ラスボスからは逃げられない!   作:宇宙きのこ(ミズガルズ産)

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兵器群の思想は脚色こそあれど殆ど最初期のプランと同じ思考をしています。
ルファスやリュケイオンを省けば主人公の世界へのスタンスはあんな感じでした。




ミズガルズは真っ二つになった!

 

 

 

剣鬼がマリオネットを軽く振る。

ヒュンという音と共に鮮血が振り払われた。

 

 

 

 

ルファスが何かを返す前に空間が震える。

周囲に満ちるのは膨大な殺意。

ゾディアックの王城そのものが圧倒的な圧に悲鳴を上げるように軋んだ。

 

 

アリオトは薄く微笑み、メグレズは“カチ”と懐の結晶を起動させた。

 

 

 

「貴様アアアアアあああああ!!!」

 

 

「許さない許さない許さない許さないィィィ!!」

 

 

 

どうやったかは判らないがルファスが傷を負ったことを察した彼女の狂信者二名が飛び込んでくる。

例の如くアイゴケロスとスコルピウスだ。

十二星天の中で屈指のルファス信者たちは本能で己の主が傷つけられたことを察し問答無用でアリオトに襲い掛かった。

 

 

 

王城の中という事もあり大規模破壊をもたらす力を使いこそしないが、殺意だけはとてつもなく濃厚であった。

一人の人間を殺すにはあまりに過剰な最上位の魔法と憎悪を乗せて刺殺を試みる蠍の尾だ。

 

 

 

だがアリオトは彼らに目線さえ向けなかった。

彼が見ているのはルファスだけ。

十二星天に対しては何の興味も抱いていないようだった。

 

 

所詮はルファスという主星がなければ輝けない衛星たちだ。

唯一アリエスくらいは警戒するかもしれないが、それ以外は彼にとって有象無象でしかない。

覇王という偉大な存在に惹かれて集まってきた羽虫くらいにしか思っていない。

 

 

 

マリオネットを握った右腕だけが全自動で動く。

片手で軽々と彼はアイゴケロスの魔法を切り払い、次いで襲い掛かる蠍の尻尾を弾いた。

思わず眼を見開くスコルピウスと、ここでもアリストテレスに邪魔され舌打ちするアイゴケロスをしり目に彼はルファスだけに声をかけた。

 

 

 

ドォンと軽く弾かれて軌道を逸らされた蠍の尾が壁を貫き巨大な穴を穿つ。

ぎゃあぎゃあとスコルピウスが叫びだすがアリオトはその声を遮断した。

どうせ「殺す」やら「許さない」やらといったつまらない言葉しか吐いていない。

 

 

 

最高位の魔物であるのならば殺す殺す叫ぶ前にさっさとやってしまえばいいのに。

 

 

 

 

「ルファス。俺はずっとお前の背中を追ってきていたんだ」

 

 

 

それはまるで告白のようだった。

実際、彼はルファスに対してソレに近い感情を抱いてはいた。

 

 

強く美しく気高い。

こんな人がミズガルズにいるのかと最初は思ってしまったほどだ。

ただの平民で、学もなかった彼から見てもルファスという女性は自分とは生まれが違うのだと彼にもわかる。

 

 

剣を翳す。

美しい刃は鏡の様に光を放ち、アリオトの顔を映し出した。

そのまま彼は軽く手首をスナップさせて剣を軽く動かし再び襲ってきた蠍の尾を叩き落とす。

 

 

 

相手になっていないというのがあの蠍はまだ判らないのだろうか?

