負けヒロインの姉に転生した私 ~どけ! 私はお姉ちゃんだぞ!!~ 作:スーパーマンのみりん干し
小人族という種族が存在する。彼ら彼女らは総じて手先が器用で、その殆どが職人として働く。
我がシュレン領は、古くから小人族達と親交があり、シュレン人の半数近くは、小人族との混血でもある。
シュレン家も過去に、小人族を妻として迎えた当主が居る。
政略であれ恋愛であれ、その仲は良かったらしい。
我が最愛の妹である紫翠も、そんな先祖の血が強く出ている為、小柄なシュレン人の中でも特に小柄だ。
「これとかどうよ?」
「これだと、姉姫様では些か刺激的過ぎるかと」
「姉上に要らぬ虫が寄って来そうですね」
「まあ、こいつなら大丈夫だろ。なら、次はこれだ」
故にか、フラッと入った王都の店内で、ぬいぐるみみたいに紫翠に抱き抱えられながら、小夏が選ぶ服はどれも露出が激しい。
いや、故にじゃないな。こいつ、単純に私で遊んでる。
さっきから、乳が半分出てたり、半ば尻まで背中が開いてるドレスばっかり選んでやがる。
着ないぞ。着ないからな?
おい、待て。なんだそのドレスは?
背中も腹も丸出しじゃないか。え、それ服なの?
水着か下着じゃないの?
それが王都の流行りなの?
「今の夜会は、如何に目立って服の豪華さを見せ付けるかに偏ってる。だから、デザインも派手で目立つものとなると、似たり寄ったりになった」
「だからって、露出に走らなくてもいいのでは?」
「流行りを作ってる連中に言え」
「拙者個人としては眼福ですが、主君がそう肌を晒す衣装は、側近としては些かご遠慮願いたいですな」
そう言って、ニヤリと笑う七郎次だが、こいつ本当に我欲に正直だな。
「試着が出来ないのが難点だが、まああんたサイズが有る訳ないしな」
「なあ、流石にこれは無理だぞ。こんなの着たら、ちょっと動くだけで色々出る」
「動く事を想定してないからな。つか、夜会で動く気か?」
「ぬぅ……」
いや、色々あるじゃん。突然の襲撃とか、紫翠に要らぬ虫が寄って来たりとか、紫翠に言い寄ってくる愚か者とかさ。
こう、色々あるじゃんか。
「姉上、此度の夜会ではラインハルト様が付いてくださいますので、姉上は存分に」
「存分に? 存分になに? 私はそんな派手なの着ないからな」
最愛の紫翠の頼みでも、流石に羞恥心が勝るよ。
第一、シュレン人の女は露出を嫌う。だから、もうちょっと奥ゆかしいというか、大人しめのデザインをだな。
「あんたは見た目が乳尻ドーンの太ももドカンなんだから、存分に見せ付けてやればいい。シュレンの田舎者だって、下に見られない様にな」
「……うーむ」
これは、なんかあったな?
小夏は自分の腕に自信がある。だから迷う事は無いし、不必要に対抗心を燃やす事も無い。だから、小夏の作る服には小夏染めという名前が付いている。
言わば小夏の手製はシュレン領のブランドなのだ。
まあ、小夏は半ば私専属みたいになってるから、その出荷量は微々たるものなのだが……。
「あんの都会かぶれ共が……、今に見てろや。人体は外見で暴力を振るえるって事を思い知らせてやる……!」
「ふむ、小夏殿は中々にやる気な御様子。よし、拙者も一肌脱ぎましょうぞ」
「七郎次?」
「私も微力ながら。シュレン領を甘く見た事、宮廷雀共に思い知らせてやりましょう」
「紫翠?」
あっるぇ?
紫翠? なんでお前までやる気満々なの?
お姉ちゃん、そんなに血の気の多い紫翠知らないよ?
