もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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今回の話は『沼鬼編』、『浅草編』、『鼓屋敷編』、『藤の花の家紋の家編』をすっ飛ばし、『那田蜘蛛山編最終』から『柱合会議編』となります。


しかも累を倒した後からとなります。


途中の話を期待されていた方々にはお詫び申し上げます。


では本編をどうぞ。


第4話

 

 

ガキンッ

 

 

那田蜘蛛山(なたぐもやま)』で『十二鬼月(じゅうにきづき)』の一体、『下弦(かげん)の伍・(るい)』を倒した義勇は炭治郎たちに振るわれた刀を自分の刀で弾いた。

 

 

「あら?どうして邪魔をするんです?冨岡さん」

 

 

炭治郎たちに向けて刀を振るった人物は体を独楽(こま)のように回転させてから止まった。

 

 

「『鬼とは仲良くなれない』って自分が言ってた癖に何なんでしょうか。そんなだから嫌われるんですよ?私以外

 

 

その人物は(もり)(漁師が使う槍のような物)に似た刀を義勇に向ける。

 

 

「さあ冨岡さん、退いて下さいね」

 

 

しかし義勇は視線を下に向けて震えていた。

 

 

「やはり…、俺は…、嫌われて…、いたのか…」

 

 

義勇は『嫌われている』と言うフレーズで心が傷付いてしまったのだ。

 

 

「ああ冨岡さん、勘違いしないで下さいね?私は貴方のことが好きですよ?もちろん"異性"として…ね」

 

 

その人物は刀を下ろし、義勇に弁解する。

 

 

「なら"しのぶ"、俺のことが好きなら俺の話を聞いて欲しい」

 

 

義勇は雲取山で起きたことをしのぶと呼ばれた人物に話した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「成る程…。『人を喰わない鬼』…ですか。ですが、それを立証する物はありますか?」

 

 

しのぶに言われ、義勇は禰豆子が人を喰わない立証を探るが

 

 

「……すまない、立証できる物が何一つ無い。強いて言えば、俺と実弥が見た"禰豆子の行動"。…それだけだ」

 

 

立証できる物が何一つ無いことを言った。

 

 

「……そうですか。ですがそれでは、立証の説得力が欠けますし、何より"他の皆さん"が納得されませんよ?」

 

 

しのぶは最もな理由を簡潔に述べた。

 

 

「それは分かっている。それに関しては時間を掛けて納得してもらうしか方法は無い。だが、しのぶ。お前だけは信じて欲しい。この通りだ」

 

 

義勇は刀を納刀すると、しのぶに向かって土下座をした。義勇のその行動にしのぶは愚か、炭治郎までもが驚いていた。

 

 

「あ…、頭を上げてください!これではまるで、私が悪者みたいじゃないですか!?」

 

 

「俺の"弟弟子"を守るためなら、幾らでも頭を下げる!だから、理不尽とは思うが、俺の、炭治郎のことを信じて欲しい!」

 

 

義勇は尚も土下座を続けていた。

 

 

「……師範?」

 

 

そこに髪をサイドポニーテールにして蝶の髪飾りで結った少女の鬼殺隊員が現れた。

 

 

「あらカナヲ。そっちは終わったの?」

 

 

「もう終わりました。それで次の指示を仰ごうとしたら…」

 

 

「今の場面に出会した…と言う訳ね」

 

 

しのぶはカナヲと呼ばれた隊員と話していると

 

 

「おい義勇、お前は一体何をしているんだァ?」

 

 

実弥が姿を現した。

 

 

「実弥!来てくれたのか!?」

 

 

義勇は頭を上げ、実弥に話しかける。

 

 

「今しがた到着したばかりだァ。それで、一体全体、何が起きたんだァ?」

 

 

「実は……」

 

 

実弥の質問に義勇が答える。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「……そう言うことかァ」

 

 

実弥は義勇の説明に納得がいった。

 

