もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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今回も原作9巻、10巻をすっ飛ばして原作11巻の遊郭戦闘の途中から書きます。


第12話

 

 

京極屋にいた蕨姫花魁の正体は『十二鬼月・上弦の陸、墮姫(だき)』だった。しかも墮姫の中には彼女の"兄"でもある『十二鬼月・上弦の陸、妓夫太郎(ぎゅうたろう)』が潜んでいた。

 

 

墮姫は帯で、妓夫太郎は鎌で攻撃を繰り出す。しかも妓夫太郎の鎌には自分の血で生成した"毒"が塗られており、彼はその毒を斬撃として飛ばすこともできるのだった。

 

 

しかも兄妹だからなのか、"互いの視覚"までも共有できる始末で、炭治郎たちは苦戦を強いられていた。

 

 

因みに天元の妻である"須磨"と"まきを"は墮姫の帯に取り込まれていたが、伊之助が帯を斬って救出、雛鶴も切見世(きりみせ)と呼ばれる病気の遊女が住む所で天元に助けられた。

 

 

そして天元たちの下に雛鶴が弓状の絡繰を持って屋根の上に現れ、妓夫太郎に向けて天元諸ともクナイを発射した。

 

 

『血鬼術 跋弧跳梁(ばっこちょうりょう)

 

 

しかし妓夫太郎は斬撃を自分の周りにドーム状に展開し、自分に迫るクナイの殆んどを弾いた。そこに天元がドーム状の斬撃の隙間から現れた。

 

 

妓夫太郎は天元の首目掛けて鎌を振るうが、当たる寸前で天元が屈み、そのまま足を斬った。それと同時に妓夫太郎の頚にクナイが刺さる。妓夫太郎は足を再生させようとするが、クナイに塗られた『藤の花で生成した痺れ毒』で再生出来ずにいた。

 

 

そこに炭治郎が妓夫太郎の頚を狙って刀を振るおうとしていたが、妓夫太郎は毒を分解し片足だけ再生させた。

 

 

『血鬼術 円斬旋回・飛び血鎌』

 

 

そして妓夫太郎は腕の血管を破裂させ、腕を"振らず"に毒の斬撃を繰り出した。

 

 

天元は炭治郎を助けるために彼を後ろに蹴り飛ばすと

 

 

『音の呼吸 肆ノ型 響斬無間(きょうざんむけん)

 

 

次々に斬撃を斬った。そして斬撃が止むと、そこには妓夫太郎が"いなかった"。天元は妓夫太郎を見失うが、すぐに何処へ向かったのか悟った。

 

 

妓夫太郎は雛鶴を殺すために彼女の下へ向かったのだ。

 

 

天元は雛鶴をその場から遠ざけるために彼女の下へ向かおうとするが、墮姫の帯がそれを邪魔する。そして妓夫太郎は雛鶴の顔を掴み、そのまま握り潰そうとする。

 

 

しかし妓夫太郎の目論見は達成できなかった。

 

 

何故なら、炭治郎が妓夫太郎の腕を斬ったからだった。

 

 

「(そうか…、呼吸を混ぜれば体の負担を抑えることができるんだ!移動の時は水の呼吸を、攻撃の時には風の呼吸を混ぜればヒノカミ神楽だけの時より速く動けるし、攻撃力も上がる!)」

 

 

「(全集中の呼吸はそうやって枝分かれしていったんだ!自分の体に合った呼吸を見つけるために!)」

 

 

「(煉獄さんのお父さん、全ての呼吸は決して猿真似何かじゃありませんでした!炎も、水も、風も!全てが自分自身で編み出した自分だけの呼吸(もの)だったんです!)」

 

 

炭治郎は妓夫太郎の攻撃を防ぎながら槇寿郎に投げ掛けるように心の中で語った。

 

 

「竈門炭治郎!お前に感謝する!」

 

 

すると天元が妓夫太郎の後ろから頚を狙って刀を振るっていた。

 

 

炭治郎も負けじと妓夫太郎の頚目掛けて刀を振るった。しかし妓夫太郎は両手に持った鎌で刀を受け止めていた。

 

