黄土色の大地を一人の男が歩いていた。
見渡す限りの砂の丘。
男は自分がどこを歩いていてどこに向かっているかを分からずにいたが、歩き続けなければならないという意思に駆られてひたすら足を動かしていた。
息を切らしながら倒れそうなほど右へ左へふらつきながら歩いている。
頭には少し黒ずんだタオルを掛け、皺だらけのピンクのポロシャツとカーキーのパンツを身にまとい、腰には2日前に飲み干したステンレス製の水筒がぶら下げられている。
太陽に照らされた顔は真っ赤に火照り、水分不足からかその額には浮かべる汗すら持ち合わせていなかった。
そして、人に出会うことを夢見てひたすら歩き続けていた。
歩き続きけていると、急に地面が固くなったことに気づいた。
少し不思議に思っていたが、気にせずしばらく歩き続けていると今度は地面が柔らかい砂に変わった。
地面の固さに違いがあることに疑問を持ち立ち止まると、固い方の地面を眺めた。
よく見るとその地面には薄く縦に伸びた二本の縞が丘の向こうまで伸びている。
地面に両手と両膝をつけ顔を近づけて、縞をじっくりと見た。
そこにはWの形をしたギザギザの模様がずっと続いて、人口的に作られた模様であることがわかった。
これはタイヤ痕だ。そしてこのタイヤ痕の続く先には必ず人がいる。
そう思い、タイヤ痕の続く丘へと歩みを速めた。
3つほどの丘を越えると黄土色で周りの砂を固めて作ったような直方体の建物が見えてきた。
人工物らしきものを見つけ心が躍り、気づけば丘を駆け足で下っていた
近くで見るとその建物はかなり大きいことが分かった。
8メートルほどの高さと20メートルほどの横幅があった。
先ほどは砂のように見えた建物はコンクリートで作られており、周りに同化するかのように砂と同じ色で塗装されている。
コンクリートの一部はアルミのような金属になっており、例の2本の縞がそこへ伸びていることからシャッターではないかと思われた。
シャッターの反対側には出っ張ったひさしと獅子型のドアノックがついており、そこがドアだということを丁寧に教えていた。
誰かがいてほしいという気持ちからか、ドアノックを強くノックした。
どこか高級な邸宅にきた気分がして少し落ち着かずそわそわして待っていると、玄関が開き白いワイシャツを着た女性が出てきた。
年は見たところ30代ほどの綺麗な女性で、短めの黒髪で顔の堀は深く肌は褐色、おそらくこの地域の住民の方だと思われる。
助けを求めるために、とりあえず自分の身の上を話すことにした。
「こんにちは!あの、私2日間飲まず食わずの状態なんです。だから、水を分けてもらえないですかね?あ!というか英語わかりますか?」
自分の置かれている状況を説明しようとするが、焦って言葉がうまく出てこない。
言葉が伝わっているか不安であたふたしていると、彼女は微笑みを浮かべ頷いた。
「なるほど遭難したんですね、まあ中へお入りください」
そう言うと彼女は親切に中へ招いてくれた。
建物の中に入ると、室内は外見とは違い綺麗に掃除が行き届いているようで、外より大分涼しく空気もやや水分を含み、文明に戻ってきたような気がしてとても嬉しかった。
「こちらへどうぞ」
彼女から促されて、玄関からの短い廊下を抜けもう一つのドアを抜けると、その光景に目を見張ってしまった。
そこは2階建ての吹き抜けになっており、各フロアにはいくつもの本棚が並べられていた。
まるで図書館のようだった。
2階の本棚のない両側面の壁はガラス張りになっており、そこからは砂漠が一望できるようになっていた。
「こちらでお待ちください」
彼女はそう言いうと、1階の応接間にあるような低いテーブルと2つのソファーのほうに案内し、建物の奥へと入っていった。
そして少しすると、トレーを運びながら戻ってきた。
もてなし用に茶や茶菓子を用意しているのだろうと思ったが、そこには絵の具を溶かしたような真っ青の液体が入ったティーカップが一つあるだけであった。
