負けヒロインの姉に転生した私 ~どけ! 私はお姉ちゃんだぞ!!~   作:スーパーマンのみりん干し

18 / 28
ひとまずの休息2

 小人族という種族が存在する。彼ら彼女らは総じて手先が器用で、その殆どが職人として働く。

 我がシュレン領は、古くから小人族達と親交があり、シュレン人の半数近くは、小人族との混血でもある。

 シュレン家も過去に、小人族を妻として迎えた当主が居る。

 政略であれ恋愛であれ、その仲は良かったらしい。

 我が最愛の妹である紫翠も、そんな先祖の血が強く出ている為、小柄なシュレン人の中でも特に小柄だ。

 

「これとかどうよ?」

「これだと、姉姫様では些か刺激的過ぎるかと」

「姉上に要らぬ虫が寄って来そうですね」

「まあ、こいつなら大丈夫だろ。なら、次はこれだ」

 

 故にか、フラッと入った王都の店内で、ぬいぐるみみたいに紫翠に抱き抱えられながら、小夏が選ぶ服はどれも露出が激しい。

 いや、故にじゃないな。こいつ、単純に私で遊んでる。

 さっきから、乳が半分出てたり、半ば尻まで背中が開いてるドレスばっかり選んでやがる。

 着ないぞ。着ないからな? 

 おい、待て。なんだそのドレスは? 

 背中も腹も丸出しじゃないか。え、それ服なの? 

 水着か下着じゃないの? 

 それが王都の流行りなの? 

 

「今の夜会は、如何に目立って服の豪華さを見せ付けるかに偏ってる。だから、デザインも派手で目立つものとなると、似たり寄ったりになった」

「だからって、露出に走らなくてもいいのでは?」

「流行りを作ってる連中に言え」

「拙者個人としては眼福ですが、主君がそう肌を晒す衣装は、側近としては些かご遠慮願いたいですな」

 

 そう言って、ニヤリと笑う七郎次だが、こいつ本当に我欲に正直だな。

 

「試着が出来ないのが難点だが、まああんたサイズが有る訳ないしな」

「なあ、流石にこれは無理だぞ。こんなの着たら、ちょっと動くだけで色々出る」

「動く事を想定してないからな。つか、夜会で動く気か?」

「ぬぅ……」

 

 いや、色々あるじゃん。突然の襲撃とか、紫翠に要らぬ虫が寄って来たりとか、紫翠に言い寄ってくる愚か者とかさ。

 こう、色々あるじゃんか。

 

「姉上、此度の夜会ではラインハルト様が付いてくださいますので、姉上は存分に」

「存分に? 存分になに? 私はそんな派手なの着ないからな」

 

 最愛の紫翠の頼みでも、流石に羞恥心が勝るよ。

 第一、シュレン人の女は露出を嫌う。だから、もうちょっと奥ゆかしいというか、大人しめのデザインをだな。

 

「あんたは見た目が乳尻ドーンの太ももドカンなんだから、存分に見せ付けてやればいい。シュレンの田舎者だって、下に見られない様にな」

「……うーむ」

 

 これは、なんかあったな? 

 小夏は自分の腕に自信がある。だから迷う事は無いし、不必要に対抗心を燃やす事も無い。だから、小夏の作る服には小夏染めという名前が付いている。

 言わば小夏の手製はシュレン領のブランドなのだ。

 

 まあ、小夏は半ば私専属みたいになってるから、その出荷量は微々たるものなのだが……。

 

「あんの都会かぶれ共が……、今に見てろや。人体は外見で暴力を振るえるって事を思い知らせてやる……!」

「ふむ、小夏殿は中々にやる気な御様子。よし、拙者も一肌脱ぎましょうぞ」

「七郎次?」

「私も微力ながら。シュレン領を甘く見た事、宮廷雀共に思い知らせてやりましょう」

「紫翠?」

 

 あっるぇ? 

 紫翠? なんでお前までやる気満々なの? 

 お姉ちゃん、そんなに血の気の多い紫翠知らないよ? 

