もしも炭治郎の下に義勇と実弥が来ていたら   作:レイファルクス

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第9話

 

 

無限列車での任務から一ヶ月後、ようやく炭治郎の怪我が自由に歩ける程度まで治り、この日はかつて話をしていた煉獄家へ訪問することになった。

 

 

煉獄家へ訪れたのは、炭治郎の他にカナヲが付き添いで来ていた。

 

 

炭治郎は怪我をしていても無理に体を行使する節があったため、カナヲがお目付け役として同行していた。

 

 

炭治郎の同行について蝶屋敷で話し合いがあったが、そこでアオイが興奮気味に手を上げていた。しかし、しのぶから『蝶屋敷の仕事があるから駄目』と言われてしまった。そしてアオイと同様になほ、すみ、きよの三人も外された。

 

 

残るはしのぶとカナヲだが、しのぶは任務が入ってしまっており、残ったカナヲがお目付け役の権利を得ることになった。

 

 

カナヲは炭治郎と一緒に行動できることに、顔には出してはいなかったが、内心喜んでいた。

 

 

「竈門炭治郎さんと栗花落カナヲさんですね?僕は炎柱、煉獄杏寿郎の弟の『煉獄千寿郎(れんごくせんじゅろう)』といいます」

 

 

二人が煉獄家の門に到着すると、門前で待っていた少年が挨拶をした。

 

 

「初めまして!竈門炭治郎です!」

 

 

「栗花落カナヲです。今日はよろしくお願いします」

 

 

二人は千寿郎に頭を下げた。

 

 

「こちらこそよろしくお願いします。ささっ、中へどうぞ。兄が待っていますので」

 

 

千寿郎が屋敷の中へ案内しようとすると

 

 

「おい千寿郎、その餓鬼たちは誰だ?」

 

 

扉から"酒"と書かれた壺を持った男性『煉獄槇寿郎(れんごくしんじゅろう)』が現れた。

 

 

「"父上"。この方々は兄上の客人で竈門炭治郎さんに栗花落カナヲさんです」

 

 

千寿郎が炭治郎たちを紹介し、二人は頭を下げる。槇寿郎は炭治郎が着けている"耳飾り"を見ると、驚いて持っていた酒壺を落としてしまった。

 

 

「お前…、その耳飾り…。そうか…、お前が…」

 

 

「父上?」

 

 

槇寿郎の驚きに千寿郎は首を傾げる。

 

 

「お前…、"日の呼吸"の使い手だな!?」

 

 

日の呼吸と言うフレーズを聞いた炭治郎とカナヲは首を傾げる。すると槇寿郎はものすごいスピードで炭治郎に接近し、炭治郎を地面に押し付けた。

 

 

「父上止めてください!!その人は兄上の客人ですよ!?」

 

 

「うるさい黙れ!!」

 

 

槇寿郎を止めようとした千寿郎を槇寿郎が殴り飛ばした。それを見た炭治郎は

 

 

「いい加減にしろ!この人でなし!!」

 

 

槇寿郎を目一杯"殴った"。しかし槇寿郎は腕でガードしていたため、少し炭治郎から少し離れるだけに終わった。

 

 

「さっきから何がしたいんだあんたは!!」

 

 

炭治郎は槇寿郎に向かって怒るが

 

 

「お前…、俺たちのことを馬鹿にしているだろう…」

 

 

槇寿郎は炭治郎の言葉に聞く耳を持たなかった。

 

 

「その耳飾り…、俺は知っている。書いてあった(・・・・・・)!そうだ、"日の呼吸"…、それは始まりの呼吸(・・・・・・)!!一番初めに生まれた最強の御技!そして全ての呼吸は"日の呼吸"の派生!」

 

 

「全ての呼吸が"日の呼吸"の後追いに過ぎない!"日の呼吸"を猿真似し劣化した呼吸だ!火も水も風も全てが!」

 

 

槇寿郎が言ってることが分からない炭治郎は訳が分からなくなっていた。

 

 

「"日の呼吸"の使い手だからと言って、調子に乗るなよ小僧!!」

 

 

「調子になんて乗りませんよ!!さっきから何を言っているんですか!?」

 

 

「父上!竈門少年!何があった!?」

 

 

騒ぎを聞き付けた杏寿郎が屋敷から飛び出てきた。

 

 

「杏寿郎!お前はこの小僧が"日の呼吸"の使い手であることを知っていたのか!?」

 

 

槇寿郎は杏寿郎に炭治郎が日の呼吸の使い手なのを知っていたのか問いただす。杏寿郎は槇寿郎の側まで向かうと

 