「さあさあどうぞ、召し上がってください」
飲食物に見えないので、やはり摂取するのには抵抗があった。
「これは…何というお茶ですか?」
何も情報がない状態では飲める気がしなかったので、彼女に質問した。
「名前はありませんが昔から飲まれているお茶です。お気になさらずにどうぞ、召し上がってください」
お茶の原料について聞きたかったが、この返答での情報は無いに等しかった。
喉はカラカラに乾いていたが、この不気味な液体は飲みたくなかった。
飲もうかどうか躊躇っていると、彼女はため息をついて言った。
「わかりました、正直に話しましょう。実はそのお茶は飲むと記憶がなくなるんです。ここに来たことを覚えてもらわれては困るので、ここにいらっしゃった方には飲んでもらっているのです」
得体の知れないものの正体はさらに得体の知れないもので、不安が恐怖に変わった。
そして、こうも堂々と奇妙なものを勧めてくることに腹が立った。
「ふ、ふざけるな!そんなものが飲めるか!」
立ち上がってそう叫ぶと、彼女は再びため息をついた。
次の瞬間、彼女は高速でポケットからハンドガンを引き抜き、私の眉間数センチ前に突き立ててきた。
「!」
「さっさと飲んでください」
そして、私は脅されるがまま、お茶を一気に飲み干した。
見た目に反して変に甘いのがとても気持ち悪かった。
その後、彼女に本当に飲んだかを口の中まで確認され、それが終わると彼女は微笑みハンドガンをポケットにしまった。
「これでようやくお話ができますね。もしあなたが先ほどのものを吐き出すようなことがあれば…わかりますよね?」
彼女は微笑んだまま腰の銃を触り、言葉を使わずに脅してきた。
目は据わっていて笑っていない。
「気分が悪くなっても頑張ってくださいね」
私はこの微笑みが嫌になっていた。
「そういえば水が欲しいんでしたよね。それとも紅茶にしますか?」
彼女にそう聞かれて自分が喉が渇いていたことを思い出し、大きく首を縦に振った。
「水でお願いします」
そして彼女は建物の奥に行くと、ガラスの水差しとグラスを持って戻ってきた。
久しぶりの水を我を忘れて一気に喉に流し込んだ。
礼儀を忘れ水をがぶがぶと飲んでいると、彼女が話し始めた。
「さて、それではこの建物について軽く説明しておきましょうか」
「この建物は見た目通り図書館です。周りが砂漠に囲まれていることもあって害虫も湧かず、本の管理には最適な環境になっています」
「ただ普通の図書館では扱えないような本や資料ばかりが揃えられています。そして私がこの図書館の管理者兼司書をしています。私のことは『司書』とでもお呼びください」
彼女もとい司書さんの自己紹介と解説を聞くと水ばかり飲んでいる自分が恥ずかしくなったので、慌ててグラスを口から離し自分も自己紹介をすることにした。
「申し遅れました、自分は砂原と言います。ところで普通の図書館では扱えないような本って、どのような本なんですか?」
気になったので自己紹介ついでに質問すると、司書さんは頷き答えてくれた。
「ここにある文献のほとんどは歴史的な文書や国家機密の報告書などです。通常、そういったものは博物館や国立図書館に置かれますが、ここにあるものは公に出せるようものではないので、ここにひっそりと貯蔵されています。ある宗教の歴史書だったり、大統領暗殺の報告書だったり、公に出せば世界がひっくり返るような本がたくさんあります」
さっきまで柔らかな表情を浮かべていた司書さんだったが、唐突に真剣な表情に変わり言った。
「この図書館の中を見て回ってもいいですが、決して本には触らないでくださいね。一応機密文書なので」
そして司書さんはテーブルのすぐ横にある本棚に手を向けて言う。
「もし退屈でしたらこちらの本棚の本なら貸しますよ。こちらはすべて私の本なので自由に読んでも構いません。スナハラさんは日本人ですよね?今日はハルキムラカミがあったと思うので、よかったらどうぞ」