 

天元が"もう一本"の刀で妓夫太郎の頚を狙うが、妓夫太郎は何と頚を百八十度"回転"させて口で刀を受け止めてしまった。

 

 

そして妓夫太郎は円斬旋回を使うために再び血管を破裂させた。しかし天元はそれを察知し、妓夫太郎諸とも屋根から"飛び降りた"。

 

 

しかも炭治郎の下に墮姫と戦っていた善逸と伊之助が帯を避けながら迫っていた。

 

 

「作戦変更を余儀なくされてるぜ!!蚯蚓女に全っ然近づけねぇ!!こっちは三人で、蟷螂鬼はオッサンに頑張ってもらうしかねぇ!!」

 

 

「幸いにも鎌の男よりもまだこちらの方が弱い。まずこっちの頚を斬ろう!炭治郎、まだ動けるか!?」

 

 

伊之助と善逸の質問に炭治郎は天元の方を覗き見る。天元は妓夫太郎と一進一退の攻防を地上で繰り広げていた。

 

 

「動ける!!ただ宇随さんは敵の毒にやられているから危険な状態だ!一刻も早く決着をつけなければ…」

 

 

炭治郎は帯をいなしながら質問に答えた。だが、妓夫太郎の斬撃がこちらまで届いていたので慌てて対処した。

 

 

「私のことも気にしないで!身を隠すから!勝つことだけ考えて!」

 

 

雛鶴は即座にその場から退き、身を隠すために離れた。

 

 

「この鬼の頚は柔らかすぎて斬れない!!相当な速度かあるいは複数の方向から斬らなくちゃ駄目だ!!」

 

 

炭治郎が二人にアドバイスをする。その理由は善逸が三人の中で最速であり、伊之助が三人の中で複数の方向から攻撃できるからだった。

 

 

「複数の方向なら二刀流の俺様に任せとけコラァ!三人なら勝てるぜェェェイ!!」

 

 

墮姫の頚を斬る役目は伊之助に決まった。

 

 

「わかった!善逸、伊之助を守ろう!」

 

 

「よし!」

 

 

炭治郎と善逸は伊之助のサポートに回ることにした。

 

 

『獣の呼吸 捌ノ型 爆裂猛進』

 

 

伊之助が帯に向かって突進する。

 

 

『水の呼吸 参ノ型 流流舞い』

 

 

『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・八連』

 

 

そして炭治郎と善逸が帯を斬り、伊之助が通る道を広げる。

 

 

墮姫は当然の如く近づけさせまいと帯で攻撃するが、伊之助はお構い無しに直進する。そして伊之助の刀が墮姫に届く。

 

 

「今度こそ決めるぜ!陸ノ牙!」

 

 

「(無駄よ!そんなガタガタの刃で斬れる訳が無い!)」

 

 

墮姫は自分の頚が斬られるとは思ってはいなかった。しかし伊之助は刀を引きながら振るい

 

 

乱杭咬(らんぐいが)み』

 

 

墮姫の頚を斬った。墮姫は自分の頚が斬られたことに驚いていた。

 

 

「やった伊之助!!(すごい!ノコギリのように刀を振るって斬った!)」

 

 

そして伊之助は墮姫の頚を持って再生されないように遠くへ逃げる。その途中で墮姫が髪で攻撃をするが、伊之助はそれを悉く斬る。

 

 

しかし伊之助を妓夫太郎が後ろから鎌で刺した。しかも刺した位置は伊之助の心臓がある所だった。

 

 

『天元と戦っていた妓夫太郎がなぜそこにいるのか?』炭治郎が疑問に思いふと下を見ると、そこには血まみれの天元が横たわっていた。

 

 

そこに墮姫の帯が襲い掛かり、家屋が崩壊し、炭治郎と善逸はその崩壊に巻き込まれてしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎は家屋の瓦礫の近くで目を覚ました。どうやら家屋が崩壊した際に頭を打って気絶していたらしい。その証拠に、頭部から出血していた。

 

 

「何だお前、まだ生きてんのか。運のいい奴だなぁ」

 

 

そこに妓夫太郎が現れ、炭治郎を見下ろしていた。

 