次いで魔王が捕縛の為に放った魔法に全身を縛られていくが、アリオトは気にしない。

さすがはヘルヘイムの魔王、狂気の蠍に比べれば少しは頭が回るらしい。

 

 

 

「俺にも夢があるのは知ってるか?」

 

 

 

誰よりも優れた剣士になりたい。

ミズガルズ最強/最高の剣士になりたい。

その為に彼は全てを捧げて己を変えた。

 

 

 

アリストテレス兵器群が編み上げた全ての技術を彼は己の肉体に仕込んでいる。

細胞どころか彼という要素を構築する原子からしてもう別物だ。

おおよそ思いつくありとあらゆる所に彼は手を入れている。

 

 

 

体中を循環する原子サイズのゴーレムはアロヴィタイトより作られており、それは彼の一新された強化細胞と強いシナジーを持つ。

今の彼に毒は効かない。

煩わしい生物学的な縛りは全てない。

 

 

もう彼は睡眠をとらない。

もう彼は食事だっていらない。

もう彼は呼吸しない。

 

 

必要とあれば何年であろうと全力で戦闘を行い続けられる。

手足を失おうとすぐに補填は利くし、感覚器官だって増設されている。

アリストテレスは約束通り彼をルファスやベネトナシュと同じ領域に引き上げていた。

 

 

 

魔王の術で動きを縛られた彼に再び尾が迫る。

 

 

 

明らかな殺傷を目的とした攻撃にルファスが止めようとするがアリオトは微笑むだけだ。

むしろ望み通りと言わんばかりに首筋を差し出すほどだった。

 

 

今度は防御も避けもしない。

当然のこととして蠍の尾が軽く突き刺さり、ありったけの殺意を込められた毒が流し込まれる。

 

 

 

 

数百万人を殺せる至高の毒が惜しみなく注ぎ込まれスコルピウスは勝利を確信し笑みを浮かべた。

しかし1秒、2秒、3秒たっても何も起きない。

毒など注ぎ込まれた瞬間に分解され無力化されている。

 

 

 

小さな小さなゴーレム達は宿主に対する一切の害を消し去っていく。

 

 

 

そも、兵器群は彼女の毒のサンプルなどとうの昔に回収している。

無限ともいえる組み合わせを持つとされるが、既にソレは解析済みなのだ。

 

 

 

アクセサリーによる概念的な防御とかそういう話ではない。

科学的な分解による無力化だ。

どれだけスコルピウスが憎悪を込めて毒を生成しようと何の意味もない。

 

 

アリオトは尾をつかみ取る。

もちろん憎い敵に己の一部を掴まれた女は狂乱しながら尾を戻そうとするがソレはびくともしない。

シャンと銀閃が走り尾が切断される。

 

 

一瞬の静寂の後にすさまじい絶叫が迸るがアリオトは気にも留めない。

これをやったら最後、ルファスとは確実に決別すると判ってはいたが……それがどうした?

更にもう一回剣を振るえば魔王の術は切断され霧散した。

 

 

 

ほら、もう我慢の限界を迎えつつある覇王が拳を握りしめ出している。

今までは彼のことを仲間だと思っていたが、スコルピウスに対しての攻撃によってついに一線を越えたようだ。

 

 

 

魔王はさすがというべきか今の攻防で異常を察したらしい。

ルファスの背後に控え、じっとアリオトの動向を探っている。

それよりも厄介なのはアリエスだったが、彼は遠くからじっとアリオトとメグレズを見つめていた。

 

 

覇王は遂に怒りを見せる。

 

 

叩き込まれる圧は凄まじく本能的に筋肉が収縮しようとするほどだ。

この身になってから殆ど感じたことのないソレは今の彼からすると……心地よい刺激である。

全てを俯瞰したような視点を会得し、斬り合い以外のあらゆる物事への興味さえ消えつつある彼にとっては本当に面白い娯楽だった。

 

 

 

次いで飛んできた【威圧】であったがこれもアリオトには通じなかった。

それどころか彼の隣のメグレズにも何の影響も及ぼせていない。

アリオト程ではないがこのエルフも技術によって改良を施されており、もはや非力なエルフの面影は外見だけだ。

 

 

 

 

レベルこそ1000であるが、アリオトとメグレズは実質そんな縛りなど超えていた。

もはや生物学的には彼は人間とさえ呼べない程の別種になりかけている。

技術によって何処まで人を強化できるか、その果てが彼らだ。

 

