ラスボスからは逃げられない! 作:宇宙きのこ(ミズガルズ産)
何とか1月中は毎週更新できそうです。
(……そんな)
膝から崩れ落ちそうになるのをディーナは何とか堪えていた。
しかし魔女の語る言葉は確固たる絶望として彼女の耳に届き脳を揺らしていく。
あの時この老婆に顎を砕かれた時の様な恐ろしいまでの衝撃がディーナの頭をぐらぐらとかき混ぜ、じわりと諦観が溢れてくる。
魔女は語る。
マナ・キャンサーは既に宇宙全域に仕込んでいると。
それが意味するところを彼女は誰よりも判ってしまう。
つまり。
終わりだ。
自分たちの負けだ。
もうどうしようもない。
世界の終焉という陳腐な概念がいま、現実味をもって彼女の前にある。
それはルファスの様な単一の覇者ではなく、世界の構造そのものを蝕むエラー値が引き起こすものだった。
負けた。
既に手遅れ。
ディーナは傍らで魔女の言葉を聞いてそう思ってしまっていた。
マナ・キャンサーについて当然彼女もルファスから情報を共有しており独自に研究と解析をしていたのだ。
アイゴケロスでは精神的な負荷が多すぎると判断されたのも大きな要因である。
何よりも彼女は誰よりも女神の世界に詳しい存在だ。
この世界を構成する要素の全てを知り尽くしていると言っていい。
何せほんの少し前までは自分と女神を同一視して生きていたのだから。
そんな彼女はルファスからの命令でかの癌について分析を行い────絶句した。
未だに残る女神の本能が全力で警鐘を鳴らし、今すぐにこのミズガルズをアレもろとも破壊すべきだと訴えかける程に。
もしも自分が女神であったなら直ぐにそうしただろう。
アリストテレス兵器群の切り札にして女神の世界に対する最悪の天敵。
オルムを容易く飲み込み惑星サイズの肉塊に変え、銀河系を消耗する攻撃を放った怪物の根源。
その本質はどこまでも生物染みた存在である。
生物の様に繁殖し、生物の様に変異をする。
まるで質の悪いウィルス……いや、あれは正しく女神に向けて差し向けられたerrorにしてウィルスだ。
あれはもう兵器ではない。生物ともいえない。
そう──災厄だ。
女神を否定しその世界を否定し、その在り方を否定し、アロヴィナスの築いた全てを消し去らんとする意思だ。
ルファスでさえアロヴィナスをどうにかした後も未来は続くと仮定しているが、アレはそれさえいらないと拒絶している。
では、実際のところアロヴィナスを殺せるか?
という疑問に対してディーナは「出来る」と判断していた。
女神アロヴィナスという存在を構築するのは純粋な“力”だ。
マナでも魔力でも天力でもない、ただひたすらに極まったエネルギーが彼女という存在を形成している。
無限という言葉さえ意味を成さない程に巨大なソレではあるが、じっと観測していけば本当に気が狂うほどに小さな粒子がある。
その粒子にアリストテレスは悪性コードを印刷したのだ。
もう一つの世界におけるプログラミングという行為が近いかもしれない。
本来ならば女神にガンなど発生しない、ならば作ればいいという気狂いの発想だった。
淡々と続くメリディアナの回答。
ルファスとディーナが疑問に抱いていたことを完全に答えた後、彼女は露骨すぎるほどの悪辣な笑顔を張り付けて宣言した。
「勝利宣言の為に来たのさ」
ディーナは無意識にその言葉を受け入れていた。
もう負けは確定したのだと優れた頭脳を持つ彼女は理解し───。
「────で、あるか」
主の声によって踏みとどまった。
無意識にルファスを見る。
彼女はこの絶望的な真実を知らされて、なぜか薄く微笑んでいた。
自棄になったのではない。
ましてや諦めたわけでも、嗜虐の発露でも憐れんでいる訳でもない。
ただ何故かメリディアナを労わるようであった。
「……降伏勧告をしたというのに随分と穏やかですな」
「私めの知る貴女はもっと諦めが悪いと思っておりましたが」
ルファスという女性の本質は本当に負けず嫌いだ。
以前の魔神族叩きの時もそうだったが、彼女は勝負事において基本的に手を抜くことなどしない。
幼少のころプランにこっぴどくやられた時だって駄々を捏ねるように中々に敗北を認めようとはしなかった。
「勿論敗北など認めておらん。
余はまだ生きており、手札は幾枚もある。どこにも諦める要因などない」
自分と十二の星がまだ存在している。
ならば未来は未知数だと彼女は断言した。
既に全宇宙に布石を仕込まれた後だというのに。
ほんの一瞬の間の後にルファスはぽつりと小さくつぶやいた。
平時とは全く違う覇気も何もない穏やかな声で。
「……余は感動しているのだ」
ルファスはメリディアナを見つめる。
哀れみでも憤怒でも、忌々しい敵を睨みつけるでもなく。
むしろその逆だった。
ルファスは心からメリディアナを敬意と親愛の眼差しで見つめていた。
思わずあの魔女が動きを止め、何で自分はこんな視線を向けられているのか考えてしまうほどだった。
(なぜ……?)