 

「姉姫様」

「なんだ? 七郎次」

「実は姉姫様と平八殿が会談に臨んでいる最中、宮廷の連中と少々色々とありまして、妹姫様はご立腹でして」

 

 ふむ、なるほどなるほど、そういう事か。

 凄く簡単に言うと、宣戦布告された訳か。

 ははは、なるほどなるほど、なるほどな。

 ……宜しい。

 

「ならば戦争だ」

 

 大方、シュレンを含めた辺境三領を下に見てる愚者共だろうが、私は売られた喧嘩は買う主義だ。

 というか、そうでもなければ辺境を護れる訳ない。

 

「小夏、私の戦装束を用意しろ。此度の戦場に見合うな」

「承知、とびきりの用意してやる」

 

 シュレン領領主芭蕉・シュレン、黒曜・シュレンが一子、翡翠・シュレンの怒りに触れた事を後悔させてくれるわ。

 

「とりあえず、ヒールの高い靴を用意しましょう」

「よし、こいつは各所がドカンだから太く見られるが、実際は長いからな。ヒールで更に長く見せてやろう」

「であるなら、色は派手なものより、落ち着いたものの方が良いかと」

「なら朱より黒ですね」

 

 おお、どんどん決まっていく。しかし出来れば、お姉ちゃんのお願いも聞いてくれると助かる。

 

「あの、出来れば生足は勘弁願いたい」

「あ? あんたのその無駄に長くて太い足、見せ付けないでどうすんだ?」

「小夏様、姉上は照れ屋なのです」

「知ってる。……タイツ用意してやる代わりに、これよりエグイスリットな」

「待て、これよりエグイってほぼ腰までいってるよな?」

「タイツ用意してやるんだから妥協しろ。あ、あと背中はばっくり空ける」

「それ痴女だ」

 

 お姉ちゃん、お姉ちゃんじゃなくて痴女になっちゃう。

 七郎次、七郎次は何処だ? 

 主君の危機だぞ! 

 

「いやあ、こればかりは言う通りにしていた方が賢明ですな」

 

(´・д・`)ソンナー

 お姉ちゃんはお姉ちゃんなのに、痴女じゃないのに……。

 

「装飾は最低限、いや、刺繍で表現するか」

「手間が掛かりませんかね?」

「大丈夫だ、七郎次さん。夜会まではまだ日にちがある。氷雨からの情報だ」

「なら信用足りますな」

「耳飾りはどうでしょうか? 姉上は今まで参加した夜会で、耳飾りを付けた事はありません」

「耳飾りか……。こいつ、体も派手なら顔面も派手だからな。顔周りに飾りは有りだな」

 

 私の顔面って、そんなに派手かな? 

 私より紫翠の方が、全体的に整っていて綺麗だと思うんだが? 

 

「そのバカみたいにバッサバサの睫毛とか、やたら形の良い鼻、面倒くさいくらい張りのある唇。姉妹揃って、美人の要素しか詰め込まれてない顔面がほざくな」

 

 酷くない? 

 確かに、小夏は小人族特有の丸顔で、なんかこう、全体にプニポヨンって感じだけど、小夏は可愛い系詰め込んでるじゃんか。

 お前を抱き抱えてる紫翠を見てみろ。顔は母上譲りの美人で、全体的に小柄な可愛い系の欲張りハッピーセットだぞ! 

 ……言っててちょっとムカついてきた。後でラインハルト〆るか。

 

「よし、夜会服のデザインは決まった。後は化粧だ」

「姉上の化粧なら下手に塗るより、ナチュラルメイクの方が良いと思います」

 

 これ、今日中に決まるかな? 

 どう思う七郎次。

 あ、無理? 

 覚悟した方が良い? 

('・c_・` )そっかー。




TOPIX¦紫翠の身体能力は貧弱に見られがちだが、実は並みの貴族子女より高い。握力的に言えば、リンゴは握り潰せないが、形は余裕で変えれる。
比較対象がお姉ちゃんとか、氷雨とかだから仕方ないね。

お姉ちゃんに平八以外の幼馴染み

  • いる(♂)
  • いる(♀)
  • 要らないぞ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。