もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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第22話

 

 

炭治郎は行冥の修行を全て終え、最後の柱、義勇の下へ向かっていた。

 

 

そして義勇の屋敷『水屋敷』へと到着すると、中庭で炭治郎の師範である義勇と実弥が木刀をそれぞれ持って対峙しており、炭治郎は垣根の外から様子を伺っていた。

 

 

すると

 

 

「風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ!」

 

 

実弥が高速で斬撃を繰り出した。しかし義勇はそれを木刀で受け止めた。だが、受け止めた木刀が少し欠けてしまった。

 

 

そして何度も打ち合い

 

 

「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮!」

 

 

義勇が実弥の足を狙って打ち潮を使うが、実弥はジャンプしてそれを避けた。

 

 

「風の呼吸 伍ノ型 木枯らし颪!」

 

 

「水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き!」

 

 

実弥は空中で風のエフェクトを、義勇は地上から水のエフェクトを纏った突きをそれぞれ繰り出した。その威力は凄まじく、木刀の切っ先が触れ合った瞬間、木刀が粉々に砕けてしまった。

 

 

「……木刀が砕けてしまったな」

 

 

「…そうだなァ」

 

 

義勇と実弥はお互いの砕けた木刀をぼんやりと見ていた。

 

 

「……炭治郎、そこにいるのは分かっている。隠れてないで出てきたらどうだ?」

 

 

「!?」

 

 

義勇に言われ、炭治郎は垣根を越えて姿を見せた。

 

 

「あの…、お二人は何を…」

 

 

炭治郎は先程の稽古について質問をする。

 

 

「"柱稽古"だ。柱稽古には二種類の意味合いが在って、一つ目は今炭治郎たちが行っている"柱が下の階級の者を稽古する"もの、二つ目は文字通り"柱同士の者が稽古をする"ものだ。俺たちがやっていたのは二つ目の意味の柱稽古だ」

 

 

義勇は丁寧に炭治郎に分かりやすく説明をした。

 

 

「水柱様、風柱様。稽古は終わりましたか?」

 

 

そこにカナヲが現れた。

 

 

「栗落花か、ちょうど今終わった所だ。そして"人数が揃った"からやっと稽古をつけることができる」

 

 

「えっ!?カナヲはまだ稽古をつけてはいなかったんですか!?」

 

 

義勇の発言に炭治郎は驚いていた。

 

 

「あぁ。この俺"水柱・冨岡義勇"の柱稽古、それは『連携訓練』だ」

 

 

柱稽古 最終試練

 

 

水柱・冨岡義勇の連携訓練

 

 

「任務によっては柱を含めて複数の隊員が一緒の任務に赴くことがある。炭治郎も覚えはあるだろ?那田蜘蛛山の時や無限列車、最近だと俺と煉獄の刀鍛冶の里の護衛があるな」

 

 

(てき)が一体に対して隊員(みかた)が複数の場合、連携がとれていないと、互いの足を引っ張ることになる。俺の訓練では、それを無くすために設けたんだ」

 

 

義勇の説明に炭治郎、カナヲ、そして実弥が頷いた。

 

 

「実弥…、お前には以前話しただろ…。まあいい、まず最初に俺と実弥、炭治郎と栗落花の組、次に俺と炭治郎、実弥と栗落花と言った感じで組を変える。全ての組で相手を全員倒せたら終了だ。では道場に移動する。付いて来てくれ」

 

 

義勇は説明を終了し、道場へ移動する。その後を炭治郎たちが追いかけた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「はぁ…」

 

 

その日の夜、炭治郎は湯に浸かり、一日の疲れを癒していた。

 

 

「流石は義勇師範と実弥師範…、全く敵わなかった…」

 

 

炭治郎はその日の訓練を思い返していた。

 

 

柱と柱、隊員と隊員。柱と隊員、柱と隊員。全てにおいて炭治郎は相方の足を引っ張っていた。

 

