ラスボスからは逃げられない! 作:宇宙きのこ(ミズガルズ産)
「実際に存在している人類の胎を借りて魂の一部を与えた分身を産み落とさせるってやり方だな」
「特に厄介なのがコレだ」
「他のアバターと違って実際に生きた肉体を持っているから普通の人類と見分けがつかねえし『観察眼』とかでも正体を見抜けねえ」
原作139話 アバターについて語るアクアリウス。
今回はかなり力を入れて書いたので燃え尽きました……。
来週はお休みするかもしれません。
そして素晴らしい特殊タグのコードを提供してくれた方にこの場を借りて感謝を申し上げます。
「フレンド。皆さんは既に屋敷の前でstand-byしております」
部屋から出たプランを出迎えたのはカルキノスだった。
黄金の果実を完全に食した彼のレベルは1000。
ルファスより一足早く最高位の実力に到達した彼は腕まくりをしやる気に満ちた顔で笑う。
もちろん彼も戦うつもりだ。
リュケイオンを己の拠点と定めた彼は気に入らない存在に好き勝手されることを許容などしない。
「“竜王”とのbattleにおいてのsupportはおまかせください! いやぁ、腕が鳴りますね!!」
快活に笑う。
己より格上の魔物であるラードゥンと戦う事になっても彼は全く臆さない。
友と轡を並べて戦えるなどむしろ最高のhappyだと信じているからだ。
カルキノスは死ぬ気など一切ない。
友と一緒に戦い勝つ。
勝ってここに戻ってくる。
何処までも前向きな彼を見てプランは思った。
この頼もしい親友と出会えたのは自分の人生で最高の幸福だったのかもしれないと。
だからこそ彼は頭を振った。
「いや……竜王とは自分たちが戦う。カルキノスには任せたい事があるんだ」
「ふむ……?」
カルキノスの顔に陰が射す。
やる気満々だったところに水を差された様なモノゆえに仕方ないかもしれない。
大前提としてカルキノスはプランの友であるが部下ではない。
【モンスターテイマー】のクラスなどもっていないプランに彼が従うのは単にそうしたいからだ。
故にやりたくもない嫌な事をやれと言われれば彼は拒絶することだって出来る。
だから彼は次の言葉に集中した。
もしも「逃げろ」や「リュケイオンの問題は君には関係ない」とか言われたら全力で拒否するつもりだった。
しかし───。
「街を守ってほしい」
「それはズルでは?」
思わずカルキノスがそういってしまったのを誰が責められるか。
そんなこと断れるわけがない。
とりあえず話を最後まで聞く事にしたカルキノスにプランは己の推察を伝えていく。
「来ているのが“竜王”だけとは限らない。
目立たない所に自分の軍勢を配備しているかもしれない」
竜王は邪悪で誰よりも弱者を嬲る事に快楽を見出している。
一時間待つ間は手を出さないと彼は言ったが、大人しくルファスを差し出したら帰るとも言っていない。
そもそも絶対的な強者である彼が弱者に配慮することなどありえないのだ。
ラードゥンにとって約束や契約はちっぽけな弱者に守らせるものであり、強者である己が守るモノではないのだ。
「……確かに、やりかねないですね」
魔物であるカルキノスは直ぐ近くに感じるラードゥンの気配を探りつつ言う。
正直言って吐き気がしそうな程に不愉快で、気持ち悪くて、半径100キロに近づいてほしくない程に生理的に無理だった。
以前プランに語った通りカルキノスはラードゥンが心底嫌いなのだ。
うーんと腕を組んでカルキノスは唸る。
友が何をしようとしているかは判らないが、きっとこんな状況でも打破できる奥の手があるのだろう。
いつだってプランはどんな状況にも対応して見せた。
しかしだ。
どうにも今の友からは良くも悪くも覇気を感じた。
もっと言うと腹を括ったというか……。
プランらしくない。
それに尽きた。
もう一度プランの瞳を見る。
いつも通り微笑んでいるが……。
やがてソレが崩れる。
彼は申し訳なさそうに頭を振ってから何かを呟いた。
決して諦観ではない感情を込めて。
“頼むよ”
そういうことか。
カルキノスは多くを悟った。
伊達にルファスより長く付き合っている訳ではない。
いいたい事?
