ラスボスからは逃げられない! 作:宇宙きのこ(ミズガルズ産)
草原の中に拓かれた街道を一頭の馬が走っている。
四本の足で力強く大地を蹴りつけ、リズムよく跳ねまわる様は雄々しく、美しい。
ルファスが製作し、一通りの動かし方をプランより習ったソレは遠目から見たらまごうことなく馬そのものであった。
【ステルス】の魔法で身を隠しながらルファスは集中し馬を操作する。
指先を何度か動かし人形を操る様に彼女は己のゴーレムを手動で動かし続けていた。
あまり早くなりすぎないように、それでいて“走る”以外の生物としての動きも忘れずに入れていく。
嘶かせる。
身体を震わせる。
草花に口を近づけ、匂いを嗅がせ、食べるような仕草をさせる。
尻尾を動かし、首を左右に捻ったりもさせた。
「…………」
ルファスは思っていたよりも自分の心が騒いでいない事を自覚していた。
プランが自分に多くの隠し事をしているのは周知の事実であったが
まさか自分と同じような翼をした者達を助けていたとは想像もしていなかったというのが正直な所である。
軽い挨拶をした程度だが、混翼の彼らの顔は誰もが生気に溢れていた。
まだ他者への警戒は残っているが、それでもヴァナヘイムで動く屍だった時と比べれば遥かに良い。
そして誰もが口を揃えて言うのだ。
“貴方もアリストテレス卿に助けられたのですね!”
“あの方が私達を人間に戻してくれた!”
“私達、一緒ですね!”
と。
余りの衝撃にまだ彼女は現実を受け止め切れていなかった。
しかし怒りなどある筈もなく、そんな権利もない。
だって、だってルファスは言ってしまったのだから。
“この偽善者。貴方の自己満足に巻き込まないで”
偽善者。
自己満足。
全て自分が言った言葉だ。
他にも自分を9年間も無視しただの、勝手なことをしただの、自分の都合ばかりを一方的に押し付けて暴言を吐き散らしてしまった。
そんな自分が彼のやっていたことを糾弾する資格などあるはずもないとルファスは思っていた。
ルファスは己の言葉を思い返すだけで反吐を吐きたくなる。
……そもそも糾弾する理由さえない。
誰も損をしてないのだから。
彼らは人間的な生活を得られ、人類は新しい戦力を得て、ヴァナヘイムは邪魔な奴らを追い出せる。
誰もが得をしている。
だが、それはそれで、これはこれだ。
混翼族の社会復帰計画……これは詳しい話を聞く必要がある。
天翼族についてはもう関わりたくはないが、それでも彼が何をしようとしていたか、知りたくてたまらない。
プランは貴族だ。
それでいてルファスの知らない顔や繋がりなど幾らでも持っている男だ。
そんな彼が被差別者である混翼を積極的に支援している理由が人道支援だけじゃない事くらいはルファスだって判る。
彼女が知りたいのは“何故”ではなく“何を思って”であった。
「貴方はこの計画を立ち上げた時、何を思っていたの?」と彼女は聞きたかった。
怒りはそこにはない。ただ、知りたかったのだ。
その結果が「哀れに思ったから」であってもルファスは怒らないだろう。
プランの心を知りたい。それだけが彼女の中にある最も強い感情である。
ルファスのあふれ出る好奇心の全てはプランに向けられていた。
彼を深く知りたい。
彼を助ける術を知りたい。
彼からもっと教えを受けたい。
延々と溢れる願いは本人さえも判らない程に底知れない上に粘性を帯びている。
自分の黒い翼をちらと見る。
生まれた時から変わらず暗黒色のソレは己の背から生えている。
こんなモノだけで人生を産まれた瞬間から決定づけられたのは今になって思うと滑稽ともいえる話だ。
もう彼女はコレが憎くない。
嫌いでもない。何なら愛着さえ湧き出していた。
熱を吸収して熱くなるのは面倒だけど、よく見ればかっこいいと自負さえしている。
