ラスボスからは逃げられない! 作:宇宙きのこ(ミズガルズ産)
“ミョルニル”
吸血鬼の帝国の首都であり、ベネトナシュの絶大な魔力によって常に夜に固定されたミズガルズ屈指の魔境である。
国土自体が巨大な魔方陣であり、プルートの様に天候そのものを支配する魔法を常に発動するための媒介でもあるのだ。
周囲には吸血鬼の眷属であるグールやゾンビ、ブラック・ドッグなどが常に徘徊し、生半可な魔物では近寄る事さえ出来ない天然の要塞でもある。
そんな国の、ちょうど内外の境界線上にプランとピオスはいた。
果てがないのではと思う程にただっぴろい荒れ地であった。
いきなり国土内に侵入したら、迎撃される恐れがあったから、彼はあえてここに飛んでいた。
何時もの如く【任意コード実行】によって瞬時に移動した彼は出現と同時に周囲を見渡した後、空に目を向けた。
今の時間は昼。
少なくともリュケイオンから飛ぶ時は真昼で、太陽は煌々と輝いていた。
だというのにミョルニルとの境界線上においては既に日は沈みかけており、ちょうど夜と夕暮れの境界線のような光景が空にはあった。
「いつみても……奇妙な光景ですね」
ピオスが上空を見上げて言う。
彼は何度かミョルニルを訪れた経験があるらしく、感慨深そうに空への感想を述べていた。
女神を称える彼の仕事の一つとして、ミョルニルにいるゾンビ等を浄化するというモノがあるのだ。
勿論労働者である彼らを勝手に消す事などは許されないが、それでもミョルニルでは数年に一度、ゾンビ等に眠る権利を与える時がある。
十分に労働を行った彼らに対し、このままこの世に留まるか、それとも永遠の眠りにつくかどうか、選ぶ権利を与えるのだ。
その時に必要とされるのがピオス司祭の様な変わり者である。
だってそうだろう?
死者たちが動き回り、不死者が支配する常夜の魔境に進んで入りたがる様な者はそうはいない。
女神の教えの中においては、一応は吸血鬼たちも人類として扱われてはいるのだが……実際は殆どの者らは彼らとは関わりたくないというのが本音であった。
マナに最も強く馴染んだ吸血鬼たちは魔物と人類の中間の様な存在であり、その気性もまた、天翼族とは違った意味で扱いづらい所がある。
まず第一に吸血鬼は傲慢だ。
天翼族といい勝負というのが正直な所である。
己たちこそが至高、その他は雑種にして下郎という考えが常識レベルでこびり付いている。
彼らにとっての神とは吸血姫ベネトナシュのみであり、女神アロヴィナスさえも見下している節があった。
次に吸血鬼とは例外なく貴族階級であり、何より強い。
平均レベルは普通に100を超える。
ミズガルズの人類においては常識はずれなほどに彼らのレベルは高い。
夜の闇とマナに強く結びついたかの種は、全員が全員、マナに高い適合力をもっている故にレベルも上がりやすいのだ。
普通ならば魔物を倒しても全体の一割しか入らないマナを、彼らは血液を媒介に4割から5割ほども吸収できるのだ。
これこそ吸血鬼たちが強い理由の一つであった。
ちなみに貴種たる彼らの代わりに労働を行うのはゾンビやスケルトン、グールなどである。
ピオスが今回同行したのは“退職”する者らを適格に浄化してやるためだ。
第三に吸血鬼は主に夜のみ活動する種だ。
ベネトナシュの様な規格外を除けば、彼らにとって太陽光とは毒であり、死ぬことこそないが動きが明らかに鈍くなる。
人間でいう所の深夜は彼らにとっての真昼なのだ。
そして第四に……吸血鬼の寿命は事実上無限である。
ミョルニルにおいて最高齢とされるロイと呼ばれる男の年齢は万に届いており、彼らに寿命による死は存在しないと言っていいだろう。
そんな種族の巣窟にピオスは幾度も訪れ、女神の教えを熱心に守り希望したゾンビやグールなどを浄化しているのだ。
吸血鬼たちでさえ「何だあいつは」と思う程の鋼の精神であった。
