もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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第2話

 

 

炭治郎は禰豆子を運ぶ為の籠を手に入れようと近くの男性に籠と藁、竹を売ってくれと頼む。男性は『金はいらんから好きに持って行きな』と言った。しかし炭治郎は頑なに金を払うと言って男性の手に小銭を叩きつけた。

 

 

その後、炭治郎は籠と藁と竹を持って禰豆子に隠れてもらった横穴に到着し、禰豆子の名を呼びながら中を覗く。しかし禰豆子はそこにはいなかった。

 

 

それもそのはず、禰豆子は横穴の地面を掘ってその穴に入って隠れていたからだった。

 

 

炭治郎に呼ばれた禰豆子は自分が掘った穴から顔を少しだけ出した。

 

 

「(禰豆子が土竜(もぐら)みたいになってしまった…)」

 

 

炭治郎はそう思いながら、せっせと竹を裂き、藁を編んで籠を補強した。

 

 

そしていざ禰豆子を籠に入れようとするが、禰豆子の大きさは籠よりも大きく、頭から入っても、腰までしか入らなかった。そこで炭治郎は自分が禰豆子に襲われていた時、禰豆子の体が"大きくなった"ことを思いだし、禰豆子に小さくなるように言う。

 

 

すると禰豆子の体が小さくなり、籠にすっぽり入る大きさとなった。炭治郎は小さくなった禰豆子の頭を優しく撫で、禰豆子は満更でも無い様子で喜んでいた。

 

 

その後、炭治郎は義勇に言われた狭霧山へと向かった。途中、道行く人に狭霧山への道を聞いたりして、最後の難関である山へと到着した。

 

 

道を尋ねた人の証言では、『夜な夜な人が行方不明になっている』と言っていたが、狭霧山に向かうにはこの山を越えなくてはならなかったので、炭治郎はその人に礼をして山へと入って行った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

山を登っている途中で夜になり、炭治郎は禰豆子を籠から出し、手を繋いで歩いていると、古ぼけたお堂を見つけた。しかも明かりが漏れていることから人がいると推測された。

 

 

だが、お堂から血の匂いを嗅ぎ取った炭治郎は誰かが怪我をしているかもしれないと思い、立て付けが悪い障子を開ける。

 

 

するとそこには、人喰い鬼が人間を喰っている真っ最中だった。

 

 

鬼は禰豆子の気配を感じ、禰豆子では無く、炭治郎に襲い掛かる。炭治郎は持っていた斧で鬼の頚を狙って振り上げる。

 

 

軌道は見事鬼の頚を捉えたが、通常の斧では鬼を殺せる筈も無く、直ぐに傷口が塞がってしまった。

 

 

鬼は炭治郎を殺そうと押し倒し、首を掴んだ手に力を込める。すると禰豆子が鬼の頚を"蹴り飛ばした"。更に炭治郎めがけて鬼の体が動くが、それも禰豆子が蹴り飛ばした。

 

 

蹴り飛ばされた鬼は体を操り、禰豆子を襲う。そして鬼の頚も手を生やし炭治郎に襲い掛かる。しかし炭治郎は鬼の頚に頭突きを二回も喰らわせ、脳震盪を起こさせ、近くの木に斧で固定させた。

 

 

炭治郎は鬼の頚を固定させた後、禰豆子を助けるために鬼の体に体当たりをする。しかし、その下は運悪く崖となっており、このままでは鬼の体諸共崖下に落ちて死んでしまう。そう思った。

 

 

だが炭治郎は禰豆子に助けられ、難を逃れた。そして鬼の体は崖下へと落ち、潰れてしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎は持っていた小刀で鬼に止めを刺そうとする。しかしそれを止める人がいた。

 

 

炭治郎は肩を掴まれ、振り向く。そこには『天狗の面を着けた老人』がいた。

 

 

そう、この『天狗面の老人』こそ義勇が紹介した『鱗滝左近次』だったのだ。

 

 

炭治郎は左近次に『どうやしたら止めを刺せるか?』と聞くが、左近次は『自分で考えろ』と突っぱねる。

 

 

そして炭治郎は小刀をしまい、実弥から受け取った脇差しで止めを刺そうとする。だが、いざ止めを刺そうとすると、思いやりが強すぎて中々決行できないでいた。

 

 

それを左近次は"嗅覚"で悟った。

 