“感動”
一体、どうしたというのだ。
魔女は思う。
今まで自分はこの覇王とずっと敵対してきた。
我がことながら姑息な手を幾つも使い、あらゆる方法でルファスの足を引っ張り、彼女の仲間を切り崩してきた。
ルファスの目指す未来には決してたどり着かせまいと様々な手を用いて彼女の邪魔をしてきた。
基本的に直接的な戦闘能力が高いモノが尊敬を勝ち取ることができるミズガルズにおいて魔女のやり方は卑劣と非難されるものだ。
ルファスからしたら目障りな事この上ないだろう。
殺そうと思えばすぐにでも殺害できる雑魚があらゆる方法でちょこまかと動き回り自分の邪魔をしてくるのだから。
正しく地を這う虫ケラ、黄金に輝く永遠に若く美しい彼女とは真逆の老いて醜い魔女のやり方だった。
皮肉な話である。
この世で最もルファスを追い詰め、戦略的な勝利を勝ち取った女はその実、誰よりも自分を過小評価していたのだから。
ルファスは微笑んだ。この老婆もまたアリストテレスの意思と特徴を強く後継した、特にこういう所は彼そっくりだ。
何処までも露悪的で、自分の本質から目を背けようとしているところとかが。
感情を揺らがせたわけではない。ただ、予想外の言葉が来たことに反応しただけ。
彼女は気を取り直して優雅に手を折り、まるで礼儀作法のように口元に手を添えてから静かに言った。
「それはまた……ずいぶんと奇妙な評価を頂きました。貴女に“感動”されるなど、光栄ですな」
その声音は丁寧に整えられていた。嫌味も皮肉も滑らかに含まれている。
だが、どこかそれは虚ろで、すでに彼女の中で“終わっている”という空気が確かにあった。
もういないのだ、彼女には未来を共に歩もうとした人など。
「余が言っているのは、おべっかでも外交辞令でもない。
其方のことを……心から敬意をもって認識したという意味だ」
ルファスの口調は静かで、しかしどこまでも真摯だった。
ただの言葉ではない。彼女は、メリディアナの存在そのものを、価値あるものとして捉えていた。
「其方は確かに、力で言えば弱き存在だ。戦場で余の一撃を防ぐことも叶わぬだろう」
「だが、その歩み──ここまで到達した過程──それが、余には限りなく眩しく映る」
アリストテレス兵器群がここまで肥大化/巨大化し計画の最終段階まで入れたのは間違いなく彼女の手腕であった。
人の心への理解が疎い兵器群に提言を繰り返し、民たちの信頼を勝ち取り、着実にルファスを追い詰めていった。
メリディアナは小さくため息をついた。
彼女もまた自分の存在を過小評価している。
悪辣で卑劣で、魔神族にとっては悪魔という言葉さえ生ぬるい存在である彼女だが、同時に彼女に救われた人も大勢いるというのに。
「……成る程。どれだけ高みに登っても、やはり人というのは他者に“可能性”を見たいものなのですな」
「違うな。
余は“人”そのものに、ここまで強くなれるのかと……そう、驚かされたのだ」
「其方は正しくその証明だ。力を持たぬがゆえに、なお一層手強い」
メリディアナのやったことは単純だ。
時間をかけて計画を練り、努力をし、賛同者を増やして勢力を拡大させる。
言葉にすればそれだけ。しかしそれを人生全てを投げうって出来るものがどれだけいるか。
二人の間にはもはや敵意すら存在しない。
あるのは、ただ深い理解と──理解しているからこそ拭えない、決定的な断絶だった。
「マファール陛下、貴女様はまだ“未来”を夢想していらっしゃるようだ」
「そして貴女様はそれに全てを懸けられる立場にいる。
民も、兵も、十二星も──全てがあなたを信じておりまする」
最後は絶望が約束された世界などその土台から間違っている。
だからメリディアナはそれを何とかすることにした。
かつてのアリストテレスもそういう方向で話を進めていた。
歪み切った世界は一度完全に幕を下ろさないといけないのだ。