黒い翼、女神を裏切った罪人の血筋の現れ───大変結構だと。
だってこれのお蔭で彼と出会えたのだから。
9年の地獄の先に彼女はやっと母と共に自分たちの居場所にたどり着けたとさえ思っていた。
ルファスはリュケイオンが好きだ。
この地で生きて、この地の為に戦い、この地で死にたいと思う程に。
私はヴァナヘイムで生まれたが、育ったのはリュケイオンだと彼女は思っている。
彼女にとってあの街は故郷なのだ。
(……また、はぐらかされるのかな)
「何故?」と自分に向けて問う。
以前は苛立ちだけがあった。
自分が子供だから何も教えてくれないのだと。
こんなに強い自分を小さく見るのかという惨めな自尊心が苛立ちの根本だった。
だが今は違う。
もっと深く彼女は推察を広げる事が出来た。
憎悪がなくなったお蔭で、ルファスは本来もっていた聡明さを遺憾なく発揮できるようになっている。
それは一種の思考遊戯。
もしもを前提に各々の人物の心情と行動を予測する遊びだ。
お題は簡単。昔の自分がこれを知っていたら? である。
答えは直ぐに出た。
愚か極まりないガキの行動など誰だってわかる。
(昔の私なら怒り狂っていた。どうして怒っているかの理由も判らずに)
今ならその理由も簡単に言葉に出来た。
「自分だけじゃない」からだ。
何てことはない。
ルファスはプランが助けた唯一の天翼族としての立ち位置……かけがえのない、唯一の立場を失う事が嫌だったのだ。
自分だけがいい。自分だけ助けてくれればいい。他の混翼に眼を向けないで欲しいという惨めな嫉妬心だ。
そこには彼への執着と“自分の代わりは幾らでもいる”という思い込みによる恐怖もあるかもしれない。
要は捨てられることへの畏怖であった。
馬を完璧に操りながら少女は思考を回す。
そして意識は常に周囲を警戒する。
その上で少女はルファスとしての純粋な感情を処理し続けていた。
同時に3つの事を行うことくらいルファスには容易いことである。
15歳になった誰もが抱く複雑な感情を彼女は的確に、かつ客観的に分析している。
今までの波乱万丈だった生涯から得られた経験は彼女を実年齢よりも一回りも二回りも大人へと押し上げていたのだ。
反抗期やら何やらなどとうの昔に彼女は乗り越えている。
プラン。
天翼族。
混翼。
考え続けて彼女は一つの結論に達した。
(今度ゆっくり話そう)
少なくともこの騒動のほとぼりが冷めてから、ゆっくりと。
誰にも邪魔されない空間でルファスはプランの心を探りたかった。
しかしきっと彼は口をつぐむか、誤魔化すか、はたまた逃げようとするだろう。
プランは絶対に何があっても自分にこういった黒い話をしようとしない。
彼が自分に戦いのない人生を送ってほしいと願っている事は既にルファスも気が付いている。
自衛の為の力こそ与えられるが彼ならば絶対に知っているであろう効率的なやり方、この場合は最適化された殺傷方法などをルファスには決して教えない。
“戦い”という舞台にさえ立たせない一方的で効率化された敵の抹殺方法を。
それは嬉しい事ではあるが、少しばかり窮屈でもあった。
レベル800の彼女はまだまだ強くなるつもりである。
以前の様に自己顕示欲の為ではなく、自分と自分の大切な者を守るために。
ミズガルズは理不尽が跋扈する世界だ。
だから奪われない為に抑止となる力は必要なのだ。
(……逃がさないから)
やり方を変える必要があるとルファスは計画を練っていく。
押してダメなら引いてみよう、と。
僅かばかりの悪戯心がそこにはあった。
もしもこれをやったら彼はどんな顔をするのだろうか、という好奇心がある。
出会った当初は彼の傷つく顔を楽しみにしていたルファスは、今となっては彼の様々な顔を見る事を密かな娯楽にしていた。
────ルファスさん、聞こえていますか?
