タイトル通り、周回プレイしたキャラクターたちの冒険です。
何かレベルが異様に高かったり、装備が異様に整ってたり、何か色々おかしいシュルク達の旅をお楽しみ下さい。
……という風に始めようとして2話ちょいで力尽きた作品。折角だから投下します。
……機神界 大剣の渓谷……
ディクソンは混乱していた。
「……おいダンバン」
「なんだ戦友!」
「お前の……いや、お前らの格好は一体何だ?」
ディクソンの目の前に居るのはこれまで戦場を共に駆けめぐってきた2人の戦友だ。
しかし、どちらも非常に妙な格好をしている。
「……ダンバン、何でテメェはほぼ裸なんだ」
「? この方が身軽だろ?」
「いや確かにそうだがそうじゃねぇよ!!」
そう、戦友Aことダンバンは殆ど裸も同然の格好だった。
昨日まではそこそこまともな鎧を着ていたというのに!
「昨日まで着けてた鎧はどうしたんだよ!?」
「だって、あんなチンケな鎧じゃ機神兵の攻撃は防げない。
だったらいっそ裸になった方がいいだろ?」
機神兵とは、全身が金属のバケモノである。その身体の硬度はダンバン達『ホムス族』が着ている鎧なんぞよりもずっと硬い。
ただの身体でさえそんな有様なのだから攻撃用に作られている牙などの部位はもっと硬い。
確かに、まともに攻撃を喰らえば鎧なんて意味は無いだろう。それはディクソンにも理解できた。
「だからって裸は無ぇだろうが!! 転んだだけで大怪我だぞ!!」
「だいじょーぶだいじょーぶ。何か転ばない気がすっから」
「どんな理屈だよ!?」
ダンバンは普段から上の命令を無視して突っ走るようなバカであり、そんな姿を見たディクソンは常日頃から猪とか呼んでいる。
しかし、バカはバカでもそのベクトルが一気に変わった。何なんだコレ。
「……はぁ、死にたいならもう好きにしやがれ。
……いや待て。服装に気を取られて気付かなかったがモナドはどうした」
モナドとは、もの凄く雑に説明すると『凄い力が秘められた神の剣』の事である。
ただ振るうだけでも機神兵の装甲を豆腐のように切り裂き、念じる事で周りの味方の武器にその切れ味を付与する。
これが無いと機神兵には文字通り歯が立たない。ホムス族の切り札と言うべき神器である。
使い手にも相応の技量が要求され、現在ではダンバン以外には扱いきれないと言われている代物だ。
そんな超重要アイテムは普段はダンバンの腰に下げられているはずなのだが……
「ん? ああ、あんな人も切れないナマクラは海に捨てた」
「何だと!? 何て事してくれやがった!!」
「あんなビリビリするだけのナマクラなんかより、見てみろよこのライトセイバー。これなら機神兵も真っ二つだぜ!」
「いやどっから用意したその剣!? 明らかにホムス族の技術レベルを超えてやがるぞ!?」
「その辺に落ちてたぞ?」
「誰が落としたんだよそんな物騒なモンを!!」
その後ディクソンがダンバンを問い詰めるが、神剣モナドは海に捨てられ、鎧も他の人にあげたという現実は変わらない。
ディクソンは諦めてもう1人に矛先を移す。
「……ダンバンの事はとりあえずはいいさ。
……で、ムムカ、テメェのその格好は一体何なんだ」
もう1人の戦友ことムムカ。彼もまたダンバンとは別方向に妙な格好をしていた。
何というか……凄くメカメカしい。あと全体的に黒い。
「これか? 最新式のパワードスーツさ!」
「だから技術レベルがおかしいだろうが!! どっから拾ってきやがった!!」
「……? 何言ってやがる。こんな凄いのを拾えるわけが無いだろ。ちゃんとした職人に依頼した代物だ」
「確かにそうだが! そうだがなぁ!!!」
その後、厳つい顔に似合わない満面の笑みを浮かべたムムカから説明を受ける。
曰く、身体能力が軽く5倍になる。
曰く、赤いオーラを発する特注の鉤爪は機神兵すら真っ二つにする。
……いや、そうじゃない。入手経路を訊いてるんだ。って言うかまた機神兵が真っ二つにされてる……
「……お前たち、たった1日で一体何があったんだ?」
「細かい事は気にするな。なぁダンバン」
「そうだなムムカ。そんな細かい事を気にしてたら戦場で生き残れないぞ?」
「お前らそんな仲良かったか!?」
「いやまぁ……あんまり良くは無かった。
正直言うと、俺はダンバンがモナドの使い手に選ばれて嫉妬してた」
「何っ!? そうだったのかムムカ!!」
「ああ。だが、モナドなんて所詮は人も切れないナマクラだ。俺の特注の鉤爪の方がずっとカッコイイ。
そう思ったらどうでも良くなってな!!」
「そうだったのか……すまないムムカ。俺はお前の抱えてる悩みに気付けなかった」
「いいってことよ! あ、でも今度の酒はお前の奢りな。HAHAHAHA!!」
「おうおう! しゃーねーなー! HAHAHA!!」
何だコレ。もう着いていけない。