そう言われて本棚を見ると、英語の小説に交じってロシア語やアラビア語など様々な言語で書かれた本が並んでいた。
そして本棚の中段あたりに村上春樹の『ノルウェイの森』が原書の状態であった。
彼女が本当にこれを読めているか気になって、いたずら心から日本語で質問をした。
「これ日本語のままですけど本当に読めてるんですか?」
「ええ、もちろん。ハルキの味わい深い文章が好きです」
日本語で返事をされた。
カウンターを受けた気分だったが、ひるんでいると思われたくなかったので日本語でしゃべり続ける。
「…へぇ、日本語お上手なんですね」
「20年くらい前に日本に住んでたので」
自分のいたずらを上手く返されたのが悔しかったが、ここで身を引くわけにもいかないので今度は昔習っていたドイツ語で話しかけた。
「Können Sie auch Deutsch sprechen?(ドイツ語も話せるんですか?)」
「Jawohl. Was ist passiert?Soll ich Deutsch sprechen?(ええ。どうしました?ドイツ語で話したほうがいいですか?)」
思ったよりもすぐに返答がきて面食らってしまったせいで、返答のドイツ語が出てこない。
「すいません。ドイツ語はうる覚えなんで、日本語でお願いします」
負けを認めて日本語で頼み込んだ。
「いいですよ。それと『うる覚え』ではなく『うろ覚え』ですよ」
もう日本語でも話したくなくなった。
『ノルウェイの森』を読み終わると一気に退屈になった。
司書さんが何をしているか気になったので探してみると、彼女は2階の窓のそばで中国語の本を読んでいた。
読む本もなかったが、建物を見て回ることは許可されていたので、この図書館を見学することにした。
特に2階がどのような造りになっているか気になっていたので、上がってみることにした。
2階は吹き抜けになっていて、周りの壁には建物をぐるりと一周できるように、木製の手すりがつけられた通路があった。
2階の側面はガラス張りになっていたのでそこから外の砂漠を眺めていると、建物が黄土色の直方体だったことを思い出した。
それなのに壁が透明なガラスでできていることを不思議に思っていると、司書さんが私の考えを読み取ったらしく、本を閉じて答えてくれた。
「そこのガラスは特注品で、内側と外側で性質が全然違います。外から見ると砂と同じ色に見えますが、中からは透明に見えます。それにショットガンでも貫通できない強度を持っているんで安心安全です」
「へえ、それだけこの図書館が重要ってことなんですね」
「そうなんですよ、私がいなくてもおそらく一週間は持ちますよ」
それほど重要な施設に置かれている本がどんなものか気になったので、いろいろと見学することにした。
本棚には様々な言語で書かれた本やファイルが置かれていた。
英語で書かれているものも多く、都市伝説界隈で有名な集団や人物の名前が続々出てきて、題名を見て回るだけでも十分楽しかった。
英語圏の本を見ていると、『Three Secrets of Fatima』と書かれた本が目にとまった。
都市伝説会では有名なファティマの予言についての本だろう。
私は昔都市伝説に陶酔していたことがあった。
中でもキリスト教の都市伝説について熱心に情報を集めていて、様々な考察に心を躍らせていた。
それでも、考察は考察。
どんな話も不確かなものだったので、次第にきな臭さを感じ興味を失った。
しかし今、その答えが目の前にあるのだ。
助けてもらったので司書さんとの約束は守らなければと思ったが、この好奇心は抑えるのは至難の業だった。
司書さんはまだ2階で本を読んでいるはずだ。あの位置からここは死角になっており、多少本を触っても分からないはずだ。
そう思い少しだけ中身を除くことにした。
念のため周囲を見回し誰もいないことを確認し、本に手を伸ばした。