歪んだパズルはリセットしなくてはならない。
「その信に答えるのが余の責務だ。
幾度だって断じてやろう。希望はある。間違いなく」
この世を満たす精神において悪性が強いのは間違いない。
理不尽だらけなのも知っている。
しかしそれでも、輝きがあるのを彼女は知っている。
ルファスもまた星の様な灯りに焼かれたものなのだ。
黄金の覇王は一歩も引かず、静かに、しかし確かに言い切った。
その姿はどこまでも純粋だ。
彼女は希望という灯火そのものになろうとしていた。
自分が彼らにソレを見た様に、彼女また誰かにそれを見せる存在になろうと足掻き続けている。
「世界は変わる。余が変えてやる。幾年かかろうと必ずや」
「それは難しいですな。もう間もなく終わるのですから」
二人の声は、対立しているにもかかわらず、まるで同じ旋律のようだった。
それほどまでに、彼女たちは“互いを知り尽くしている”。
だが、それでも。
決して、交わらない。
互いを最も理解しているがゆえに、決して同じ場所には立てないのだ。
「一つ、質問しても?」
メリディアナがふと視線を動かし、ルファスの瞳をじっと見据えた。
その眼光には、老いも諦めも滲んでいたが、ただ一つだけ──意志が残っていた。
「貴女様は……この“狂った世界”を己ならば変えられると、本気で?」
その問いに、ルファスは即答しなかった。ほんのわずか、沈黙が場を満たした。
だがやがて、彼女はゆっくりと頷いた。
「信じている」
理由は単純明快。
彼女はミズガルズを愛している。
それだけで十分であった。
生まれ持ったこの力をどう使うか、ずっと彼女は考えていた。
無駄に巨大なこの力、プランが語った通りであるのならばかつて女神に反旗を翻した誰かの血筋。
「
彼女は心底このミズガルズが嫌いだった。
即答だった。凍てついたような確信。
その声音に、ルファスでさえ一瞬目を細める。
メリディアナも元は彼女が助けたかった無辜の民であった。
いや、今だって出来ればこの者をアリストテレスの張り巡らせた蜘蛛の糸から引きはがしたい。
しかしそれは出来ない。
彼女は自分で望んでそうなったのだから。
だから、彼女は哀れみが侮辱になると知りながら言ってしまう。
「……其方の選んだ結末は、あまりにも無情に過ぎる」
「お構いなく。己の願いは己の力で叶えますので……これは以前も言いましたな」
メリディアナはそう言って、ルファスに背を向けた。
まるで、舞台を去る役者のように静かに──そして二度と振り返らないように。
「では、おさらばでございます。覇王様。お元気で」
「あぁ、さらばだ」
答えは短く、だが確かだった。
戦争は避けられない。
和平の道など、最初から存在しなかった。
最後に彼女はディーナを冷ややかに見た。
「今一度述べますが、ソレをお傍に置くのはやめた方がいいですぞ」
「…………」
互いを最も理解した上で、互いを滅ぼすと決めた者たち。
これが──最後に交わされた平和の対話だった。
言わなくちゃ。
言わなくちゃいけない。
これだけは隠していてはいけない。
ディーナは震える身体を抑え込んでいた。
かつての自分、正確には自分だった者が行ったルファスへの行為を彼女は黙っている事は出来ない。
恐怖で勝手に動く手を、爪が食い込むほどに強く握る。
心臓が痛いほど脈打っている。口の中が乾いて、息をするたびに喉が焼けつくようだ。
それでもディーナは立っていた。
かつての自分。
正確には、“自分だったもの”が何を考えていたか。
女神と同一視し、全知の存在であることに酔い、自分の行いはすべて正義であると信じていた頃の愚かで、傲慢で冷たい自分。
ルファスの友、勇者ナナコの死。
あの死を、自分は軽く見ていた。
「仕方ない」と切って捨てた。
よくある目的を果たせなかった勇者の最後。
変わりは幾らでもいる。
