もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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第16話

 

 

七日間にも及ぶ過激な修行の末、"動作予知能力"と戦国時代の刀を手に入れた炭治郎は、その夜に自分の同期である玄弥と語らった。

 

 

そして玄弥は『用事がある』と言ってその場はお開きとなり、炭治郎は禰豆子を連れて自分が借りている部屋へと戻った。その後炭治郎は折り紙で鶴を作ったり、禰豆子の髪型を蜜璃と同じ三つ編みにしたり、と禰豆子を喜ばせていた。

 

 

炭治郎と禰豆子は遊び疲れたのか、その場で布団も被らずに寝ていた所を無一郎に鼻を摘ままれて起こされたのだった。

 

 

「ねぇ、鉄穴森って人知らない?」

 

 

「知ってますよ。今は鋼錢塚さんの所にいると思いますけど…。良かったら一緒に探しましょうか?」

 

 

無一郎は『なぜそこまで人に構うの?』か質問をした。

 

 

「人のために何かをすることは結局、巡り巡って自分のためになっているものだし。俺も行こうと思っていたから丁度いいんだよ」

 

 

炭治郎はそう言って笑顔で返した。

 

 

炭治郎の言葉を聞いた無一郎はかなり驚いていた。彼は母親を病気で、父親を事故で亡くした後、"兄"と二人で暮らしてした。しかしその兄も鬼に襲われ死亡。無一郎もまた鬼に襲われ重症を負ったが、何とか討伐した。

 

 

そして無一郎は耀哉の妻であるあまねに助けられ、一命を取り留める。その時に無一郎は"記憶喪失"となってしまったのだった。

 

 

炭治郎が言った言葉は、無一郎の記憶を取り戻すきっかけとなったのだ。

 

 

その時寝ていた禰豆子が起き上がった。その際に頭を炭治郎の顎にぶつけていたが、何ともなかった。

 

 

無一郎は禰豆子を見て『変な生き物』と言って首を傾げた。炭治郎は無一郎の言葉に驚き、禰豆子は無一郎の真似をしているのか、無一郎と同じ方向に首を傾げていた。

 

 

すると部屋に誰かが来た気配がして、炭治郎と無一郎は障子に目を向ける。

 

 

そして部屋に入って来たのは、『上弦の肆・半天狗』だった。

 

 

半天狗の気配の誤魔化し方は実に巧妙で、炭治郎は愚か無一郎でさえも視認するまでは鬼とは分からず、呆然としてしまっていた。

 

 

しかしそれは瞬きを一回する程の一瞬であり、無一郎は人形から奪った刀で、炭治郎は鋼錢塚が打った予備の刀で応戦した。

 

 

『霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り』

 

 

最初に無一郎が攻撃を仕掛ける。しかし攻撃は半天狗の顔を少し斬るだけに終わり、半天狗は天井に張り付いた。

 

 

『ヒノカミ神楽 陽華突』

 

 

炭治郎は刀の柄を押して威力を上げる突きを半天狗に向かって放つ。しかし半天狗は天井から離れ、炭治郎の攻撃を避けた。

 

 

しかし天井から離れた半天狗を禰豆子が蹴り飛ばした。だが炭治郎は禰豆子の姿を見て驚いていた。その姿とは、以前遊郭で暴走を見せた鬼の姿であった。

 

 

「禰豆子!その姿になるな!」

 

 

禰豆子の暴走を危惧した炭治郎は禰豆子に注意をする。その時、無一郎が半天狗の頚を斬った。しかし炭治郎は油断はしなかった。何故なら、遊郭で戦った上弦の陸のように"特殊な条件"で倒さなければならないと思っていたからだった。

 

 

「時透君、油断しないで!」

 

 

炭治郎が無一郎に注意をする。すると頚が斬られた体から"頚"が、斬られた頚からは"体"が生え、それぞれ"別の鬼"に姿を変えてしまった。

 

 

炭治郎と無一郎はそれぞれ別の鬼を相手にしようとすると、無一郎が向かっていた鬼が団扇を扇ぐと、もの凄い突風が吹き荒れ、家屋を壊し、無一郎を遥か彼方へ吹き飛ばしてしまった。

 

 

炭治郎は禰豆子に捕まり、禰豆子もまた破損した壁にしがみつき、突風を凌いでいた。

 