すると左側からカチッと音が鳴り、真横を見るとハンドガンの銃口が額から十数センチほどの位置にあった。
次の瞬間、銃声が大音量で響いた。
一瞬の出来事に戸惑い、飛び上がって着地に失敗してしりもちをついた。
やがて撃たれたということに気づき、顔を何度も触りどこに被弾したかを確認していると、ハンドガンを持った司書さんはそれをけらけらと笑っていた。
「あはは、空砲ですよ」
そう言うと司書さんの目つきは変わった。
口角は上がっているが、目が据わっており笑っていない。
「機密文書だから触らないでくださいって言ったじゃないですか」
子供に注意するようにそう言った
「でも、2発目からは実弾だから気を付けてくださいね」
そう言うと司書さんはあの嫌な微笑み浮かべた。
銃を腰のポケットにしまうと、司書さんは普段の表情に戻った。
「それと真実は案外つまらなかったりしますよ」
そう言うと司書さんはもと来た道を戻っていった。
もうこれ以上あの微笑みを見たくないので、ソファーに戻って『ノルウェイの森』をもう一周することに決めた。
「暗くなってきましたね」
男が『ノルウェイの森』の3週目に入ろうとしたとき、司書はそう言った。
夕日が沈んで外は薄暗くなっていた。
「喉は乾きましたか?」
司書がそういうと男はこくりとうなずいた。
すると司書は緑色の瓶1本を持って戻ってきた。
「水が少なくなったんで、代わりにこれを飲んでください」
司書が栓抜きで瓶の蓋を開けると、ポンッと音が鳴った
男が瓶に口を付けその液体を飲むと微かに涙を浮かべ、口からゆっくりと離した。
「やっぱりこれ、ビールですよね?」
男は赤くなった顔でそう聞いた。
「ええ、これしかなくて申し訳ないのですが」
「いや、とんでもない!実は飲みたいなと思ってたんですよ!」
「それはよかったです」
司書は微笑み男がビールを飲む様子を眺めていた。
そして男がビールを瓶1本分飲み干すと、司書は続けざまに瓶を何本も持ってきた。
それに応えるように男は次々と瓶を空にし、最終的に5本ほどの酒瓶を消費した。
男は泥酔状態になってソファーで横になっていると、司書が立ち上がって言った。
「よし、そろそろ行きますか」
それを聞くと男は顔を少しだけ上げ、司書を見ながら言った。
「え!どこに行くんれすか!?もっと飲みましょうよ!司書さんもほら、飲んで!」
「いえ結構です、砂漠でも飲酒運転は犯罪ですから」
そう言うと司書は男に肩を貸し、建物の隅のガレージまで男を運んだ。
司書は男をガレージに置かれていたワゴンの助手席に載せ、図書館を後にした。
運転してしばらくすると、司書はワゴンのハンドルを握りながら隣の男に質問した。
「具合はどうです?」
揺れる車内で、男は顔をしかめながら首を大きく横に振った。
「ううん…めちゃくちゃ気分悪いです。もうちょっと丁寧に運転できませんかね?」
「ははは、砂漠ですから、揺れはつきものですよ」
司書が笑うと男の顔はますます青くなった。
「ふぅ…あ、一回止めてください。本当に吐きそうです」
車を止めると、男は車から飛び出るとすぐさま嘔吐した。
胃の中のものを何度か吐き出すと、男は口の周りを袖で拭きながら車に戻り司書に言った。
「もう大丈夫です、行きましょう」
この一連の流れをもう2回ほど繰り返すと、男は疲れて眠ってしまった。
それからしばらくすると、司書は車を止め男を助手席から引きずり出し、意識が朦朧としている男に肩を貸し引きずりながら歩き始めた。
そして数分歩いたところで男を地面におろした。
近くに何かがあるわけでもなく砂漠のど真ん中である。
「ふぅ…」
司書は額の汗を拭いため息をついた。
「…んん?司書しゃん?」
男は目を擦り、寝ころんだまま言った。
「あ、起きてたんですね。私はもう帰りますので、あとは自力で頑張ってください」
「そんなあ、もっと一緒にいましょうよぉ」
「それはできませんね。それではさようなら、頑張ってください。おやすみなさい」