 

「なァ"しのぶ"、ここは俺と義勇を信じてはくれないかァ?」

 

 

何と実弥もしのぶの説得に入ったのだった。

 

 

「不死川さんまでも…。鬼殺隊の中で一番鬼を嫌っている貴方が何故…?」

 

 

しのぶは実弥が義勇に肩入れする理由が分からなかった。

 

 

「義勇はこの兄妹に"何か"を感じた。それは俺たち鬼殺隊に"新しい風"を吹かすかもしれない。だから殺さなかった。それに俺も"あの場面"を見なかったら、禰豆子を否定する側にいたかもしれねェ」

 

 

実弥は義勇に肩入れする理由を言った。そしてしのぶは手を自分の顎に当て、暫し考える。

 

 

するとしのぶは刀を納刀した。

 

 

「分かりました。貴方たちがそこまで言うなら、私はその子を殺しません。ですが、もしその子が貴方たちの期待を裏切れば、私は問答無用でその子を殺します」

 

 

しのぶは考え着いた結論を義勇たちに伝える。

 

 

「……しのぶ、感謝する」

 

 

立ち上がった義勇はしのぶにお礼を言う。

 

 

「伝令!伝令!竈門炭治郎、禰豆子両名ヲ拘束!本部ヘ連レ帰ルベシ!炭治郎及ビ鬼ノ禰豆子、拘束シ本部ヘ連レ帰レ!」

 

 

「額二傷ガアル隊士炭治郎!竹ヲ噛ンダ鬼禰豆子!」

 

 

そこに鴉が伝令を伝えに飛んでいた。

 

 

「……どうやら、会議に掛けるみてェだな」

 

 

「そのようだな。炭治郎、すまないがお前たちを鬼殺隊の本部に連行する。悪いようにはさせないから安心してくれ」

 

 

実弥は炭治郎たちを本部に連れ帰る理由を察し、義勇はそのことを炭治郎に伝える。炭治郎は頷き、禰豆子を箱に入れ背負おうとした。

 

 

「炭治郎、無理するな。お前は十二鬼月との戦闘で弱っている。実弥、すまないが禰豆子が入った箱を背負ってくれないか?俺は炭治郎を運ぶ」

 

 

「言われなくてもそうするつもりだったぜェ」

 

 

実弥は炭治郎から箱を受け取り、背負う。そして義勇は炭治郎をおんぶし、那田蜘蛛山を後にした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「炭治郎…、炭治郎、炭治郎!」

 

 

義勇におんぶされた炭治郎は戦闘の疲れからか、いつの間にか眠ってしまっていた。そして義勇に揺さぶられ、目を覚ますと、しのぶ、義勇を含む七名が炭治郎を見下ろしていた。

 

 

「やっと起きたか…」

 

 

義勇は疲れ果てた感じで炭治郎から離れた。

 

 

「あの、冨岡さん…。ここは…」

 

 

「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるのですよ、竈門炭治郎君」

 

 

炭治郎の疑問に義勇では無く、しのぶが答えた。

 

 

「裁判の必要など無いだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼諸とも斬首する!」

 

 

最初に炭治郎に対して異を唱えたのは『炎柱(えんばしら)煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)』だった。

 

 

「ならば俺が頚を派手に斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫(ちしぶき)を見せてやるぜ。もう派手派手だ」

 

 

杏寿郎に賛同したのは『派手』を口癖にしている『音柱(おとばしら)宇随天元(うずいてんげん)』だった。

 

 

「(えぇぇ…、こんな可愛い子を殺してしまうなんて、胸が痛むわ、苦しいわ)」

 

 

二人の話を聞いていた『恋柱(こいばしら)甘露寺蜜璃(かんろじみつり)』は炭治郎を可哀想と思っていた。

 

 

「あぁ…、なんというみすぼらしい子供だ、可哀想に。生まれてきたこと事態が可哀想だ」

 

