もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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第23話

 

 

「(……やはり!!鬼舞辻無惨…、この男、頚を斬っても死なない!!)」

 

 

行冥は無惨の再生する音を聞いてその再生速度を知った。

 

 

「(この再生の速度、音からして私が今まで対峙したどの鬼よりも強い!流石鬼の始祖というべきか。これはやはり、夜明けまでの持久戦に持ち込むしか無い…か)」

 

 

頚を再生させた無惨は行冥に手を向ける。すると

 

 

『黒血枳棘』

 

 

血色の有刺鉄線を伸ばした。

 

 

『岩の呼吸 参ノ型 岩躯の膚』

 

 

しかし行冥は自身の武器である手斧と鉄球を振り回し、鉄線を悉く斬った。

 

 

「貴様ァァァ~~ッ!!」

 

 

そこに実弥を始めとした柱たちが抜刀しながら続々と到着した。

 

 

「(柱たちが集結…、お館様のご配慮か。見事なり…)無惨だ!鬼舞辻無惨だ!奴は頚を斬っても死なない!夜明けまで此処に押し留めるぞ!!」

 

 

行冥の言葉に柱たちは目の前にいる男が無惨だと知る。

 

 

「無惨!!!」

 

 

ただ一人、以前浅草で出会った炭治郎を除いては。

 

 

『霞の呼吸 肆ノ型』

 

 

『蛇の呼吸 壱ノ型』

 

 

『恋の呼吸 伍ノ型』

 

 

『水の呼吸 参ノ型』

 

 

『風の呼吸 漆ノ型』

 

 

『雷の呼吸 壱ノ型』

 

 

『獣の呼吸 伍ノ牙』

 

 

『花の呼吸 肆ノ型』

 

 

『ヒノカミ神楽』

 

 

柱や隊員がそれぞれの型を繰り出すために足を踏ん張る。しかし、急に脱力したかのように踏ん張りが利かなかった。何故なら、"足下が地面では無く、開いた障子"だったからだ。

 

 

「フハハハハッ、これで私を追い詰めたつもりか鬼狩り共!?貴様らがこれから行くのは地獄だ!目障りな鬼狩り共、今宵皆殺しにしてやろう!」

 

 

無惨は障子の向こう側に落ちながら挑発する。

 

 

「地獄に行くのはお前だ無惨!!絶対に逃がさない、俺たちが必ず倒す!!」

 

 

炭治郎も無惨に負けじと挑発をする。

 

 

「やれるものなら、やってみろ!竈門炭治郎!!」

 

 

こうして無惨を含む産屋敷邸に集まったメンバーが、無限城へと落とされた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎は型を繰り出して体勢を変えてどこかに掴まろうとするが、落下速度が速く、加えて落下による風圧で体勢を整える処か型を繰り出す余裕すら無かった。

 

 

しかし誰かが炭治郎の羽織を掴み、振り子の要領で炭治郎を放り投げたおかげで、炭治郎は難を逃れた。

 

 

シュタッ「炭治郎、大丈夫か!?」

 

 

「義勇師範!」

 

 

炭治郎を助けたのは義勇だった。

 

 

「ありがとうございます!おかげで助かりまし…」

 

 

『水の呼吸 壱ノ型 水面斬り』

 

 

お礼を言っていた炭治郎の背後に鬼が現れたが、炭治郎は振り向き様に水面斬りを使い、鬼の頚を斬った。

 

 

しかしそれが合図だったのか、異形の鬼が次々と炭治郎の目の前の襖を破って涌き出てきた。

 

 

『水の呼吸 参ノ型 流流舞い』

 

 

『風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐(こくふうえんらん)

 

 

だが義勇と炭治郎は鬼を悉く斬り伏せた。

 

 

「大丈夫だったか?」

 

 

「はい。稽古をしていて良かったです」

 

 

二人は互いの無事を確認すると、その場を移動した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その頃、小芭内と蜜璃は一緒に行動しており、次々に現れる鬼を斬っていた。

 

 

『蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇』

 

 

「甘露寺に近づくな塵共」

 

 

「(キャーッ、伊黒さん素敵!)」

 

 

その殆んどが小芭内に倒されていたが…。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

同じ頃、行冥は無一郎を連れて無限城内を走っていた。

 