勿論いっぱいある。
自分の命を簡単に諦めるなどカルキノスは決して許さない。
しかしだ。
友の決意に水を差す事もしない。
何よりここで自分がごねた所で竜王の脅威は去らないのだ。
「YES。判りました……ただしconditionsがあります」
カルキノスは真っすぐ友を見据えて言う。
これで最後にするつもりなど彼にはない。
明日のパーティーに備えて料理の準備もあるし、この先もずっとずっとみんなで楽しく過ごす事を彼は諦めない。
「絶対に帰ってきてください。絶対に、です」
「それは難しいかな。竜王は自分が思っていたよりも遥かに強くて危険だ」
あえてプランはカルキノスの言葉を否定した。
我ながら空気を読んでいない事は承知の上だ。
しかし下手な希望は持たせないのが彼の誠意だ。
もっと言えばたとえ竜王を何とか出来たとしてもその上に眼を付けられてる時点で終わりだ。
自分だけならば何とかなるかもしれないが、ルファスを巻き込む危険性が出てきた以上は退場しなくてはならないとプランは考えている。
「Oh……」
ハァァァと本当に深いため息をカルキノスは吐いた。
全くどうしてと呆れるような仕草もセットで。
こういう時はたとえ気休めでも「帰ってくる」というべきでしょうと。
「そういうところですよフレンド。
もうちょっと時間があればレディにしっかりcorrectionしてもらえたのでしょうが……」
ルファスが密かにプランを真人間に治してやると意気込んでいた事をカルキノスは知っている。
自分では知らない友の秘密を知った上で真正面からルファスはそれと向かい合い解決しようとしていた。
あと少しであの少女の夢は叶ったというのに。
それを台無しにしたラードゥンへの嫌悪をますますカルキノスは深める。
全く本当にふざけたやつだ。
半径300キロに近寄らないで欲しい。
「カルキノス」
ふと、プランが友の名前を呼んだ。
今までになく神妙な声音で。
そして───彼は頭を下げた。
「どうかあの二人を守ってほしい。
彼女たちが幸せを掴む手助けを頼めないだろうか」
リュケイオンの領主としてではなくただの友人としての頼みだった。
差し出せる対価など何もない。
むしろ天翼族の寿命にカルキノスを付き合わせる事を考えれば損しかない。
これはただの“お願い”だ。
それも一方が損ばかりする。
しかしカルキノスは本当に不思議そうに返した。
え? いまさらその話題? とでも言わんばかりに。
「フレンド。そのAnswerは以前に言ってますよ」
怪訝そうな顔をするプランにカルキノスは笑いながら答えを明かした。
本当はもう少しだけ引っ張りたかったが現状はそうもいかない。
「プルートにtravelする前に皆さんをsketchしたじゃないですか。あの時の事を思い出してください」
ソレはルファスが母を連れてプルートに旅行する前日。
おめかしをした母子を見て危うく召されかけた時の話。
──カルキノスはこれからのルファスの成長を観ないつもりかな?
──NO! 断じてNOですよフレンド!!
