もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

13 / 25
第13話

 

 

「む~」

 

 

「禰豆子…」

 

 

気絶していた炭治郎は小さくなった禰豆子に膝枕をされた状態で目を覚ました。そしてもはや瓦礫の山と化した遊郭の街並みを見て呆然としていた。

 

 

そこに禰豆子が自分の頭を炭治郎に押し付けた。この行動は頭を撫でて欲しいという催促であった。

 

 

炭治郎は禰豆子の頭を撫でる。禰豆子はにっこりと笑っていた。

 

 

そして炭治郎は他の皆がどうなったのか心配で立ち上がるが、膝から崩れ落ちた。

 

 

今の炭治郎は体力が限界以上に消耗してしまっているので、立ち上がるのも困難になっているのだ。

 

 

「たんじろ~」

 

 

「たああんじろ~」

 

 

すると善逸の声が小さくではあるが聞こえてきた。

 

 

すると禰豆子が炭治郎をおんぶして善逸の所まで連れて行ってくれた。

 

 

「起きたら体中痛いよおおお。俺の両足これ折れてんね何なの?誰にやられたのコレ?怖くて見れないぃ」

 

 

「無事か!!良かった」

 

 

「無事じゃねぇよおお」

 

 

(いやそんだけ騒げりゃ例え満身創痍でも無事だと思われるぞ?だから非モテ男になるんだよ)by作者

 

 

「何か嫌な言われ方された俺も可哀想だけど、伊之助がヤバいよぉ。心臓の音がどんどん弱くなってるよ~~」

 

 

「何だって!?伊之助は何処に!?」

 

 

「あそこにいるよあそこ~~」

 

 

善逸から伊之助の容態を聞いた炭治郎は、善逸から伊之助の場所を聞く。そして善逸が指差した所を見ると、そこには瓦礫の山の上に仰向けで倒れている伊之助がいた。

 

 

「伊之助っ!伊之助、しっかりしろ!」

 

 

炭治郎が伊之助の体を起こし、心臓がある所に手を当てる。確かに善逸が言った通り、心臓の音がだんだん弱くなっているのがわかった。

 

 

「(毒を何とかしないと…。そうだ、陽の光は!?)」

 

 

炭治郎は毒が鬼の血で生成された物であることを思いだし、陽光で毒を分解できるのではと思い、空を見る。しかし空はまだ暗く、頭上には満月が浮かんでいた。

 

 

炭治郎はしのぶに手紙を出すことも考えたが、それでは遅すぎて伊之助が助からないことを悟る。更には何で自分は助かったのかが分からなかった。

 

 

炭治郎も妓夫太郎の毒に侵されていたはずなのに、今は毒が全く無いことが分かる。そしてその答えが判明する。

 

 

禰豆子が伊之助に手を置いた瞬間、彼女の血鬼術である爆血が発動し、伊之助の体を燃やした。しかし伊之助の体は実際には燃えておらず、それどころか毒で爛れた皮膚が徐々に治っていったのだ。

 

 

そして

 

 

「腹減った、何か食わせろ!!」

 

 

伊之助が復活した。そのことに炭治郎は喜び、伊之助に抱きついた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

天元は自分の妻である須磨とまきをと雛鶴に囲まれていた。彼は妓夫太郎の毒を誰よりも多く喰らっており、生命(いのち)も風前の灯であった。

 

 

須磨が天元が助からないことに騒ぎ、まきをがそれを止めようとする。雛鶴が二人を止めようと注意するが、二人は聞く耳を持たなかった。

 

 

そこに禰豆子が現れ、『ヨッ』と挨拶をする。そして伊之助と同じように天元の体を燃やした。

 

 

その行動を見た三人は驚き、禰豆子を遠ざけ、火を消そうとする。

 

 

「ちょっと待て。こりゃ一体どういうことだ?毒が消えた」

 

 

天元が助かったことに三人はまたもや驚き、喜んだ。

 

 

「禰豆子の血鬼術が毒だけを燃やして飛ばしたんだと思います。似たようなことが無限列車の任務の時にもありましたので…」

 

 

禰豆子と一緒に行動していた炭治郎が毒が消えた経緯を話した。

 

 

「それはさておき…」

 

 

炭治郎は須磨、まきを、雛鶴の順番で顔を見る。

 

 