 

「凄い量の鬼ですね…」

 

 

「下弦程度の力を持たされて(・・・・・)いるようだ…。我々を消耗させようとしているのだろう…」

 

 

二人が話している間にも、鬼は襲ってくるが、こちらも返り討ちにしていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ちくしょう…、炭治郎たちとはぐれちまったぜェ…」

 

 

一方、実弥は一人で無限城内を探索していた。その目的ははぐれた炭治郎たちを見つけるためだった。

 

 

しかし実弥の下にも鬼が押し寄せて来た。

 

 

「しつけェんだよ!!風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐(しょうじょうさじんらん)!」

 

 

実弥は襲ってきた鬼を細切れにする。しかし鬼が四方八方から次々に現れる。

 

 

「悪ィが、お前らに構っている暇はこちらには無ェんだよ!!」

 

 

実弥は鬼の群れに一人、突っ込んで行った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎と共に行動していた玄弥、伊之助、善逸、カナヲはそれぞれバラバラにはぐれてしまったが、鬼を倒しながら城内を進んでいた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

無限城の廊下の一角に、何故かしのぶがいた。

 

 

「ここは一体…」

 

 

しのぶが鳴女に捕捉されたのは丁度義勇の稽古が一日休みの時、義勇はしのぶの所へ赴き、炭治郎とカナヲが結ばれたことをひっそりと話していた。それに喜んだしのぶは義勇を街に連れて逢い引き(デート)したのだ。

 

 

しかも夜になってもしのぶは義勇を離さず、そのまま宿に泊まり、翌日の朝に蝶屋敷に帰ったのだった。

 

 

無論しのぶと共同で薬を生成していた珠世は当然しのぶを叱った。その姿を見ていたアオイたちは『まるで母子(おやこ)みたいだった』と語っていた。

 

 

しのぶは辺りを見渡し、自分が何処にいるのかを把握しようとしていた。

 

 

しのぶは鬼の気配を感じ取り廊下を進んでいると、一つの扉の前で止まった。

 

 

「(この部屋から血の匂いがする…)」

 

 

しのぶは意を決してその扉を開けた。

 

 

その部屋は床一面水が張られており、所々に蓮華の花があった。そして部屋に掛けられた桟橋の上には、幾人もの女性の死体が転がっていた。

 

 

バリッ バリッ ゴリッ「あれぇ、来たの?」グルンッ

 

 

するとしのぶの気配を感じたのか、女性を喰っていた鬼がしのぶの方を振り向いた。

 

 

「わぁ、女の子だ!若くて美味しそうだなぁ。後で鳴女ちゃんにありがとうって言わなくちゃ」

 

 

鬼は食事を止めてしのぶの方に体を向け

 

 

「やあ、俺は童磨。いい夜だねぇ」

 

 

被っていた帽子を取って自己紹介をした。

 

 

「た…、たす…。助けて、助けて…!」

 

 

その時、まだ生き残っていた女性がしのぶに助けを求めた。

 

 

「しーっ、今話してるだろうに…」

 

 

ヒュガッ

 

 

童磨は腕を振って氷を出した。しかし童磨の攻撃は空振りに終わった。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

何故なら、しのぶが間一髪で女性を救出していたからだった。

 

 

女性は息を荒くしているが、突如、全身が切り刻まれて絶命した。

 

 

「あ、大丈夫!そこにそのまま置いといて!後でちゃんと喰ってあげるから」

 

 

童磨は徐に立ち上がり、持っていた鉄扇を広げた。

 

 

「……これがあなたのやり方ですか?『万世極楽教』の教祖、いえ、『十二鬼月・上弦の弐』、童磨…」

 

 

しのぶは怒りに満ちた顔を童磨に見せた。

 

 

「あれ?俺のこと知ってるの?そうだよ。その子はもう苦しくない、辛くもない、怯えることもない。誰もが死ぬのを怖がるから、俺が喰ってあげているんだ。俺と共に永遠の時を生きていくんだ」

 

 

「俺は信者たちの想いを、血を、肉を、しっかりと受け止めて救済し、高みへと導いている。それが俺の仕事であり、やるべきことなんだ」

 

 

童磨は自分のことを知っていることに疑問を感じるが、しのぶの質問に答える。

 

