「さてさて続きましては仮面ライダーブレイドの世界。いつものように世界観は貴方の元の世界とほとんど一緒」
そろそろマトモな世界が来てくれてもいいんじゃないか?
「今回の怪人はぁ~、アンデッドだよ!」
「まさかの2連続ゾンビ!?」
俺の叫びに天使はチッチッチと指と首を振ってみせた。
「そもそも前回がゾンビじゃないでしょ。ってのはおいといて、今回のも名前はアンデッドだけど中身は不老不死の生き物よ」
へぇ違うのか。不老不死ね。不老不死。不老不死・・・
「死なないのかよ。仮面ライダー、どうすんのソレ? どうやって倒してんの?」
「封印するのよ」
そう言って天使はどこから取り出したトランプを投げた。ハラリヒラリと天使の足元に落ちた。
「ちなみに今回もアンデッドが単純に敵というわけではありません。何故かわかりますか?」
そう言って天使はトランプを並べ始めた。何してんの?
「正体が人間だから?」
「残念ッ! 答えはアンデッド同士も敵だから」
そう言って天使はトランプの札同士を向き合わせた。なるほど、同じカードが無いからそれぞれ別の勢力だぞと、そういうわけか。
「アンデッドは53体。その53体が勝ち残りを賭けて戦う物語よ」
ん? 仮面ライダーの話じゃないのか?
「何処に仮面ライダー要素があるんだ?」
「何言ってるんですか? アンデッドが人を襲うからですよ。仮面ライダーは人を守るために戦うんです」
そっか。そりゃそうだ。普通はそうだよな? そんな世界じゃなきゃ駄目だよな。
「だけどアンデッド同士は敵なんだろ? なのに人間を襲うのか?」
「そうです。不老不死ではありますが生命活動維持のために食事はとるので、その中で人間を襲うことがあります。それと・・・」
それと?
この天使の溜めは、少し話が長くなる予感がするな。
「そもそもアンデッドとは何か。カブトムシやクジャク、クジラやウミヘビ。そういった動物たちの御先祖様です」
ん? なんかアギトの時に聞いたような設定だな。
「なるほど、だから人を恨んで襲うんだな?」
天使は両手を×の字にして「話を遮らない」と俺を睨んだ。
「アンデッド同士が敵だという話ですよ? これはバトルファイトの話です」
何その頭痛が痛い。
「バトルファイトは先程言ったアンデッド同士の勝ち残りバトル。その優勝者の種族が地球で繁栄するんです。そんなバトルが1万年に1度開催される世界です」
「なるほど・・・ん? ひょっとしてだけど前回チャンピオンが人間の御先祖様アンデッドだったとかそういう感じ?」
天使が「大正解!」って手を差し出してきた。俺は握手で応えた。
「その通り! そこまでわかればアンデッドが人間を襲う理由もわかりますよね?」
俺が首を横に振ると「おいぃ!」とチョップしてきた。別に痛くない。
「嫉妬みたいなものですよ。なんで人間なんかが支配者気取ってんの? 我々は不満です! ってね」
たしかにそうなるな。
「なので流石にアギトのアンノウンほどの残虐性では襲ってきませんが、中にはあえて人間を狙って襲うことを楽しんでいるアンデッドもいます」
「うわぁ。まぁ全部が全部ってわけじゃないんだろ?」
「はい。知性すらもたずに暴れるアンデッドも多いです。ですが中には誇り高き戦士っていうアンデッドもいますし。むしろ人間に味方してくれるアンデッドもいますよ」
へぇ、そいつはありがたいな。それに性格の個体差もあるのか。
「なので簡単に言ってしまえば、ウルトラマンなんかに出てくる怪獣が小さくなったようなものだと思ってください」
「そうそう。たしかピグモンとかいったっけ? 実は小さい頃、よくビデオで見てたんだよ・・・って、え? 怪獣・・・」
うっかりしていた。人に味方をしてくれる怪人がいる、そんな情報に引っ張られて一瞬大事なことを失念していた。
「えっと、その人の味方になってくれるアンデッドって、どのくらいいるの?」
「見解は少し分かれますが、片手で数えられる程度ですね。アンデッドは全部で53体なので、1割もいません」
「90%の確率でアウトじゃねぇか」
とはいえただ生き残るだけならなんとか・・・逃げ切ればいいわけで・・・
「あとバトルファイトの最後に世界が終わりそうになります」
「・・・はぁ?」
はぁ? しか出て来ねぇ。何? さいごにせかいがおわりそうになる。初めて聞くよそんな馬鹿みたいな言葉の並び。
「具体的に言えば、人型のゴキブリが無限に発生して、全ての生き物を駆逐しようとします」
どこのテラのフォーマーズですか? ちょっとクロスオーバーが渋滞してない?
「一応、主人公の活躍で世界の破壊は喰い止められますが、最後のひと踏ん張りをしてもらわないと石森さんは死んでしまいます」
うわ。そうか・・・忘れていたな。
今まで即死パターンばっか気にしていたから、怪人から逃げればいいだけって思っていたけど、生き残ったら次の怪人の恐怖におびえる生活が待っているんだな。
「それでは石森さん。貴方が転生するのは、ブレイドの世界でよろしいですか?」
笑顔で尋ねる天使に、俺は笑顔で答えた。
「いいえ。俺は仮面ライダーブレイドの世界に転生しません!」
ウルトラマンの世界も嫌だな。