「確かに俺たちよりは"年上"ですね。『幼女好きの人拐い変態地味柱』の奥さんとは思えませんよ。俺は鬼の頚を探しに行ってきます」

 

 

「お前…、ここに来てそれは地味にねぇだろ…」

 

 

炭治郎のディスりを受けた天元は今までにないくらい疲れた顔をしていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後炭治郎は鬼の血だまりを見つけ、攻撃してこないことを確認した後、愈史郎特性の"採血刀"で血を採取。それを茶々丸に渡した。

 

 

そして妓夫太郎と墮姫が言い争っている所を目撃し、仲裁。二人は炭治郎に感謝しながら崩壊した。それを見た炭治郎は崩壊した場所で手を合わせ、妓夫太郎と墮姫の冥福を祈った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ふぅんそうかふぅん」ネチネチ

 

 

「陸ね一番下だ上弦の」ネチネチ

 

 

「陸とはいえ上弦を倒したわけだ」ネチネチ

 

 

「実にめでたいことだな」ネチネチ

 

 

「陸だがな」ネチネチ

 

 

「褒めてやってもいい」

 

 

ここは天元がいる場所。そこには宇随夫妻に加え、応援にやって来た小芭内がいた。

 

 

「おい伊黒、そんな言い方はねぇんじゃねぇのかァ?」

 

 

更に同じく応援に駆けつけた実弥が小芭内に注意していた。

 

 

「……おい宇随、左手と左目を失ってどうするつもりだ?たかが上弦(・・・・・)の陸との戦いで復帰までどれだけかかる?その間の穴埋めは誰がするんだ?」ネチネチ

 

 

小芭内は実弥の注意を聞くが、口調は変わらず、相変わらずネチネチ天元を責めた。

 

 

「俺は柱を引退する。さすがにもう戦えねぇよ。お館様も許してくださるだろう」

 

 

天元は自分の限界を感じ、柱を引退することを決めた。

 

 

「ふざけるなよ俺は許さない。ただでさえ若手が弱くて育たないんだ、お前程度でもいないよりはマシだ。死ぬまで戦え」

 

 

「おい伊黒、こればっかりは同じ柱として見過ごすわけにはいかねぇぞ…」

 

 

実弥は小芭内の言い方に若干キレてしまったのか、額に青筋を浮かべて小芭内の肩を掴んだ。

 

 

「不死川、止めるんだ。伊黒の言っていることは事実だから仕方ねぇさ。それに、若手はちゃんと育っているぜ。お前の大嫌いな若手がな」

 

 

天元の言い方に小芭内は心当たりがあった。

 

 

「おいまさか、生き残ったのか?この戦いで。竈門炭治郎が」

 

 

「ああ。しかも上弦の陸の頚を斬ったのは、竈門と我妻と嘴平の三人だ」

 

 

小芭内の質問に天元が頷き、更に頚を斬った者の名を言う。

 

 

「そうかそうか、流石は炭治郎だァ。俺と義勇の"継子"なだけはあるぜェ」

 

 

実弥は腕を胸の前で組み、頷いていた。その様子を宇随夫妻と小芭内が見ていた。

 

 

「なぁ不死川、ちょっと聞きたいんだが…」

 

 

「んァ?どうしたァ?」

 

 

天元が疑問に思ったことを実弥に質問をする。

 

 

「もしかして、竈門はお前の継子なのか?」

 

 

「言ってなかったかァ?炭治郎は俺と義勇の継子だって」

 

 

それを聞いた天元、須磨、まきを、雛鶴、小芭内の五人は首を横に振る。

 

 

「そう言えば宇随、お前蝶屋敷で"とんでもないこと"をやらかしたそうだなァ…?」

 

 

実弥はゴキゴキと拳を固めながら天元に迫った。天元は心当たりがあるせいか、冷や汗をダラダラ流していた。

 

 

実は炭治郎は遊郭に潜入している間、実弥と文通をしており、遊郭に潜入している経緯を書いていたのだった。

 

 

「おい不死川、先程のことは一体どういうことだ?」

 

 

疑問に思っていた須磨、まきを、雛鶴、小芭内の四人は小芭内を代表として実弥に質問をした。

 

 

「実はなァ…」

 

 

………実弥説明中………

 

 

「……と、言うわけだァ」

 

 

実弥の説明が終わると

 

 

「「「天元様……」」」

 

 

須磨、まきを、雛鶴の三人は天元に冷たい眼差しを向けた。

 