「ん……」
手元から響いた言葉にルファスは頷き、了承の意を送る。
そこにあるのは一枚の札。その名を二枚一組の【コミュニケーション・カード】といった。
エルフの製作したアイテムであるこれには「風」属性の魔法が込められており、片割れを持つ者に声を送ったり、逆に受信することも出来るという優れモノだ。
射程距離は大体10キロ程度。
長距離の交信は不可能であるが、こういった任務においての利便性はとてつもないものがありあのクラウン帝国でも積極的に採用されているアイテムであった。
流れてくるのは空から付近を監視している天翼族の声だ。
ホース・イーターに見つからない様に2000メートルほどの高度から周囲一帯を観察している彼らから通信があったということは何かが起きたということだ。
───こちらからだと地面が蠢いているのが見えます。真っすぐにソレは貴方のゴーレムに向かっていますね。
「地面が蠢いている……そういうことか」
どうして魔物が遮蔽物のない見渡しのいい街道で幾度も馬を捕食できたか。
その上何度も逃げおおせられたかの答えがこれであった。
彼らは地面に潜っていたのだ。
獲物を捕食する直前まで土の中に身を隠し、狩りの瞬間だけ姿を現していたのだろう。
まるでモグラだなと思いながら彼女は意識を研ぎ澄ましていく。
息をひそめ、魔物が餌にかかるのを待つ。
心臓が少しだけ心拍数を上げたが、興奮だけはしないように気を付ける。
レベル800の存在感というのは彼女が思っているよりも巨大だとプランに教えられているのだ。
ルファスにとっては“少し”であっても、弱者からするとそれはとてつもない圧になりうるのだと。
うっかり【威圧】など使ったら魔物は己が被捕食者だと理解してしまい逃げ出してしまう。
魔物は私よりずっと弱い。普通に戦ったとしても何の苦労もしないだろうと彼女は悟った。
ルファスはホース・イーターに対して冷静に彼我の戦力差を分析し答えを出す。
翼が一種の探知器官の様に痙攣し、魔物の保持している大体のマナ濃度を読み取った結果だ。
その上ルファスの高レベル存在として発達した第六感は全く危機を伝えてこない。
ホース・イーターの戦闘能力は己と比較して悲惨であると彼女は断じる。
過ごしやすい陽気のせいでうっかり欠伸が漏れそうになるのを堪えるほうがずっと大変であった。
プランに追いかけまわされた時の方がよっぽど怖かったなと彼女は苦笑し……気を引き締めた。
戦において慢心は絶対にしてはいけない、たとえどんなに格下であろうと自分を殺しえる手段を持っているかもしれない。
命は一つしかないのだ。絶対に無駄にしてはいけない。
かつてオーク退治の際にプランから教わった事を思い出し、彼女は何度か胸の中で唱えた。
追い込まれた魔物がどのような手段を取るかも判らない以上、決して油断はしないとルファスは決意を新たにし、意識を戦いに収束させていく。
考え事も何もかも今は後だ。とりあえず、依頼を果たす事だけをここからは考えよう。
地響きが近づいてきたのを悟り、ゴーレムを動かす。
それは本物の馬と全く同じ動きで隆起する大地から逃げ始めた。
当然、魔物はそれを追いかける。
決して引き離さない様にルファスは注意を払う。
もしかしたら仲間がいる可能性を考慮し暫くは泳がせてみるのだ。
1分、2分、縦横無尽にゴーレムを跳ね回らせ、巧みに襲い掛かる魔物から逃げ惑わせていくと……札が震える。
どうやら魔物は焦れたようで仲間に助けを求めたのだろう。
────新しい隆起を確認しました。数は4つ……。
────いえ、どんどん増えていきます。
「13頭だ。表でわざとらしく蠢いているのは囮か斥候だな」
少女は当たり前のことを言うように札に答える。
一瞬だけ向こう側から息を呑む気配がしたが、既に彼女の意思はそちらには向いていなかった。
彼女は瞼を閉じ、意識を己の足元の更に下、大地の中へと向けている。
ルファスの身体は一瞬で主の願いをくみ取り、肉体を最適化させる。
少女の耳に届くのはまるで地響きの様な唸り声。
恐ろしい息遣い。そして、ガリガリと硬いモノ同士を擦り合わせる音であった。
最適化されたルファスの超感覚は魔物が岩盤を砕いて進む際の振動などを適格に聞き分けることが出来た。
眼を開き、一息ついて感覚を戻してからルファスは予測を口にする。
「付近を捜索しても奴らの巣や痕跡が見つからない訳だ。
恐らくこいつらの拠点は地面の底にある」
トン、トンとつま先で大地を突きながら己の推察を口にしていく。
ホース・イーターたちに悩まされたユーダリルは当然として魔物の足跡をたどったが、痕跡一つ見つからなかったという。
ソレもそのはずだ。奴らは地上にはいないのだから。
「さて」
ルファスは先の天翼族と繋がっているカードとは違うカードを取り出して回線を繋げる。
もちろんこの札の先にいるのはプランだ。
彼はここから少し離れた位置で今回は静観している。
万が一があった場合の助っ人のようなものだ。
基本的に彼は今回の件は全てルファスに任せていた。
「もういい?」
一声だけ確認する。
きっと彼は自分の立てた推察などは最初から見通していると思いながら。
───気を付けるんだよ?