 

「父上、俺が知る限りでは竈門少年は日の呼吸の使い手ではありません。彼が使う呼吸は"水"と"風"です」

 

 

杏寿郎は炭治郎が使用する呼吸を槇寿郎に伝える。

 

 

「それに、竈門少年の家に代々伝わる神楽がありまして、その正体の糸口が"歴代炎柱の書"にあるかもと思い、招待しました」

 

 

「父上、どうかこの場は俺の顔を立ててはくださいませんか?」

 

 

そして杏寿郎は頭を下げる。

 

 

「……チッ。杏寿郎、千寿郎!俺は酒を買いに出る!後はお前たちの好きにしろ!」

 

 

槇寿郎はそう言って、炭治郎たちから去った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「竈門少年、栗花落少女。先程は父上が失礼なことをして申し訳無かった」

 

 

その後杏寿郎の案内で客間に通された炭治郎たちに、杏寿郎は頭を下げた。

 

 

「別に気にしていませんので、頭を上げてください」

 

 

炭治郎は『気にしてない』と言い、カナヲはそれに同意するかのように頷いた。そこに千寿郎が人数分の茶を持って入室した。湯飲みの数は四つ。それは炭治郎とカナヲ、杏寿郎と千寿郎の分だった。

 

 

「そう言ってくれると有難い。では早速書を開こう。俺も読むのは久方ぶりだからな!」

 

 

杏寿郎は横に置いていた『歴代炎柱の書』を炭治郎たちの前で開く。

 

 

「こ…、これは!」

 

 

「そんな!?」

 

 

「よもやよもや…」

 

 

書を開いた時に、炭治郎たちは驚いた。何故なら、"書の中身がズタズタに破れていた"からだった。

 

 

「酷い…、誰がこんなことを…」

 

 

カナヲが書を破った人を怨めしそうにしていると

 

 

「申し訳ありません。恐らく父上が破いたのかと…」

 

 

「うむ…。この書は厳重に保管されていたから、それしか考えられまい…」

 

 

杏寿郎と千寿郎は破いた犯人について心当たりがあった。

 

 

「竈門少年、申し訳無い。折角来てくれたというのに…」

 

 

杏寿郎は炭治郎に向かって頭を下げた。

 

 

「煉獄さん、頭を上げてください。煉獄さんが悪い訳ではないですから」

 

 

炭治郎は杏寿郎に頭を上げるように言った。

 

 

「この書は俺たちが責任を持って復元させる。そして何か分かったらすぐに知らせよう」

 

 

「……お願いします」

 

 

炭治郎と杏寿郎はそう約束をして炭治郎とカナヲは煉獄家を後にした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから更に一ヶ月後。怪我が完治した炭治郎は任務に出ていた。杏寿郎は炎柱の書を復元しながら柱としての任務をこなしていた。

 

 

「……ふぅ」

 

 

炭治郎は鬼を倒し一息着いていた時、近くの茂みがガサガサと揺れた。炭治郎は鬼の新手と思い、刀を構える。そして現れたのは少女の鬼だった。

 

 

鬼は炭治郎をじっと見つめていた。

 

 

「(市松模様の羽織に背負った箱。そして額にある陽炎のような痣…)あなたが竈門炭治郎?」

 

 

「!?そうだ」

 

 

鬼の質問に炭治郎は答える。

 

 

「そう、なら良かった。私は十二鬼月、下弦の肆、零余子(むかご)。猗窩座"お兄様"の使者よ」

 

 

彼女『零余子』は炭治郎に猗窩座の使者と伝えた。

 

 

「猗窩座さんの!?じゃあ君が…」

 

 

「ええ。猗窩座お兄様からあなたの特徴を聞いていてね。それで確認のために質問をさせてもらったわ。あぁ先に言っておくけど、私も猗窩座お兄様同様、呪いを解いているわ」

 

 

「早速だけど、猗窩座お兄様が入手した情報を教えるわ」

 

 

零余子は懐から紙の束を取り出す。

 

 

「情報は『無惨の目的』、『十二鬼月の状態と潜伏場所』よ」

 

 

「まず無惨の目的は『太陽の克服』。そのために『太陽を克服した鬼』の作成と十二鬼月の上弦に『青い彼岸花』の捜索を命じているわ」

 

 

「"青い"…彼岸花…?」

 

 

炭治郎は聞いたことが無い花の名前に疑問が浮かんだ。

 

 

「私もよくは知らないんだけど、太陽を克服するために探しているんだと思うわ」

 

 