 

「カカカッ、楽しいのぅ。豆粒が遠くまでよく飛んだ。なぁ"積怒(せきど)"」

 

 

「何も楽しくはない、儂はただひたすら腹立だしい。"可楽(からく)"…、お前と混ざっていたことも」

 

 

団扇を扇いだ鬼"可楽"は錫杖(しゃくじょう)(お坊さんが持つ輪っかが付いた杖)を持った鬼"積怒"に話しかけるが、あっさりとあしらわれた。

 

 

炭治郎が二体の鬼に攻撃を仕掛けようとすると、積怒が錫杖の石突きを畳に叩きつける。するとそこを起点として放射状に雷が走った。

 

 

炭治郎は当然それを喰らってしまい、意識が飛びそうになる。そして炭治郎は屋根の上に人影があるのを見た。

 

 

それはこちら銃口を向けている玄弥だった。

 

 

玄弥は用事を済ませ、母屋に戻っている最中に突風が吹いたのを見た。そして炭治郎の下に鬼が現れたことを察した玄弥は急いで屋根の上に登り、銃口を鬼に向けたのだった。

 

 

玄弥は銃の引き金を引き、銃口が火を吹く。そして積怒と可楽の頚を撃ち落とした。

 

 

玄弥が撃った弾は日輪刀と同じ素材で生成された"散弾"だった。その散弾によって積怒の頚を撃ち落としたが、可楽に関しては首の皮一枚繋がっていた。

 

 

「(ちっ、一匹仕留め損ねたか!)」

 

 

玄弥は腰に差していた刀で可楽の頚を斬ろうとする。

 

 

「駄目だ玄弥!この鬼は頚を斬っても倒せない!斬ったら斬っただけ"分裂"する!頚を斬らせるのはわざとだ!」

 

 

炭治郎は玄弥に注意をするが、時既に遅し。玄弥の刀は可楽の頚を斬っていた後だった。

 

 

積怒と可楽の体は自身の頚を再生させ、斬られた頚からは新しい体が再生されていた。

 

 

炭治郎は四体の鬼の規則性や急所を探そうとする。すると背中から猛禽類を思わせる翼を生やし、手足もまた、猛禽類の足の形をした鬼"空喜(うろぎ)"が炭治郎を掴んで空を飛んでいた。

 

 

炭治郎は禰豆子に玄弥を助けるように頼もうとすると、玄弥が積怒の頚から再生した哀絶(あいぜつ)が持つ槍に体を貫かれていた。

 

 

「自分の心配より他人(ひと)の心配とは、余程余裕があるようだのう」

 

 

空喜は口を大きく開け、衝撃波を放つ。炭治郎はそれを喰らってしまった。だが、炭治郎もまた、ヒノカミ神楽で空喜の足を斬っていた。

 

 

炭治郎は落ちながら枝に手足を引っかけ、何とか地面への衝突を免れた。そして起き上がろうとした時に、自分の足を掴んでいた空喜の足から顔が生え、衝撃波を放とうとしていた。

 

 

炭治郎は咄嗟に顔を斬ってしまった。炭治郎はそれが敵を増やすことになることを斬った後に思い出していた。

 

 

炭治郎は分裂した顔から放たれた衝撃波を受けるが、"威力が弱まっている"ことに気づいた。

 

 

そう、半天狗の分身体は"空喜"、"積怒"、"哀絶"、"可楽"の四体の時"のみ"絶大な力を発揮する。そしてそれ以上に分裂すると、それ相応に"弱くなる"のだ。

 

 

炭治郎はそのことを看破し、再生した口を刀で突き刺した。

 

 

そして炭治郎は自分の後ろに空喜"の本体"がいることに気づいた。空喜は衝撃波を放つが、炭治郎は横飛びで回避した。その時、炭治郎は刀で突き刺した口が"消えている"ことに気づいた。

 

 

だがそこに空喜の爪が迫り、炭治郎の体を切った。

 

 

「どうだ俺の爪は!この速度、切れ味!金剛石をも砕く威力だ!震えるがいい、歓喜の血飛沫をもっと上げてみせろ!」

 

 

「お前もな」

 

 

