赤き星の旅路   作:月影海斗

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いつの間にか評価やお気に入りが増えてた……本当にありがとうございます。おかげでモチベーションが上がります。

実はもう1つ新しいものを書き始めたので、投稿できるかどうかは気分次第になりそうです。


第20話 魔剣士の一味

 ローグタウン

 

 それは東の海(イーストブルー)から偉大なる航路(グランドライン)に進む時の玄関口となる町である。それと同時にこの町は、〝海賊王〟ゴールド・ロジャーの出生地であるとともにその生涯を終えた地であり、大海賊時代の幕を開けた伝説の一言が発せられた地でもる。

 今この地で、ある少年とある一味の冒険が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 ローグタウンへと辿り着いたのは、日が沈みかけていた時間帯だった。

 俺は小型船を港に停めると、すぐに持ってきておいた電伝虫を掛ける。数回コールが鳴ると聞き覚えのある声が響いた。

 

『俺だ』

 

「ヒロトさん? シオンです。無事に辿り着けました」

 

『そうか。無事で何よりだ』

 

 安心したような声で自分の無事を確認できたのが嬉しそうなのが分かる。俺としてはこれぐらいで心配されるようじゃまだまだなのかもしれないが、これは師としてでなく純粋に家族として気に掛けていてくれたからだろう。

 

『今日はもう遅い。この町で宿に泊まるといい』

 

「ヒロトさんの船は? 周囲を見渡した感じ、なさそうだけど…」

 

『すまない、急遽近くで偉大なる航路から脱落した海賊が暴れているとの情報が入ってきてな。その対応に向かっていたんだ。明日の昼前には戻れると思う』

 

「分かった。それなら、この町で観光でもしてくるよ。じゃあ、明日に」

 

 通話を切ると、荷物を持って町中に向かった。仮面を着けようかとも思ったが、かえって目立つ可能性があるので着けずに移動することにした。

 明日はようやく、本格的な旅が出来る。エースは既に有名人となっているが旅をしている内に会いたいと考えている。

 だが、エースが今いる海賊団に遭遇できる機会はあるだろうか……。

 

(まさか、あんな凄い海賊と共にいるなんて思いもしなかったな。それを知ったときは俺もヒロトさんも驚いたっけ……。ともかく、再会して言っておかないとな)

 

 いずれ訪れる再会のことを考えながら宿に辿り着き、一夜を明かした。

 

 

 

 

 

 

 翌日、準備を終えた俺が向かった場所はエースの父がその生涯を終えた所である処刑台だった。

 

〝海賊王〟に関係ある所とはいえ、処刑台が観光名所になっているのはあまり良い気分はしなかった。ましてや、それが母さんたちの命の恩人であると共に、エースは嫌っているが彼にとっての実の父親だからだ。

 ロジャーは海軍に捕らえられたと言われているが、本当のところは自分から自首したと聞いている。彼が不治の病を患っていた事もその理由の1つだと思うが、話を聞いたときは随分変わった人だと思った。

 

 でも、母さんやヒロトさんはそんな一面に憧れを抱いていたのかもしれない。それこそ、海軍を嫌うぐらいには……

 海軍は正義を背負っているが、果たしてそれは本当の正義なのだろうか……。以前聞いた、アマツミカ王国の事件、コルボ山で修行中の時に聞いたオハラの悲劇と呼ばれた2つは、どちらも海軍によって、バスターコールが発令されたことで滅ぼされている。

 滅ぼされた理由は教えてくれなかったが、これだけを聞くと、ヒロトさんが海軍を嫌っている思いが分かるような気がする。

 それでもあの人がこれまで協力していたのは恩義のためだ。願わくば、あまり許してはもらえないかもしれないが会ってみたいと思う。母さんたちを逃がしてくれた、もう2人の人物に。

 

「結局、まだ分からないことが多いか。世界政府といい、海軍といい、この世界は厄介な事が付き纏うんだな」

 

 そう1人ごとを漏らしているときだった。

 

「ガキのくせに、随分な言い様だな」

 

 後ろから気配を感じた俺は咄嗟に前に飛んだ。振り返ると、白髪に険しい顔立ちをしており、葉巻を2本も咥えていた海兵の男が立っていた。その目は明らかに俺を睨み付けている。

 

「テメェ……まさかとは思うが、海賊じゃねェだろうな…」

 

「(今の独り言を聞かれてのは失態だったか……)いえ、海賊じゃありませんよ。自分はただの旅人です。気分を害してしまったのなら謝ります。(頼むからどこかに行ってくれ……このままじゃ目立ちかねない)」