当然、彼以外にこの業務を行う者はとても少ない。
皆無、というわけではないが彼ほど積極的にミョルニルに足を運ぶ者は殆どと評してやっていいほどに少ないだろう。
「では。行きましょうか」
ピオスが先導する様に足を踏み出した。
ミョルニルの常連である彼にプランは任せることにし、頷く。
周囲から夥しい数の視線が自分たちに向けられていることを二人は感じ取ったが、顔色一つ変えなかった。
プランが【観察眼】で周囲をぐるっと見渡す。
荒れ地の地面の下を始め、岩の影などに多数の存在を感知した。
彼の瞳に映ったのはスケルトンに、ゾンビ、グール。
それも見た目が大きく崩れた者らだ。
余りに醜悪なせいで、ミョルニルに入る事が許されずこうやって外周を警備するように働かされている下僕たちだった。
吸血鬼たちにとって彼らは捨て駒であり、消耗品である。
故に、ここで消え去ったとしても誰も何も言わないだろう。
死、というものを美化せず突き付けてくるおぞましい怪物たちであったが……彼に気が付いたピオスは声を張り上げた。
死してなお消耗品として扱われる彼らに対し、まるで対等の人間に話しかける様に。
「私の名前はピオス。此度もまた女神の愛と教えを広げに馳せ参じました」
「安らかなる眠りを希望するものは、どうぞ一歩前に。
怖がらないで。私は貴方たちを救いに来たのです」
唸り声が響く。
ググググと地面が隆起し、腐敗した死者たちが這い上がってきたが……プランたちに何もしない。
プランとピオスは正式なミョルニルへの許可証を所持しており、これには僅かではあるがベネトナシュの魔力が封入されていた。
つまり今の二人に攻撃するという事はミョルニル、ひいてはベネトナシュに逆らうということになる。
それは絶対にしてはいけない、文字通り死よりも恐ろしい事であった。
“四強”の一角である彼女は、その存在と名前だけで死者たちさえも怯えさせることが出来るのだ。
「ア゛ア゛ァァ……!」
一匹のゾンビがふらつきながら近づいてくる。
ボロボロの布切れを纏った、かつては人間の男性であった存在だ。
顔の半分が砕けており、蛆の湧いた脳が見えているおぞましい姿である。
もはや思考能力さえない身でありながら、目の前に現れた救いある終わりを求めて歩み寄ったのだろうか。
醜い、醜悪、おぞましい。
百人いれば百人がそう評する姿であったが、生憎ピオスは百一人目であった。
彼はいつもと変わらない顔でゾンビの手を取った。
ねちゃっとした腐汁が垂れたが、司祭は気にさえしないようだった。
「こんにちは。……お疲れの様ですね、ゆっくりとお休みください。
貴方は救われていいのです、私が保証しますとも」
ゾンビの残った目をしっかりと見つめながら司祭は彼の今までの人生を労う様に話しかけた。
もしかしたら悪人だったかもしれない。
人類の国家で何らかの罪を犯し、このような人外の地にまで落ちぶれた結果、死んでしまったのかもしれない。
もしかしたら最初から最後まで恵まれない人だったのかもしれない。
住んでいた村を魔物や魔神族に滅ぼされ、何もかもを失った挙句に力尽きた最期だったのかもしれない。
少なくとも、ミョルニルの外周でさ迷う死に方をしたと考えるに、碌な人生でなかったのは確かであった。
だがそれでも、元は人で、どれだけつまらないものであってもソレは立派な人生だった。
ピオスはそんな彼のあらゆる全てを肯定し、もう終わっていいのだ、貴方は休んでいいのだと優しく諭した。
「救われて下さい。救わせて下さい。貴方の今まで全てを私に祝福させて下さい」
発動するのは下位の天法である【浄化】だ。【プリースト】のクラスを持つ者ならば誰でも使える最下級の術だった。
効果は不浄の浄化……こういったゾンビやグールなどを昇天させるものだ。
威力は術者の力量や受ける相手が受け入れるか否かなど様々な要因が重なり安定しないことも多い。