 

「まあ、運がいい以外取り柄がねぇんだろうなああ」

 

 

「可哀想になあ、お前以外の奴は皆もう駄目だろうしなああ」

 

 

「猪は心臓を一突き、黄色い頭は瓦礫に押し潰されて苦しんでいるから、死ぬまで放置するぜ。虫みたいにモゾモゾしてみっともねぇよなああ」

 

 

「柱も弱かったなあ。威勢がいいだけで、毒にやられて心臓も止まって死んじまった。お陀仏だ」

 

 

妓夫太郎は炭治郎を見下ろしながら炭治郎の仲間の状態を話した。

 

 

「みっともねぇなあ、みっともねぇなあ。お前ら本当にみっともねぇなあ。特にお前は格別だ。お前の背負っている箱からはみ出してるのは血縁だな?わかるぜ、鬼になってても血が近いのは。そりゃあ姉か?妹か?」

 

 

炭治郎はなぜ自分に止めを刺さずに話をしている妓夫太郎の行動がわからなかった。

 

 

「……妹だ」

 

 

「ひひひっ!!そうか、やっぱりそうか!みっともねぇなあ、お前全然妹守れてねぇじゃねえか!」

 

 

妓夫太郎の『妹を守れてない』という言葉に炭治郎は図星を点かれてしまった。

 

 

「まあ仕方ねぇ。お前は人間で妹は鬼だ。鬼の妹よりも弱いのは当然だが、それにしてもみっともねぇ!」

 

 

「兄貴だったら妹に"守られる"んじゃなく、"守って"やれよなぁこの手で」

 

 

妓夫太郎は炭治郎の指を掴むと、そのまま力を込めて指をへし折った。指をへし折られた炭治郎はその痛みに耐えるしか無かった。

 

 

「なぁオイ、今どんな気持ちだ?一人だけみっともなく生き残って。頼みの綱の妹は殆んど力を使い果たしてるぜ」

 

 

「なあ虫けら、ボンクラ、のろま、腑抜け、役立たず。何で生まれて来たんだお前は?どうする?弱い弱いボロボロのみっともねぇ人間の体で俺の頚を斬ってみろ。さあさあさあ!」

 

 

炭治郎は折れた指で"地面"を掻いて頭を下げた。その様子を伊之助から取り戻した頚をくっつけた墮姫が見下ろしていた。

 

 

「ひひひひっ!!そうかそうか、土壇場で心が折れたか。みっともねぇなあ本当にみっともねぇ!!みっともねぇが俺は嫌いじゃねえ。俺は惨めでみっともなくて汚いものが好きだからなあ」

 

 

「お前の額のその汚い傷!いいなあ、愛着が湧くなぁあ」

 

 

妓夫太郎は尚も炭治郎と話す。そして妓夫太郎は炭治郎に鬼になるよう自分の顔を掻きむしりながら勧めた。それを聞いた墮姫は嫌がるが、妓夫太郎は聞く耳を持たなかった。

 

 

そして炭治郎は下げていた頭を上に振りかぶった。

 

 

「俺は…、俺は……、準備してたんだ」

 

 

そして炭治郎は妓夫太郎に向けて渾身の頭突きをした。

 

 

鬼の妓夫太郎にとっては石頭の炭治郎の頭突きは差程効かないが、炭治郎は頭突きと同時に毒が塗られたクナイを妓夫太郎の太腿に刺していたのだ。

 

 

妓夫太郎は炭治郎の攻撃が頭突きだけだと思っており、クナイの毒には注意をしてはおらず、バランスを崩してしまった。そこに炭治郎が刀を振りかぶり、刃が妓夫太郎の頚に食い込んだ。

 

 

墮姫はそれを見て妓夫太郎を助けようと帯を伸ばす。そこに瓦礫を吹き飛ばしながら善逸が現れた。

 

 

『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃』

 

 

「(あんたの技の速度はわかってんのよ!何度も見てるからね!)」

 

 

墮姫は帯を炭治郎では無く、善逸に向けた。しかし善逸はその帯を足場にし

 

 

『神速』

 

