私、N F Fサービス社長付き秘書をしています 作:妖精絶対許さんマン
戦闘描写を挟むと終わらないと思いましたので省略させていただきました。申し訳ありません。
『汝、『人』からの『愛』を知ってしまった『獣』也』はこの話で終わりです。ゲームでいうノーマルエンドです。
「––––––口惜しい、ですわ。あともう少し・・・・・・でしたのに」
胸に空いた穴を左手で覆いながら、破壊された戦術車両を背にして座り込みます。ブラックバレル・レプリカ––––––『天寿』の概念を宿した礼装。その一撃に私の霊核の半分が消し飛び、そう時間がかからずに私は消滅することでしょう。怒りに任せて私らしくないことをしたせいでしょう。
「ですが––––––ただでは滅びませんとも」
残り少ない力で右手の指でパチンッとある術式を起動します。すぐに地面が、この特異点全体が揺れていきます。
「コヤンスカヤさん!一体何をしたんですか!?」
「この特異点の核・・・・・・聖杯を破壊させていただきました。もはやこの特異点が崩壊するのも時間の問題。逃げるのならお早めにどうぞ。死にたいのなら、残られても構いませんが?」
転移できるだけの魔力が残っている内に・・・・・・戻らないと、約束を破ることになってしまいます。
「そんなことをしたら狐屋さんも死ぬかもしれないんだぞ!?」
「ええ、そうでしょうね。ですが、私と社さんの繋がりを甘くみないでくださいまし。私が死ぬのなら、社さんも共に死んでくれるので」
「そんな・・・・・・」
もはや彼らとの会話はありません。私の中を占めているのは彼らへの憎悪などではなく、
「・・・・・・遅いですね」
夕食を作り終わり、コヤンスカヤさんの帰りを待っていますがなかなか帰って来ません。
「テレビは偉大だったんですね・・・・・・」
この『高天ヶ原』にはテレビやSNS、動画投稿サイトなどは存在しません。せいぜいが『高天ヶ原』に家ごと移住する際に持ち込んだ本、雑誌類、会社の必要書類一式などです。テレビはあまり見ないのですが、時間を潰すのに重宝していました。
「暇ですね・・・・・・」
コヤンスカヤさん、早く帰ってきてほしいものです。しばらくコヤンスカヤさんの帰りを待っているとガチャリと扉が開くと同時にドサリと何か重い物が倒れる音がしたので、見に行くと血塗れのコヤンスカヤさんが倒れていました。
「コヤンスカヤさん!?」
慌ててコヤンスカヤさんに駆け寄り抱き起こします。
「ああっ・・・・・・そんな、胸に穴が・・・・・・っ!」
コヤンスカヤさんの胸から止めどなく血が溢れて、コヤンスカヤさんの血が床に広がっていきます。
「・・・・・・社さん?ああ、戻れたんですね・・・・・・」
「喋らないでください!すぐに傷を塞ぎますからっ!」
コヤンスカヤさんを横に寝かせてタオルを取りに行こうとすると、服を掴まれました。ただ、掴む手の力は弱々しい。
「そのまま・・・・・・私の側にいてくださいませ」
コヤンスカヤさんに言われた通り、コヤンスカヤさんを抱き起こして体を支えます。
「私・・・・・貴方と出会ったことを今更、後悔しているんです」
「それは・・・・・・どうしてですか?」
コヤンスカヤさんの言葉が胸に突き刺さります。コヤンスカヤさんは薄く微笑みながら血に濡れた手で私の顔を撫でてきます。
「ふふっ・・・・・・そんな顔をなさらないでください。ただ単に、
「・・・・・・っ!コヤンスカヤさん!体が・・・・・・っ!」
コヤンスカヤさんの体から金色の粒子のような物が立ち上っています。そして、コヤンスカヤさんの体が薄くなっています。
「もう、時間があまり無いみたいですね・・・・・・。社さん、その扉を通れば『高天ヶ原』から脱出できます。さあ、お早く」
「コヤンスカヤさんはどうなるんですか!?」
「私はこのまま『高天ヶ原』と共に消滅します。社さんは私に構わず––––––」
「嫌ですっ!!コヤンスカヤさんが残るなら私も一緒に残りますっ!」
コヤンスカヤさんは困ったような顔をします。その目は聞き分けがない愛おしい子供を見るようです。
「もう、我が儘を言わないでください。––––––社さん、私は貴方に生きてほしいんです。生きて、私のことを憶えていてほしいんです」
「そんな・・・・・・」