ピオス司祭のソレは……プランをしてけた外れと評するしかなかった。
まず最初に、彼の眼前にいたゾンビが崩れ散った。
全身を灰か錆の様な粉へと変えて、風に攫われて消え去ったのだ。
最後の最後、崩れ落ちた顔に安らかな笑顔が浮かんでいたように見えたのは自分の勝手な思い込みだろうかとプランは思った。
光が広がる。
暖かい陽光の様な光であった。
我先にと周囲のゾンビや、グールなどが飛び込み……それに触れた瞬間に崩れ散っていく。
気付けば周囲にあれだけあった気配は何もかも消え去ってしまっていた。
「よい旅路を」
ピオスは深く頭を下げて一礼した。
プランもまた、消え去った彼らの喪に服す様に頭を下げていた。
「……キリがないとは思わないかい?」
ひとしきりの余韻を味わった後、プランは好奇心でピオスに聞いていた。
ミズガルズにおける悲劇を数多く知り尽くし、その原因さえも知っている彼は聞かざるを得なかった。
「確かに途方もない数でしょう。ですがそれは私が歩みを止める理由にはなりません」
救いを求める人を私は救う。
そう断言するピオスにプランは敬意を示す様に頷いた。
「さて、改めてミョルニルに行きましょうか」
誰よりも強い信仰を持つ彼を、一瞬だけアリストテレスは哀れむ様に見たのだった。
ミョルニルに足を踏み入れたプランとピオスに対する出迎えはやはりというべきか誰もいなかった。
一応、入り口の門で入国許可証を見せた時にはそれなりの敬意を払われこそしたが、そこから先は誰も二人を見ようともしなかった。
街を歩く吸血鬼たちは誰もが黒を基調とした衣服を着ており、それらの作りはとても上質なモノであった。
ひそひそという囁きが木霊する。
全てピオスに向けたモノであった。
よくも悪くも彼はミョルニルにおいて有名人の様であった。
吸血鬼の帝国に何度も足を運び、劣等種族であるゾンビやグールの浄化に躍起になる変わり者として。
───また来ているぞ。
───物好きな奴め。
───女神なぞを信仰する愚か者。
───この世における神は我らの陛下のみ。
どれもこれも侮蔑と嘲りであったが、ピオスは何の感慨もないようだった。
プランもまた、小さく息を吐いてから彼に話しかける。
「謁見の時間まではまだ時間はあるから
それまで少しこの国について教えてくれないか?」
歩きながらでいい、と付け足すと司祭は「さて、どこから話したモノか」と頭を傾げた。
「てっきり……貴方はこの国について既に知っているかと」
「知っているだけさ。あくまでも、記録としてね。
司祭の様に実際に見て回った事は自分にはないんだ」
成程と、頷く。
つまり、当たり障りのない感想よりも、もっと深く入り込んだ自分の生の感動を知りたいということかとピオスは得心する。
で、あるならば話は早い。
彼らは緩やかに王都の中央……“吸血姫”ベネトナシュが座する宮殿に向けて歩を進めながら雑談を始める。
いつもはルファスに対して説明をすることの多いプランであったが、この時は逆の立場となっていた。
「見ての通り、このミョルニルには数多くのゾンビが住んでいます」
司祭が視線を方々に向ければ、ざっと視界に入るだけでも100を超えるゾンビたちが居た。
先に国境沿いで浄化した者らと比べればかなり見目がいい……いや、状態がいいと評するべき者らである。
顔が恐ろしい程に青白いことを除けば普通の人間と余り見分けがつかない程に綺麗な死体たちだ。
「彼らについての説明は必要ないでしょう。
死してなお眠りを拒んだ者たち……。
それが彼らの選択であるというのならば私は何もいいません。
いつか、終わりを迎えたくなった時に少しだけ手を貸すのが私の役目なのだから」
「貴方の信念の強さにはいつも驚かされるよ……。
普通はあまり関わろうとは思わない者たちだというのに」
プランのソレは嘘偽りのない言葉であった。