 

岩柱(いわばしら)悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)』は涙を流しながら炭治郎の存在そのものを否定していた。

 

 

「(何だっけあの雲の形、何て言うんだっけ)」

 

 

そんな騒動とは裏腹に、『霞柱(かすみばしら)時透無一郎(ときとうむいちろう)』は空を流れる雲を見ていた。

 

 

「そんなことより冨岡はどうするのかね」

 

 

不意に声がして、炭治郎と義勇は声がした方、松の木の枝に寝転がっている人物を見た。

 

 

「拘束もしていない様に俺は頭痛がしてくるんだが?胡蝶(こちょう)めの話によると、隊律違反は冨岡も同じだろう?どう処分する?どう責任を取らせる?どんな目にあわせてやろうか」ネチネチ

 

 

蛇柱(へびばしら)伊黒小芭内(いぐろおばない)』がネチネチ言いながら二人を指差していた。その様子を見ていた蜜璃は何故か胸がキュンキュンしていた。

 

 

「まぁいいじゃないですか。処罰は後で考えましょう」

 

 

蟲柱(むしばしら)・胡蝶しのぶ』が処罰は後にすると言った。

 

 

「水柱様、ご要望の物をお持ちしました」

 

 

するとそこに黒子のような格好をした人が水が入った桶と空の湯飲みを持って現れた。

 

 

「ありがとう。彼の側に置いてくれないか」

 

 

義勇は炭治郎の側に置くよう指示し、黒子は言われた通りに炭治郎の側に桶を置く。

 

 

「炭治郎、この湯飲みでゆっくり水を飲むんだ。慌てて飲むと()せるからな」

 

 

義勇に言われ、炭治郎は桶の中の水を湯飲みで掬い、ゆっくりと飲み干す。それを2回、3回と繰り返し、4回目でやっと落ち着いたようだった。

 

 

「冨岡さん、ありがとうございました」

 

 

「皆さん、聞いてください。俺の妹は二年も前に鬼にされました。だけど、一度も人を喰ったことはありません。今までも、そしてこれからも、人を傷つけることはしません」

 

 

「くだらない妄言を吐き散らかすな。そもそも身内なら庇って当たり前。言うこと全て信用できない。俺は信用しない」ネチネチ

 

 

「あああ…、鬼に取り憑かれているのだ。早くこの哀れな子供を殺して解き放ってあげよう」

 

 

「話が地味にグルグル回ってるぞ阿保が。人を喰ってないこと、これからも喰わないこと。口先だけで無く、ド派手に証明して見せろ」

 

 

炭治郎は禰豆子が人を喰っていないことを話すが、出会った当初の義勇のように誰も信じなかった。

 

 

「あのぉ、でも疑問があるんですけど…。お館様(・・・)がこのことを把握してないとは思えないです。勝手に処分しちゃっていいんでしょうか?いらっしゃるまでとりあえず待った方が…」

 

 

そこに蜜璃が待ったを掛けた。

 

 

「オイオイ、何だかヤベェことになってやがんなァ」

 

 

そこに実弥が禰豆子が入った箱を背負って現れた。

 

 

「不死川さん、あなたまだその箱を背負っているのですか?」

 

 

しのぶが呆れた感じで実弥に問いかける。

 

 

「担ぐよりかはマシだと思うがァ?」

 

 

実弥は炭治郎の側まで近づくと、禰豆子が入っている箱を炭治郎の側に降ろした。

 

 

「炭治郎、今の所は誰も禰豆子を傷つけてはいないぜェ。何たって俺がずっと背負っていたからなァ」

 

 

「不死川さん…、禰豆子を守ってくれて、ありがとうございます」

 

 

炭治郎は実弥に禰豆子を守ってくれたことにお礼を言う。

 

 

「「お館様のお成りです」」

 

 

すると少女二人の声がし、柱たちは一列に並ぶ。

 