貴方を主役にしてやると言えばほらこの通り、幾らだって勇者はいる。
そんな吐き気を催す思考を彼女はしていた。
それが彼女の運命だったと、合理的な判断で、感情を排除して、冷たく上から目線で。
今ならわかる。
それがどれほど人を傷つけ、絶望させ、そして、自分自身を堕とす行為だったのか。
「……ルファス様」
小さく、名を呼ぶ。
声が震えていた。いつもの理知的で冷静な語り口ではない。まるで幼子が叱られるのを恐れるように、小さな声だった。
「私は……!」
言え。
言うんだ。
でなければ私はずっとあのままだ。
それを言ってしまえば、すべてが壊れてしまうかもしれない。
ルファスに失望されるかもしれない。許されるはずがない。
けれど、それでも言わなければならない。
自分が“人”としてここに立つために。
あの時、死を軽んじた己の罪を、自らの口で認めるために。
これを言えば自分と主の関係にヒビが入るかもしれないが、逃げたら彼女は嘘をつくことになる。
ルファスに対してだけではない。
メリディアナの前で宣言した女神の罪を己が償うという誓いにさえ。
それをしたら彼女は死ぬのだ、生命がどうこうではない、ディーナという存在の持つ言葉が死ぬことになる。
だから彼女はパニックに陥りつつある頭を一度冷やし、一言一言を絞るように口にする。
「ルファス様は……勇者様を知っていたんですよね?」
その声は震えていた。
ルファスは一拍の間を置いて、短く、穏やかに答えた。
「無二の友だった」
ほんの数日の付き合い。
しかし正しくナナコはルファスでは到底及ばない気高さと高潔さをもっていた。
命をかけて手に入れた不死鳥の宝玉を他人が困っているから、友達の為と迷いもせずに渡せる人物が果たして世界にどれだけいるか。
「貴女に言わなければならないことがあります」
その声は明らかに震えていた。
言葉にすればすべてが壊れるかもしれない――それでも言わねばならないと、ディーナはわかっていた。
それが、自分が“人間”として生き直すための償いの一歩だと。
ルファスは黙っていた。
ただ、静かに彼女の言葉を待っていた。
断罪の言葉を用意するわけでもなく、逃げるでもなく。
その圧倒的な沈黙が、ディーナの心臓を締め付ける。
「勇者様を死地に向かうように仕向けたのは私です」
「天翼族に彼女の居場所を売るように思考を誘導したのです……私が」
厳密には彼女ではない。
当時に彼女はまだ産まれていない。
しかしアロヴィナスはそうした。
ルファスは言葉を挟まなかった。
ただ、じっと彼女を見ていた。
その瞳の奥は、まるで深い夜空のようだった。
「……私は、“あの程度の勇者ならば、いくらでも替えはある”
と……そう、思っていたんです」
彼女/女神はナナコを使い捨てた。
あの勇者ではかの竜王を倒せないのは明白。
で、あればもういらないと。
やっとの思いで吐き出したその言葉は、ディーナの中の何かを確かに削り取った。
声が詰まる。
膝から崩れ落ちそうになる身体を、ディーナは何とか立たせていた。
自分は、ルファス・マファールの逆鱗に触れている。
だがしかし彼女が怖いのはルファスがその絶対的な力を怒りと共に自分に向けて振るう事ではなかった。
この強く気高い女性に失望され、ゲスがと蔑まされることが怖かった。
「処罰を……下していただいても構いません。私はそれに値します」
震える声で、彼女は言った。
そしてルファスは怯える彼女を労わるように囁いた。
「よく言ってくれた」
その言葉は、ディーナの中の緊張を一瞬で崩壊させた。
全身の力が抜けそうになる。
ルファスは「そこまで緊張するとは」と苦笑しながら続ける。
無意識に彼女は心から笑っていた。
自分の間違いを認めて口にするのがどれほど難しいか彼女は知っている故に、勇気を出したディーナを責めようとは思わなかった。