 

 海兵は睨み続け、俺は緊張を見せず平然を保とうとしていたが、内心は少し焦っていた。海兵と揉め事を起こしたらどうなるか分からない。

 そのまま数秒が経過し、海兵が俺に近づいてきた。つい一歩下がってしまう。

 

「海賊じゃねェのなら構わないが、1つだけ言っておく。今の言葉は海兵がいる前では迂闊に言わないことだな。気が短いような奴に聞かれたら、海賊と疑われてただじゃおか――」

 

「――それ以上は感心しないな、スモーカー」

 

「「!?」」

 

 俺の前に突如として男が現れた。その男は灰色の髪に剣を携え、左肩に盾のようなものを付けていた。

 

「ラゼル……何の用だ。テメェらは海賊の討伐に向かったんじゃなかったのか」

 

「生憎、それは終わったよ。それでボクがこの子を探しに来ているって時に、この子を睨み付けている君を見つけたんだけど、――何をする気だったのかな?」

 

 威圧が込められた一言にスモーカーという男は驚いていた。

 スモーカーが知っているラゼルという男はいつも隙あらば女をナンパするような軽薄な男だったと記憶していたが、今の彼からはそんなのが一切感じられなかったからだ。

 

(こいつ……これが本性だっていうのか?)

 

 一触即発な空気がこの場を支配していた。俺はどうするべきか考え、一言声を掛けようとした時だった。

 

「なにシリアスな雰囲気を出しているんだよ!? 当初の目的を忘れないでください!」

 

「痛いッ!?」

 

 急に現れた黒髪にフード付きの黒いローブを着た少年にが本を使ってラゼルの頭を思い切り叩いたのだった。

 あまりに突然な事に俺はポカンとし、スモーカーは落ち着きを取り戻した。

 

「いつつ……ってマーク! 何も思い切り叩かなくてもいいじゃないか!?」

 

「普段から真面目にしない君が変なところでそんな雰囲気出さないでよ! 海軍と何かあれば迷惑が掛かるのは父さんだと君も知ってるでしょう!?」

 

「だ、だから、それはシオンが危ない男に絡まれていたから……」

 

「おい、ラゼル! おれを不審者みたいに言うんじゃねェ!」

 

「事実でしょ! 第一、スモーカーはボクらに噛みつきすぎなんだよ! ストーカーかと女の子に疑われるよ!?」

 

「テメェ……!」

 

 再び一触即発な雰囲気になったが馬鹿馬鹿しい理由でそんな事になったということに苦笑いを隠せなかった。ラゼルとスモーカーは睨み合ってるし、マークという少年はやれやれと肩を落としている。さっきまでの雰囲気は何だったんだよ、とツッコミをしたくなったがやめておいた。この人たちに巻き込まれると疲れそうだ。

 

「シオンだね。連れが申し訳なかったよ。ちょっと時間を貰えるかな?」

 

 マークは軽く頭を下げ、俺に話しかけてきた。

 

「あのラゼルさん? は良いのかな…」

 

「気にするだけ無駄だよ。副船長が多分何とかしに来てくれるから」

 

 とりあえず、その言葉に従うことにした。俺とマークはこの場から離れ、人影がなさそうな所へと移動したのだった。

 

 

 

 

 辿り着くと、マークは手をかざし始めた。何をするのかと思っていたら、彼の手に黒色の球体が出てきた。

 

「な、何を!?」

 

「“不可視なる闇(インビジブル・テネブラエ)”」

 

 俺たち2人の周囲に黒色のドームのようなものが現れた。

 

「さて、これで誰にも見られずに話せるね」

 

「まさか、能力者…」

 

「一つ訂正すると、この力は悪魔の実の力ではないとだけ言っておくよ」

 

「悪魔の実ではない……? それなら一体どういう力……」

 

「君も知っている筈だよ。アマツミカ王国の話を聞いたというのならば」

 

 その言葉を聞いて俺は一瞬戸惑ったが、すぐに考え始めた。主にあの時、ヒロトさんから聞いた話を思い出しながらだ。

 

(アマツミカ王国と関係のあるということか? それなら一体どういう事なんだ……。悪魔の実の能力ではないが、似たようなちか……っ!)