 

そしてもう男は自分に嘘をつくのはやめていた。

剣と同じく彼は自由になったのだから。

だから望むがままに彼は壮絶な目つきをする覇王に当然のように言った。

 

 

 

「俺はお前を斬りたい」

 

 

「ルファス……お前を超え、お前を切り捨てる。それがあの時から抱いていた俺の夢だ」

 

 

 

ルファスの仲間にして誰よりも彼女の背を追い求めていた男は遂に言った。

心からの殺人予告にも覇王は顔色を変えなかった。

一度だけ瞬きをし……瞼を開けば先まであった甘さはそこにはない。

 

 

時間が戻るように翼の負傷が治癒していく。

外見こそ変わらないが以前よりも斬撃への耐性を得たソレに。

 

 

 

「そうか」

 

 

 

「其方も決めたのだな」

 

 

 

己の望むことの為に全てを切り捨てる。

それに対してルファスは決して反論しない。

ただし一つだけ彼女にも言い分があった。

 

 

 

「だが。余は死ぬ訳にはいかん。成すべきことを成すまでは」

 

 

 

 

 

 

こうなるのを判っていた、とは言わない。

しかしこうなってしまったからにはもう説得は意味がない。

ルファスの“眼”に移る彼らはもはや……筆舌に尽くしがたいものがある。

 

 

 

彼女には見えた。

巨大な【バルドル】がいくつもの糸を垂らし彼らを操演している様子が。

アリストテレスという無慈悲な機構に組み込まれたモノはもうどうしようもない。

 

 

故に彼女の顔に迷いはない。

 

 

完全に彼を敵と認識した顔だった。

男はこの顔が好きだった。

容赦なく躊躇うこともなく自由に力を振るい敵を蹂躙していくその後ろ姿は彼にとって憧れ()()()

 

 

 

ルファスは目線をアリオトからメグレズに移す。

この眼前の男はもうダメだと完全に理解してしまった彼女は瞬時に感情を切り替えた。

確認するかの様な旧友の目線にエルフは平然と返す。

 

 

もうロードス王のことなど知ったことではない。

自分の選択で全ての同族が危機に晒されようと……彼は割り切れる。

ソレに値するものを彼は見つけたのだから。

 

 

「メグレズ」

 

 

 

「僕は何も変わってないよ。

 ユーダリルで出会った時から僕が何を求めていたかは知っているだろう?」

 

 

 

本来故郷から殆ど外に出ないエルフの中の変わり者。

アラニアという保護者がいたとはいえ彼は誰かに流される訳でもなく己の意思で広い世界へ憧憬を抱き行動していた。

知りたい、知りたい、判りたい。

 

 

 

長命である故に殆どの事柄に大きすぎる余裕をもって行動してしまうエルフの中の異端児。

エルフの肉体をもって生まれてしまった生き急ぐ探究者、それが彼の本質だった。

本来であれば果て無き探究心を持てどその欲求を満たす事はかなわない筈だった。

 

 

 

しかし彼は出会ってしまった。

今や世界を二分し全てを掴まんと猛るアレらの創造者に。

そして魅せられた。あの世界に。

 

 

 

一種の薬物の様にソレは彼の中に残存しエルフを蝕む。

本来であれば彼の中にある理性や良心がソレを抑え込み制御できていた。

しかし遺産たちの見せる技術と未来が、神の意思が、エルフの枷を砕いてしまった。

 

 

 

アリオトと同じく彼もまた人でなしに堕ちることを決めた。

故にこれは宣戦布告であり最も付き合いの長い友に対するけじめであり、絶縁宣言だった。

 

 

 

 

「ルファス。今だからこそ君に言えることがあるんだ」

 

 

 

「竜王とアリストテレス卿が相打ちになった時」

 

 

 

 

 

それは彼だからこその思想。

何処かプラン……否、アリストテレスに通じる部分を持つメグレズはルファスの心を抉り取る一言を放った。

 