……もういいや。とりあえず目の前の戦場を何とかしよう。自分なりに一生懸命に頑張ればいいや。
そんな悟りを開いたディクソンは、虚ろな目を浮かべていた。
・殆ど裸のダンバン
ダンバンが習得するパッシブスキルの中には防具を装備してない状態で能力値などが強化されるというものが存在する。
防具による防御力の上昇とトレードオフとなるので装備が充実しているなら普通に装備した方が強いはずだが……ダンバン裸構成は一応選択肢には入る。
なので、本作のダンバンはずっと裸の予定です。
・神剣モナドがナマクラ
巨神が創った神剣モナドは自身とその眷属に危害が及ばないように『ホムス族、ハイエンター族などの所謂ヒト種は斬れない』という枷がかけられている。
機神に属する存在である機神兵には極めて効果的なモナドだが、ヒト種に対して振るうと市販の爪切り以下の殺傷能力と化す。
尤も、乱戦の最中であってもフレンドリーファイアが無いという意味では一応優秀。ゲームシステム的にはフレンドリーファイアどころか混乱の状態異常すら無いけど。
機神兵を切れる装備は少数だがモナド以外にもあるので、それと比べてしまうとナマクラという表現はあながち間違いではない。
・正史
本来ならダンバンがモナドを振るって機神兵を蹴散らす。
ムムカは劣勢になった途端に逃げ出すが、逃げ出した先で機神兵に襲われる事になる。
かなり劣勢だった戦場だが、ダンバンがモナドの力を強引に引き出して自爆に近い形で敵に大損害を与えて何とか逆転する。
ダンバンは命こと落とさなかったものの右腕が麻痺して動かなくなるという重傷を負った。
本作ではムムカが殺る気だし、ダンバンもレベル引き継ぎのおかげで有り得ないくらい強いので大した犠牲も無く勝利した。
……巨神界下層 コロニー9周辺……
あの大剣の渓谷の決戦から1年が経過し、人々は平和を満喫していた。
ここ、コロニー9は英雄ダンバンの故郷であり、戦争で失われずに済んだ2つのコロニーの内の1つである。
広大な巨神界の中でも最下層に位置するこの土地は時折上層部から様々な物が落下してくる。
彼は、そんな落下物の中に有益な物が無いか調査していた。
彼の名はシュルク。コロニー9所属の研究者の少年であり、そしてこの物語の主人公である。
「あっ、この型の機神兵のパーツは使えそう……あ、ダメか。完全に壊れてる。
ん~、こっちは……コレもダメかぁ……」
その調査の成果は芳しく無いようだ。
しかし、彼は基本的にヒマしているので問題ない。使えるパーツがあればラッキー程度の暇つぶしでしかない。
「ん~、良い材料があればこの剣の改良でもしようかと思ったんだけどなぁ……」
彼が背負っているのは身の丈と同じくらいの光り輝く巨大な剣。彼がその辺で拾ったものであり、気合を入れると光の刃が延びて射程が広がる。
切れ味はバツグンだが、その巨大さ故に背負って走るだけで地面に傷が付くという欠点がある。
何とか上手いこと改造して変形機構でも付けられないかと模索しているようだ。
そんな事を考えながら草むらに寝っ転がって日向ぼっこしていると遠くの方から彼を呼ぶ声が聞こえた。
「お~~~~~~い、シュルク~~~~!!」
「あ、ライン! こっちだよ!」
彼の名を呼ぶのは彼の幼馴染みのライン。
シュルクとは対照的な大柄でガッチリした体格、威圧的な見た目をしており、性格もその見た目通りに荒っぽく短気であり、そちらもシュルクとは正反対だ。
しかし、いや、だからこそ2人はとても仲が良い親友同士である。
「やっと見つけた。こんな所に居たのか」
「ライン、どうしたの?」
「ああ、何かディクソンさんがお前の事探してた……って何だその剣? カッコいいな!」
「その辺に落ちてたんだ。これを改良するのが次の僕の暇つぶしかな」
「……その剣、何かモナドに似てる気がするな。鍔の部分の丸いとことか」
「ちょっと止めてよライン。あんなナマクラとこの剣を一緒にしないでよ!」
「スマンスマン。何か重たい物運ぶか?」
「今日はめぼしいものは見つからなかったから……いや、一応これ運んでもらおうかな。
この機神兵一体丸ごとね。ここでバラすのも面倒くさいから」
シュルクが指し示したのは金属で身体が構成さればバケモノこと機神兵……の残骸。
一部欠損しているものの軽く100kgはするだろう。
「お、りょーかい。良いトレーニングになるぜ。
いつもの所に放り込んどきゃいいか?」
「うん、お願い」
それだけ言ってスタスタと歩いていくシュルクと、機神兵を片手で持ち上げてのしのしと着いていくライン。
冷静に考えれば異様な光景だが、今更そんな事を気にする人はコロニー9には居なかった。
「シュルク! どこほっつき歩いてたんだ! モナドの研究はどうしたんだ!!」
飄々とした態度を崩さないシュルクの目の前で怒鳴り散らしているのはディクソン。
