原作とはちょっと異なる能力になった一方通行さんと上条さんが協力して生き延びる感じになる予定だった作品。
一方通行も幻想殺しもいちゃもんを付けようと思えば無数に付けられる能力だな。
そんな気持ちから本作が生まれました。
この先は原作にツッコミを入れながらグダグダ続けていく感じの話になるんじゃないかと。
僕の解釈が絶対的に正しいと言う気は毛頭ありません。こんな解釈があるんだなくらいに思っていただければ幸いです。
禁書 現実的な一方通行さんの物語
ライトノベル『とある魔術の禁書目録』は読み物としては面白いけど現実的に考えると色々とおかしいところがある。
まぁ、ファンタジーなフィクションなんて大体そんなものなのかもしれないけどさ。
有名なのは熱膨張の話か。ネットで軽く調べた限りでは『熱湯による拳銃の不具合はほぼ有り得ないけど極々低確率で起こる可能性が無きにしも非ず』って感じだったはず。
……さて、何でオレが突然こんな話を始めたか説明しよう。
結論から言うと、どうやらオレは学園都市第一位こと一方通行に転生したらしい。
それを聞いて皆さんどう思っただろうか。
『最強の能力があるんだから天井とかいう小物にさえ気をつければ学園都市内では最強じゃんwwwwww』
そう思った奴は手を上げて欲しい。怒らないから。
一方通行は魔術は正常に反射できない……というのは置いておく。それさえ無ければ無敵に見える。
でもね、違うんよ。
オレという異物が転生した影響なのか、それとも世界が現実的になっただけなのか、一方通行の能力が微妙に違うんよ。
そもそも、一方通行っていう能力を正確に説明できる奴はどれだけ居るん? 怒らないから手を上げてみなさい。
『ベクトル操作』? うん。ベクトル操作の能力だ。そしてそれしか説明されてない。
能力を幾度となく実演してくれているからある程度は推測できるけど、口頭での説明はベクトルを操る能力だとしか説明されて無いんよ。
結論から言うと、一方通行は『あらゆるベクトルを操作する能力』ではない。原作でも打ち止めのLOVEのベクトルをいじれてないしな(笑)
オレの推測も混ざるけど、どうやら『運動エネルギーのベクトル』と『力のベクトル』の2種類のみが対象になってるっぽい。
まぁ、この2つは科学や力学における極めて基礎的な要素なのでこれだけでも大抵の物は網羅できるんだけど……やはり、穴はある。
それがどういった物なのかは……実際に見て頂いた方が良いだろう。
……さて。
今現在、オレたちの目の前に居るのは炎の巨人。
「オイオイ、原作1巻の中ボスの時点で今までで一番やべェぞ。
どうするよ上条さン」
「どうするったって……やるしか無いだろ。行くぞ鈴科!!」
これは、少し現実的になった気がしなくもない禁書の世界の転生者達の話。
よりにもよって表と裏の主人公に転生してしまった彼らの苦労譚である。
オレがもう1人の転生者である上条さんに出会ったのはそう特別な事があった訳じゃない。
小市民なオレは原作の一方通行と違って割と規則正しい……あくまでも一方通行さんと比べてだが……をしていたのでたまたまコンビニで買い物した際に遭遇しただけの話だ。
「あれ、ちょ、機械が止まって……えっ、キャッシュカードも出ないんですけど!?」
そんな声を聞いたオレは「世の中には上条さんみたいな不幸な奴も居るんだな~」とか呑気に考えながら故障したらしいATMの方に視線を投げかけた。
そしてそこに居たのは、ツンツン頭のいかにも不幸そうな男。
もしコーヒーを飲んでいたら確実に吹き出していただろう。まさかこんな所で遭遇するとは思ってなかったから。
一瞬何も見なかった事にして立ち去ろうかと考えた。だって不幸な上条さんと関わるとロクな事にならないし。しかし、無視する事はできなかった。可哀想過ぎて。
「……オィ」
「あ、すいません。ちょっと待ってください。カード飲み込んじゃって……って、ええええええっっっっっっ!?!?!?!?」
「な、なンだ!? 突然どうしやがった!」
「いや、だって、セロリ……じゃなくて一方通行!? ど、どうしてこんな所に!?」
「……なンだと?」
セロリとは、一方通行が持つ愛称……愛称? とにかく呼び方の一つだ。
原作で幼女姿の……と言うか実際年齢1歳に満たない幼女である打ち止めを最優先で守ろうとする姿を読者に見せつけた結果……ロリコン呼ばわりされる。
そしてその『ロリコン』と『アクセラレーター』を融合させた『アクセロリータ』という呼び方が流行った。その真ん中部分のみを抽出して『セロリ』ってわけだな。