 

 

「もったいないと思った」

 

 

 

 

「もしも僕があの人の弟子だったなら、君よりうまくやれたはずだって思ったんだ」

 

 

 

 

エルフは嫉妬していた。

ルファスの素養と何より彼女の立ち位置に。

アリストテレス卿の最も傍に存在することを許され、彼から直接手ほどきをうけた事実に嫉妬していた。

 

 

僕だったら絶対にもっと彼から多くを学べた。

 

 

それはメグレズの本心。

不死鳥との戦いの際に垣間見た世界は彼の世界観を変えてしまっていた。

あれが一体なんなのかは判らない。しかしアレにこそ自分の求める真理があるのだと彼は確信を抱いていた。

 

 

 

何としても掴んでみせると決めていた。

当時の彼はまだ幼くどうすればいいかなど判らなかったがその念だけは本物だった。

しかし、プラン・アリストテレスは消えてしまった。

 

 

 

あの時絶望したのはルファスだけではない。

メグレズもまた望んでいた真理に至る道を失い深い絶望に沈んだのだ。

しかし彼はその程度で諦める男ではなかった。

 

 

 

立ち直るのに時間はかかったが、まだ希望はあると己を奮い立たせルファスに接近した。

最後にして最新のアリストテレス卿から直接教えを受け、さらには彼の遺産に最も近い場所にいた彼女ならばという賭けだった。

もちろん彼とルファスの友情は本物ではあるが───それはそれだ。

 

 

 

今のメグレズという男は本当にアリストテレスに近しい精神をしている。

彼もまた自由である。

かつての彼を縛り付けていた良心だとか倫理観だとかは今や緩くなってしまった。

 

 

 

“アレ”にはそれほどまでにあらがいようのない魅力があったのだ。

数百年間連れ添い、命を助け合い、時には背中を預けて戦った戦友を切り捨てる程に。

呵責はあれど悔いはなく彼は彼のやりたいことの為に動く。

 

 

 

ミズガルズの安寧とか人類の安全とか、何ならエルフの未来さえ今の彼には映っていない。

ただ一つ、己の知的好奇心のためだけにメグレズは動いていた。

 

 

 

「だから僕は彼らに付くよ。あの時に見た世界の果てを知りたいんだ」

 

 

 

 

「…………………」

 

 

女は沈黙で返す。

覇王の胸中は誰にも判らず。

ただ幼少の時より共に戦い続けた友が完全に堕ちてしまっただけ、それだけの話だ。

 

 

 

 

 

 

 

ミズガルズを統一した人類共同体はこうして完全に割れた。

今までもそうではあったが、少なくとも民たちには気取られない程度にやっていたそれが一気に表に出た。

 

 

 

魔物に魔神族、全ての外敵を排した人類は次に己たちの中で奪い合いを始めたのだ。

何ともわかりやすい構図ではあるが、ある世界のことを考えるにこれも人という種の背負った業なのかもしれない。

 

 

 

 

アリストテレス兵器群の発した“提案”はミズガルズにとてつもない波を起こしていた。

次々とメリディアナの根回しが効いていた国々は口を揃えて兵器群の支持を表明。

同時に守護者ルファス・マファールに対して直接的な言及は配慮していたが、痛烈な皮肉により批判が飛び交った。

 

 

 

【世界を統一したと同時に最大の功労者を排した人の心がない王】

 

 

【圧倒的な力を持つが、他者が自分に追いついてくるのを認めない器量しかない】

 

 

【兵器群への解散命令は明らかな私事であり人類の未来を守護するというのならば彼らを切り捨てるなどあり得ない】

 

 

【永遠に続く平和な世界があるのならばそこに行くべきだ】

 

 

【我々は兵器群を支持する】

 

 

 

ミズガルズを放棄する。

今まで住んでいた国どころか世界を完全に捨て去るなどという狂気じみた話ではあるが、恐ろしいことに人々への混乱はそれほどでもなかった。

何故か民たちはこの話がとても魅力的にさえ感じていたのだ。

 