 

炭治郎は稽古が終わり次第相方に謝ったが、みんな笑って許していた。

 

 

「何がいけなかったんだろう…」

 

 

炭治郎は考えに集中してしまったのか、逆上せてしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから三日後、炭治郎は"ある結論"にたどり着いた。

 

 

「(義勇師範の動き…、まるで"相方が次に出す型が分かっている"ような動き…。そうか!義勇師範は相手の動きを"観察"して次に使う型の動きを"予測"していたんだ!)」

 

 

炭治郎は義勇の動き方に違和感を感じており、その結論にたどり着いた。

 

 

「風の呼吸 伍ノ型 木枯らし颪!」

 

 

「花の呼吸 陸ノ型 渦桃!」

 

 

炭治郎が考えている途中で実弥が空中からの突きを繰り出し、カナヲは攻防一体の技で避ける。

 

 

「(ここだ!)ヒノカミ神楽 輝輝恩光(ききおんこう)!」

 

 

炭治郎は実弥が着地する瞬間を見切り、力強く踏み込んで木刀を振り抜いた。

 

 

実弥は何とか木刀で防御するが、木刀の耐久力が限界を迎えたのか、木刀が折れてしまった。

 

 

「水の呼吸 参ノ型 流流舞い!」

 

 

そこに義勇が炭治郎と着地しようとしたカナヲを同時に攻撃しようとした。

 

 

「ヒノカミ神楽 幻日虹(げんにちこう)!」

 

 

しかし炭治郎の姿がまるで幻のように揺らめき、義勇の木刀が当たった瞬間に消えた。すると義勇の後ろにカナヲをお姫様抱っこ(横抱き)した炭治郎がいた。

 

 

「カナヲ、大丈夫?」

 

 

「う…、うん…」

 

 

カナヲは自分の顔と炭治郎の顔が近いことに恥ずかしさを感じ、顔を真っ赤に染めていた。

 

 

炭治郎とカナヲはお互いの顔を見つめ、徐々に顔の距離が近くなる。

 

 

「水の呼吸 拾ノ型 生生流転!」

 

 

『本気でkissする5秒前』で義勇が攻撃を仕掛け、二人はそれぞれ反対方向に離れた。

 

 

「今は訓練中ということを忘れるな。そういった行為は訓練が終わってからにしろ」

 

 

義勇に正論を言われた二人は反省し、気持ちを切り替えて訓練に挑んだ。

 

 

だが結局この日も炭治郎は義勇たちに勝つことはできなかった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その日の夜、炭治郎は風呂で汗を流し、後は寝るだけとなり、自分に用意された部屋に布団を敷いた。すると

 

 

『炭治郎、起きてる?』

 

 

カナヲが襖の向こう側から声をかけた。

 

 

「カナヲ?どうしたんだ?」

 

 

『ちょっとお話したくて…、入っていい?』

 

 

「分かった、入っていいよ」

 

 

炭治郎は入室を促し、カナヲは襖を開けて中に入った。カナヲの姿は寝間着を着ており、髪も解いて自然な状態だった。

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

二人は無言のまま見つめあった。そして

 

 

「炭治郎、聞いて。私、炭治郎のこと、一人の男性として好きなの。だから、私を炭治郎のお嫁さんにして」

 

 

カナヲは炭治郎に愛の告白をした。

 

 

「……嬉しいよ、カナヲ。俺も、俺もカナヲのこと、一人の女性として好きだ。だから、俺と結婚してくれ」

 

 

炭治郎もまた、カナヲに告白をした。

 

 

「……嬉しい!」

 

 

カナヲは嬉しさの余り、炭治郎に抱きついた。

 

 

「炭治郎…」

 

 

「カナヲ…」

 

 

二人の顔は徐々に近くなり、そして

 

 

「んっ…ちゅ」

 

 

「んぅ…」

 

 

ゼロになった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

チュンチュン… チュンチュン…

 