死んでなお未練を残し、この世に還ってきたおぞましい者らに積極的にかかわる者など、熱心な女神の信者でもそうはいない。
何より感嘆すべきなのは、ピオスは彼らに寄り添っているということだ。
ただ一方的に浄化/排除する対象としてではなく、かつては人であり何かの事情があってこうなってしまった者たちとして──人間として接しているのだ。
「さて、ゾンビについてはこの位でいいとして……。
この街の構造については何処まで知っていますか?」
「王都全体をベネトナシュ陛下の魔法を固定するための媒介として利用している、と言う所までは」
ミョルニルを真上から見ると丁度真円に見えることだろう。
外と内を巨大な壁が分けており、その防壁は都市全体をぐるっと取り囲んでいる形だ。
そして王都の中には、巨大な大通りが中央の宮殿から伸びており、それらは七芒星を描いている。
プランの【観察眼】はこの大通りの地下を膨大なマナが流れているのを読み取った。
かつてのプルートと同じく、これらを用いてベネトナシュの魔法を永遠に固定させているのだろう。
結果、この国は吸血鬼に取って最も過ごしやすい永遠の夜というわけだ。
もしもミョルニルを宇宙空間から眺める事が出来れば、恐らく国土の上には黒い靄が掛かっているように見える事だろう。
それこそがベネトナシュが永遠に世界から切り取り、己の帝国の上に張り付けた概念としての夜である。
吸血姫は正に夜の愛児、夜という概念/法則の支配者にして擬人化した存在なのだ。
「うーむ、基礎的な事は既に知っておりますか……」
「ははは……」
困ったように頭を捻るピオスにプランは軽く笑った。
とりあえず、社交辞令染みた表面的なミョルニルへの話はこれで終わりという暗黙の了解であった。
ここから先は、少しだけ踏み込んだ話題になる。
「ざっくりで構わない。この国を貴方はどう思う?」
周囲には多くの喧騒があり、誰も二人の会話になど興味がない。
よっぽどのバカな事……例えば大声でベネトナシュの罵倒などを叫ばない限りは何も起きる事はないだろう。
「そうですね……少しばかりですが
ベネトナシュ陛下を神聖視しすぎているかと」
「かなり切り込んだな……」
聞いたのは自分ではあるが、この国の根底をいきなり否定したピオス司祭にプランは一応周囲に軽く意識を割いておくことにした。
妙な聞き耳を立てるような奴がいたらすぐに話題を変える準備も一応しておく。
「何度か遠目に陛下のお姿を拝見する機会があったのですが
彼女の瞳は何の希望もなく孤独そのものでした」
「彼女は産まれながらに超越者であったと聞く。
他者から余りに隔絶しすぎた故に、疎外感を抱いていたとしても不思議ではない、か」
プランの頭はベネトナシュに思いを馳せると同時に、彼女の身体構造についての考察を開始していた。
吸血鬼の先祖返り、否、突然変異ともいうべき彼女の身体はルファスと比較してどうなっているのか彼は気になった。
ヘルヘイムにおける魔王は半ばマナと同化した概念染みた生命体であったが、あれとは別種の高レベル存在の身体構造はかの存在よりもルファスに近しいかもしれない。
もしも……まぁ、ありえない仮定の話ではあるがベネトナシュの血液、ないしは身体の一部でも手に入れば例の術の構築に大きな進展を齎すかもしれなかった。
最も絶対に不可能だという事は重々承知の上の話であるが。
(取らぬ狸の何とやらだな)
無理な話だとプランは即興で浮かんだ考えを破棄する。
ここには彼女と交渉するために来たのだ、間違っても何かをねだるなどありえない。
ピオスが言葉を続けていく。
「この国の吸血鬼たちは彼女を神か何かと同一視している傾向が強すぎます」
「仮に彼女が倒れたら……」
プランの仮定にピオスは頷いた。
さすがにこの先は不敬にあたる話となるので、言葉としては発せられなかった。
しかし現実として、その時が近づいてきている可能性があるのだ。