──ミーことカルキノスはあなた様の忠実なるknightです!! どのような脅威からでも……。
「……あれかぁ」
あった。
確かにあった。
この後は母にちょっかいを出されて怒ったルファスがカルキノスを殴打したはずだ。
ルファスはともかくプランでさえあの時はただのジョークの一種だと思って流した話だ。
しかしカルキノスはどうやら本気だったらしい。
何時だってミーはマジなんですがねぇと彼は頭を捻る。
「というわけで言われるまでもないですね! お任せください」
親指を立ててカルキノスは更に強く笑う。
何時も見せている快活で、太陽の様な顔だった。
彼は目線を下に向けると、ちょうど足元にすり寄ってきたアリエスを抱き上げた。
「メェ……」
小さな羊は涙をボロボロと零し、縋る様にプランを見ている。
この場の誰も知らない事だが“竜王”に母を奪われた事がある彼はまたもや現れた理不尽に対して何もできない己に憤り、悔しくて泣いていた。
ただ奪われるだけの惨めさが彼を内側から焼いている。
もっと力があれば、強ければ、この人たちと共に戦えたのに。
しかし何処まで行っても所詮は非力な羊、大切な人を守る事も出来ない。
プランは微笑んだ。
どうやらこの偉大な仲間は自分の凄さを判っていないようだ。
「アリエス」
名前を呼んで撫でてやる。
何度も自分たちを支えて助けてくれた立派な仲間を労わる様に。
「カルキノスと二人でルファスを助けてやってほしい」
「メ! メッ!! メッ!!!」
ぶんぶんとアリエスは頭を横に振る。
そんなこと無理だ。出来ない。
ぼくは貴方の様にルファス様を助けることなんて無理だと。
そんな彼にプランは微笑みかけてから頭を撫でた。
「出来る……というよりはもう出来ているというべきかな」
既にアリエスはルファスを助けている。
そんなこと誰だって知っている事だ。
物質的な意味では彼の羊毛はルファスの目的達成には必須の素材であった。
もっと抽象的な話をするならばアリエスはただ彼女の傍にいるだけでルファスの心を癒している。
その証拠にいつも笑顔でアリエスを散歩させている姿をリュケイオンの誰もが見ているのだから。
「今まで通りでいいんだ。アリエスはもう十二分に彼女の助けになってるんだから」
「大丈夫。心ない誰かが何を言っても自分が保証する。アリエスは立派な彼女の仲間だ」
ボロボロと涙を零しアリエスは鳴き声さえ上げられずにプランに抱き着いた。
何度も何度も顔を舐めまわす。
時間はあまりないが少しでも彼をこの場に引き留めたかった。
プランはアリエスに言う。
格好のついた言葉ではなく日常の延長上として。
「余り食べ過ぎては駄目だよ? また太ってしまうかもしれないからね」
「メェェェ……!」
まるで我が子を心配する様な言葉にアリエスの瞳から大粒の涙が零れた。
母と共に過ごした記憶はあれど父の思い出などなかった彼にとってプランは父親代わりでもあった。
ルファスにとってそうであったように、アリエスもまた彼に父性を求めていた。
ぶんぶんと駄々を捏ねる子供の様にアリエスは頭を振り続ける。
これでお別れになるという予感は既に確信に至っていた。
一番僕にトウモロコシを渡してきたのは貴方じゃないか。
ルファス様が忙しい時は代わりに散歩してくれたり、マッサージしてくれたのも貴方だ。
カルキノスと一緒に蹄を切ってくれもした。
何より貴方は僕を信じてくれた。
だというのに……。
そっとカルキノスにアリエスを渡す。
羊は泣きべそをかきながらも抵抗はしなかった。
今の彼の中にあるのは決意だった。
「頼んだ」
小さく頭を撫でられたアリエスは無言で頷いた。
きっとルファス様は最大の絶望に包まれる。
生きる気力さえ失うかもしれない。
だから、僕がお支えするのだという想いがアリエスの指標として刻まれたのだ。
【錬成】
己の領民たちに対してプランは【錬成】を行使した。
これの効果は幾度も語られた通り“理解できるモノを理解しているモノへと変換させる術”である。
アリストテレスは人間の構造を完璧に把握している。
筋肉や血液、骨はおろかその更に奥に秘められた遺伝子構造まで。
故にそれらをマナへと変換することは難しいが可能であった。
この世の法の一つに物質をエネルギーへと変えるモノがある。
で、あるのならば物質をマナへと変換するのもしかりだ。