「姉姫様」
「なんだ? 七郎次」
「実は姉姫様と平八殿が会談に臨んでいる最中、宮廷の連中と少々色々とありまして、妹姫様はご立腹でして」
ふむ、なるほどなるほど、そういう事か。
凄く簡単に言うと、宣戦布告された訳か。
ははは、なるほどなるほど、なるほどな。
……宜しい。
「ならば戦争だ」
大方、シュレンを含めた辺境三領を下に見てる愚者共だろうが、私は売られた喧嘩は買う主義だ。
というか、そうでもなければ辺境を護れる訳ない。
「小夏、私の戦装束を用意しろ。此度の戦場に見合うな」
「承知、とびきりの用意してやる」
シュレン領領主芭蕉・シュレン、黒曜・シュレンが一子、翡翠・シュレンの怒りに触れた事を後悔させてくれるわ。
「とりあえず、ヒールの高い靴を用意しましょう」
「よし、こいつは各所がドカンだから太く見られるが、実際は長いからな。ヒールで更に長く見せてやろう」
「であるなら、色は派手なものより、落ち着いたものの方が良いかと」
「なら朱より黒ですね」
おお、どんどん決まっていく。しかし出来れば、お姉ちゃんのお願いも聞いてくれると助かる。
「あの、出来れば生足は勘弁願いたい」
「あ? あんたのその無駄に長くて太い足、見せ付けないでどうすんだ?」
「小夏様、姉上は照れ屋なのです」
「知ってる。……タイツ用意してやる代わりに、これよりエグイスリットな」
「待て、これよりエグイってほぼ腰までいってるよな?」
「タイツ用意してやるんだから妥協しろ。あ、あと背中はばっくり空ける」
「それ痴女だ」
お姉ちゃん、お姉ちゃんじゃなくて痴女になっちゃう。
七郎次、七郎次は何処だ?
主君の危機だぞ!
「いやあ、こればかりは言う通りにしていた方が賢明ですな」
(´・д・`)ソンナー
お姉ちゃんはお姉ちゃんなのに、痴女じゃないのに……。
「装飾は最低限、いや、刺繍で表現するか」
「手間が掛かりませんかね?」
「大丈夫だ、七郎次さん。夜会まではまだ日にちがある。氷雨からの情報だ」
「なら信用足りますな」
「耳飾りはどうでしょうか? 姉上は今まで参加した夜会で、耳飾りを付けた事はありません」
「耳飾りか……。こいつ、体も派手なら顔面も派手だからな。顔周りに飾りは有りだな」
私の顔面って、そんなに派手かな?
私より紫翠の方が、全体的に整っていて綺麗だと思うんだが?
「そのバカみたいにバッサバサの睫毛とか、やたら形の良い鼻、面倒くさいくらい張りのある唇。姉妹揃って、美人の要素しか詰め込まれてない顔面がほざくな」
酷くない?
確かに、小夏は小人族特有の丸顔で、なんかこう、全体にプニポヨンって感じだけど、小夏は可愛い系詰め込んでるじゃんか。
お前を抱き抱えてる紫翠を見てみろ。顔は母上譲りの美人で、全体的に小柄な可愛い系の欲張りハッピーセットだぞ!
……言っててちょっとムカついてきた。後でラインハルト〆るか。
「よし、夜会服のデザインは決まった。後は化粧だ」
「姉上の化粧なら下手に塗るより、ナチュラルメイクの方が良いと思います」
これ、今日中に決まるかな?
どう思う七郎次。
あ、無理?
覚悟した方が良い?
('・c_・` )そっかー。
TOPIX¦紫翠の身体能力は貧弱に見られがちだが、実は並みの貴族子女より高い。握力的に言えば、リンゴは握り潰せないが、形は余裕で変えれる。
比較対象がお姉ちゃんとか、氷雨とかだから仕方ないね。
お姉ちゃんに平八以外の幼馴染み
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いる(♂)
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いる(♀)
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要らないぞ