 

「反吐が出ますね…、あなたの頭の中は蛆虫が湧いているんじゃありませんか?」

 

 

「初対面なのに酷いこと言うなぁ…、何かつらいことでもあったのかい?よかったら聞くよ?」

 

 

しのぶの罵詈雑言に動じない童磨にしのぶの怒りは更に増した。

 

 

「つらいも何も…、私の"姉"を殺したのはお前だな!この羽織に見覚えは無いか!?」

 

 

しのぶは堪忍袋の緒が切れそうになりながらも、辛うじて怒りを抑え込み、自分の羽織を握りながら童磨に問い質す。

 

 

「んん?あぁ、あの花の呼吸を使ってた女の子か!いやぁ残念だったよ、朝日が昇って救済し損ねたからね。ちゃんと喰ってあげたかっ…た」

 

 

『蟲の呼吸 蜂牙(ほうが)ノ舞 真靡き』

 

 

童磨の言葉にとうとうしのぶの怒りが頂点を越え、童磨の左目を刀で突き刺した。

 

 

『血鬼術 蓮葉氷』

 

 

「うーん、速い、速いねぇ。凄い突きだ、手で止められなかった。だけど不憫だなぁ、突きじゃ鬼は殺せない。やっぱり頚を斬らないと」

 

 

童磨は血鬼術でしのぶを遠ざけ、突かれた左目を再生させた。

 

 

「それは重々、百も承知です。ですが、"毒"ならどうですか?」

 

 

しのぶは納刀しながら童磨を見据える。

 

 

「ん?グッ、ガハッ」ビチャビチャ

 

 

童磨の体内に注入された毒が効果を発揮し、童磨は血反吐を吐く。

 

 

「あれぇ?毒、分解できちゃったみたいだなあ。ごめんねえ」

 

 

しかし童磨は血反吐を数回吐いただけで体内の毒を解毒してしまった。

 

 

「その刀、鞘にしまう時の音が独特だね。そこで毒の調合を変えているのかな?」

 

 

童磨は鞘にしまう音を聞いただけで、調合を変える仕組みを見破ったのだった。

 

 

「うわーっ、楽しい!!毒を喰らうのって面白くて癖になりそう!次の毒なら殺せるかな?やってみるかい?」

 

 

「えぇいいですよ。そんなに癖になるのだったら、何度でも打ち込んであげましょう」

 

 

しのぶは童磨に別の調合を施した毒を注入しようとしていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

しのぶが童磨と出会っていたころ、炭治郎と義勇の目の前に"ある鬼"が現れた。

 

 

「!?炭治郎、冨岡殿!」

 

 

「「猗窩座殿(さん)!!」」

 

 

二人の目の前に現れたのは猗窩座だった。

 

 

「丁度良かった!今あなたたち二人を探していた所だったんだ!この無限城に胡蝶殿が落とされてしまったんだ!」

 

 

「何だって!?それは本当か猗窩座殿!」

 

 

「間違い無い!現に俺は胡蝶殿が落とされた扉を潜ってここにいるのだからな!」

 

 

猗窩座はしのぶが無限城に落とされたことを義勇たちに知らせた。

 

 

「胡蝶殿は恐らくだが、童磨の所にいると思う!奴は女の肉が大好物だから、胡蝶殿が危ない!今から童磨のいる部屋に案内するからついて来て欲しい!」

 

 

「「わかった(わかりました)!!」」

 

 

猗窩座の要請に二人は頷く。しかしその行き先に鬼が大量に現れたのだった。

 

 

「俺たちの邪魔をするな!!『炎の呼吸 伍ノ型 炎虎・二連』!!」

 

 

猗窩座は腰の後ろに差している二本の短刀をそれぞれ逆手持ちで抜き、構えると、炎でできた虎を二匹同時に鬼に向けて繰り出す。すると、目の前の鬼たちは瞬く間に灰となっていった。

 

 

「猗窩座さん…、今のって…」

 

 

「あぁ、杏寿郎殿が使う『炎の呼吸』だ!耀哉殿こと"お館様"が渡してくれた日輪刀を握ってみると、刀身が"燃えるような赤"に染まってな!それで俺の適正呼吸が"炎"と分かると、お館様は杏寿郎殿に連絡して俺に炎の呼吸を伝授してくれたのさ!」