 

「因みにだが宇随、そのことは義勇としのぶはとっくに知ってるぜェ?だから怪我が完治したら、俺と義勇、しのぶと炭治郎の"四人同時"に稽古をしてもらうぜェ?」

 

 

義勇としのぶが知っている理由は、義勇は実弥が見せた炭治郎からの手紙。しのぶはアオイとなほという被害者から聞いていたのだった。

 

 

「あの…、拒否権は…」

 

 

「もちろん、ある訳がねぇ」

 

 

「ですよね…」

 

 

柱三人と炭治郎との稽古が確定した天元はガックリと項垂れていた。

 

 

「まぁ…、その…、何だ…。宇随、御愁傷様だ」

 

 

小芭内も哀れな天元に同情を隠せなかった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「(異空間無限城。ここに呼ばれたということは…、上弦が鬼狩りに殺られた)」

 

 

ここは無惨の根城である無限城。そこに鬼殺隊の協力者である猗窩座がいた。猗窩座は前世の記憶を頼りに、上弦が集結する時期を見て、"無惨の呪い"を発動させ、自分の位置を無惨に教えていたのだ。

 

 

そして彼の目の前には琵琶を持った女性の鬼鳴女(なきめ)が琵琶を鳴らしていた。

 

 

「ヒョッ。これはこれは猗窩座殿、いやはやお元気そうで。九十年振りで御座いましょうかな?」

 

 

すると猗窩座の近くにあった壺から異形の鬼『上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)』が姿を見せた。

 

 

(おそ)ろしい怖ろしい。暫く会わない内に玉壺は数も

数えられなくなっておる。呼ばれたのは百十三年振りじゃ。割り切れぬ数字…、不吉な丁、奇数!怖ろしい怖ろしい」

 

 

その近くに頭に大きなコブを持った鬼『上弦の肆・半天狗(はんてんぐ)』が階段の手摺に身を潜めていた。

 

 

「琵琶女、無惨"様"はいらっしゃらないのか?」

 

 

猗窩座は鳴女に無惨が来てないか質問をする。疑われないように"様"を付けて。

 

 

ベンッ「まだ御見えではありません」

 

 

「なら上弦の壱はどこだ?まさか殺られたわけじゃないだろうな」

 

 

猗窩座は更に鳴女に質問をする。

 

 

「おっとおっと!ちょっと待っておくれよ猗窩座殿!俺の心配はしてくれないのかい?」

 

 

そこに『上弦の弐・童磨』が猗窩座の肩に腕を回した。

 

 

「お前はいてもいなくてもどうでもいい。それよりも早く俺の肩に回した腕を退かせ。さもなくば、貴様の顎を砕く」

 

 

猗窩座はそう言って、童磨の顎を本当に砕いた。

 

 

「うーん、いい拳だ!前より強くなったかな?猗窩座殿」

 

 

しかし童磨は砕かれた顎をすぐに再生させた。

 

 

「………」ビキッ

 

 

猗窩座は童磨の言動に苛立ちを覚え、額に青筋が浮かんでいた。

 

 

「上弦の壱様は最初に御呼びしました。ずっとそこにいらっしゃいますよ」

 

 

鳴女が猗窩座の質問に答え、猗窩座は近くにある座敷を見る。

 

 

「私は…、ここにいる……」

 

 

すると確かにそこには侍の風格をした鬼『上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)』が座っていた。

 

 

「無惨様が…、御見えだ…」

 

 

黒死牟が呟くと、猗窩座たちの頭上に無惨が姿を現した。

 

 

「妓夫太郎が死んだ。上弦の月が欠けた」

 

 

無惨は試験管に液体を滴しながら言った。そして試験管の中の反応を万年筆で白紙の本に記す。

 

 

「産屋敷一族を未だに葬っていない。"青い彼岸花"も見つけてはいない。私はー、貴様らの存在理由が分からなくなった」

 

 

無惨の怒りを知った上弦の鬼たち(猗窩座除く)は次々に謝った。

 

 

「無惨様!!私は違います!貴方様の望みに一歩近づくための情報を私は掴みました!ほんの今しがた……」

 

 

玉壺はその情報を伝えようとするが、それは出来なかった。何故なら、無惨が玉壺の頚を持っていたからだった。

 

 

鳴女が琵琶を鳴らすと、玉壺の頚は真っ逆さまに落ちた。

 