体を切られた炭治郎が不敵に笑う。すると空喜の頚が"縦"に斬られていた。空喜は衝撃波を放とうとすると、それよりも速く炭治郎が空喜の口を斬った。

 

 

が、空喜は即座に斬られた箇所を再生させ、持ち前のスピードで炭治郎を翻弄する。しかし炭治郎もまた負けてはいなかった。

 

 

炭治郎は空喜の"弱点"である"体の軽さ"に気づき、空喜の舌に刀を突き刺し、その勢いで母屋の壁を破壊した。

 

 

そして炭治郎が目にしたものは、『積怒の錫杖によって喉を貫かれて感電している禰豆子』の姿だった。

 

 

炭治郎は禰豆子を助けるために積怒に迫る。積怒は手から新たに錫杖を作り、炭治郎に突き刺そうとした。しかし炭治郎はいつの間に斬っていたのか、空喜の足を盾にして錫杖を受け止めた。

 

 

それは偶然にも、錫杖の雷撃を通すことは無かった。炭治郎は積怒の舌を口ごと斬り、禰豆子の喉に刺さった錫杖を空喜の足を使って抜いた。

 

 

しかし禰豆子のことに集中し過ぎたため、後方警戒を怠ってしまい、積怒の錫杖が首の後ろに迫ってしまった。

 

 

『このままでは貫かれてしまう』そう思った炭治郎だが、それは杞憂に終わった。何故なら、禰豆子が錫杖を"掴んで"いたからであり、炭治郎は首に少し刺さっただけとなった。

 

 

その後禰豆子は爆血で積怒を燃やし炭治郎から離れさせた。しかしそこに可楽が現れ、団扇から突風を繰り出し炭治郎と禰豆子の二人を押さえつけた。

 

 

その突風の威力は凄まじく、二人がいる畳を団扇の形に繰り抜く程だった。そして二人はその衝撃によって気絶してしまったのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その頃里は大騒ぎになっていた。何故なら『上弦の伍・玉壺』が放った"使い魔"が里で大暴れしていたからだった。

 

 

「水の呼吸 参ノ型 流流舞い」

 

 

「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」

 

 

しかし被害はそれほど大きくは無かった。その理由は義勇と杏寿郎の二人が使い魔を悉く倒していたからだった。

 

 

「この辺りは粗方片付いたな」

 

 

「うむ!しかしこうも多くてはいずれ重傷者や死者を出してしまいかねん!どうしたものか…」

 

 

義勇と杏寿郎は使い魔を倒しながらこの状況を打破しようと考えていた。

 

 

「今は甘露寺がこちらに戻っていると思うから、それまでは持ち堪えさせてみせよう!」

 

 

「そうだな…っと、言ってる間に団体客がご到着のようだ」

 

 

二人が話している間に、使い魔が四方八方からワラワラと現れた。どうやら義勇と杏寿郎の二人を最大の脅威と捉えたようだ。

 

 

「このままでは埒がいかん!冨岡、お互いの最強の型で始末しないか!」

 

 

「奇遇だな。俺も同じ提案をしようと思っていた所だ」

 

 

義勇と杏寿郎は互いに笑い合うと

 

 

「水の呼吸 拾ノ型…」

 

 

「炎の呼吸 奥義…」

 

 

最強の型を繰り出すために刀を構えた。そして

 

 

「生生流転!」

 

 

「玖ノ型 煉獄!」

 

 

それぞれの最強の型で使い魔を全て倒した。

 

 

「水柱様~!、炎柱様~!」

 

 

そこに里の人が手を振りながら走って来た。

 

 

「今恋柱様がご到着されて、長を無事に救出されました!」

 

 

どうやら蜜璃が長を救出したことを伝えに来たようだ。

 

 

「流石は甘露寺!見事だ!」

 

 

「感心している場合か?今は一人でも多く助けるのが先だ」

 

 

義勇はそう言って、先にその場を去った。杏寿郎も義勇の後を追う形でその場を去り、使い魔を次々に倒していった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「えぇいっ、ちょこまかと逃げるなぁ!!」

 

 

その頃炭治郎たちは積怒の雷から逃げていた。炭治郎は禰豆子に担がれ、そこで目を覚ました。空喜の突進を回避した炭治郎たちは建物の中に避難するが、可楽の突風で母屋は破壊された。