「次に十二鬼月の状態だけど、十二鬼月はもう上弦しかいないわ。下弦の鬼は解体されたの」

 

 

「私は血鬼術で分身を作って無惨の所に忍び込ませたの。けど、無惨に喰われてしまったわ。その後猗窩座お兄様からこのことを聞かされたわ。だから私は下弦の肆でも頭に"元"が着くの」

 

 

「上弦の鬼に関してはこの書類に"似顔絵"と"名前"、その呼び方と潜伏先が記されているわ」

 

 

零余子は炭治郎に紙の束を渡した。

 

 

「潜伏先は一部の鬼しか分からなかったらしいわ。それじゃ私はもう消えるわ。いつまでもここにいたら無惨に繋がっている鬼に見つかるもの」

 

 

零余子は踵を返してその場を去ろうとする。

 

 

「零余子さん!」

 

 

「なに?」

 

 

炭治郎に呼ばれた零余子は炭治郎の方を向く。

 

 

「ありがとう。この情報はみんなに伝えるよ」

 

 

炭治郎は零余子に向かって微笑みながら言った。

 

 

「べっ…、別にあなたのためにしたんじゃ無いんだから!猗窩座お兄様のために仕方なくしただけなんだから!」

 

 

零余子は顔を赤くしながらそっぽを向いた。

 

 

「そ…、それじゃあね!精々上弦の鬼に喰い殺されないようにしなさいよ!」

 

 

零余子はそれだけ言って今度こそ去った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

零余子からもたらされた情報は炭治郎の鴉を通して耀哉に伝えられた。そして耀哉は緊急柱合会議を開くことにした。

 

 

そして柱全員の任務が終わった時を見計らい、柱合会議が開始された。

 

 

「おはよう皆。急に呼び出してすまなかった。今日は皆に伝えなくてはいけないことがあったから呼んだんだ」

 

 

耀哉は呼び出した柱に会議の内容を伝えようとする。

 

 

「お館様、その伝えたいこととは?」

 

 

柱の中で最年長の行冥が質問をする。

 

 

「それは"彼"から聞いてほしい。お願いするね」

 

 

「御意」

 

 

耀哉に呼ばれて現れたのは炭治郎だった。

 

 

「それでは竈門炭治郎から柱の皆様にお伝え致します。まず断っておきますが、この情報は"とある鬼"から頂いた情報であり、真実であることをお伝えします」

 

 

「まず無惨は太陽を克服しようと目論み、そのために太陽を克服した鬼を作ろうとしています。そして十二鬼月の上弦にのみ"ある任務"を与えています」

 

 

「"ある任務"…ですか?」

 

 

しのぶが疑問に思ったことを口にする。

 

 

「はい。それは"青い彼岸花"の捜索です。無惨は太陽を克服した鬼、若しくはその"青い彼岸花"を取り込むことで太陽を克服しようと考えているのでしょう」

 

 

炭治郎は零余子が予想していることを柱に伝えた。しかし

 

 

「信じない信じない。そもそも鬼が与えた情報が真実かどうかも怪しい」ネチネチ

 

 

「私もその信憑性に疑問を感じる…」

 

 

「俺も派手に信じないぜ。そもそも、一体どんな鬼がその情報を伝えたんだ?」

 

 

小芭内、行冥、天元の三名がその情報を否定した。

 

 

「俺は信じるが、竈門少年よ、その情報は誰から貰ったのだ?」

 

 

義勇、実弥、しのぶは杏寿郎の疑問に頷いた。

 

 

「この情報は"元"十二鬼月、下弦の肆である零余子と言う少女の鬼から頂きました。そして彼女は"猗窩座の使者"と言っていました」

 

 

炭治郎は誰からの情報なのかを明かすと

 

 

「よもや!猗窩座殿からなのか!?」

 

 

杏寿郎は相当驚いたのか、思わず立ち上がってしまった。

 

 

「煉獄、炭治郎、その"猗窩座"と言う者は何者だ?」

 

 

猗窩座のことについて義勇が質問をする。

 

 

「猗窩座さんは十二鬼月の上弦の参の数字を持った鬼ですが、彼は"前世の記憶"と言うものを持っており、俺たち鬼殺隊に協力を申し出た鬼でもあります」

 

 

炭治郎は猗窩座のことについて説明をする。しかし小芭内、行冥、天元の三名は相変わらず信じてはいなかった。

 

 

「竈門少年の言っていることは本当だ!実際に彼と戦った俺がそれを証明する!」

 

 

「炭治郎君は嘘をつくのが苦手ですからね。言っていることは真実でしょう」

 