 

炭治郎がもたもたしていると、夜明けとなり、陽光が鬼を照らす。すると鬼から火が出て、そのまま灰と化した。

 

 

炭治郎はその光景を見た瞬間、禰豆子が陽光を嫌がる理由が分かったのだった。因みに禰豆子は夜明けが来る前に、お堂の中にある籠の中に避難し、布を被って陽光を凌いでいた。

 

 

左近次は炭治郎に自己紹介をし、『もし妹が人を喰ったら時、お前はどうする?』と言う質問をする。炭治郎は意味が分からず呆けていると、左近次は炭治郎の頬を平手打ちした。

 

 

左近次の先程の質問は"炭治郎の覚悟"を知る為であった。

 

 

左近次は炭治郎に質問をした"意味"を述べ、尚妹を連れて行くか問う。炭治郎は左近次の質問の意味を理解し、力強く返事をする。

 

 

そして左近次は『妹を背負ってついて来い』と言って走り出した。炭治郎は急いで禰豆子が入っている籠を背負い、左近次の後を追った。

 

 

しかし左近次は老人とは思えぬ速さで走っており、炭治郎は見失わないように追いかけるので精一杯だった。

 

 

やっとの思いで狭霧山にたどり着いた炭治郎は既に息が絶え絶えになっていた。そして左近次は炭治郎に禰豆子を家に置かせ、炭治郎と一緒に山を登る。

 

 

そしてある程度登った所で左近次は炭治郎の方を振り向き、『ここから山の麓の家まで下りてくること。今度は夜明けまで待たない』と言って霧の中へと消えた。

 

 

炭治郎は左近次以上に嗅覚が鋭いので、下山するのは楽だと思っていた。しかし、一歩足を踏み出すと足下の縄に引っ掛かり、横から石が飛んで来た。

 

 

更には手を着こうとした所が落とし穴になっており、炭治郎はそのまま真っ逆さまに落ちてしまった。

 

 

炭治郎は至るところに罠が仕掛けられていることに気づく。しかし落とし穴から這い出た途端に罠の仕掛けの紐を手で踏んでしまい、丸太が背後から襲って来た。

 

 

その他にも炭治郎が住んでいた雲取山よりも空気が薄く、息苦しさから思考力が落ちていた。

 

 

しかし炭治郎は呼吸を整え、嗅覚で罠の位置を知った。人の手で仕掛けられた罠は微かにその人の匂いが残っているため、炭治郎は罠の位置を知ることができた。

 

 

だが、罠の位置を知っても、その全てを回避できる筈も無く。幾度か罠を受けた炭治郎は夜明けギリギリで左近次の家に到着し、左近次に剣士として見込みがあることを認められた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから、炭治郎は左近次の"地獄の修行"を受けることになった。

 

 

炭治郎は毎日、山を下りる修行をしている。途中、罠が至るところに存在しているが、炭治郎はそれを回避する。しかし全てを回避できる訳でも無く、日に日に罠の精巧さが高くなり、罠に嵌まることもしばしばあった。しかも罠の中には、炭治郎を殺さんがための"刃物付き"まであった。

 

 

それから数日後、炭治郎は今度は刀を持って下山をする。しかし、手ぶらと刀を持った状態では勝手が違うらしく、悉く罠に嵌まってしまった。

 

 

更には下山したら刀を持っての素振りを言い渡されていた。しかも『刀を折ったらお前の骨を折る』とまで言われていた。

 

 

その他に『受け身』、『呼吸法』、『型』などを教えられた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎が左近次の下で修行を始めてから一年、左近次は『もう教えることは無い』と言って炭治郎をとある場所へと連れて行く。そこには"しめ縄をされた炭治郎と同じ位の高さの岩"があった。

 

 

左近次は『この岩を刀で斬れたら、"最終選別(さいしゅうせんべつ)"に行くのを許可する』と言ってその場を去った。

 

 

炭治郎はそれから毎日、基礎的な修行を繰り返した。しかし、それでも岩を斬れる予感はしなかった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「よォ、久しぶりだな」

 

 

それから数日後、左近次(正確には炭治郎)の下に実弥が訪れた。

 

 

「不死川さん!お久しぶりです!」

 

 

「お主が義勇が言っていた不死川実弥か」

 

 

炭治郎は実弥に挨拶をし、左近次は実弥を義勇から聞いていたのか、実弥を見ていた。

 