 

「ん…んんっ…」

 

 

翌朝、炭治郎が目を覚ました。炭治郎はふと、隣に目を向けると、そこにはカナヲが幸せそうな寝顔で寝ていた。

 

 

「何でカナヲが…?あっ…、そっか…。昨夜、俺はカナヲと…」

 

 

炭治郎はカナヲと一緒に一晩を過ごしたことを思い出した。そして炭治郎はカナヲの頬にキスをして、起こさないように気をつけながら起き上がり、退室した。

 

 

実はこの時、カナヲは既に目覚めており、狸寝入りをしていたのだ。そして炭治郎が自分の頬にキスをしたことで、幸せの絶頂に浸っていた。

 

 

「よォ炭治郎、おはよう」

 

 

「あっ、実弥師範、おはようございます」

 

 

炭治郎は顔を洗いに井戸へ行く途中の廊下で実弥と出会い、挨拶を交わした。

 

 

「昨夜は"お楽しみ"だったなァ」

 

 

「…!?…!?…!?」

 

 

実弥が炭治郎にひっそりと話すと、炭治郎の顔が一気に真っ赤に染まり、口を金魚のようにパクパクさせた。

 

 

「だっはっはっ!そんな恥ずかしがるこたァねぇだろ!堂々と胸を張れ胸を!それと俺は今日、玄弥の様子を見に悲鳴嶼さんの所へ行くからなァ。因みに義勇には既に断りはもらっているからな」

 

 

実弥は炭治郎の背中を何度も叩き、その場を去った。

 

 

「むっ…、炭治郎か。おはよう」

 

 

「あっ…、義勇師範。おはようございます」

 

 

炭治郎が井戸に到着すると、そこには義勇が顔を拭いていた。どうやら先に顔を洗っていたようだ。

 

 

「炭治郎、昨夜は良く眠れたか?」

 

 

「はい、もうぐっすりでした」

 

 

「そうか。それと今日の稽古だが、俺と実弥は用事があるので休みとする。栗落花にもそう伝えてほしい」

 

 

義勇は稽古を休みにすることを伝え、それをカナヲにも伝えるよう頼んだ。

 

 

「分かりました。実弥師範とは先程廊下で会いまして、玄弥の所へ行くって言ってました」

 

 

「そうだな、俺もそう聞いている。俺はしのぶと用がある。それと今晩は"お赤飯"を炊くことにした。楽しみに待っていてくれ」

 

 

義勇はそれだけ言って着替えのために去った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎はその後カナヲに今日の稽古は休みであることを伝えた。そしてカナヲはこれを好機と捉え、炭治郎をデートに誘う。

 

 

炭治郎は満更でもない様子でそれを承諾。二人は隊服に着替え、市井へと向かった。

 

 

カナヲは歩きにくそうにしていたが終始笑顔で私服を買ったりと楽しそうで、炭治郎もまたカナヲの笑顔を見て笑っていた。

 

 

そしてその夜、義勇は言った通り赤飯を炊き、みんなに振る舞った。

 

 

炭治郎とカナヲは美味しそうに食べていたが、実弥が赤飯を出す"理由"を言うと、二人共派手に赤飯を吹き出し、顔を真っ赤にしていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから二日後、義勇の下に玄弥と伊之助が訪れた。二人共行冥の稽古を突破したからである。

 

 

義勇は二人に稽古の内容を説明し、炭治郎とカナヲ、実弥を含めた六人で稽古を開始した。

 

 

しかしその稽古は唐突に終わりを迎える。

 

 

「カァー!カァー!緊急招集!緊急招集!産屋敷邸ニ無惨ガ襲撃!襲撃!柱並ビニ隊員ハ速ヤカニ集マレ!」

 

 

鬼殺隊の怨敵である鬼舞辻無惨が現れたせいで…。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

鴉が鬼殺隊全員に報告に向かう前、産屋敷邸の一室にあまねが座っていた。その前には布団が敷かれており、その中には"全身に包帯を巻いた"耀哉が寝ていた。

 