 

「俺は炭治郎の言っていることを信じる」

 

 

「俺も義勇に同意だァ」

 

 

しかし杏寿郎、しのぶ、義勇、実弥の四名が炭治郎の言っていることを信じると言った。

 

 

「ありがとうございます。それから十二鬼月のことですが、猗窩座さんの情報によると、下弦の鬼は解体され、今は上弦しかいないとされています」

 

 

「上弦の鬼に関してはその似顔絵と呼び名、それから潜伏先がこの紙に記されています。今から皆様にお配りしますので、見終わったら隣の方に渡してください」

 

 

「南無…、竈門炭治郎よ。私は盲目のため、似顔絵を見ることはできない。だから私の番の時は隠の者にどんな容姿か言ってもらっても良いか?」

 

 

行冥が目が見えないことを伝えると炭治郎は了承し、行冥の側に隠の者が控えた。

 

 

そして義勇を先頭に実弥→小芭内→蜜璃→無一郎→杏寿郎→天元→しのぶ→行冥の順番に書類が回った。

 

 

「!?、こいつは…!」

 

 

とある似顔絵を見たしのぶは顔を怒りの色に染める。

 

 

「しのぶ、どうした!?」

 

 

しのぶの声を聞いた義勇がしのぶの側に駆け寄る。

 

 

「コイツは…、姉さんを死に追いやった鬼…!」

 

 

しのぶが見ていたのは、『上弦の弐』の似顔絵だった。

 

 

「!?、コイツがァ…!!」

 

 

「カナエさんを…、殺した鬼…!」

 

 

しのぶの呟きを聞いた義勇と実弥はもう一度似顔絵を見た。その顔はしのぶ同様、怒りに染まっていた。

 

 

「何々…?"上弦の弐・童磨(どうま)"?」

 

 

「うわぁ…、顔は笑っているけど、何か作り物の笑顔みたい…」

 

 

天元と蜜璃も童磨の似顔絵を再び見て、各々の感想を言った。

 

 

「潜伏先ですが、今皆さんが見ている鬼と、上弦の陸しか分からなかったそうです」

 

 

炭治郎が潜伏先が分かった鬼のことを言うと、しのぶが炭治郎の襟首を掴んだ。その力はその細身からは考えられないほどで、炭治郎は息が出来なくなってしまう程だった。

 

 

「言って!炭治郎君、この鬼がいる場所を教えて!!」

 

 

「落ち着けしのぶ!喉が締まって炭治郎が呼吸が出来なくなっているぞ!」

 

 

「しのぶ、一旦その手を退けろォ!」

 

 

義勇と実弥がしのぶを何とか落ち着かせ、咳き込む炭治郎の背中を実弥が擦った。

 

 

「炭治郎ォ、大丈夫かァ?」

 

 

「ゲホッ、ゲホッ。ありがとうございます、"実弥師範"」

 

 

無限列車の任務の後、義勇と実弥は任務の合間を縫って炭治郎のお見舞いに来ていたのだ。その時、二人から『これからは"師範"と呼んでほしい』と言われ、義勇のことを『義勇師範』、実弥のことを『実弥師範』と呼ぶようになったのだ。

 

 

「ごめんなさい炭治郎君。感情を制御できないなんて、柱として不甲斐ないです」

 

 

しのぶは興奮が冷め、炭治郎に土下座して謝った。

 

 

「しのぶさん、俺は大丈夫ですから、頭を上げてください」

 

 

炭治郎はしのぶを許し、しのぶは頭を上げた。

 

 

「その鬼は万世極楽教(ばんせごくらくきょう)と言う宗教の教祖らしく、いつもはその宗教の総本山にいるそうです。それから、上弦の陸の潜伏先は吉原遊郭(よしわらゆうかく)と言う場所らしくて、普段は花魁をしているそうです」

 

 

「何だと!?」

 

 

炭治郎が言った情報に、今度は天元が驚いた。

 

 

「宇随さん、どうしたんですか?そんなに驚いたりして」

 

 

天元が驚いたことに蜜璃が疑問に思った。

 

 

「遊郭って言ったら、俺の"嫁たち"が調べている所じゃねぇか!!」

 

 

『何だって!?』

 

 

天元が言ったことに耀哉を除く全員が驚いた。

 

 

「どうしますか?今から手紙を書いて戻ってもらいますか?」

 

 

しのぶが天元に提案をする。

 

 

「いや、今戻ると鬼に怪しまれる。俺が何とかする」

 

 

天元は鬼に怪しまれないように現状を維持することを決めた。

 

 

 

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