“竜王”は間違いなくベネトナシュに報復する、というのがプランを含めた人類主要国家の出した結論である。
今まで“四強”はそれぞれ己の勢力圏に引きこもり、あまり他の“四強”とは関わらない排他的な存在であったが、既にそのバランスは崩れ出している。
発端はベネトナシュだ。
彼女は己の近場にいる魔物を狩りつくした後、ラードゥンの縄張りまでわざわざ出張り、数多くの魔物や竜を殺しつくしたのだ。
いや、今も殺し続けている。彼女は己こそが最強と考え、竜王の事を見くびっている節があった。
それに答えたのはアラニア曰く「力を増した」竜王である。
まだ直接的な行動にこそ出ていないがそれも時間の問題だろう。
以前のユーダリルで見た通り、彼は何らかの方法、ルファス曰く“声”を用いてミズガルズ中の魔物を配下に収め、己の領土へと大移動を行わせたのだ。
大規模な……下手をしなくても百万を超える魔物の群れを編成し、軍勢を作り出し、文明を創造するのが彼の目的だ。
作り出された竜を頂点とした軍隊の攻撃目的としてミョルニルは最高の標的になるだろう。
そこまで気を回してから、ふとピオスとプランは何かに気付いたかの様に顔を見合わせた。
瞬時に二人の纏う気配が鋭くなる。
何か判らないが、何かが起きると彼らは直感したのだ。
周囲に気を配り……直ぐにソレは訪れた。
ドォンという重低音と共に、今まさに向かっていた宮殿の一部が内側から弾きとび、何かがそこから射出されたのである。
────うぉ゛ぉぉお゛ぉお゛ォォオオ゛!!
おぞましい叫びとも断末魔とも取れる声を上げながら何かが落ちてくる。
そそくさと街の人々は手慣れた様子で上空を見上げ、己たちが巻き込まれない様に予想される落下地点から退避していく。
プランとピオスもまたその人ごみに紛れて同じように逃げる。
落下。破砕音。
ミョルニルの舗装された大通りの一角が粉々に砕けた。
落ちてきたのは……魔物であった。
人と蟲を混ぜ合わせて作られた様な姿のソレは亜人と呼ばれる種にも近しい魔物であった。
二足歩行のカマキリといったような典型的な醜悪な魔物であった。
試しにプランが【観察眼】を使ってみると、レベルは290と出た。
しかし、HPは既に1割をきっており、正に瀕死と言った様相でもあった。
彼は全身のあらゆる所に傷を負っており、右足は吹き飛んでおり、腹部には大穴が開いている。
片目は抉られ、身体の至る所に刻まれた裂傷からは絶えず青白い血が噴き出ていた。
放っておいても死ぬであろう魔物は憎悪と困惑に満ちた瞳でミョルニルの上空……美しく輝く月を見上げて言った。
「こ、こんなごどをして……タダで済むと……!!」
空から光の矢が降ってくる。
月属性の魔力を込められて形作られる下位の攻撃魔法だ。
それら一発一発が魔物の身体を打ち抜き、粉々に粉砕していく。
「ラァァドゥン様ぁぁぁぁ!」
竜王の名を叫びながら魔物は哀れにも肉片一つ残さず消え去ってしまった。
彼のいた場所は文字通り抉られており、今なお膨大な魔力の残影が漂っている。
プランは最期に魔物が見ていた地点に視線を向けた。
そして煌々と輝く蒼い月を背後に従えた人物がそこに佇んでいるのを認める。
彼の【観察眼】は瞬時に優先度を“6”に切り替えられ、彼我のレベル差を無視して“彼女”を写し取った。
“吸血姫”ベネトナシュ
そのレベル、実に900。
竜王の配下を狩りに狩った結果、更なるレベル上昇を果たした人類最強の少女が何処かルファスに似た紅い瞳でプランを見つめ返していた。
ピオス
ミョルニルに訪れたのは初めてではない変わり者。
ベネトナシュ
竜を狩りまくった結果、レベル900にまで上り詰めている吸血姫。
まだルファスとも出会っていない為、色々と不安定で危うい所がある。
ぶっちゃけレベル600だとこの先の展開では色々と問題なので強化パッチ導入。
魔物
「あー、やっちゃったね~♪」