そんなことを言わないでほしかったです。コヤンスカヤさんが一言、『一緒に残れ』と言って欲しかった。
「それでも納得いかないと言うなら–––––」
私の顔を撫でていた手を後頭部に回してコヤンスカヤさんの方に押すように顔を近づけさせられ、私の唇はコヤンスカヤさんの唇によって塞がれました。そして、口内にコヤンスカヤさんの舌が入ってきます。コヤンスカヤさんの舌が私の口内を舐めて蹂躙して、私の舌がコヤンスカヤさんの口内を蹂躙しながらお互いの舌を絡め合います。
「ぷはっ・・・・・・社さんの『妻』として最初で最後のお願いです。––––––生きてください、社さん。生きて、私のことを憶えていてください」
「––––––––––––」
命令ではなく『妻』としてのお願いだなんて・・・・・・ずるいです。卑怯です。
「・・・・・・わかりました」
「よかった・・・・・・でしたら」
コヤンスカヤさんが言い始める早く、今度は私がコヤンスカヤさんを抱きしめてキスをします。コヤンスカヤさんの体の感触を、匂いを、コヤンスカヤさんの全てを脳裏に刻みつけながらコヤンスカヤさんの唇を貪るようにキスを続けます。コヤンスカヤさんは私の方からキスをされるとは思ってなかったのか目を見開いて驚いていましたが、次第にコヤンスカヤさんの方からも舌を入れて来ました。
「またいつか––––––会えると信じています。この続きはその時まで取っておきますから」
これ以上、コヤンスカヤさんといると決意が鈍りそうになります。私はコヤンスカヤさんをソファーに仰向けで寝かせて、コヤンスカヤさんを置いて家から出て行きました。––––––必ず再会できることを信じて。
––––––もはや残っているのが奇跡のような聴覚が、彼が扉を閉める音を聴きました。
(よかった・・・・・・)
それにしても・・・・・・社さんからあんな熱烈な抱擁とキスをしてくれるなんて思いもしていませんでした。もし、カルデアがいまだこの特異点に来ていなくて、私の体が万全の状態なら社さんを押し倒して貪っているところでした。
「・・・・・・ふふっ。あー、おかしい。『人類悪』の私が、こんなに一人の殿方に執着するなんていつぶりでしょうか」
ふっとありえない可能性が頭をよぎりました。私が『人類悪』ではなく、ただの女で、社さんと出会って結婚して生涯を添い遂げる、そんな可能性。
「––––––案外、悪く無いかも知れませんねぇ」
あの後の話をしましょう。私は気づいたら北海に存在する『彷徨海・カルデアベース』のドックで気絶しているのを発見、保護されました。保護された後はサーヴァントと言われる方々の監視下のもとムジーク氏の仕事の手伝い、第三者視点から見たカルデアの実績などをレポートに纏めるなどの業務に従事していました。なりより驚いたのは玉藻さん––––––玉藻の前さんがコヤンスカヤさんとあまりに似ていて嬉しさのあまり号泣してしまい、別人だと教えられて更に泣いてしまって玉藻さんが周りの方々から白い目で見られて慌てているのはいい思い出です。
「これでよしっと・・・・・・」
世界が白紙から元に戻った後、私はコヤンスカヤさんと暮らしていた家に戻りました。家を特異点に移動させたので空き地か何かになっていると思ったら、普通に家が残っていました。長く家を空けていたので掃除や片付けに追われていましたが、ようやく終わりました。
「・・・・・・」
お酒の類はあまり嗜む方では無いのですが、何となく今日はコヤンスカヤさんが気に入っていたワインを飲みたくなったのでワインのボトルとワイングラス二つを食器棚から出して、コヤンスカヤさんがいつも座っていた場所に一つ、私の手元に一つ。グラスにワインを注いで、カツンッとグラス同士を当てます。
「私はいつまでもこの場所で待っていますから––––––コヤンスカヤさん」
・狐屋社⑤
白紙化現象が解決後はコヤンスカヤと暮らしていた家に戻り、いつかコヤンスカヤとの再会を信じて暮らしている。
社が知らない間にコヤンスカヤが金運やら女避けやら厄除けやらと大量の加護を施しているので生涯金に困らない。あと、変な女も寄り付かない。
コヤンスカヤに対する絆レベルは15。
・タマモヴィッチ・コヤンスカヤ⑤
消滅寸前に社が積極的になってくれて内心超興奮していたらレディ・ラビット。玉藻の前の体を張った防御からの『
社に対する絆レベルは15。