転生先は何ライダーですか?   作:三柱 努

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鎧武

「さて次は人類総仮面ライダーを目指していた世界、仮面ライダー鎧武です」

・・・・

「さ~て鎧武の次の仮面ライダーは?」

「? どうして話を逸らすんですか、石森さん?」

「いやいや、人類総仮面ライダーなんだろ? 俺の転生不可能ってことだろ?」

俺の真っ当な指摘に天使は首を横に振った。

「たしかに全人類を仮面ライダーにする計画がありました。ですが鎧武のせいで断念しています」

・・・どういう経緯?

 

「どうやら石森さんは混乱しているみたいですね」

「無理もないだろ。どういうストーリーがあったら仮面ライダーが仮面ライダーの計画を駄目にするんだ?」

俺の問いに天使は一気に目を輝かせた。

あ、駄目なスイッチを踏んだな。

「石森さんのたっての頼みですから、応えないわけにはいきませんね。では紹介させていただきます。仮面ライダー鎧武のお話。長くなりますよ~」

「ちょっと待った!」

まずいぞ。このまま天使に話をさせちゃいけない。

仮面ライダーは1年間の番組。365日を7日で割って、たまに放送が休みの日があったと考えてだいたい全50話くらい。

そんなのを語られたらアホみたいに時間を喰われる。俺の気力がもたねぇ。まだ仮面ライダー転生説明の先が見えねぇっつうのに。

かといって下手に説明を省略させて、重要な所を聞き逃したらマズイ。

もしかしたら鎧武の世界が最高に住み心地のいい世界かもしれねぇ。

考えてみれば、人類総仮面ライダーという状況が不要だと判断したから、主人公がそれを阻止したわけだ。

仮面ライダー。それはつまり戦闘用の強化服。それが必要ってことは怪人との戦乱の世。

・・・あんま平和臭がしねぇな・・・でも万が一っつうこともあるし。

どうにかして、天使に長ったらしく話をさせないで鎧武の世界を知りたい。

ならば・・・

 

!?

 

閃いたぜ!

 

「なぁ、鎧武の世界を語る上で特に重要なキーワードってあるか?」

「はい! そうですねぇ、ですがどのキーワードも重要なので迷いますねぇ」

天使はノリノリの笑顔で答えた。好きを語る時の笑顔は可愛いんだけどな。

「なら3つ。3つのキーワードを挙げるとすればどうだ?」

「3つですか。なるほどなるほど。そうですね、挙げるとすれば・・・【ユグドラシル】と【ヘルヘイム】、そして【戦極ドライバー】ですかねぇ」

天使は指を曲げたり伸ばしたりして楽しそうに悩みながら教えてくれた。

なるほどなるほど。

「やっぱ天使的にも悩むところなのか。でも詳しいからこそ挙がったところなんだな」

「もちろんですよ。でも楽しいですね、特に大事なものをピックアップするのって。悩み甲斐があります」

ウキワキした天使の笑顔、カワイイな。だけどスマナイ。

「じゃあそんな詳しい天使様に、ちょっと捻ったゲーム性のある説明をお願いしてもいいかな?」

「ゲーム性ですか? 何でしょう、その魅力的な響き。いいでしょう、何でもどんと来い!」

そう言って胸を叩いた天使。かかった。

「その3つのキーワードを使わないで鎧武のストーリーを説明してくれ」

俺の提案に天使の笑顔が止まった。ヤバイ、怒らせたか?

「・・・・いいでしょう。ですがそれだけでも面白くありません。あえて鎧武系のキーワードを省いて説明してやろうじゃないですか! しかも分かりやすく!」

入ってたのは真剣モードだったようだ。

これは嫌な予感・・・俺、自分で自分の首を絞めたんじゃないか?

 

「では始めます」

そう言うと天使はどこからか取り出したマイクを手に語り始めた。

「その町ではモンスターを召喚して戦うゲームが流行っていました。そんなある日、葛葉紘汰は自分でモンスターと戦う装備、仮面ライダー変身ベルトを手に入れます。その強さで無双するかと思いきや、他のプレイヤーたちもベルトを手にいれはじめ時代はまさに群雄割拠! しかしそのゲームやベルトは、とある組織が実験データを集めるための陰謀だったのです!」

な・・・なんか俺の直感だけどさ。コロコロコミックに載ってそうな話じゃないか?

「組織との戦い赴く中で徐々に明かされていく真実。全ては異世界からの浸食に抗うための壮大な計画だったのです。そのまま放置していたら地球が異世界に蝕まれて滅んでしまう。仮面ライダーの変身ベルトはその異世界に適応して生きるための生命維持装置だったのです」

ゲームがいつの間にか世界の命運を賭けた存在になっている。遊戯王で見た事あるな。

「異世界の侵攻に抗うには最強リンゴの力を制御するしかありません。その力を巡って、主人公や組織、モンスターたちの思惑が交錯します。徐々に地球が侵食されていく中でも人間とモンスターの裏切り、謀略、信念の対立は続き、多くの犠牲が発生します。その犠牲の上で主人公はついに最強リンゴの祝福を受け、異世界の根源と自分たちを全て別の惑星にワープさせることで地球の平和を守ったのです」

・・・やっぱ悪い予感が的中したな。

下手にアレンジ加えさせたせいで話が分かりにくくなっちまった。

「これで鎧武の物語がわかりましたか石森さん?」

うん、天使の笑顔に首を縦に振るしか選択肢がなくなったな。

 

 

「それでは石森さん。貴方が転生するのは、鎧武の世界でよろしいですか?」

笑顔で尋ねる天使に、俺は笑顔で答えた。

「いいえ。俺は仮面ライダー鎧武の世界に転生しません!」

思い返せばアレンジあらすじの中にも物騒な単語が飛び交ってたな。最後にはめでたしめでたしで終わるけど、それまでの経緯がな。

それに天使も最後に「ちなみに最終回の後も・・・」とか言おうとしてたからな。

 

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