肉屋のダンが、イーラが、ルファスに魚をよく渡していた男が、皆が解けていく。
身体が崩れていくというのに誰一人身じろぎもしない。
彼らは消えゆく最期までプランをじっと見ていた。
マナへと変わった彼らを【バルドル】の機能で霧散させずにその場にとどめておく。
こんな姿でもまだ彼らの人格や記憶、意思などは残っている。
いや、それしか残っていない。
いわばこれは彼らの魂といえよう。
脳と言う劣化し続ける不自由な肉体から解放されたこれこそむしろ最高の状態なのだ。
【一致団結】は強い意思を重ね合わせる事によって出力を増幅させる能力だ。
確かに若くて回転の速い脳があれば効率は高められるが、それは所詮はまだ三次元の物理的な常識の範疇内の話だ。
懐から次に取り出したのはかつてヘルヘイムで作ったマナ・ニュートロン・スターだ。
ルファスに与える為の果実の材料としてあったこれも彼女がレベル1000を前にして役目を終え、今は別の用途に使われようとしていた。
超高密度のマナを解凍する。
零れだす膨大なマナにプランは魂の転写/保管を開始した。
後の時代で鍛冶王と謡われたドワーフがマナの結晶体に己の意識を転写した技術の元がこれである。
バラバラで単一のマナだった彼らを一つの巨大なマナという箱に整理整頓して並べていく。
シングルからのマルチへの変化。
これは【一致団結】の能力を究極にまで高める為に必要な前提だ。
究極的に彼は全身を構築する全てのマナの粒子と一致団結を行い、それら全てを一種の知性へと変える。
想像してみてほしい。
己を形作る細胞一つ一つが想像を絶する超知性であり、それら全てが一つの目的に対して一致団結を行っている絵図を。
つまるところプランはもう人を、生き物であることさえやめるつもりだった。
※ いいんだな?
※ もう引き返せないわよ?
当代の行動を見つめながらアリストテレス達は最終通達を行う。
答えなど判り切っているが彼らは当代の決意を改めて試していた。
「判っています」
プランの返事はそれだけだった。
もう彼は決めている。
ルファスの明日を作ると。
彼女が平和に生きていけるたかだか数百年の為に彼は取り返しのつかない踏み外しを行う。
34人の魂を配列し終えたプランは次にルファスが作ってくれた【エリクサー】を一気に飲み干した。
10本目/最後の一本は主にプランの体内で燻ぶる呪詛の除去を目的に調整された薬だった。
ブクブクと腹部が泡立ち、黒い霧が吹きだす。
嫌だ。
ころすの。
わたしは、ころすの。
それは9年間一つの種族に苦しめ続けられた少女の怨嗟だった。
リュケイオンで暮らし続ける中で薄まりながらもこびりついて消えない憎悪だった。
いや、消えなかったと言いなおすべきか。
解呪するために作られたこの【エリクサー】にはルファスの血が素材として混ぜられている。
それはプランの体内に浸透した己の血を媒介に強制的に呪詛を攻撃する効果を与えられていた。
これは彼女が己の過去と決別すべく作った呪詛を拒絶する呪詛だった。
ありったけの想いを彼女はこのポーションに込めている。
9年の絶望をリュケイオンで過ごした7年の思い出で塗りつぶすのだ。
いやだ。
いや。
きえるのはいや。
黒い霧が薄まればそこに居たのは出会った当初の9歳のルファスだった。
ズタボロの衣服ともいえない布切れを身にまとい、身体の至る所には生傷ばかり。
これは虐待されたまま時間が止まった彼女の本質で、先に進むことを拒絶した彼女の絶望だ。
血の様に輝く眼でルファスはプランを見上げ、縋る様に腰に抱き着く。
ぎゅぅっと衣服に皺を掴むことしかもう彼女には出来ない。
しかしパチ、パチと青光りが迸るたびに足元から彼女は消えていく。
真っ赤な涙を流しながら幼いルファスはプランに問う。
断末魔と呪詛を彼女はばら撒いていた。
どうしてみんな わたしを きらうの?
ねぇ どうして?
あなた つよくて かしこいんでしょ?
おしえてよ。
「……」
答える言葉をプランはもたなかった。
本体から既に切り離されているとはいえ、これは彼女の絶望そのものだ。
どんな言葉を用いようと慰めにもならない。
きえるのはいやだ。
あなたを ころす ころしてやる。
そうすればわたしは……。
呪いはピタリを言葉を止める。
彼女は自分でも何と言おうとしたか判らなかったのだ。
プランを殺して……どうしたかった?