 

 

「更にこの短刀は鋼錢塚殿が俺のために打ってくれた刀だ!」

 

 

猗窩座は何故炎の呼吸を使えるのか、何故短刀を持っているのかを説明した。

 

 

「そうだったのか…。そう言えば、猗窩座殿の服も、鬼殺隊の隊服に似てるな…」

 

 

義勇が疑問に思ったこと。それは『猗窩座が着ている服』だった。それもそのはず。猗窩座の服は鬼殺隊の隊服であるのだから。

 

 

(イメージは猗窩座の服を鬼殺隊服に見立てた物で、上着の前を全部解放している感じです)

 

 

「因みにだが、零余子の色は"青"だったぞ!今は鱗滝左近次と言う天狗の面を着けた方に教えを請うているはずだ!」

 

 

猗窩座は目的地に進みながら、零余子の状況を説明していた。

 

 

「そうなんですか!実は俺と義勇師範も鱗滝さんの下で修行していたんですよ!」

 

 

炭治郎、義勇もまた、猗窩座について行きながら、鬼を討伐していた。すると三人の前方からカナヲと伊之助が来ているのを見つけた。

 

 

「カナヲ!伊之助!」

 

 

「炭治郎!」

 

 

「権八郎!」

 

 

炭治郎たちは二人と合流し、猗窩座が言っていたしのぶのことを話した。

 

 

「師範が心配だわ!早く師範の下へ行かないと!!」

 

 

「分かっている!皆、こっちだ!」

 

 

炭治郎たちは猗窩座先導の下、童磨がいる部屋まで進んだ。そして開けた場所に到着すると、猗窩座はそこで立ち止まった。

 

 

「この"下"だ。この下の部屋が童磨の部屋だ」

 

 

猗窩座は足下を指差し、説明をする。

 

 

「今からこの足下をブチ抜く。衝撃が走るから気をつけてくれ」

 

 

猗窩座はそう言って持っていた短刀を納刀すると

 

 

「術式展開、破壊殺・羅針!滅式・鬼気正拳突き!」

 

 

自分の足下に拳を突き刺した。すると床から波紋のように衝撃が広がり、猗窩座を中心に床が砕けた。

 

 

「このまま一気に下へ降りるぞ!!」

 

 

「「「「おう(はい)!!」」」」

 

 

先に降りる猗窩座を追うように、炭治郎たちは穴へと飛び降りた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

炭治郎たちが部屋の上に到着していたころ、しのぶは童磨と戦っていた。

 

 

「うーん、これで六回目。これも駄目だったみたいだね」

 

 

童磨は毒を打ち込まれた箇所をしのぶに見せた。そこは毒によって被れていたが、徐々に他の箇所と同じような肌色に戻っていった。

 

 

「(毒が悉く利かない…、毒の耐性がつくまでの早さが異常…、これが上弦の強さ…)」

 

 

しのぶは顔に脂汗を掻きながら、童磨を見ていた。

 

 

「凄い量の汗だね、大丈夫かい?さっき俺の血鬼術吸っちゃったから、肺胞が壊死してるからつらいよね?」

 

 

童磨は血鬼術で自分の凍らせた血を霧状に散布していたため、それを吸ってしまったしのぶは肺胞が幾つか壊死してしまい、呼吸が若干し辛くなっていたのだ。

 

 

「(なら…、連撃で大量の毒を打ち込む!)」

 

 

『蟲の呼吸 蜻蛉ノ…』

 

 

ドガンッ

 

 

「!?何が…」

 

 

しのぶが童磨に毒を打ち込もうとした瞬間、部屋の天井が割れたのだった。そしてそこから降りてくる人たちを見ると、しのぶの顔に少しではあるが、笑みが溢れていた。

 

 

「童磨ーーーッ!!!」

 

 

『炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり』

 

 

猗窩座が先陣を切って童磨に攻撃を繰り出す。童磨は反応が遅れ、何とか距離を取るが、片腕を斬られてしまった。

 

 

「しのぶーーッ!!」

 

 

「義勇さん!」

 

 

そこに猗窩座の後を追った義勇たちが現れ、着地した義勇はしのぶを抱き締めた。

 