 

 

簡単なことだ。

ルファスの様に完全な操作を仕掛ける必要もない。

アリストテレスに従うのならば幸福ホルモンを、拒絶するならばストレスを感じるように操作するなど容易い。

 

 

 

方向性だけ与えれば人々は勝手に転がり落ちてくる。

そう兵器たちは考えていた。

 

 

いつ死ぬか判らないミズガルズで生き続ける。

今は減ったが街道に亡骸が転がっているなどありふれた話であり、次はわが身だと誰もが思っていた。

 

 

 

“死”

 

 

 

ミズガルズにはそれが溢れている。

どれだけ愛した人と共にいようと、我が子を抱きしめようと、それは奪われる。

この世界は女神の愛に包まれている故にソレは絶対として約束されている。

 

 

 

種族ごとに寿命に大きな差があるというのもコレを助長した。

人間やドワーフ、小人のソレに比べてエルフや天翼族は余りに長い。

吸血鬼に至っては外的な要因さえなければほぼ不死身なのだ。

 

 

 

ある一組の恋人同士がアリストテレス兵器群の提案に強い希望を抱いていた。

彼と彼女は人間とエルフだった。

もうそろそろ老いを見せてきた人間に対しエルフの女は未だに深い愛を抱いている。

 

 

 

しかし時間の経過と同時に死は近づき続けていた。

かつて自分を抱きしめていた太い腕は細くなり、髪の毛は白くなっていく。

このままではあとたった20か30年程度で男は死ぬだろう。

 

 

種族違いの恋愛による寿命差───死別。

 

 

 

かつてのルファスも抱いたソレ。

愛する人との永遠の別離。

本当ならばどんな手を使っても逃れられない死をアリストテレスならばなんとかしてくれるかもしれない。

 

 

 

こういった者たちもまたアリストテレスの計画に対して非常に魅力を感じてしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

世界の勢力図が書き換わる。

全てを塗りつぶしたゾディアックこと共同体の各所から反乱の煙が燻りだす。

 

 

下記に各国の立ち位置を記そう。

 

 

 

プルートおよび複数の中小国。

  

 

 

兵器群を全面的に支持。

アリストテレスの計画、ミズガルズ放棄と新世界への移住、人類の再定義も含めて支援を表明。

生産工場は更に速度を増しアリストテレスの意思を次々と形にしていく。

 

 

 

ヴァナヘイム。

 

 

 

兵器群を支持。

ルファス・マファールの強権的なやり方をメラク王は強く非難。

これにより彼は先代王イカロスの基盤を完全に受け継ぐことが出来た。

 

 

 

クラウン帝国。

 

 

ゾディアックことルファスを支持。

ボレアリス王はルファスに対する全面的な支持を表明。

同時に己の分を超えて暴走を開始したアリストテレス兵器群とソレを支援する者たちを痛烈に批判。

 

 

しかし帝国の内部では魔女の息がかかった者たちが着々と混乱を招く準備を整えていた。

 

 

 

光の森。

 

 

中立を表明。

此度の一戦はあくまでも人類共同体内部の意見の相違でしかないとロードス王は宣言。

両陣営に理性的な対話を強く求めると。

 

 

 

スキーズブラズニル。

 

 

エロス王は十二星天としての立ち位置からルファスの支持を発表。

同時にボレアリス王と同じく人類の守護者としての役割を全うしているだけの彼女に対する明確な反逆であるとアリストテレスを非難。

 

 

 

 

ミョルニル

 

 

静観。

ベネトナシュ王は動かない。

ただ一人、孤高の吸血姫はその時を待ち続ける。

 

 

 

 

 

そして……リュケイオン。

 

 

 

今や世界で最も恐れられ、多くの人々に死を願われる覇王。

その母たるアウラは一人、遠方に見えるマファール塔を眺めていた。

 

 

 

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