 

「これからは死に物狂いでやった方がいい。私は上弦だからという理由でお前たちを甘やかしすぎたようだ」

 

 

「玉壺、情報が確定したら(・・・・・・・・)半天狗と共に其処へ向かえ」

 

 

無惨はそう言って消えた。

 

 

「玉壺殿!情報とは何のことだ?俺も一緒に行きたい!」

 

 

玉壺の頚の下に童磨が近づき、玉壺が得た情報を聞き出そうとする。しかし童磨の頭を猗窩座が裏拳で殴り飛ばした。

 

 

だが、童磨の頭を殴ったと同時に猗窩座の腕も斬り落とされていた。

 

 

「猗窩座…、お前は…、度が過ぎる…」

 

 

猗窩座の腕を斬り落とした犯人は黒死牟だった。

 

 

「良い良い黒死牟殿!俺は気にしない!」

 

 

童磨は頭を再生させながら猗窩座の行動を咎めなかった。

 

 

「猗窩座よ…、気に喰わぬのならば"入れ替わりの血戦"を申し込むことだ…。わかったか…」

 

 

猗窩座を黒死牟の目が睨む。その顔は、目が左右に三つ、そして陽炎のような"痣"があった。

 

 

「……わかった。俺は必ず童磨(コイツ)を殺す」

 

 

「そうか…。励む…、ことだ…」

 

 

黒死牟はそう言って消えた。

 

 

「鳴女殿!私と半天狗を同じ場所に飛ばしてくだされ!」

 

 

玉壺も頚をくっ付けるために急いで体がある所へ向かい、半天狗と共に姿を消した。

 

 

「琵琶女、俺も去る。飛ばしてくれ」

 

 

猗窩座もいなくなり、童磨は鳴女をデートに誘うが速攻で断られ、『万世極楽教』の自室に飛ばされた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「(玉壺と半天狗の共闘…。恐らくは"あそこ"を襲うつもりだな…)」

 

 

猗窩座は無限城から出た後、すぐに"無惨の呪い"を解き、その場を移動した。

 

 

そして偶然か必然か、ちょうどその近くに義勇がいた。

 

 

「……ふぅ」チンッ

 

 

義勇は鬼を倒した直後だったのか、持っていた刀を納刀していた。

 

 

「……そこにいるのはわかっている。大人しく出てきたらどうだ?」

 

 

義勇は誰もいないはずの暗闇に向けて喋りだした。するとそこから猗窩座が現れた。

 

 

「お初にお目に掛かる。鬼殺隊の柱とお見受けする。俺は猗窩座、十二鬼月、上弦の参」

 

 

猗窩座は義勇に向けて自己紹介をする。

 

 

「猗窩座…?もしや、煉獄や炭治郎が言っていた『鬼殺隊に協力している鬼』…か?」

 

 

義勇は緊急柱合会議の時に炭治郎が言っていたことを思い出した。

 

 

「その通りだ。…竈門炭治郎は俺が入手した情報を知らせたようだな。喜ばしいことだ。そうは思わんか?"冨岡義勇"殿?」

 

 

義勇はまだ名乗ってはいないのに、名を言い当てられたことに驚き、刀に手を添える。

 

 

「おっと、刀を抜かないでもらいたい。知ってるとは思うが、俺は前世の記憶を持っている。それ故に煉獄杏寿郎のこと、竈門炭治郎のこと、そして貴殿のことを知っているのだ」

 

 

猗窩座の説明を聞いていた義勇は、炭治郎も同じことを言っていたことを思い出し、刀に添えていた手を放した。

 

 

「わかって頂き感謝する。早速だが、俺が入手した新たな情報を伝える。近々、上弦の肆と伍が『刀鍛冶の里』を襲う手筈を整える。ついては貴殿にその情報を皆に伝えて欲しい」

 

 

猗窩座は先程無限城で無惨が玉壺と半天狗に命じたことを義勇に伝える。

 

 

「……わかった。お館様に伝えよう。それと、お館様がお前に会いたいと仰っていた。暇な時で構わないから、会いに行って欲しい」

 

 

「承知した。その時には、貴殿に護衛をお願いしたいものだ」

 

 

猗窩座はそう言って暗闇に溶けるように姿を消した。そして義勇は猗窩座から受け取った情報を耀哉に伝えるべく、産屋敷邸に向かった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。