さて、ここで問題になるのは『ロリコン』という部分。
オレはロリコンじゃねェ! ……というのも勿論あるがそこじゃない。
この世界では打ち止めは誕生すらしていない。故にロリコンだと思われる要素が一切無いのだ。
では何故、上条さんがロリコン呼ばわりしたか。
「……まさかオレ以外にも居やがったのか。転生者」
「なっ!? え、まさかアンタも!?」
「そォいう事になる。今から時間あるか? ちょっとそこらの喫茶店で話そうぜ」
「え~、時間は構わないのですが、上条さんはちょっとお財布が……と言うかカードが……」
「……ちょっと待ってろ」
ATMに手を触れ、重力のベクトルを観測する。
一定以上の重力が発生している場所=質量が存在する場所=物体が存在する場所なので、重力の有無を探れば機械の内部構造は概ね把握できるというわけだ。
続けて、キャッシュカードの排出を司るモータに働きかけを行う。重力のベクトルを操作して回転に変換。変な警報が鳴らないように電気信号の類は全部封鎖しておく。電流=電子の運動なので操作は普通に可能だ。但し、一方通行の能力は1を0にする事も0を1にする事もできないので余ったエネルギーはどこかに逃してやる必要がある。今回はモータの回転にそのまま突っ込んだ。
これでカードの排出完了。傍目に見れば一瞬の出来事だが能力を使う側からするとかなり疲れる。
「お、おおおお!! ありがとう一方通行!!」
「あとは金の問題だったなァ。安心しろ、今日はオレの奢りだ。
学園都市第一位を舐めンなよ」
「一生着いていきますぜ兄貴っ!!」
「……奢りは今日だけだぞ?」
レベル5の奨学金を考えるとしばらくの間養ってやる事は決して難しい事ではないけど一生は困る。
「ふぃ~、こんなに何も考えずに食事できたのは久しぶりだぁ!」
「普段はなンか考えて食ってんのか?」
「いやね、一口噛む度に生活費が削られて行っていると考えると胃痛が……」
「小市民……いや、ある意味原作の上条さンらしいのかァ?」
オレが金持ちなのは原作ファンなら周知の事実だ。目の前の転生者は『メニューのここからここまで!』という非常に遠慮の無い注文をしていた。マンガとかで良くある一度は言ってみたい台詞だ。オレも今度言ってみよう。
「ン~っと、それじゃあアンタの事は何て呼べば良い? 上条さン? それとも本名?」
「その2択だったら上条さん……いや、呼び捨てでいいよ。上条さんって呼ばれるのも違和感あるけど、元々の名前は覚えてないんだ」
「そっか……オレと同じだなァ」
「えっ、あんたもなのか? いや、それより何て呼んだら良い?」
「……『鈴科』って呼んでくれ。『いっぽうつうこう』も『アクセラレーター』も長すぎっから」
「一方通行の本名って鈴科で良かったのか……ちなみに下の名前は百合子じゃないだろうな?」
「違ェよ。そもそもオレは男だ。原作ではどうだったかは知らんけどな」
世の中の二次創作界隈には原作キャラのTS転生なるものも多数存在しているのだ。今のオレがそうじゃないという保証はどこにも無い。
「それじゃあ……鈴科!」
「おう、なンだ上条」
「お前は、この世界をどうしたいんだ?」
「……特になンも考えてねェな。ただ、とにかく死にたくない」
「……同感だ。俺も死にたくない」
「……じゃあなンで学園都市なんつう事件の宝庫にやってきたんだ?」
「……上条さんの身の回りは学園都市じゃなくても事件の宝庫ですよ。それだったらこの右手で対応できる事件の方がまだマシっすよ」
「そ、そっか……大変だったんだなァ……」
「まぁ、ねぇ。そっちは?」
「……どうもオレは孤児だったらしくてなァ。気付いたら学園都市に居た。
あの星野郎から逃げ出せるとも思えねェから開き直って自衛手段を磨いてる」
「……そっか。鈴科も大変だったんだな」
「あァ」
目の前の転生者こと上条には凄くシンパシーを感じた。
二次創作に良く居る『ニコポ・ナデポでハーレム作ってやるぜぇwwwwww』みたいな踏み台転生者でない事は確かだろう。
「ん? でもさ、一方通行の能力があれば魔術相手じゃなけしゃ最強じゃね?」
「そもそもここのトップが魔術師なンですけどねェ」
「あ~、確かに」
「それ以前に、原作と微妙に違うらしい。オレの能力は便利だけど無敵でもなンでもねェよ」
「えっ、まさかそっちもなのか!?」
「……あン?」
「俺の方も劣化……とはちょっと違うかもしれないけどとにかく違うんだよ」
「ほゥ? 具体的には?」
「……ミコっちゃんのレールガンを受け止めようとしたら右腕が消し飛んだ」
「…………お、おゥ。そ、そりゃあ大変だったな」