 

 

禰豆子は瓦礫に挟まれる際に炭治郎の刀を握った。そして刀身に禰豆子の血が付着すると、爆血が発動し、漆黒だった刀身が徐々に赫くなって炎を纏い始めた。

 

 

禰豆子の力によって作られた刀『爆血刀』を携えた炭治郎は積怒たちの前に立ちはだかった。

 

 

『ヒノカミ神楽 日暈の龍 頭舞(かぶりま)い』

 

 

そして積怒、可楽、空喜の三体の鬼の頚を斬った。

 

 

炭治郎は哀絶の頚を斬ろうとその姿を探していると、体を木に槍で固定され、頚を斬られた哀絶と、その頚を持った玄弥の姿が見えた。

 

 

「玄弥!」

 

 

炭治郎は玄弥に声を掛ける。玄弥は首を炭治郎の方に向けた。そして炭治郎は驚いていた。玄弥の姿は眼球は黒く染まり、歯から牙も生えて、まるで"鬼"のようだった。

 

 

「炭治郎か。その様子だと、そっちも鬼を倒したようだな」

 

 

「玄弥…、お前まさか"鬼喰い"を…」

 

 

「あぁ、そうしないとヤバかったからな」

 

 

鬼喰い

 

 

それは鬼の血肉、或いは血鬼術で生成された物の一部分など、『鬼の一部』を喰らうことで一時的に鬼になれる"異能力"である。

 

 

だがこれを多く使用すれば、自我を失い、人喰い鬼になってしまう。正に『諸刃の剣』である。

 

 

炭治郎は玄弥から"鬼喰い"のことを聞いてはいた。しかし炭治郎はふと、『ある違和感』を感じた。

 

 

「あれ?玄弥、"鬼喰い"をしたら自我が薄くなるんじゃなかったか?」

 

 

炭治郎が感じた違和感、それは"玄弥の自我"であった。

 

 

「それに関しては俺も疑問に思っている。ヤバくなった時にお前の妹から分けてもらった髪を喰ったんだが、いつまで経っても自我が無くなりそうにないんだよ」

 

 

玄弥は炭治郎と別れる前に、鬼喰いのことを話しており、炭治郎の許可をもらって禰豆子の髪を一房もらっていたのだった。

 

 

そして哀絶と戦っている時に、哀絶の隙を見て禰豆子の髪を喰い、鬼の力を得て哀絶に攻撃をしたのだった。

 

 

だが玄弥は禰豆子の髪を喰った後も"自我を保ったまま"であったため、玄弥自身も不思議に思っていたのだった。

 

 

「あっ!そうだ禰豆子!」

 

 

炭治郎は急いで禰豆子の下へ向かい、瓦礫を取り除いて禰豆子を救出した。

 

 

「もしかしたら、禰豆子が原因かもしれない…」

 

 

瓦礫から助けた禰豆子を抱き締めた炭治郎は玄弥の鬼喰いをしても自我を保っている原因を察した。

 

 

「どういうことだ?」

 

 

玄弥は炭治郎に質問をし、炭治郎は禰豆子が他の鬼とは違うことを話した。

 

 

「なるほどな…。それだったら合点がいく」

 

 

玄弥も炭治郎の憶測に納得していた。

 

 

「!?、危ない!」

 

 

炭治郎は早々に再生した積怒の雷に気づき、玄弥と禰豆子を避難させた。

 

 

「玄弥、俺が匂いで"五体目"の鬼を探る!きっとそいつが"本体"だ!見つけたら知らせるから玄弥がその鬼の頚を斬ってくれ!」

 

 

炭治郎はそう言って、周囲の匂いを嗅いだ。

 

 

「(団扇の鬼が突風を使ったおかげで温泉特有の硫黄の匂いが流れている!探るなら今しかない!探れ探れ!集中するんだ!)」

 

 

炭治郎は硫黄の匂いが充満するまでの間に本体の匂いを探った。そして

 

 

「大丈夫、大丈夫じゃ…。儂は見つからぬ。悪い奴らは喜怒哀楽が倒してくれる…」

 

 

茂みの中に隠れている鬼を見つけた。

 

 

「(いた!!いた!!いた!!見つけた…、五体目、本体の鬼…!!)」

 

 

 

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