 

自身が持つ最大の速度で墮姫の頚を捉えた。

 

 

「(斬れろ斬れろ振り抜け!霹靂の神速は二回しか使えない。足が駄目になる。瓦礫から抜けるために一度使っていて後が無い。そして今以外頚を狙える機会は訪れない!)」

 

 

「(炭治郎がこの千載一遇を作った。絶対に斬る、絶対に!!)」

 

 

善逸が墮姫の頚を斬ろうとしている中、炭治郎は妓夫太郎の頚の固さに悪戦苦闘していた。そして毒から回復した妓夫太郎は円斬旋回を使い、炭治郎の刀を弾いた。

 

 

妓夫太郎の斬撃を捌いている炭治郎の首に妓夫太郎の鎌が刺さろうとする。そこに"死んでいた"はずの天元が現れ、鎌を防いだ。

 

 

天元の体は満身創痍で、左腕も斬り落とされていた。

 

 

「(死んでない!!死んでなかったコイツ、心臓は…そうか、"筋肉で無理矢理に心臓を止めてやがった"なあ。そうすりゃあ毒の巡りも一時的に止まる)」

 

 

妓夫太郎は天元がまだ生きていた理由を察した。

 

 

「"譜面"が完成した!!勝ちに行くぞォオ!!」

 

 

譜面

 

 

それは宇随天元"独自"の戦闘計算式である。

 

 

分析に時間がかかるものの、敵の攻撃動作の律動を読み、音に変換することで相手の癖や死角もわかる。

 

 

唄に合いの手を入れるが如く、音の隙間に攻撃すれば敵に打撃を与えられる。

 

 

円斬旋回を全て弾いた天元は妓夫太郎に肉薄する。その時に天元は左目を斬られ、腹に鎌が刺さる。しかし天元は止まらずそのまま妓夫太郎を抑え込んだ。

 

 

そして炭治郎が天元を飛び越え、刀を振ろうとするが、先に妓夫太郎の鎌が炭治郎の顎に刺さった。だが炭治郎はお構い無しに刀を妓夫太郎の頚目掛けて振るい、刃が妓夫太郎の頚を捉えた。

 

 

「(腕の力だけじゃ駄目だ、全身の力で斬るんだ。頭の天辺からつま先まで使え。体中の痛みは全て忘れろ喰らいつけ!渾身の一撃じゃ足りない、その百倍の力を捻り出せ!)」

 

 

すると炭治郎の額の痣がみるみる濃くなっていった。

 

 

「(まずい、斬られる!!いや、大丈夫だ。俺の頚が斬られても、妹の頚が繋がってりゃあ)」

 

 

そう、妓夫太郎と墮姫は『二体で一体の鬼』なのだ。たとえどちらかの頚が斬られても、もう一方が斬られていなければ頚を繋げるだけで済む。

 

 

だが、その『慢心』が敗因になるとは、この時の妓夫太郎はおもってもいなかった。

 

 

その頃、墮姫は善逸に攻撃をしようとすると、その帯が斬られた。帯を斬った犯人は伊之助だった。

 

 

「俺の体の柔ら"かさを"見くびんじゃね"え"!内臓の位置をずらすな"んてお茶の子さい"さい"だぜ!険しい山で育っだ俺には毒も効かね"え"!」

 

 

そして伊之助は善逸とは逆の方向に向けて刀を振るった。

 

 

「アアアアアア!!」

 

 

「アアアアアアア!!」

 

 

「ガアア"ア"アア"ア"!!」

 

 

そして遂に三人は妓夫太郎と墮姫の頚を"同時"に斬ったのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

妓夫太郎の頚を斬った炭治郎はその場にへたり込んでしまった。

 

 

炭治郎は何とか呼吸で毒の巡りを遅らせようとしていた。そこに天元が何かを言っていた。体力を激しく消耗している炭治郎はうまく聞き取れてはいなかったが、天元が残った体力を全て使い叫んだ。

 

 

「逃げろーーーーッ!!!」

 

 

その時、妓夫太郎の四肢から円斬旋回が暴走したかのように四方八方に飛び散った。

 

 

 

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