 

「炭治郎、俺たちと同じ姿勢をするんだ。粗相はしないようにな」

 

 

疑問に言われ、炭治郎は義勇の横に並び、同じ姿勢を取った。

 

 

因みに並び順は

 

 

炭治郎→義勇→しのぶ→実弥→小芭内→行冥→無一郎→杏寿郎→蜜璃→天元

 

 

となった。

 

 

「よく来たね私の可愛い剣士(こども)たち。お早う皆。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の"柱合会議"を迎えられたこと、嬉しく思うよ」

 

 

屋敷から現れたのは、顔の上半分がまるで火傷の痕のようになっている男性だった。男性は少女二人に支えられながらゆっくりと用意された座布団に座る。

 

 

「お館様におかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切に申し上げます」

 

 

実弥がお館様に挨拶をし、お館様は実弥にお礼を言う。

 

 

「畏れながら蛇柱・伊黒小芭内が進言します。柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますが、よろしいでしょうか?」

 

 

小芭内がお館様に炭治郎について質問をする。

 

 

「そうだね。驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている」

 

 

お館様の返答に義勇と実弥以外の柱が驚いていた。

 

 

「嗚呼…、たとえお館様の願いであっても、私は承知しかねる…」

 

 

「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊員など認められない」

 

 

「私は全てお館様の望むまま従います」

 

 

「僕はどちらでも…。すぐに忘れるので」

 

 

「信用しない信用しない。そもそも鬼は嫌いだ」ネチネチ

 

 

「心より尊敬するお館様ではあるが、理解できないお考えだ!全力で反対する!」

 

 

お館様の言葉に反対する者が多数見られた。しかし義勇と実弥、しのぶは黙ったままだった。

 

 

「では手紙を」

 

 

「はい」

 

 

そこでお館様は自分に届いた手紙を読ませることにした。

 

 

「こちらの手紙は元柱(・・)である鱗滝左近次様から頂いた物です。一部抜粋して読み上げます」

 

 

『炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許し下さい。禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました。(にわか)には信じ難い状況ではありますが事実です。もしも禰豆子が人に襲い掛かった場合は竈門炭治郎及び鱗滝左近次、冨岡義勇、不死川実弥が腹を切ってお詫び致します』

 

 

手紙を読み終え、炭治郎は義勇と実弥の方を向くと、二人は炭治郎を見て笑っていた。それに感動したのか、炭治郎の目からは大粒の涙が流れていた。

 

 

「な…!?不死川、何故だ!」

 

 

手紙の内容に驚いた小芭内が実弥に言い寄る。

 

 

「俺も"あの場面"を見ていなかったらお前らと同じ禰豆子のことを否定していたさ。あれは二年ほど前、俺は義勇と一緒に雲取山まで来ていた。そして炭治郎の家族の死体を見つけた。俺は義勇に頼まれて死体を弔っていたんだが、そこで本来"ついているべきもの"が無いことに気づいた」

 

 

「ついているべきもの…ですか?」

 

 

実弥が語った話にしのぶが疑問を抱く。

 

 

「ああ。それは"(かじ)られた跡"だ。鬼はなった直後に極度の飢餓状態に陥る。そして最初に自分の家族を喰らう。そうして鬼は人間の味を覚える。しかし炭治郎の家族の死体には齧られた跡が無かった。そして死体を埋める穴を掘り終えた直後に、義勇の声が聞こえてな」

 

 

「滅多に大声を出さない奴だから只事ではないと思って義勇がいる所まで走ったさ。そしたら何と、義勇がまだ入隊していない炭治郎に一杯食わされていたんだよ」

 

 

「お…、おい実弥。それは…」

 

 

義勇が実弥を止めようとしたが時既に遅し。そのことが他の柱に知れ渡ってしまった。

 

 

「ギャハハハッ!おい冨岡、お前鬼でも無い奴に地味に一杯食わされたのか!」

 