ぐるぐると視線を回しても思いつかない。
その先の未来図を呪は描けなかった。
どうしようもなく過去の憎悪に囚われた彼女は自由を愛しながらも自由に生きる方法を知らなかった。
元より彼女はルファスの空蝉だ。
彼女が脱ぎ捨てた憎悪/絶望という殻でしかない。
中身など何にもないのだ。
この彼女は永遠に「皆と未来に行く」という本体の希望へとたどり着く事は出来ない。
……。
なんだ……そう、だったんだ。
肩を落とす。
自分のやろうとしていた事の無意味さに直面した彼女は虚ろに笑う。
彼を殺しても何も変わらないし、何の意味もない。
だってプランは他人で、自分の受けた迫害に関しても何の関係もない第三者だったのだから。
赤の他人にただ八つ当たりをして命を奪おうとしているなど、ジスモアと何も変わらない。
わたし、なんのために産まれてきたんだろう。
虚ろに笑い俯く。
もう一人のルファスであり、ルファスではなくなった呪は自分の9年間を思い返しながら呟いた。
何もいい事などなかった。
認められたことなどなかった。
みんなに拒絶されたまま生きて、本体にもいらないと捨てられて、そして何も成せずに消えるだけ。
誰かの死を願う“呪”の末路などそういうものだと彼女は受け入れようとして────。
プランはルファスを抱きしめた。
両腕でしっかりと。
まるで父が娘を守る様に。
言葉はない。
これはルファスであってルファスではない。
彼女の受けた仕打ちが作り出した怨嗟の権化だ。
どんな謝罪をしても何の意味もないし決して届かない。
ただ大人として、彼女を産み出した世界を作ってしまった存在として、最後の瞬間まで共にいることを彼は選んだ。
「ぁぁぁあ……」
息が漏れる。
まるで死者が肺から空気を放出する様に。
既に腰まで消えていく最中、呪は笑った。
安心しきった子供の様に。
大好きな人の胸の中で眠る子供が浮かべる様に。
「……あたたかいなぁ」
これはわたしのもの。
わたしだけのもの。
本体でさえ手に入らなかった、私だけの抱擁だ。
“ルファス”は最期に手に入った己だけのソレを堪能し続けて───満足した。
“ルファス”はプランを見て微笑み……瞼を閉じて消え去った。
2年間プランを苦しめ続けた呪詛の最期だった。
ルファスの最期を見届けてからプランは動き出す。
この世界から完全に外れるために。
彼は己を対象に【錬成】を最大出力で発動させた。
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“レベル”を喪失しました。
“クラス”を喪失しました。
“プラン・アリストテレス”の削除を実行。
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Work In Progress……。
『……30ふんにしておけばよかったかな?』
リュケイオン近郊に座した“竜王”は目の前で刻一刻と減っていく砂時計を見つつそう零していた。
1時間はちょっと長かったかもしれない。
右往左往するモブたちは面白いがどちらにせよ皆殺しにするのだから時間など何の意味もない。
プランの読み通りラードゥンはリュケイオンを見逃すつもりなどない。
ルファスを差し出そうが拒絶しようが皆殺しにするのは決まっている。
どうせこの問題を片付けて帰ったら総攻撃を開始するのだ、死ぬのが一日早くなるだけでしかない。
ミズガルズ最後の日は明日だ。
リュケイオンを滅ぼし、ルファスとかいう少女を殺したらそのまま全てを片付ける予定なのだ。
新しく出来た友達がこの街の領主は生かしておいて欲しいと言っていたがそんなこと知ったこっちゃない。
ラードゥンにとって約束とは守らせるモノであり守るモノではないのだ。
『それにしても、ほんっとうにバカだよねぇ~~』
クスクスと笑う。