 

「お初にお目に掛かります鱗滝左近次殿。私は鬼殺隊"風柱"・不死川実弥と申します。以後お見知りおきを」

 

 

実弥は左近次に挨拶をした。

 

 

「良い。よくこんな辺鄙(へんぴ)な所へ来た。中へ入れ、茶を出そう」

 

 

「お土産におはぎをお持ちしましたので、よかったら」

 

 

実弥は持っていた風呂敷を掲げた。

 

 

「頂こう。炭治郎、休憩だ。客人をもてなせ」

 

 

「はい!」

 

 

炭治郎は束の間の休息をすることになった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ほゥ、岩を刀で…ねェ」

 

 

炭治郎は実弥にアドバイスを貰おうとして修行の内容を実弥に話した。

 

 

「はい。でも、幾ら修行しても岩を斬る感じがしなくて…」

 

 

炭治郎は話している途中で落ち込んでしまった。

 

 

「そりゃ当然だァ。何たって『全集中の呼吸』を使っていないんだからなァ」

 

 

実弥は炭治郎が出来ない理由を看破した。

 

 

「『全集中の呼吸』…ですか?」

 

 

聞き慣れない単語に炭治郎は首を傾げる。

 

 

「『全集中の呼吸』ってのは、俺たち鬼殺隊"全員"が使える呼吸法のことだァ。それをするのとしないのとでは、力の差がはっきり出る。全集中の呼吸を使えれば、岩なんか簡単に斬れるもんだァ」

 

 

炭治郎は修行の中で左近次から呼吸法と型について教わったことを思い出していた。

 

 

「今お前が教わっているのは"水の呼吸"ってやつだァ。コイツは柔軟な動きが特徴でな、今ある呼吸では最多の型が存在する」

 

 

実弥は義勇から教わったことを炭治郎に伝える。

 

 

「お前には水の呼吸の他にも俺が使う"風の呼吸"も会得して貰う。言っとくが拒否権は無いぜェ」

 

 

炭治郎は更なる地獄を見ることが確定した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

実弥が炭治郎の下を訪れてから早一年。炭治郎は岩を斬る修行の中で錆兎(さびと)と言う少年と真菰(まこも)と言う少女に出会い、二人(殆んどが真菰)から色々と教わった。

 

 

そして半年後、いつも木刀で勝負を仕掛けていた錆兎が、この日は真剣、つまり刀を持っていた。

 

 

そして炭治郎と錆兎の二人は互いに刀を振り下ろす。勝敗は炭治郎の方が速く、錆兎の面を"斬っていた"。

 

 

炭治郎が呆けていると、錆兎と真菰はその場におらず、その代わり、刀で斬られた岩がそこに鎮座していた。

 

 

炭治郎は錆兎の面を斬ったと思っていたが、実際は錆兎では無く、岩を斬っていたのだ。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎は早速左近次に岩を斬ったことを伝え、左近次と共にその場に赴く。そして斬られた岩を見た左近次は

 

 

「お前を最終選別に行かせるつもりは無かった。もう子供が死ぬのを見たく無かった。お前にあの岩は斬れないと思っていたのに…」

 

 

相当驚いていた。そして

 

 

「よく頑張った。炭治郎、お前は凄い子だ……」

 

 

炭治郎の頭を優しく撫でていた。炭治郎は左近次の優しさに嬉しくなり、左近次に抱きついて泣いた。

 

 

「最終選別、生きて帰れ。儂も妹も、此処で待っている」

 

 

その後、炭治郎たちは下山し、炭治郎は髪を切り揃え、左近次は炭治郎に『厄除(やくじょ)の面』と言う狐の面を彫った。その模様は炭治郎に似せてか、額の傷の所と同じ所に太陽が施されていた。

 

 

禰豆子は狭霧山に到着してからこの二年間、眠ったままだったので、最終選別には同行できず、左近次が預かる形となった。

 

 

そして炭治郎は左近次と同じ服を着て

 

 

「鱗滝さん行ってきます!錆兎と真菰によろしく!」

 

 

最終選別が行われる藤襲山(ふじかさねやま)へと向かった。

 

 

左近次は出立する炭治郎を見送りながら

 

 

「炭治郎…、なぜお前が"死んだあの子たち"の名を知っている」

 

 

と呟いていた。

 

 

 

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