負けヒロインの姉に転生した私 ~どけ! 私はお姉ちゃんだぞ!!~   作:スーパーマンのみりん干し

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とりあえず短いですが、次回はお姉ちゃんが暴れ散らすので、ここで放り込みます。


L(゚皿゚メ)」

「よし、ばれてない」

 

 変態、アンナが言う通りに、我々の策は成功している。

 

「しかし、中々に言い争っていますな。ははは、遊廓でよく聞いたなぁ」

 

 森の茂みに隠れながら、こちらに筒抜けな内容を聞きながら、七郎次が軽い調子で言うと、官兵衛が黙って頷く。

 この二人は、元々食い詰め浪人で、仕えていた主家が権力争いで潰れ、遊廓の護衛をしていたから、あの手の金の問答はよく聞いていたのだろう。

 

「んで、翡翠よ。どう出んだよ」

「争いになってからだ。平八」

 

 しかし、平八の口の悪さはどうにかならんのか。

 七本鞘の中でも、五郎兵衛と同格の古株なのだから、もう少し私に敬意があっても良くないか? 

 

「平八殿、貴殿と姉姫様との関係は承知しているが、その言葉遣いは如何か」

 

 よし、官兵衛。もっと言ってやれ。

 

「言うが、官兵衛殿よ。俺はこのデカブツが城下町で、ガキ大将やってた頃からの付き合いだぞ? 今更無理だし、この突っ走るバカを止める役が要るだろうが」

「ぬぅ……」

 

 官兵衛、そこで黙るなよ。お姉ちゃん悲しい(´;ω;`)

 

「(´;ω;`)」

「しかし、フレッシュゴーレム? バレねえもんだな」

「元々はネクロマンサーの領分でしたが、私に掛かれば本人そっくりのゴーレムを創るくらい訳ないですね」

 

 得意気にアンナが無い胸を張るが、無いものをいくら張っても無いんだ。

 しかし、あのフレッシュゴーレムとやら、中々の出来だ。この私でも、一瞬にも満たないが本物の紫翠と見分けがつかなかった。

 

「妹姫様」

「子細滞りなく」

 

 アンナの考えとは、錬金術師である自身の技術の粋を集めて創った、紫翠そっくりのフレッシュゴーレムを用いた囮作戦。

 アンナが言うには、本来のフレッシュゴーレムは通常のゴーレムとは違い、血肉を使うものらしく、錬金術師やゴーレムクラフターよりも、ネクロマンサーの領分らしい。

 シュレンにも、死霊や蟲を使い人形や死体を動かす術はあるが、これらの技術や知識はシュレン家の認可を得た者しか、学ぶ事も行使する事も許可されていない。

 

 今アンナが創り、紫翠の魔力によって操作しているフレッシュゴーレムは、アンナがいつも持ち歩いているという触媒と、紫翠の髪や爪、血と魔力を僅かに混ぜ合わせ、それを土塊に練り込んで創り出した。

 アンナ曰く、あのフレッシュゴーレムは遠隔操作のドローンの様なものらしく、紫翠が魔力の繋がりを断たない限りは動かせる。

 それを利用して、偽物の紫翠を用意し、今はその偽物を介して、アンナの用意した子機で連中の会話を聞いているところなのだが……

 

「あいつら、金の話でいつまで揉める気だ?」

「ふむ、話を聞く限りは提示された額の半分程度の報酬に、腹を立てている様ですな」

「その時点で気付けよ」

 

 平八が呆れているが、それが分からないからああなったんだろうに。

 しかしそんな事はどうでもいい、気になるのはあの亜人の女だ。

 日も落ちた森の中でも、お姉ちゃんは誤魔化せない。

 典型的な異民族や騎馬民族の伝統衣装に偽装しているが、あれが着ているのは連邦の軍服だ。

 連邦での亜人の扱いと、異民族との関係は最悪の一言に尽き、連邦に於ける軍人とは栄誉職であり、人ではないとされる亜人は軍人になる事は不可能である。

 

 これが何を意味するのか。

 単純な政変ではないが、そう複雑な事でも無さそうだ。

 単純に考えれば、連邦の軍服を異民族の亜人が改造しているだけだが、連邦の軍人にとって軍服とは、着れるだけで勲章に近い扱いでもある。

 亡命してきた元連邦の軍人は、軍服の裾が僅かに解れているだけで、鞭打ち刑になりかけたと語っていた。

 解れだけで、それだけ重い刑罰を与えようとする連中が、誇りでもある軍服を、人以下の畜生に渡すか。

 特に、あの女が着ている高官用の軍服を、連中が横流しするとは思えない。

 盗みか殺しで奪ったにしては、軍服姿が板につきすぎている。立ち姿や所作が、何年も訓練された軍人のそれだ。

 本当に連邦の手の者なら、間違いなく面倒事だ。あの数だけの連中が、質の伴った異民族と身体能力に長ける亜人を取り入れたとして、数に質が加わった連中がやりそうな事は、一つだけだ。

 

「平八」

「あいよ」

 

 あの女を捕らえる。丁度、傭兵共も射手以外は、綺麗に首と胴体がサヨナラしたしな。

 というか、あの射手なんだが、普通に強くないか? 

 なんか、一人だけ生き残って戦ってるし、私を射った時も矢が目の前に来るまで気付かなかった。

 あれ? あいつ、普通に使える? 

 でもなあ、お姉ちゃん。あいつに射たれて、おでこ痒くなったし、なにより紫翠拐おうとした奴だしなあ。

 

「おい、バカ」

「平八、流石に傷付くぞ?」

「うるせえ。やるのかやらねえのか、さっさと決めろ」

 

 平八、厳しくない? (´;ω;`)

 しかし、私はお姉ちゃんでかしこく優しい主なので、平八を赦す。

 私はかしこくて優しいお姉ちゃんだからな。

 

「平八、弓」

「は? お前の弓がある訳ねえだろ」

「……薙刀」

「お前さ、あれを持てんのが、お前か菊千代だけって分かってるか?」

「…………投げるから槍」

「………………ほらよ」

 

 まあ、もう気付かれてるし雑に投げるが、嘗めるなよ連邦の狗風情が。

 お姉ちゃんが投げる槍は、例え脆い仕込み槍でも、鬱蒼とした森の木々すらぶち抜く。

 

「……外すなよ」

「避けるとは思わなんだ」

 

 私が投げた槍は、確かに木々を四、五本ぶち抜いたが、肝心の連邦女はそれを避けて、代わりに射手が死にかけていた。

 おかしいな。大体の奴は今のでイケるんだが? 

 

「これぞ主のお導きか。よもや、本物を連れて来ていたとは……!」

 

 連邦女が何か言っている。

 主? お導き? 

 確かに異民族には信仰する神はいるが、奴のそれは何か違う感じがする。

 もっと気味の悪い、湿り気を帯びた黴臭さと生臭さを濃縮した何かだ。

 

「さあ、紫翠・シュレンよ。その血肉の一片、魂の一滴まで、我らが神の復活の贄となるがいい……!」

 

(゚皿゚メ)あ? 今なんつったこいつ

お姉ちゃんに平八以外の幼馴染み

  • いる(♂)
  • いる(♀)
  • 要らないぞ
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