 

 思い当たる事があった俺は咄嗟にマークの顔を見た。彼は「気付いたかい?」と言い、俺もそれに頷くようにして応えた。

 俺がまだ幼い頃、エースと話をするためにヒロトさんの過去を聞いたとき、彼の母が言っていたことがあったことを思い出したのだ。

 アマツミカ王国には悪魔の実に似た力がある。その力は人それぞれ。マークが使った力はそれだと言うことなのだろう。

 そして、それが意味すること……つまりマークは、

 

「僕は君とは違い、悪魔の実を食べずに能力が発現した者なんだ。君の中に眠っていた力は悪魔の実の能力と融合したからね」

 

「確かに、そう言われていた…」

 

「それともう一つ、言わなければならないことがあるんだ

 

「それは……?」

 

 

 

 

「僕の父の名は、ヒロト。君の伯父に当たる人だよ」

 

「なっ!?」

 

 驚きを隠すことなんて出来るはずもない。アマツミカに由縁のある者と思っていたら、まさかの自分の伯父の子供だと言ってきたのだ。むしろ、驚くなと言われる方に無理がある。

 それに、子供がいるなんて一度も言ってきてはいなかったのだ。

 

「じゃあ、マークは俺の……」

 

「従兄弟ということになるね。つけ加えるなら、僕には姉が1人いるんだ」

 

 それにもう1人いるときた。俺は驚きの連続で言葉を失ってしまった。

 その様子を見ていたマークは肩を竦めるようにして話を続けた。

 

「驚いているみたいだけど、まだあるよ」

 

「……まだあるのかよ。もう何が来ても驚く自信しかないよ…」

 

「変なことで自信を持たないでよ。実は――僕の姉も同じように力を得ているんだ」

 

「ま、まぁ……それは予想できていたかな…」

 

「う~ん……面白くないね」

 

「そこは面白がるところじゃないだろ!?」

 

 こいつ……、もしかしたら嫌な一面を持ってそうだな。何かやらかしたら、そこにつけ込まれそうだ。こういう奴を相手にするのはあまりしたくない。

 今のやり取りが原因で俺は変に警戒するようになってしまった。それと先程のツッコミがツボにはまったようでお腹を押さえていた。俺はそれをジト目で見つめると、笑いを堪えて元に戻った。

 

「ごめん、ごめん……君の反応があまりに面白くて…」

 

「まったく……それで、他には何かあるのか?」

 

「いや、僕が君に伝えたいと考えていたことは話せたよ。聞いていたとおり、優しそうな人で安心したよ」

 

 ニッコリと笑顔を向けられながら言われ、俺は、「……あはは」と苦笑を浮かべながら頬を搔いた。

 大方、ヒロトさんが教えたのだろう。恥ずかしいことも教えていないか心配だが、もしそんなことをされたら羞恥のあまりに手が出てしまいそうな気がしてきた。

まぁ……難なく躱されて逆に一発入れられるかもしれないが……

 

 そんな風に穏やかな雰囲気で話していたが、周囲のドームが消えて無くなると、マークが懐から電伝虫を取りだしてかけ始めた。

 

『私だ。マーク、用事は終えたか?』

 

 女性の声が聞こえ始めた。凜とした声のように感じる。

 

「うん、姉さん。終わったよ。シオンもいるし、注意を払いながら話したから誰かに聞かれていたって事はないよ」

 

『そうか。こちらも、セレナがラゼルを無事に連れて帰った。もうしばらくすれば他の船員も集まると思う。そちらもそろそろ船に戻った方が良い』

 

「了解、姉さん。じゃあ、また後でね」

 

 電伝虫の通話を切ると、マークはフードを被った。なぜ顔を隠すのかと訊いたら、念のためと言ってきた。

 自分の事を知っている者は他にもこの町にいるらしく、絡まれるのが面倒とのことだ。

先程のスモーカーと同じような事を想像してしまい、確かにそんな風に絡まれるのは辛いなと思ってしまった。本当のところはどうか分からないが……もしかしたら、優しい人とか真面目な人かもしれないし。

 

「よし、それじゃあ船に案内するよ。付いてきて」

 

 歩き始めたマークに付いて行き、港へと向かった。

 そして歩くこと数分、俺の目に入ったのは1隻ガレオン船だった。

 

「これが……」

 

「そう、僕たち《魔剣士の一味》の船。『ミーティア号』だよ」

 

「魔剣士の、一味……?」

 

「父さんがそう呼ばれているからね。海賊ではないから海賊団を名乗れないし、呼称が必要でしょ? それで僕らが広めたんだよ。自分たちから名乗ってね。それに規律もバッチリだから問題を起こすことなんてほとんどないよ」

 

 つまりその一味を名乗って行動するということはヒロトさん自身の外聞にも関わるのだろう。彼はその一味を率いる者として船長という責任ある立場にあるだろうし、あの人は部下の失態も自分の失態として背負わなければならないのだから。