 

天元は笑いながら義勇に聞く。

 

 

「宇随、笑っていられるのも今の内だ。本題はここからだ。義勇は炭治郎を気絶させたが、その時に捕まえていた禰豆子が偶然にも義勇の拘束を抜け出してな、炭治郎が喰われると思ったんだが、実は違ったんだ」

 

 

「禰豆子は炭治郎を"守る"ために近づき、更には義勇に威嚇までしやがったんだ。それを見た俺たちは禰豆子を斬らなかったって訳さ」

 

 

『………』

 

 

実弥の話が終わり、義勇以外の柱は言葉を失った。

 

 

「実弥の言っていることが正しいなら、禰豆子は人を襲わないと言う証明になる。けど、その保証するものが無い」

 

 

「お館様、風柱・不死川実弥よりご提案がございます」

 

 

「まず屋敷の中で禰豆子を刺し、私が腕を出血させ禰豆子の前に差し出します。そして禰豆子の反応を見るのです」

 

 

実弥は前々から考えていたことをお館様に伝える。

 

 

「……なるほど。それで禰豆子が実弥に喰らいつかなければ証明になる。…分かった。実弥、お願いできるかい?」

 

 

お館様は実弥の提案を許可した。

 

 

「御意。義勇、炭治郎。手伝ってくれ。お館様、補佐として義勇と炭治郎をお連れします」

 

 

「お館様、失礼(つかまつ)る」

 

 

「し、失礼します」

 

 

実弥は禰豆子が入った箱を持ち、義勇は水を捨てた空の桶を持って炭治郎と一緒に入室した。そして実弥は箱を降ろし、禰豆子を箱から出した。

 

 

「禰豆子、今からお前が"人を喰わない"か検証をする。今から俺がお前を刀で刺す。そして俺の腕を切って血を見せるからな」

 

 

実弥は禰豆子の頭を優しく撫でながら言う。禰豆子は箱の中で話を聞いていたのか、頷いて両腕を横に伸ばした。

 

 

そして実弥は自分の刀で禰豆子を刺し、更に義勇が置いた桶の上で自分の腕を切る。するとその血を見た禰豆子が涎をボタボタと流す。

 

 

「(禰豆子…)」

 

 

炭治郎は禰豆子のことが心配になるが、義勇に肩を掴まれ動けないでいた。義勇もまた、禰豆子が実弥に襲い掛からないか心配していた。

 

 

「(美味しそう…。でも、人間は家族…。傷つけては駄目…)」

 

 

禰豆子は突き出された実弥の腕から顔を反らした。その行動に炭治郎、義勇、実弥の三人はホッと胸を撫で下ろした。

 

 

「お館様、禰豆子は私の腕に噛みつくことはありませんでした。これで禰豆子が人を襲わない証明ができました」

 

 

「ありがとう実弥。それじゃ治療をしなさい」

 

 

部屋の隅に待機していた黒子の一人が、布と包帯を持って近づいて治療を始める。すると禰豆子が実弥の治療を手伝い始めたのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

治療が終わった実弥は義勇と炭治郎を連れてお館様から離れた所に並んで正座した。

 

 

「炭治郎、禰豆子のことを快く思わない者もいるだろう。だから証明しなくてはならない。これから禰豆子が、炭治郎が鬼殺隊として戦えることを」

 

 

「十二鬼月を倒しておいで。そうしたら皆に認められる。炭治郎の言葉の重みが変わってくる」

 

 

「御意!そして俺は…、俺と禰豆子は鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)を倒します!必ず、悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るいます!」

 

 

お館様の言葉に、炭治郎は決心を大声で高らかに宣言する。

 

 

「今の炭治郎には無惨の討伐は出来ないから、まず十二鬼月を一人倒そうね」

 

 

「……はい」

 

 

炭治郎は余程恥ずかしかったのか、その場に踞ってしまった。

 

 

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