ついさっき自分で命を絶った下等な人形のことを思い返すとそれだけで嘲りが止まらない。
ミョルニルでちらっと存在を感知したそういえば居たな程度の存在……それはピオス司祭のことだ。
結論から述べよう。
ピオスはラードゥンのアバターだ。
それもとびっきりに不出来な。
ラードゥンが己の血肉で何が出来るかを実験していた時期。
そんな時気まぐれに人類に薄めた己の血を混ぜ込み、誕生した実体のあるアバターの更に末裔。
薄まった竜王の血を宿す出来損ない、それがピオスという男の正体だ。
秘儀中の秘儀であるコレは勿論後の世に産まれる青色の乙女や龍の作るソレには遠く及ばない劣化品。
何しろアレは最期の最期まで自分がそうだとは気づいていなかったのだから。
【エクスゲート】でランダムに飛ばされたアリエスがリュケイオン近郊に落ちてきた理由は彼が無意識に誘導の役割を果たしたからである。
これはピオスはおろかラードゥンさえ気が付いていない事実だった。
役立たずの惨めなゴミ。
産まれて来るべきではなかった失敗作。
それが彼のピオスに対しての評価である。
何しろアレはラードゥンが保持している情報を引き抜こうとしたら抵抗した上にそれを防ぐために自殺までしたのだから。
何の価値もない情報を守るために死を選ぶなんて竜王からすれば愚か極まりない。
そのせいでルファスとかいう少女の情報は得られなかったが何も変わらない。
ピオスはラードゥンのアバターであるが理解不可能である。
竜王は虫けらの気持ちなど判らないし判る気もないのだから。
どっちにしろ彼女は死ぬ/殺す。
この街は明日の朝には消えてなくなっている。
所詮はモブ、何一つ成せない無力な虫けらだ。
『ざぁぁぁんねんでしたぁっ! きみのやったことはぜーんぶ無駄なのさ!!』
あんなモブの持っていた情報に何の興味もなかったが、唯一思い通りにならなかったという苛立ちをぶつけるようにラードゥンは既に死んだ男に侮蔑を投げつける。
ゲラゲラ笑い、その死を無駄だと断じてやれば多少はすっきりしたのかふぅーと息を吐いた。
『……ん?』
ふと、全身を構築する竜の内の一匹が反応した。
森の奥から誰かが歩いてくる。
数は一人だ。
とても薄い気配から察するにレベルは……竜王から見ればゴミにも満たない程度だろう。
恐らくはあの街で一番強い存在が自分と交渉か何かをしに来たのだろうとラードゥンは思った。
月明かりが近づいてきた男の姿を照らしだす。
不気味で竜王からすればかっこいいマスクをした男───プランは恭しく一礼した。
「こんばんわ。貴方が“竜王”で間違いありませんか?」
『ごきげんよう!! うん! ぼくラードゥン! ちょっとはやいけど来てくれてうれしいよ!』
役目を終えた砂時計を粉砕し竜王はにやにや笑いながらプランを見た。
はて、このマスクを何処かで見た覚えがあるなと彼は思った。
101本ある頭の眼が細められてプランを吟味する。
頭の中に朧にあった幻が実体化し答えに行き着いた彼は叫んだ。
『ああああああああああ! ミョルニルの!!』
「はい。その節は失礼しました」
『ほんとうだよ! あのあと、すっごおぉおおおく大変だったんだからね!!』
目の前のこいつがばら撒いた毒のせいで自分の計画はとんでもない遅延に見舞われた怒りを竜王は喚く。
あれさえなければとっくにミズガルズを終わらせることが出来ていたのに。
『だ、け、ど、ぉぉ~?』
それはそうと竜王は思考を瞬時に切り替える。
忌々しい話ではあったが過去は過去。
現在においては全ての準備は万端である故にとりあえず水に流し、まさかの再開に彼はニタニタと笑い出す。
まさかここで会えるとは。
これはラードゥンにとって嬉しい誤算であった。
やっぱり女神さまは僕のことを愛していると確信を深める程に。
『ルファスちゃんは?』
「残念ですが……」
“お引き取り下さい”とプランが続ける前に竜王の口が開き弱火でブレスを浴びせかける。