思わず右手に視線を送る。今現在はしっかりと付いているらしい。
幻想殺しには何故か右腕を再生する機能もあるんでそれで治った……直った? んだろうな。
「ちゃんと右手の手のひらで受け止めたにも関わらずですよ。ミコっちゃん泣いてたよ」
「マジか。やっぱりレールガンって防げねェのか」
「気付いてたのか!?」
「あァ」
幻想殺しは『右手で触れた異能力を全て消し去る』といった説明がされている。
ミコっちゃんこと御坂美琴こと超電磁砲の能力の8割は消し去る事が可能だろう。
例えば電撃。これは能力を使って直接電子を操っているのだろう。消去可能。
例えば砂鉄の剣。これも能力によって電子を操り、その結果磁界を発生させて砂鉄を操っている。触れる事で電子操作がキャンセルされて元の砂に戻るのでやっぱり消去可能。
だけど御坂美琴の代名詞でもあるレールガン。テメーはダメだ。
原作ではゲーセンのコインを指で弾いてマッハ3の速度で敵に叩きつける技だ。レールガンと言いながらレールが無いが、細かいことはひとまず無視しておこう。
レールガンと言うくらいだからフレミング左手の法則を利用して電流・磁界を操作して推進力に変えて、その結果マッハ3で敵にぶつかるという理屈のはずだ。
この時、能力によって発生してるのは電流のみ。磁界は別の電流を流した結果発生しているだけだ。まぁ、磁界に触れようとしたら勝手に電流にも触れると思うから結果的に消せるけど。
問題なのは、力。これは直接的な超能力による産物ではない。例えるなら『落雷が起きたら地面が焦げた』的な感じだろう。これは幻想殺しでは消せないだろうと推測していた。もし消せるなら落雷後の地面に触れたら焦げを消せるという事になってしまうし、ヤバい羽根が頭に当たっても右手で触れれば完治するという事になってしまう。
「しかしまァよく生きてたな」
「ビビって反射的に避けようとしてなかったら即死だったですよ……」
「その辺も含めて上条さンの才能かもなァ」
……と、ここまで書いた時点で『ミコっちゃんの電撃って本当に幻想殺しで消せるか?』という疑問が浮かび上がってしまった。
傍目に見るとエネルギーの塊をぶつけてる感じなので幻想殺しで受け止められる気はするけど電気ってそう単純なもんじゃない。
電気の発生メカニズム……御坂さんから上条さんに電撃を放つケース……は筆者の想像力で思いつく限り3パターンほどある。
・対象(上条さん)の電圧を極端に高める、あるいは低める
・対象ではなく自身の電圧を同上
・電子そのものを操作して電圧に関係なく電流を発生させる
まず、対象の電圧を操作する場合。
幻想殺しで操作を打ち消す事はできると思うけど、そうなるとそもそも電圧が変化しないので火花が一切散らない。何か変な構えをする中二病な中学二年生が見えるだけである。
防げてはいるけど……電撃を打ち消すのとは何か違う。
次に自身の電圧を操作する場合。
根本的な問題として制御が利かなくなる。絶縁性の服を着ていたとしてもスカートとソックスの間の絶対領域から地面に向けて落雷が発生するだけだろう。電撃を打ちたい相手よりも地面の方が明らかに近いので。
密着すれば電撃打てるけど……電撃である意味が無くなる。
あと、幻想殺しで防げない。能力が影響を与えているのは上条さんじゃないから。
最後に電子そのものを操作する場合。
能力で電子をつまんで相手に放り投げるようなイメージをしてみた。
一瞬イケるかと思ったのだが、これだと幻想殺しで防げない。
目の前に来た電子を受け止め、能力を解除する所まではいけると思う。しかし、能力による制御を離れた電子がどうなるか。密着している上条さんの右手のひらに飛ぶに決まってる。
結局、防げない。
そんな訳で手詰まりになり、どうにかひねり出した第四の案が『能力で電子を生成、その生成した電子をぶつける』というもの。
これであれば幻想殺しを受けた電子は消滅するので防ぐ事が可能だ。
……可能だけど、これって能力の汎用性が極端に落ちる気がする。
こんな感じで何かもう疲れたのでここで断念。気が向いたら細かい所には目をつぶってまた書くかも。
あと、冒頭で第一巻の中ボスに苦戦してるけど、これも現実的に考えた結果。
いくら幻想殺しで炎を防いでも熱された空気を吸っただけでアウトだと思う。
熱の伝搬を運動ベクトルで計算するのも凄く厄介そう。ベクトルをゼロにできるなら問題ないけど、向きを変える事しかできないのであればかなり厄介な相手になる。手加減してる時は基本的に物理で殴ってくる神裂さんの方がよっぽど相手しやすい。