのよ。私の勝手な都合で貴女の命を奪う事になってしまったから……本当にごめんなさい」
夕麻ちゃんがしたのは心からの謝罪だった。
これが彼女なりの答えなのだろう。俺はそれを見守る。
そして、アーシアが俺の背中から離れ、夕麻ちゃんの前に行く。
「……私は、貴女にに命を奪われました。でも、貴女に日本に来るように言われなければ私は、翔一さんに会うことは出来ませんでした。だから、貴女を恨んではいませんし、私は今、幸せです。翔一さんとまた一緒に居ることが出来るから……」
「アーシア……えぇ、そう言ってくれると私も少し心が軽くなるわ。ありがとう」
俺はそのやり取りを笑顔で見る。
これでいいんだよな。
「……それで、これからどうするんだ?」
閑話休題。俺はレイナーレに問う。
寧ろ俺はその後が心配なのだ。
「しばらくはこの町にいることにするわ。自分に出来ることを探してみるつもり」
夕麻ちゃんは少し考えてからそう言った。
「……そっか。……何か手伝えることは?」
「最初は自分だけでやってみるつもりよ。貴方の様に、自分の道を真っ直ぐに進んでみるわ」
「……ああ、頑張れよ。
応援してるからな。……っと、そういえばこれ」
俺はポケットに入れていた一枚の紙を渡す。
内容はあの時感じた夕麻ちゃんの神器を操る能力(ドライグが推測した物を纏めたもの)があることを書いている。
「後で読んどいてくれ。きっと力になるぜ。後、俺は翔一でいいよ。」
夕麻ちゃんは笑顔になる。
「ありがとう、翔一君。
……それじゃ、そろそろ行くわ」
そう言って夕麻ちゃんは立ち去ろうとする。
「ああ、またな。気を付けて行けよ」
「また会いましょう。夕麻さん」
俺もアーシアも笑顔で手を降る。
「えぇ、またね。二人とも」
そのまま笑顔で夕麻ちゃんは立ち去った。
「……さて、俺達も行くか」
「はい。……翔一さん!!」
学園に行こうとすると、アーシアが俺を呼ぶ声を聞いたので振り替える。
「これからもよろしくお願いします!!」
俺が見たのは俺が護りたくて、それでいて今までに無いくらいの最高の笑顔だった。
……すんません。
色々遅れたりして、マジですんません。
これで1巻部分は終わりです。
次回は閑話を1つ入れてから2巻部分にいきたいと思います。
さて 、何のコンボを出そうかな。猫系で行くか、鳥で行くか……
まぁ、後から考えよ。
次回もお楽しみに。