岩盤が溶解しマグマに変わる程の優しい熱が【バルドル】を纏ったプランを覆い尽くした。
余りにソレが素早く行われたせいかプランは反応さえ出来なかったように竜王には見えた。
『連れてこいっていったよねぇ?』
『ま! もう死んじゃったからきこえ「お引き取り下さい」』
え? とラードゥンは目を白黒させる。
全力には程遠いが人間一人を蒸発させるだけの熱量を放ったはずだ。
感じるマナの量から察するにこの男のレベルは200くらいで、その程度の存在が耐えられる熱量ではなかった。
なのに。
そうなのに。
プランは平然と佇み竜王を見上げている。
その在り様に竜王は何故か胸騒ぎを覚えた。
何故かは判らないが、全身がざわめく。
竜としての本能か、はたまた世界の異物を感知する能力を持つ勇者の直感か。
どちらにせよ、こいつにはナニカがあるとラードゥンは認識を更新したのだ。
彼の頭は柔軟である故に変なプライドなどを混ぜることなくあるがままの現実を見る事が出来る。
『…………へぇ?』
思い出す。
ミョルニルでこいつが干渉した吸血鬼たちは奇妙な動きをしていた。
更に吸血姫も理解に苦しむ動作を繰り返して分身を破壊したのだ。
「竜王陛下。この地に貴方ほどの存在が興味を抱くモノなどありません」
「どうかお引き取りを」
周囲の熱波を気にも留めずラードゥンから見ても洗練された動作でプランは恭しく頭を下げて続ける。
しかし言葉こそ丁寧だが要は「さっさと帰れ」と彼が述べている事に気が付かないラードゥンではない。
どうやらこの下等生物は勘違いしているようだ。
ブレスをちょっとしのいだ程度でこの竜王に意見を通せると考えるなんてとんでもない話である。
『いやだね』
ラードゥンは笑う。
間違いない。
こいつはルファスとかいう少女を大切に思っている。
だから奪ってやることに決めた。
目の前でその少女をバラバラにしてやればきっと絶望してくれる。
そうすれば多少はミョルニルの件も溜飲が下がることだろう。
『ははははは!! やっちゃえ!!』
【エクスゲート】をリュケイオン上空に開き、最近完成した手駒を送り込もうとする。
過剰戦力かもしれないが、呼ぶのは己の複製3体。
かつての兄たちと同じく10本の首を携えた“竜王”のコピーたちだ。
彼らはラードゥンのクローンでもある【アイガイオン】が成長しきった姿である。
時が経てばやがて何千体ものラードゥンがミズガルズを、更には次元を超えて異世界を蹂躙するのだ。
そう、彼らはミズガルズを終わらせた後に別世界を攻撃するために揃えている駒だ。
『ぎゃははははははは! すっごいでしょ!! おにいちゃんたちを作りなおしたんだ!!』
竜王の哄笑が世界を揺るがす。
魔王がやったように彼もまた自分で軍団を作った。
どれも等しくレベル1000。
一体一体が四強と名乗れるほどに桁違いの力を誇る竜の中の竜。
この3体だけで人類を壊滅させる事さえ容易いラードゥンの傑作たちだ。
リュケイオンの人々はただ上空を見上げた。
ゆっくりと絶望を演出しながら回廊の向こう側から出てくる竜王たちを見つめている。
カルキノスはアウラを守る様に武器である鋏を構え、アリエスも小さく震えながらラードゥンを睨みつける。
アウラはただ娘に寄り添い頭を撫でていた。
何があってもルファスが起きない様に。
「……?」
───誰かがソレに気付いて己の眼を擦った。
何せあまりに場違いなモノが空に浮かんでいたから。
ベッドだ。
【エクスゲート】に密着する様にいつの間にか木製のベッドが置いてあった。
空中なのにおいてあるという表現はよく判らないが、とにかくベッドが空にある。
『』
竜王たちが回廊から顔を出し───その瞬間に消滅する。
ダメージを受けた訳でも攻撃を貰った訳でもないのに。
問答無用で3匹のラードゥンは即死したのだ。