 

「しのぶ、怪我は無いか!?何か変なことをされてないか!?」

 

 

義勇はしのぶの体を触りながら質問をする。

 

 

「相手の血鬼術によって肺胞が少し壊死してしまいましたが、問題はありません」

 

 

しのぶは苦笑しながら義勇の質問に答えた。

 

 

「そうか…、良かった…」

 

 

義勇は安堵のため息を一つ吐くと、しのぶから少し離れた。

 

 

「しのぶ、お前はもう戦わなくていい。童磨(あいつ)は俺たちが殺る。お前の敵は俺の敵だ」

 

 

義勇はしのぶに背を向けて言った。

 

 

「義勇さん…」

 

 

しのぶは頬を少し桃色に染めていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ちょっ、猗窩座殿!何故俺に刃を振るう!?俺たちは"仲間"じゃないのか!?」

 

 

童磨は猗窩座の攻撃を避けながら猗窩座に質問をする。

 

 

「"仲間"…だと?ふざけるな!!俺は貴様など、仲間と思ったことなど一度も無いわ!!」

 

 

『炎の呼吸 壱ノ型・改 不知火・双連』

 

 

猗窩座は短刀をバツの字に振り、童磨の胸を斬った。

 

 

「貴様は感じたことがあるか!?親に褒められようと努力した子供の苦労を!」

 

 

「子供の努力を褒める親の手の温もりを!」

 

 

「親を失った子供の哀しみを!」

 

 

「想い人から寄せられる愛情を!」

 

 

「愛する人が死んでしまった絶望を!どれか一つでも、お前は感じたことがあるか!!?」

 

 

『炎の呼吸 参ノ型 気炎万象』

 

 

猗窩座は短刀の柄を強く握り締めていたせいか、刀身が赫くなっていた。そしてそのまま短刀を振り抜くと、防御しようとしていた童磨の両腕を一刀両断した。

 

 

「ぎゃぁああぁッ!!熱い!痛い!何なんだこれは!?」

 

 

童磨は初めての痛みに悶える。

 

 

「貴様が喰った人は確かに怯えることも、哀しむことも無い。しかし、それと同時に"楽しむ"ことも、"喜ぶ"こともできない!貴様がしているのは"救済"では無く、ただの"食事"だ!!」

 

 

猗窩座は童磨を指差し

 

 

「貴様の悪行は法律では裁くことはできない!だから、俺が裁く!」

 

 

童磨に向かって見栄を切った。

 

 

「"悪"?それは違うよ。俺は信者がこれ以上苦しまないように救ってあげているんだ。だからこれは"正義"なんだよ。それに裁かれるのは寧ろ君の方だよ。無惨様を裏切った罪、俺が裁こう!」

 

 

『血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩』

 

 

童磨は自分の血鬼術の中で最大にして最強の血鬼術を繰り出す。

 

 

「なら俺の"裁き"と貴様の"裁き"、どちらが上か勝負と行こう!」

 

 

『炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄』

 

 

猗窩座が繰り出す炎の呼吸の奥義と、童磨の氷の菩薩がぶつかり合った。

 

 

「はああぁぁぁあああーーーッ!!」

 

 

「うおおぉぉぉおおおーーーッ!!」

 

 

途中、童磨の菩薩が猗窩座を少し後退させる。しかし菩薩と言えど所詮は氷。猗窩座の炎を受けた所から徐々に溶け始めていった。そして

 

 

「おおおぉぉぉあああぁぁぁーーーッ!!!」

 

 

ガシャーンッ……

 

 

猗窩座の奥義が童磨の菩薩を破壊し、童磨の体を袈裟斬りにした。

 

 

「今だ!冨岡殿!胡蝶殿!」

 

 

『水の呼吸 壱ノ型 水面斬り』

 

 

『蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ』

 

 

猗窩座の合図により、義勇が童磨の残った体から頚を斬り離し、その頚にしのぶが毒を打ち込んだ。

 

 

「あなたは今は頚だけ。なら毒の回りは分解速度より早くなる」

 

 

しのぶの言う通り、童磨は毒を打ち込まれた瞬間、顔中に毒が広がり、更に日輪刀で頚を斬られたことによって崩壊した。

 

 

 

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