 

 マークから聞いたところ、彼らの一味は主にモーガニアという無法に略奪する海賊や一味にとって危険と思われる海賊を討伐しているらしい。

 後者はまだよく分からないが、前者から考えると、彼ら魔剣士の一味は良い集団みたいに思えた。

 そもそも、俺の尊敬する人の率いる一味なのだから当たり前だったな。

 そんな風に考えていたときだった。

 

「なんだ、マーク。戻ってたのか」

 

「うわっ!?」

 

 海の中から何かが飛び出してきた。思わぬ所からの登場に、つい後ろに倒れて尻餅をついてしまったのだった。

 その人物(?)は明らかに普通の人間とは違う見た目をしてる。灰色に近い白の肌に黒色のモヒカンの髪型で何よりも3メートルに近い巨体に目を奪われる。

 

「おお! お前か新入り! 歓迎するぜ、オレ様はシローだ」

 

「は、初めまして。シオンです。よろしくお願いします」

 

「よせよせ、堅っ苦しい。一緒の船で旅をするんだ。気楽に行こうぜ! はっはっはっは!」

 

 思い切り肩を叩かれ元気そうに船に乗り込んでいった。ああいう人ほど好かれやすいのかなとも思うが……それはそれとして叩かれたところが痛い…。どれくらいの力があるんだよ……

 

「明るい人でしょ。いつも元気なんだよね」

 

「あ、うん……。にしても力強かったな。見た目通りの怪力なのかな…」

 

「シローは魚人なんだよ。僕らも彼の力には助かってるんだ」

 

 魚人。さっき見たとおり、魚類の特徴を持った種族のようだ。指の間に水かきを持っていたこと、水の中にいたことから、それは本当の事みたいだ。

 しかし、この一味に魚人がいるなんて驚いた。今まで魚人なんて見たことなかったし、その種族がいるとは聞いていたが、まさかあの人と同じ所にいるなんて思いもしなかった。

 他にもいるのかと訊いてみたが、今この船にいる人間以外は彼だけだと言われた。少しだけがっかりしなくもないが、この先でも他の魚人に会えるときがくるだろう。もしかして、七武海と遭遇することも無きにしも非ずかも。

 

「さてと、そろそろ船に乗りなよ。もうじき出航するし、紹介したい人たちもいるんだ」

 

 考え事に夢中になっていた俺をマークが呼びかけることで中断してくれた。

 我ながら、見たこともない事を見たから舞い上がっているのかもしれないな。舞い上がりすぎてへまをやらかさないように気を付けないと。特にこいつの前では……

 

「うん? どうかしたのか?」

 

 疑問符を浮かべながら訊いてきたマークを何でもないで済ませ、注意を払いながら船に乗船した。

 甲板には荷物を運び込んでいる船員もちらほらと見られる。以前ヒロトさんに仲間の人数を訊いたが、今回の旅で同行するのは約40人ということだ。

 すれ違う人たちに挨拶をしながら、船室の扉の前で立ち止まり、マークがノックをした。

 

「マークです。シオンを連れてきました」

 

「入れ」

 

 中から許可が出され、俺たちは船室に入った。そこには椅子に座りながら机に置いて待っていた俺がよく知る人物と、他にも何人かの船員が居た。

 マークは彼の正面に俺を立たせるようにした後、他の船員たちの隣に並んだ。

 見知らぬ人たちに見つめられ、俺は何とか緊張を隠しながら見つめ続ける。

 

 数秒の間、互いに見つめ合い続けたが、彼はフッ…と口元を緩め立ち上がった。俺の前に立つと俺もようやく安堵の表情を浮かべられた。

 

「よく来たな、シオン。改めて、この船の船長にして、《魔剣士の一味》のリーダーでもある、ヒロトだ。この日がくるのを待っていたよ」

 

 「俺も同じだよ。よろしく、ヒロトさん」

 

 俺たちは互いに笑顔で固い握手を交わしたのだった。

 

 

 




インビジブルという単語を目にすると、超絶不運な目つきの悪い男を想像してしまうな。この作品には全く関係の無い話ですが……

ローグタウンとあらばスモやんを登場させましたが、原作ではあまり出てこなさすぎて存在が忘れられている気がするのは気のせいかな。アニメで最後に出てきたのっていつだっけ?
ワノ国編が終わったら活躍することを期待したい。

キャラまとめでオリ主を含めたオリキャラのイメージキャラボイスも紹介しようと考えていますが、容姿も紹介した方がいい?(容姿は大体、他作品のキャラの容姿が多いです。多少変更もする可能性もある)

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