「うん」
返ってくるのはやはりというべきか自分を案じてくれる言葉であった。
相変わらずの彼にルファスは頬を吊り上げながら答え、札の回線を切る。
次に彼女は上空で監視を続けている天翼族へと回線を開いた。
「大体わかった。後は私がやる。
貴方達は周囲に異変がないか監視を続けていてくれ」
────幸運を。
話が早いのは助かると思いながら頷き、腰に刺した短剣に手をかける。
ただの市販の剣であるこれは以前まで扱っていたミスリルのダガーに比べれば遥かに劣る。
この剣に手をやるたびに、彼女は既に失われたダガーで何をしたか思い返し、自分の犯した罪を改めて脳裏に焼き付けることが出来た。
あの後、新しいモノを作ろうとするプランであったがルファスは拒絶したのだ。
今の自分にはそんな上等なモノを持つ資格などないと。
まずは誰もが使っている武具を扱いたいと。
自分は特別なんかじゃなかった。
確かに肉体こそ強いが、中身が何一つ伴わない小娘でしかないと彼女は知っている。
それでもプランは構わないと言った。あれは仕方なかったのだと。
父親が母親を殺し、己を殺そうとする光景を見せられたら誰であっても狂ってしまうと。
悪いのはルファスを狂わせる悪意に満ちた世界を作ってしまった自分のような大人たちだと彼は言った。
だが、それでも、だからこそ。
けっして忘れてはいけない。
二度と間違わない為に。
馬を操りながら彼女は敵へと向けて一歩を踏み出す。
【ステルス】が解除され、少女の身体は一瞬だけ蜃気楼のように揺らいだ後、着色されて世界へと描写され始めた。
そして……遠目から見ていた天翼族たちは己たちの到達点を見た。
同じ混翼の少女だというのに、彼らはルファスを見て自分たちとは決定的に“違う”と直感した。
それはレベルであり、あり方であり、何より───生物としての位階である。
誰もが一目見て理解した。
彼女こそ「選ばれし者」だと。
いまだ完成には遠いが、近い将来、必ずや彼女の力はミズガルズの頂点に達すると。
誰もが見惚れた。
100歳以上の者さえも珍しくない天翼族たちが、たかだか15歳の、天翼族基準からすればようやくへその緒がとれた赤子と言って差し支えない少女の姿に。
美しい金髪。
そして金髪の先で燃え上がる朱色。
暗黒天体の如くあらゆる光を通さない黒翼。
真っすぐと敵を見据えた強い意思の宿る瞳。
いまだ少女である故に四肢こそ細いが、そこに宿る力は驚天動地。
かつてのベネトナシュにも迫る力……いわば準四強とでもいうべき怪物、それが今のルファスである。
そしていまだ彼女の力は増幅を続けている。かつての様な憎悪によってではなく、己の居場所を守るために。
操演をやめる。
ゴーレムが糸を切られたように動きを止めた。
ドォンという重低音と共に大地が捲り上げられ、ゴーレムに魔物が食いついた。
魔物は今までそうしていたように獲物を丸ごと飲み込んだのだ。
舞い上がる土砂の中からボリボリ、という鉱物がかみ砕かれる音がした。
ルファスは役目を果たしたゴーレムに目礼を一瞬だけ捧げた後、踏み込んだ。
その瞬間、彼女の観測する世界は時が止まった。
レベル800の時点で彼女はかつてのベネトナシュと同じ世界に入門していた。
限りなく光速に近づいた結果、彼女以外の全ての時間は遅くなり始める。
今のルファスには全てが停滞して見えていた。
