もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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無限列車編の内容は原作と変わりありませんので、炭治郎が魘夢を倒した後からの話しとなります。

アンケートの結果は

『させる』→51票

『させない』→2票

となりました。

よって杏寿郎は生存させます。


第8話

 

 

「おい三太郎、大丈夫か!?」

 

 

『無限列車』と融合していた先頭車輌(魘夢の頚)を斬った炭治郎は、魘夢がのたうち回る拍子に飛ばされてしまった。

 

 

炭治郎は自分の腹を刺した運転手のことを気にしていたが、それを伊之助は今の状況を伝え『放っておけ!』と言った。しかし炭治郎は『その人はもう十分罰は受けているから助けてやってくれ』と頼んだ。伊之助は仕方なくといった感じで運転手を助けに行った。

 

 

炭治郎はその場で仰向けに寝転がると

 

 

「全集中の常中ができているようだな!感心感心!」

 

 

杏寿郎が現れ炭治郎を見下ろした。

 

 

「常中は柱への第一歩だからな!柱までは一万歩あるかもしれないがな!」

 

 

杏寿郎は炭治郎が常中を会得していることに感心していた。

 

 

「腹部から出血しているな。もっと集中して呼吸の"精度"を上げるんだ。体の隅々まで神経を行き渡らせろ」

 

 

炭治郎は言われた通りに集中すると、体内にある破れた血管を感じ取った。

 

 

「そこだ。止血、出血を止めろ」

 

 

炭治郎は止血しようと力むが、痛みのせいで集中できずにいた。すると杏寿郎が炭治郎の額に指を当て

 

 

「集中」

 

 

とだけ言った。そして炭治郎は痛みを堪え集中し、出血を止めた。

 

 

「うむ、止血できたな。呼吸を極めれば何でもできる訳では無いが、様々なことができるようになる。昨日の自分より、確実に強い自分になる」

 

 

杏寿郎は持論を言うと、炭治郎は『はい』とだけ返事をした。そしてそろそろ退却しようとした時、炭治郎たちの側で土埃が上がった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

土埃が晴れると、そこには人がいた。しかし杏寿郎と炭治郎はその人物が鬼であることを気配と両目に刻まれている文字で悟った。

 

 

すると鬼は炭治郎目掛けて拳を振るう。

 

 

『炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天』

 

 

しかし杏寿郎がその拳を斬り、鬼を遠ざけた。

 

 

「いい刀だ」

 

 

鬼は斬られた拳をくっ付け、滴る血を舐め取った。

 

 

「(この再生の速さ…、凄まじい圧迫感と鬼気。これが上弦…)なぜ手負いの者から狙った?その考えが理解できない」

 

 

杏寿郎は鬼に『なぜ炭治郎を狙った』のか問いただす。

 

 

「俺とお前の話し合いを邪魔されたく無かったからだ」

 

 

鬼は杏寿郎との話しを邪魔されたく無かったから炭治郎を狙ったことを話した。

 

 

「君と俺が何の話をする必要がある?君とは初対面だが、既に俺は君のことが嫌いだ」

 

 

杏寿郎は鬼との話し合いを突っぱねる。

 

 

「そう言うな。そちらにとっては利益しかない」

 

 

鬼は杏寿郎との話し合いを無理矢理しようとする。

 

 

「俺はお前たち鬼狩りに"協力"を申し出る」

 

 

何と鬼の話し合いとは、自分が鬼殺隊への協力を申し出ることだった。

 

 

「俺の名は『猗窩座(あかざ)』。見ての通り、『十二鬼月・上弦の参』だ。そして、俺は『前世の記憶』を持っている」

 

 

「俺は前世では今と"同じ立ち位置"の鬼だった。そして此所でお前たちと戦った。だが、朝日が昇り、決着は着かなかった」

 

 

「そして竈門炭治郎、最後は"鬼に変身した"お前によって"ある場所"で倒された。確か名は…、輝く鬼と書いて"輝鬼"だったな。それで気がついたら、この世で以前経験した状況と同じだった」

 

 

何と猗窩座と名乗った鬼は前世の記憶を持っていたのだった。

 

 

「俺はこの世で以前の過ちを侵さないようにしようとしたが、抗えなかった。そして鬼になった時に、前世の記憶が甦ったのだ。それで俺は自力で"呪い"を解き、お前たちと接触する機会を待っていたのだ」

 

 

「"呪い"…?」

 

 

杏寿郎は呪いと言うフレーズが気になり、それを口に出した。

 

 

「俺たち"人喰い鬼"が持たされる共通の呪いさ。それは『鬼舞辻無惨の名を口にすると、その血に殺される』と言うものだ。しかも無惨は鬼にした者の"思考"も読むことができる」

 

 