 

するとその部屋から見える中庭から一人の男性が現れた。

 

 

「やあ……、ようやく…、姿を…見せたね……。鬼舞辻…無惨……」

 

 

その男性とは無惨だった。

 

 

「何とも醜悪な姿だな…、産屋敷」

 

 

無惨は今の耀哉の姿を見て、"醜悪"の一言で済ませてしまった。

 

 

「醜悪…か。私がこの姿になったのも、私の一族が鬼殺隊を結成したのも、全て…、全て君が原因なんだ!!」

 

 

耀哉は今までに無い程の大声を出した。

 

 

「無惨…、君と私は元は"同じ一族"だった…。しかし、君が鬼になってしまってからは私の一族は呪われてしまった…。生まれてくる子供は皆病弱ですぐ死んでしまう…、いよいよ一族が絶えてしまいそうになった時、神主から助言をもらった」

 

 

「『同じ血筋から鬼が出ている。その者を倒すために心血を注ぎなさい。そうすれば一族は絶えない』…と。代々神職の一族から妻をもらい…、子供は死にづらくなったが…、それでも、この呪いのせいで三十年と…、生きられない」

 

 

耀哉は一族に伝わる伝承を無惨に言う。

 

 

「くだらないな。私達にはそんなことは関係無い。お前が私の血縁だろうと、私には知ったことでは無い」

 

 

しかし無惨はそれを一蹴した。

 

 

「私の悲願は達成される。竈門禰豆子を取り込むことで。私は太陽を克服する。さあ無駄話は終わりだ。竈門禰豆子を差し出せ。そうすればなるべく苦しまずに殺してやろう」

 

 

「ふっ…、ふふっ……、ふふふっ…、ふははっ…」

 

 

無惨の要求に耀哉は笑い出した。

 

 

「……何がおかしい」

 

 

笑い出した耀哉を見て無惨は怒りを堪えて問い質す。

 

 

「私が素直に禰豆子を引き渡すとでも思っているのかい?滑稽、余りにも滑稽だ。私たちは君の部下でも、しもべでも、ましてや奴隷でも無い。君に禰豆子は渡さない」

 

 

耀哉は無惨の要求を突っぱねた。

 

 

「……まあいい。私はお前とは違って時間はたっぷりある。お前を殺した後、じっくりと竈門禰豆子を探すとしよう」

 

 

「そんなこと、させると思っているのかい?」

 

 

「……なに?」

 

 

無惨が耀哉を殺そうと手を伸ばした時に、耀哉の一言でその手が止まった。

 

 

「君は何度も、そう何度も"虎の尾"を踏み、"龍の逆鱗"に触れている。本来なら一生寝ていたはずの虎や龍を君は起こしてしまった。彼らはずっと狙っているよ、君の命を奪い取るまで」

 

 

「それに、君が死ねば、"全ての鬼が滅ぶ"のだろう?」

 

 

耀哉に図星をつかれ、普段動揺しない無惨が一瞬、動揺してしまった。

 

 

「この空気の揺らぎ…、どうやら図星のようだね」

 

 

「…黙れ」

 

 

「ふふっ…、その言葉は今は肯定に聞こえるよ。私の言いたいことはもう全て言い尽くした。まさか君がここまで聞いてくれるとは思わなかったよ」

 

 

「…話は終わりだな?なら死ね、産屋敷」

 

 

無惨は今度こそ耀哉を殺そうと手を伸ばす。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

鴉の知らせを受けて、蜜璃、小芭内、無一郎、実弥、義勇といった柱、そして炭治郎、カナヲ、伊之助、玄弥といった隊員が産屋敷邸へと急いで向かっていた。

 

 

そして産屋敷邸をそれぞれの視界に捉えた瞬間

 

 

ドゴ~~ン……

 

 