舞い上がる土砂の粒一つ一つ、太陽から降り注ぐ光の粒子、そして今までユーダリルを悩ませていたホース・イーターの姿まで。
砂埃の中にいるソレの姿はハッキリとは見えないが、全体的なシルエットに彼女は見覚えがあった。
脳裏に浮かぶは数年前の光景。アリエスと出会った時、彼を狙って現れた怪物たちの姿。
(ディノレックスにそっくりだ)
巨大な口はワニの様に長く、馬であっても丸のみに出来てしまう程に凶悪だ。
四つん這いの姿勢で蠢く姿は正しくかつて見た恐竜である。
違う所といえば前足2本の指の本数と形状である。
ディノレックスに生えていた鋭利な爪は存在せず、代わりに茶色い甲殻に包まれた3本の指が存在しており、それらはまるで握りこぶしの様に内側に折りたたまれている。
もしもアレを開いて「掴む」動作をすれば、馬の胴体であっても鷲掴みに出来るだろう。
地中の掘削と獲物の捕獲、両方をこなせるように進化した結果があれなのだとルファスは思った。
ホース・イーター。
レベル 140
視界に浮かび上がるのは魔物の詳細な情報。
【レンジャー】のクラスを持っていないルファスには【観察眼】は使えない筈であるが、答えは考えるまでもなかった。
ルファスの顔に浮かぶのは戦いを前にしているとは思えない程に柔らかい微笑みであった。
ここにはいない人物との繋がりを確かに感じた彼女の口角は上がった。
身体にかつてない程の活力が満ちる。とどまることなく、延々と彼女は強くなり続ける。
【一致団結】は双方の強い意思が重なり合う事によって出力を上げるスキルだ。
ルファス・マファールはプラン・アリストテレスの【一致団結】を完全に受け入れている。
余分なプライドも何もなく、ルファスはただ一心にやる気を出したのだ。
その上でこの概念的な繋がりを用いて彼女は己の意思が何処まで己を高めてくれるか試し始めた。
彼と重なるたびに力が増していく。
真実、今の自分に限界などないと彼女は悟った。
とても暖かい。
ルファスのステータスが跳ね上がっていく。
心地いい。
ルファスのステータスが跳ね上がっていく。
とてつもない万能感と高揚が心身を満たす。
ルファスのステータスが跳ね上がっていく。
更に更に更にルファスは強くなり続ける。
彼女の肉体はそのたびに身体を最適化させ、それに答える様に出力を増した【一致団結】によってプランの【観察眼】は更に精度を高める。
それに対応するためにルファスの肉体は最適化され、当然の事として【一致団結】と【観察眼】は出力を増幅……。
まるで【アンタレス】の如き無限の強化ループである。
至高の肉体と、究極の頭脳を組み合わせた結果がこれだ。
もはやホース・イーターが哀れに思える程の高みへとルファスは上り詰めていく。
あと数歩で単純なステータスだけならばかの【獅子王】に匹敵する程に強化された彼女は小さく唇を動かす。
「本当に心配性なんだから」
迫りくる魔物たちを前にルファスは自然体で佇み、戦いとさえ言えない一方的な殲滅が始まるのであった。
故に特に詳細を語る必要はないだろう。
6秒。
それが魔物たちが命を失うまでにかかった時間である。
ユーダリルをあれほど悩ませた魔物たちは呆気ない程に容易く討伐されるのであった。
ホースイーター「競争相手がいないと思ってたらとんでもない奴がでてきた件」
レベル140前後の群れは本当なら国家規模の危機でした。
なおルファスとプランがやらなくともカルキノスがいるのでどっちみち詰んでいた模様。