「ええ…寂しいよう、一人にしないでぇ。おやすみぃ」
孤独がつらかったのだろうが睡魔には勝てず、男はすぐに意識を失うように寝入った。
司書はその様子を確認すると、男の顔にそっとボロボロのタオルを掛けた。
目を覚ますと、砂漠の中にいた。
確か飛行機が砂漠に不時着したせいでこんなことになったんだっけ。
ことの成り行きから今に至るまでを振り返ろうとするが、昨日のことだけは思い出そうとしても何も思い出せなかった。
記憶があやふやで、自分の体もとうとう限界状態にあると悟った。
喉はカラカラで頭が痛い。まるで二日酔いでもしてる気分だ。
とりあえずどこかへ移動しようとしたが、進む標も無くどこへ行けばいいのかもわからずにいた。
ふと地面を見ると、矢印のようなマークが地面に彫られてることに気が付いた。
誰かが彫ったように見えたが、まさかと思いその考えを一蹴する。
しかし、ずっとこの場所に溜まり続けているわけにもいかないので、その矢印の方向に進むことにした。
歩き始めて1、2時間ほどして、自分の体が本当に限界を迎えつつあることに気づき始めた。
呼吸をするたびに喉と肺に乾燥した熱波が侵入してきて、胸のあたりが焼かれるような痛みがあった。そして、カラカラの喉を潤そうと唾を飲み込むが、唾を飲めば飲むほど口内の水分が無くなり、ますます喉が傷んだ。
足も限界が近いらしく、膝やくるぶしの足の関節が悲鳴を上げていた。柔らかい砂でできた地面を歩き続けているので、舗装された道を歩くよりも数倍の負荷がかかっているのだろう。
ふと自分がどこにいるのか知りたくなり、足元ばかり見ていた顔を上げた。
そこにはチェダーチーズのような黄土色と雲一つない青空だけがあった。
どれだけ進もうが景色は最初の時と変わらない。
そしてその光景に圧倒され、膝から崩れ落ちてしまった。
その時、ちゃぷん、と液体が揺れる音が微かに聞こえた。
一瞬耳を疑ったが、確かに聞こえたと思い周囲を見回した。
あたりを見るために体を揺らすと、またあの音が聞こえてきた。
そして自分の身に着けているものを確認すると、水筒がやけに重さがあることに気が付いた。
まさかと思って水筒を振ると、あの音が激しくなって聞こえてきた。
急いで水筒の蓋を開封し口をつけ傾けると、ひんやりとした無味の液体が口内に流れ込んできた。
やっぱり水だった。
そして無我夢中でそれを喉に流し込んだ。
半分ほど飲むと理性が戻ってきたので、飲むのをやめ今後のために残すことにした。
それから数時間ほど歩き何度目かの丘を越えたとき、数百メートル離れたところに周りの
砂と同じ色をした直方体がいくつもあるのが見えた。
幻覚かと思い立ち止まって目を凝らすと、それらの近くを人が歩いているのが見えた。
「町だ!」
今世紀最大級の喜びをこの一言で表現すると、町に向かって全力で駆け出した。
一面に砂漠の景色が映るガラス窓の側に木製の机と椅子があった。
そこには短めの黒髪で褐色の肌を持つ30代ほどの女性が、ティーカップを片手に新聞を読んでいた。
彼女が読んでいる記事の見出しには『日本人、涙の生還』とあり、その下には袖で涙を拭い喜びの表情を浮かべている日本人男性の写真と遭難時の体験が載っていた。
その男性の話によると、空のはずだった水筒に満杯の水が入っていたらしく、彼はそれを神様の仕業だと言っていた。
「ふふ、神様になってしまいましたか」
その記事を見て女性は軽く微笑んで言った。
大量の記録はあるが、決して誰の記憶に残ることはない図書館。
今日も一人の司書の下で、ひっそりと開館しているのであった。
はじめて7千字を超えるボリュームの話を書きました。前から書きたかった設定をちゃんとした話にできたのでとても満足です。誤字脱字があるかもしれませんが、見つけたら教えてくださると幸いです。
2回目の投稿で、まだまだつたないところはあると思いますが、お手柔らかにお願いします。
最後になりますが読んでくださり、ありがとうございました。