彼は2年前にダンバンによって海に捨てられたモナドを頑張って回収し、シュルクに解析を命じていた。
ナマクラだのなんだの散々ディスられている神剣だが、本来コレはホムス族の切り札となる非常に重要な武器である。ダンバンとかムムカが何かおかしかっただけであり、それ以外の人にとっての価値は計り知れない。
使い手を選ぶ神剣モナドの力を一般人でも引き出せるようにする研究の重要度は非常に高いと言えるだろう。
「だってディクソンさん。こんなの人も切れないナマクラじゃないですか。そんなショボい研究はテンション上がらないですよ」
「まだダンバンみたいな事言い出しやがった!! 何なんだよお前ら一体!!」
……訂正しよう。おかしいのはダンバンとムムカだけじゃない。シュルクもだった。
え、知ってた? ハハッ。
「と、とにかくだ! モナドの研究を進めておけよ!!」
「はーい」
何故か疲れた様子のディクソンは研究所を後にする。
そんな寂れた背中を眺めながらシュルクは独り言を呟く。
「う~ん……何がディクソンさんをあそこまで駆り立てるんだろう。
もう何回も海に捨ててるのに毎回拾ってくるし。
機神界の中央工廠にでも投げ入れた方が確実かなぁ……」
・光り輝く巨大な剣
要するに引き継ぎプレイで手に入れた最強武器。FF7で言う所のアルテマウェポン。見た目的にも似てなくもない。
シュルクは序盤以外は神剣モナドを手に戦うが、モナドは先端がパカッと割れて光の刃が伸びるという構造をしている。
待機状態の時は小柄なシュルクの背中にピッタリのサイズだが、戦闘中だとメッチャ長くなる。
最強武器の場合、変形機構がほぼ付いておらず、延びた状態そのままの長さのものを背負う事になる。
なので、普通に切っ先が地面にめり込んでいる。メチャクチャ歩き辛そうだが、攻撃力もメッチャ高いので地面をスパスパと斬りながら歩いているのかもしれない。
・ヒマ過ぎるシュルク
正史では彼は寝食も惜しんでモナドの研究に励んでいた。
本作ではそんな事は全くないのでその分凄いヒマしてる。
……巨神界下層 コロニー9 ダンバン邸……
この家では、ある人物が床に伏せていた。
1年前の機神界からの侵攻をたった数名で跳ね返した英雄、ダンバン。
そして、そんな彼に付きそう少女の姿があった。
「お兄ちゃん、身体、大丈夫?」
彼女の名はフィオルン。シュルク達の幼馴染みでありダンバンの妹だ。
「……ああ、大丈夫だ。今日は調子が良い」
「そう? それなら良いけど」
英雄と呼ばれた彼が床に伏せている理由は明白だ。
そう、1年前の大戦の後遺症……
……ではなく、
「一体何回風邪引く気? いい加減ちゃんと服を着てよね!」
「む、しかしだな、これは常在戦場の心構えを示すもので……」
「それで季節の変わり目に毎回風邪を引いてたら意味が無いでしょ!! 風邪引いた状態で戦う気!?」
……ただの、風邪である。
いつもほぼ裸で居たらそりゃそうなるという話だ。
1年前の大戦の後遺症という表現もあながち間違いとは言いきれないかもしれない。誤解を招く表現だが。
「そ、それより、そろそろシュルクに弁当を届ける時間じゃないか?」
「あ、ホントだ。ありがとお兄ちゃん。それじゃあ行ってくるね。
ちゃんと布団被って休んでてよね!」
「あ、ああ! 勿論だとも!!」
いつも裸なダンバンも布団はセーフらしい。あくまで服の類がダメのようだ。
まぁそんな事はさておき、フィオルンは毎日シュルクにお弁当を持って行っている。料理があまり得意ではない彼は暇つぶしに没頭するあまり食事を抜く事が非常に多いのだ。
そんな彼を心配した彼女は強制的に食事を取らせていた。彼は毎日のように美味しいと言って感謝を述べているが、逆にどんな物でも大体同じ反応なのが彼女の悩みだったりする。
完全にダメ亭主とそれを心配する奥さんの構図である。本人たちは気付いていないようだが周囲の人間は暖かい目で見守っているようだ。
・季節の変わり目
果たして巨神界及び機神界に四季等があるのかは不明。
ハッキリした事は言えないが一応惑星っぽいので四季があってもおかしくはない。
無くてもおかしくないけど。
朝と夜が存在するので自転してるのは多分間違い無い。実は天動説ベースな世界で太陽に当たる恒星が凄い勢いで公転してるのかもしれないけど。
こんな感じで2話+αほど書いたけど力尽きた。
このまま進めると深刻なツッコミ役不足になりそう。
どっかの絶望的な黒幕みたいに胃痛になるディクソンさんを眺めるのも面白そうだけど、キャラ的にシュルク達に同行させるのもなんだかなぁ……と。
もし再開するのであればフィオルンが主なツッコミ役になりそう。彼女だけが胃痛枠というのも可哀そうなのでメリアとかメイナス様とかも追加されそう。
一応『2週目』を題材にはしてるけど……どこまで厳密にやるべきか。