「あぁ、安心して欲しい。俺はその呪いを解いたから今の状況を無惨が知る由も無い」

 

 

猗窩座は淡々と喋る。それを炭治郎は匂いで嘘かどうか嗅ぎ取ったが、猗窩座からは"嘘の匂い"はしなかった。

 

 

「そんなこと信じられるとは思えん!現にお前は手負いの者を襲った!」

 

 

「確かに俺は炭治郎を攻撃しようとした。だが当てるつもりは無かった。拳も寸止めにするつもりだった。まぁ、殺気に関しては本気で出したがな」

 

 

杏寿郎は猗窩座の言ってることが信用できずにいた。

 

 

「煉獄さん、俺はこの鬼が言ってることを、信じてもいいと思います」

 

 

しかし炭治郎は猗窩座を信じると言った。

 

 

「俺は鼻が良く効くので、相手の"感情"とかも読み取れます。この鬼からは嘘の匂いはしませんでした。それに呪いに関しても納得がいきます。もし呪いを解いていなければ、今頃この鬼は呪いで"死んでいます"から」

 

 

「流石は竈門炭治郎だ。俺が認めた強者なだけはある」

 

 

炭治郎の言葉に猗窩座は頷いていた。

 

 

「だが、納得できないのも分かる。そこでだ、俺とお前。二人で一騎打ちをしないか?」

 

 

猗窩座は杏寿郎に打開策として一騎打ちを申し出る。

 

 

「俺が勝っても負けても、そちらには利益しか残らない。どうだ?悪くは無いと思うが」

 

 

猗窩座の提案に杏寿郎は考え込むと

 

 

「良いだろう。その一騎打ち、受けて立とう」

 

 

刀を抜刀し、構えた。

 

 

「それでこそ、だ。改めて名乗ろう。俺は十二鬼月、上弦の参、猗窩座」

 

 

「俺は鬼殺隊、炎柱、煉獄杏寿郎」

 

 

「「推して参る!!」」

 

 

『術式展開 破壊殺・羅針』

 

 

『炎の呼吸 壱ノ型 不知火』

 

 

ドオンッ

 

 

"二人"が衝突した途端、周辺に怒号が起きた。

 

 

『破壊殺・空式』

 

 

『炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり』

 

 

『破壊殺・乱式』

 

 

『炎の呼吸 伍ノ型 炎虎』

 

 

二人は一進一退の激しい攻防を繰り拡げる。炭治郎はその場から動こうとすると

 

 

「動くな!!傷が開いて致命傷になるぞ!!待機命令!!」

 

 

「そうだ竈門炭治郎!!動けば余波を喰らうことになるぞ!!」

 

 

二人から注意を受け、動けなくなった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

激しい攻防を繰り拡げてから数分、実際には数時間かもしれないが、長く、永く感じた一騎打ちが終わろうとしていた。

 

 

猗窩座は杏寿郎から受けた傷が塞がっていってるが、杏寿郎は額から出た血が左目に入り、視野を狭めていた。

 

 

「そろそろ夜が明ける。杏寿郎、ここで提案だが、お互い"最後の一撃"を出さないか?」

 

 

「臨む所だ」

 

 

「術式展開、破壊殺・滅式…」

 

 

「炎の呼吸、奥義…」

 

 

二人は最後の一撃を繰り出すため、力を込める。

 

 

そして

 

 

鬼気(きき)正拳突(せいけんづ)き!!」

 

 

()ノ型・煉獄(れんごく)!!」

 

 

二人の必殺技が炸裂した。二人の周辺は土埃が舞い、様子が伺えなかった。そして土埃が晴れると、猗窩座の右上半身が抉れ、杏寿郎は刀が根元から折れていた。

 

 

「……引き分け、だな」

 

 

「……そのようだな」

 

 

二人は脱力したのか、その場に座り込んでしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「(くっ、不味い。もうすぐ夜が明ける!)」

 

 

猗窩座は殆んど体力が残っていない体に鞭を打って立ち上がる。

 

 

「竈門炭治郎!!」

 

 

そして炭治郎の名を叫んだ。

 

 

「この一騎打ちは引き分けに終わった!杏寿郎は座り込んでいるが、命に別状は無い!俺はこの場から引き下がる!近い内に俺の"使者"がお前の前に姿を現す!そいつから聞いたことをお前の上司たちに伝えるがいい!去らばだ!!」

 

 

猗窩座は足を引き摺って近くの森の中へと入り、気配を消した。

 

 

「猗窩座さん…、分かりました」

 

 

炭治郎はやっとの思いで立ち上がり、猗窩座が去った森を見つめていた。

 

 

「……竈門少年」

 

 