頭部を全て壊さないと死なない超生物が即死するという異常であった。
『え?』
ぽかんと口を開ける。
何が起こったのかラードゥンには判らなかったようだ。
【エクスゲート】を使う事は出来る彼であるが、使いこなしてはいないなとアリストテレスは評価を下す。
そもそもの話【エクスゲート】はとても危険な術だ。
プランがルファスに口酸っぱく言ったようにこれはとてつもなく高難易度の技術で、失敗した際のデメリットはとんでもないものがある。
簡単に言えばあの竜王たちはゲートから出てくる直前に座標の不一致を引き起こしてしまった。
存在しない個所を指定された竜王たちは“無”の中に突っ込んでしまい消滅したわけである。
即死、抹消、全ロス。
言い方は多々あるが3匹のラードゥンはそれによって死んでしまった。
ベッドを【エクスゲート】と密着させて置けば回廊の出口の座標を弄れるようになるのは当たり前の話だ。
ベッドを介してプランは座標をミズガルズの“裏側”を入力し負の座標へと彼らを送り付けたのである。
『…………』
ラードゥンはじっと複製達が現れる筈だった個所を見ている。
あれだけうるさかったのが嘘のように沈黙しながら。
何も出来ずに消滅した自分の傑作たちの事を考えているのだろうか。
『………………』
角がぴく、ぴくと胸中で荒れ狂う感情を表現する様に震えている。
“竜王”ラードゥンはいま、過去最大に感情をぐちゃぐちゃにかき混ぜられていた。
ミョルニル。
疫病。
最近の人類の急速な団結と発展。
アリストテレス。
何もかもこいつが発端だ。
(……こいつは思っていたよりきけんだ)
ストンと認める。
こいつこそ自分の最大の障害であると。
逆に言えばこの男さえ消してしまえば自分の邪魔はいなくなる。
ミズガルズを滅ぼす。
もう一つの世界も滅ぼす。
存在するありとあらゆる世界を滅ぼす。
全ての世界にアロヴィナスの名前と共に絶望を。
三千世界全てに絶望を満たす。
その夢の最大最後の障害がこいつだ。
“竜王”の身体が分解/再構築を開始。
油断と慢心を捨て去り初手から彼は勇者の形態をとる。
瞬く間に引き締まった人間の姿へとラードゥンは移行していく。
座に接続し膨大な天力を引き出す。
全身の細胞が最大限に活性化し再生能力を極限まで上昇。
今の勇者ラードゥンはあらゆる損傷を瞬時に再生する実質撃破不可能な存在へと至った。
それどころか女神の力を最大限にまで活用した、無敵の障壁まで展開する彼に痛打を与えるには最低でもレベル4000は必要だという絶望だ。
『どうやらここで決戦みたいだねぇ』
胸の中より聖剣を引き抜き携える。
魔王と邪神相手に見せていた余裕は殆どなく、気づけば竜王は己が緊張を抱いている事に気が付いた。
……断じてそんなことは認められない。
最強はぼくだ。めがみの次は自分だ。
頭の内の一つが【観察眼】を発動させて目の前の存在を測る様に見た。
そして。
【WIP】
(
『むかつく!! まずはきみから殺してあげるよ!!』
あり得ないモノを覗き込んでしまった竜王は最強の勇者である己が見下されている事に憤りも露わに呟く。
対して【WIP】は優雅に一礼するのだった。
こうしてリュケイオンという僻地で誰にも知られずミズガルズの明日を守るための戦いが始まる。
夜が明ける。
新しい朝。
晴れた空に眩しい太陽。
青い空は何処までも透き通っていて、ありふれている。
竜王の襲撃から一夜明けて少女は目覚める。
レベル1000へと至った肉体に活力をみなぎらせて、愛する人たちと未来に進める希望を胸に。
そして彼女は────。
ぼくはいっぱい いっぱい “おめめ”をばらまいてるから
どこでうまれそうか わかるの!!
【彼は目の前で誰かが困っているのなら、それを助けるのは当たり前だと疑わずに断言できる素晴らしい人であった】
「「ごきげんよう!!」」