産屋敷邸が"爆発"した。

 

 

普通ならば、敬愛する者が亡くなった時、呆然とする。"普通ならば"。現にカナヲ、伊之助、玄弥の三名は呆然としていた。

 

 

しかし炭治郎と、柱全員は何故か"笑っていた"。そう、まるで産屋敷邸が爆発するのを"知っていた"かのように…。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

産屋敷邸を灰にしている炎の中、一人の男がいた。

 

 

「グッ、産、屋敷ィィッ!!」

 

 

その男こそ今耀哉を殺そうとしていた『上司にしたくない者No.1』の男、『超ブラック企業の第一人者』、『腐ったワカメ頭』の鬼舞辻無惨だった。

 

 

「(迂闊だった…。私は産屋敷耀哉という男を、人間にあてる物差しで測っていた。だがそもそもそれが間違いだった!産屋敷(ヤツ)は尋常では無い!私を殺すために屋敷諸とも妻や子供を道連れにするか普通!?)」

 

 

耀哉の思いがけない策に無惨はかなり動揺していた。

 

 

「(しかし、奴はこれだけでは終わらないはずだ。現に人の気配がこちらに集まりつつある、恐らくは柱。あの野郎、自分を囮にして戦力を集めていたな!しかも爆発と同時に撒菱(まきびし)のような物を使って殺傷能力を上げていた。下手をすれば自分にも刺さるぞコイツ!)」

 

 

無惨は心の中で愚痴っていた。すると無惨の周りに小さな肉の塊が幾つも漂っていた。

 

 

「(これは…、肉の種子。血鬼術か!?)」

 

 

無惨が肉の塊が血鬼術だと見破った瞬間、種子が棘に変わり、無惨を貫いた。

 

 

「(固定された!?この棘、私の体内で更に細かく枝分かれして抜けないようになっている。だか問題無い。全て吸収すればいいだけのこと)」

 

 

無惨は棘を吸収し始めると、腹に違和感を感じた。無惨が目を向けると、そこには零余子が自分の腹に手を突っ込んでいた。

 

 

「貴様は…、零余子!?何故生きている!?貴様はあの時、私が殺したはず!」

 

 

「残念だったわね鬼舞辻無惨!あの時アンタが殺したのは私の血鬼術で作った分身よ!そして私はあの後、自分の血鬼術を昇華させて他人の分身をも作ることができるようになった!アンタが殺そうとしていた"お館様"たちは、私が作り出した分身!本物はアンタの知らない所で、アンタが死ぬ知らせを首を長くして待っているわよ!」

 

 

何と先程まで無惨の前にいた耀哉たちは、零余子が血鬼術で作り出した分身だったのだ。

 

 

「それに、今アンタは体内の棘と一緒に私の手も吸収した。私の手には何が握られていたと思う?"鬼を人間に戻す薬"よ!」

 

 

「馬鹿な!?そんな薬、完成しているはずが無い!」

 

 

無惨は自分が吸収したのが棘だけでは無いことを信じはしなかった。

 

 

「じゃあ今自分が吸収したのは何かしらね?言っとくけど、薬が完成したのは本当よ?アンタは徐々に人間に戻り、不老じゃ無くなる。それまで精々足掻くことね」

 

 

無惨に説明をしている零余子の体が徐々に崩壊し始めた。

 

 

『そうそう、言い忘れていたけど、私もお館様たち同様、血鬼術で作られた分身よ。本物はここには誰一人たりともいないわ。岩柱様、後はお願いしますね…』

 

 

零余子の分身はそう言い残した途端、崩壊した。

 

 

「無論!零余子殿、そなたの覚悟、無駄にはしない!鬼舞辻無惨、覚悟!南無阿弥陀仏!」

 

 

するとまるで入れ替わるかのように行冥が現れ、自分の武器の一つである棘付き鉄球を無惨に向けてぶん投げ、無惨の頭を潰した。

 

 

 

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