「ではお次は剣と魔法で戦う仮面ライダー、ウィザードの世界です!」
おっ、ついに来たか剣と魔法のファンタジー世界に転生!
つっても今までの流れで考えると嫌な予感しかしねぇが・・・
「ちなみに世界観としては今まで通りの石森さんの元の世界と同じようなものです。一般人は魔法を使えませんからね」
・・・だろうな。剣と魔法の世界どこいった?
まぁ予想が覆った方が安心感が・・・ねぇか。
「なぁ、ちなみに俺が魔法を使える可能性は・・・無いよなさすがに。んな事できたら仮面ライダーになる素質とか扱いになるんだろ?」
魔法にはちょっと憧れがあるからな。でもまぁ仕方ない話は仕方ない。
「使いたいんですか? まぁ可能性は無くは無いですが・・・」
「・・・え? 使えるの? 魔法・・・」
俺の心の期待の色が輝くのを感じた。でも天使の口の濁り、嫌な予感がする。きっと当たる。
「この世界で魔法を使おうとすると、ルートは2つです。そのうちの1つは仮面ライダーになること。もちろん石森さんでは不可能です」
「だろうな。もう1つのルートは?」
俺の問いに天使は苦い顔をした。
「ちょっと複雑ですよ。まずは魔力を宿した人間に転生できること。これは確率の問題です」
確率か。まぁゼロじゃないってならまだいいか。だが・・・
「魔力を宿した人間? それって仮面ライダールートじゃないのか? 俺が転生できないパターンの」
「いえいえ。魔力を宿していたからといって仮面ライダーになれるわけではありません。仮面ライダーになるには魔力を持ちながら、自らの力でファントムに打ち勝たなければなりませんから。つまり石森さんの場合はファントムに勝てないことが確定するわけです」
「ファントム? この世界の怪人か。そりゃ無理だな」
「う~ん少し勘違いされていますが、仮面ライダーになるためにファントムに打ち勝つには戦闘力ではなく精神力が必要です。むしろ腕力は女の子並みでOKです」
精神力で仮面ライダーに? 意味が不明だけど気のせいか遠回しに俺って存在が否定されてない? まぁ精神力に自信は無いけどさ。
「ファントムは魔力を持った人間が絶望することで、その心から生まれます。絶望時に人間が死んでしまうとファントムが生まれ、強い意志が勝ればファントムを抑え込んで仮面ライダーが生まれます」
なるほど、たしかに強い意志とか無いな俺には。
「ん? 話がズレてきてない? 魔法を使えるルートの話じゃないか?」
そう俺が詰め寄ると、天使は自分のお腹の辺りに手をかざすや否や、俺に横チョップを喰らわせてきた。いや、横に広げた腕が俺の顔に当たった感じか。
「話は最後まで聞きましょう。この仕組みがあるので、ファントムはファントムを増やすために魔力を持った人を絶望させてきます。その過程で魔法を使う雰囲気を味わうことができる。それがもう1つのルートです」
・・・怪人が人間を絶望させる過程で魔法を使う雰囲気。
意味不明な配列、きっと説明不足なんだろうな。
「つまりどういうことだってばよ?」
「これは作中でも起きたパターンですが、とある少年は小さい頃から魔法使いになる夢を持っていました。そんな彼を絶望させるため、ファントムは隠れて魔法を演出していました。少年は魔法使いになれたと喜んで、皆の前で披露します。そこでネタバラシ」
ッ、ド陰険!
「この少年は魔力を持った人間だったのでファントムに狙われていました。ですので魔法使い気分を味わうことができるのが、このパターンということです」
「それ、魔法を使うパターンとしてカウントしていい案件なのか? 実質、仮面ライダールート限定じゃん」
俺の指摘に天使は目を逸らすこともなく「そうですね」と頷いた。
「そういうわけですので、もし魔力を持って転生してしまうとファントムから陰険な方法で狙われる人生が待っています」
「じゃあ魔力を持たずに転生したらどうなるんだ?」
「そうですね。基本的にファントムは人間の事を見下しているので、執拗に狙われたりすることは少ないですが、平然と危害を加えられたりする可能性はありますね」
駄目じゃん。打つ手なしじゃん。
「ただ大量破壊はしませんよ。魔力を持った人間が巻き添えになってしまうとファントムを増やすことができなくなってしまいますので」
「うわ・・・怪人本位の考え方。なんでそんなにファントムって性格悪いんだ? いいファントムっていないのか?」
「そうですね。元々、人間の絶望から生まれた存在ですから。仮面ライダーですら自分の体に宿ったファントムと信頼関係を築くので精一杯でした」
仮面ライダー凄ッ!
「それでは石森さん。貴方が転生するのは、ウィザードの世界でよろしいですか?」
笑顔で尋ねる天使に、俺は笑顔で答えた。
「いいえ。俺は仮面ライダーウィザードの世界に転生なんかしません!」
というか今回、ほぼネガティブキャンペーンじゃねぇか。