その時、杏寿郎が炭治郎を呼んだ。炭治郎は遅い歩みで杏寿郎の下へ向かう。途中膝から崩れ落ちそうになるが、それを伊之助が支え、杏寿郎の下へ到着した。

 

 

「……ははっ、すまなかったな。一騎打ちは引き分けに終わってしまった」

 

 

杏寿郎は笑っていたが、炭治郎は泣いていた。

 

 

「煉獄さん、あなたは強い。猗窩座さんに一歩も引かなかった。引き分けなんかじゃない、勝者は煉獄さんです」

 

 

炭治郎の言葉が嬉しかったのか、杏寿郎は刀を置き、炭治郎の頭を撫でた。

 

 

「竈門少年、俺は君の妹を信じる。鬼殺隊の一員として認める。汽車の中であの少女が血を流しながら人間を守るのを見た。命を賭けて鬼と戦い人を守る者は、誰が何と言おうと鬼殺隊の一員だ。堂々と胸を張ればいい」

 

 

杏寿郎は列車内での禰豆子の働きを見て、彼女を認めたのだ。

 

 

「いいか竈門少年。この先過酷な試練が待ち構えているかもしれない。だが、そんな時こそ"心を燃やせ"。そうすれば、苦しいことも乗り越えることができる」

 

 

「……はい!」

 

 

炭治郎は涙を流しながら力強く返事をした。

 

 

その後、隠が到着し、一部の者は杏寿郎たちを担いで、残りの者が事後処理を担当し、任務が終了した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「全く…、やっと怪我が完治して出立できたと思ったら、また大怪我をして戻ってくるなんて…」

 

 

炭治郎、善逸、伊之助、杏寿郎の四人はあの後蝶屋敷に運ばれ、治療を受けた。

 

 

「善逸君に伊之助君は軽い打撲などの軽症で、煉獄さんは全身打撲に額からの出血。炭治郎君が四人の中で最も重症の腹部を刺されて出血」

 

 

「あなたたちは私を過労死させたいのですか?」

 

 

しのぶはベッドで横になっている四人に向かって、笑顔を浮かべていた。しかし顔は笑顔なのに、目が笑っておらず、溝尾を殴るジェスチャーもしていた。

 

 

「「「「申し訳ない(ありません)……」」」」

 

 

四人は冷や汗を流しながら謝った。

 

 

「まぁ任務に赴くにつれて怪我をするのはしょうがないですが、もう少し自分の体を労ってくださいね」

 

 

しのぶはそう言って病室を後にした。

 

 

「それにしても、まさか鬼が天敵である鬼殺隊に協力を申し出るなんて…」

 

 

しのぶが去った後、善逸が炭治郎から聞いたことを口にした。

 

 

「俺もびっくりしたよ。しかも前世の記憶を持っていたなんて」

 

 

炭治郎も猗窩座のことに驚いていた。

 

 

「竈門少年、猗窩座のことだが、"あれ"は本当にあることなのか?」

 

 

「"前世の記憶を持っている"ってやつですか?……すみません。俺もああいったことを経験したことが無いもので…」

 

 

杏寿郎は猗窩座のことについて炭治郎に質問をするが、炭治郎は分からないことだったことを謝った。

 

 

「そう言うな、俺も経験したことが無いからな。それはそうと、実は夢の中で思い出したことがあったんだ」

 

 

「俺の家に"歴代炎柱の書"て言う物があってな、もしかしたら"ヒノカミ神楽"について何か記されているかもしれない」

 

 

杏寿郎は魘夢に見せられていた夢の中で、思い出したことがあった。

 

 

「お互いの怪我が完治したら、俺の屋敷"炎屋敷"に招待しよう」

 

 

「煉獄さん…、はい!ありがとうございます!」

 

 

炭治郎は杏寿郎に向かって頭を下げた。その時に刺された腹部を圧迫してしまったのか、痛みが体中に走り、悶絶してしまった。

 

 

「ちょっ!?炭治郎大丈夫!?誰か!誰か来て~!」

 

 

痛みを我慢している炭治郎を見た善逸は、大声を出し、助けを呼んだ。その声を聞いたアオイが直ぐ様病室に入り、炭治郎を介護した。

 

 

さりげなく自分の胸を炭治郎に押し当てながら。

 

 

炭治郎は押し当てられたアオイの胸の柔らかさに顔を真っ赤にし、炭治郎の感情を善逸は耳で聞き取り、炭治郎を責める。

 

 

善逸は炭治郎に似て聴覚が鋭く、どんなに小さな音や相手の感情を音で"聞き取る"ことができるのだ。

 

 

伊之助は"我関せず"と言った感じでベッドで鼻提灯を作りながら寝ており、杏寿郎はそんな三人を見て微笑んでいた。

 

 

この後、騒いだ善逸がしのぶにこってり叱られていた。

 

 

 

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