それに彼女にも時間はたっぷりあった。
勇者が死んだのは大前提として、どうして死んだのかを考える事をしない筈もない。
レベル1000の勇者は戦闘力で言えば当時のルファスよりも上だ。
そんな彼女を殺せるとなると、それこそ“四強”くらいしかありえない。
ベネトナシュが出来る訳もなし。
オルムもまた違うだろう。
アレの正体を考えるに勇者と戦闘を行った時点で勇者を殺した後、自分も同士討ちを装って表舞台から消えるハズだ。
レオンも中央大陸にいかない限りは動かない。
と、なればナナコを殺したのは竜王しかありえない。
しかしナナコは徹底的に竜王との接敵を控えて行動していた。
誰かが彼女の居場所を竜王に教えでもしない限りはあり得ない。
そしてルファスはよくナナコと天翼族が使役する魔物と化した鳩でやり取りをしていた。
そして先に判明したイカロス王の所業。
全てを含めれば天翼族しかいないのだ、ナナコを竜王に差し出した裏切者たちは。
「それを自分の口で言うというのは、どれほどの勇気が必要か余はよく知っている。
「其方の中で、その言葉がどれだけの重さを持つかもな」
規模こそ違えど彼女にも似た経験はあった。
ガザドに切りかかったことをプランに打ち明けた時の話だ。
あの時、プランは何と言ったか。
───打ち明けてくれてありがとう。
意識はしていなかったがルファスは彼と同じようにディーナに接していた。
何てことはない。
自分がされて嬉しかったことをしているだけだ。
ルファスはほんのわずかに近づいた。
威圧ではない。
ただ、寄り添うように。
「其方はその重さから目を背けず、こうして立っている。
それだけで、余はお前を否定する気にはなれん」
「黙っていれば楽であったろうに、しかし其方はあえて打ち明けてくれた」
言葉が止まった。
ディーナは信じられないように、目を見開いた。
「……許すんですか?」
「許すというのは少し違う。
そも、当時其方は産まれてさえいなかっただろうに。罪も何もあったものではない」
産まれた時から罪を背負う。
誕生したことが罪。
ルファスはそういった考えが心から大嫌いだ。
「赤子でさえなかった其方が何の罪を犯したというのだ」
だろう? とルファスが言えばディーナは曖昧に頷く。
何処までが自分でどこまでが女神か。
つい最近にその境界を定義したばかりの彼女はまだそこらへんが曖昧だった。
気を取り直すように王は告げる。
「さて。ここからが忙しくなる。存分に其方には活躍してもらうつもりだ」
頭脳労働はほら、余はあまり得意ではないのだとおどけて言えばディーナはようやく微笑んだ。
彼女はルファスがポルクスとアリエスに諸々のスケジュール管理をされていることを知っている。
ルファスは最強であるが万能でも全能でもなくこういう弱さがある。
だから己がいるのだとディーナは参謀として奮い立つのだった。
(もう私は決めたのですから。ルファス様)
己は彼女に地獄の底まで付き従うのだと。
ルファスの知っている事。
作者が覚えておくために置いておきます。
後々の展開でちょっと不具合が出たら修正するかも……。
1 ナナコは竜王に殺された。
2 彼女の死に天翼族が関わっている。
3 あの夜、竜王は自分を殺しに来た
4 竜王と一部の天翼族は繋がっていた。
(父が繋がっていたことまでは知らないというより知ったら抑えきれないので目を背けた)
(ここまでは王としての情報網などを駆使し確定情報として知っている)
(250年以上前の話であり、内心は相当荒れたが何とかメラクの存在もあり抑えた&ロードスが既に落とし前をつけさせていたので割り切った)
5 父の様々な暴走に女神が関わっている。
6 プランが女神に敵視され、竜王と共倒れを狙われていた事。
7 仮に竜王を何とかしても次は自分が利用されそうになっていたこと。
(これらは知らない)