負けヒロインの姉に転生した私 ~どけ! 私はお姉ちゃんだぞ!!~   作:スーパーマンのみりん干し

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周囲の人々の印象

紫翠¦かわいー、お人形さんみたーい
翡翠¦デッッッッッッッッッッッッ!


追記
コメント返信が遅れて大変申し訳ありません


姉将軍

 宿の縁側に座り、茶を啜りながら、現状について考えを巡らせていると、手頃な小石があったのでちょっと指で弾いてみる。

 うん、適度に丸くてよく飛ぶ。どうやら、この宿は良い石屋から玉砂利を買っている様だ。

 茶も適度に温めのもので、猫舌の私には嬉しい限りだ。

 

 シュレンを始めとした、各辺境領に対する締め付けのつもりか、王子の許嫁候補という名目で、娘を差し出せという。一応見返りのつもりなのか、王都に滞在する間は、王立ロムレシア学院に通わせ、王立学院卒業という華々しい経歴を得られるという事になっている。

 私としては馬鹿馬鹿しい限りの話だが、他領にとっては、王家との繋がりを作れ、王都の名門学院を卒業したというブランドを得られる絶好の機会でもある。

 爵位はあるが力の弱い家など、喉から手が出る程に欲しいものだろう。

 しかし、爵位も力も無い家にとっては、見返りも何も無いのに、高い学費を負担する事になり、仮に卒業したとしても、爵位は低い癖にブランドだけはしっかりした娘を、嫁に欲しい貴族の男はそうは居ない。

 この国の貴族令息は、大体が自分が女より優位に立ちたいのだ。女は男より弱く、弱い女は強い男に従え、という考え方だ。私も今より弱かった時分には、よく言われたものだ。まあ、即日全員黙らせたが。

 女が男より弱いというならば、最低でも魔猪の首をへし折ってから、そんな大層な大口を利けと言いたい。

 

 無理? 男より弱い女の私がやれたんだから、弱い女より強い男なら、余裕でやれるだろう? 

 

 さて、突然の余談ではあるが私はお姉ちゃんだ。故に、とにかく強くあろうとして体を鍛え、しかし強いだけでは貴族子女として足りないので、淑女としての礼儀作法もしっかり学んだ。

 妹に恥ずかしい姉と思われたくないからな。

 故に私は色々出来る。

 

 はい、まず一つ。

 

「姉姫様」

「瑞穂、紫翠の側に付け。……今宵から離れるな」

「畏まりました」

 

 無論、私も一人の人間でしかない。出来ない事や苦手な事もある。出来ない事を教えるつもりは無いが、ただ夜会だけは、どうにも苦手だ。

 ……この体のサイズだと、軍装以外では合う服というのが中々無く、夜会服ともなると既存のデザインの物は皆無に等しい。

 一応、持っているには持っているが、通常の夜会服でも高価なのに、それの五、六倍の値がする品を、簡単に着ようとは思えない。

 というか、どうして夜会服というのは、ああも露出過多なのだ? 

 

 二つ目。

 

 背中は見えるし、肩だって丸見え、中には足まで放り出しているものや、乳が半分出ているものまである。

 ……いや、うん、私のサイズのせいだな。

 馴染みの呉服屋が、生地が足りぬと呻いていたのを知っている。私の胸回りだけで、一般貴族令嬢一人分の布地を使う。足回りとか、鍛えすぎてちょっとした令嬢のウエスト余裕だもん。

 それに加えて、身長は男の軍人すら余裕で見下ろせる。

 

 そう、私の最大の武器はこの巨体であり、同時にそれは弱点でもある。

 言ってしまえば、私は隠密が苦手なのだ。この体では、隠れて密かに動くのは難しい。

 

 そして三つ

 

「あの、姉姫様?」

「ん、どうした? 瑞穂」

「先程から、茂みに小石を弾いて、如何なされたので?」

「気にするな」

 

 はい、四つ。

 ……王国の密偵ではないな。連中がシュレンに忍び込む時は、対私用の魔術で身を隠すし、こんな分かりやすく潜む事も無い。帝国の場合は潜む必要は無い。さっさと出てきて、私に要件を伝えれば済む。

 となると、考えられるのは他領か、他国かだ。

 他領に関しては、紫翠に手を出せばどうなるか。

 しっっっっかりと教え込んであるし、現状辺境同士で足の取り合いをしても意味は無い。

 なら、他国ならばどうか。帝国は前述した通りに密偵を潜ませる意味は無い。

 連邦も、五年前にかなり痛い目を見せた上、あの国が貿易以外で王国に関わるメリットは無いに等しい。

 であるならば、帝国でも共和国でもなく、王国内のゴタゴタに関わる事に何らかのメリットがあり、かつ私の事を舐めくさった連中という事になる。

 居るか? 

 居るな。

 私を舐めくさった奴が一人。

 

 協商連合の騎士を自称する厄介女であるユリアナ・パーシシェル。私がパー子と呼ぶあの女なら、今のゴタゴタを嗅ぎ付けてちょっかい掛けてくる可能性はある。

 騎士の誇りか何か知らないが、私と引き分けた事が余程悔しかったらしく、事あるごとに因縁吹っ掛けてくる面倒な奴だ。私と同じ力こそパワーな考えの癖して、ですわ口調の面倒な奴だ。

 しかし、あれならこんな回りくどい真似はせず、直接本人が乗り込んでくる筈だ。あれは確かに面倒な奴だが、普通に交流するには話の分かる良い奴で、私との付き合いで絶対に越えてはいけない一線というのを理解している。

 さてそうなると、この密偵連中は何処の差し金か。

 

 はい、五つ……、甘い! お姉ちゃんの指弾は変化球アリアリのアリだから、ちょっと避けた程度でかわせると思うな。

 

「姉姫様、妹姫様がお呼びです」

「分かった。すぐ行く」

 

 妹のお呼びとあれば、お姉ちゃんは飛んで行くとも。

 茂みに隠れていた連中も、私の指弾を受けては暫く動けないし、既に瑞穂が手配した部下が確保に動いている。

 しかし、紫翠の用事とは一体なんだろうか。

 最近は本当に甘えてくれる事が少なくなって、お姉ちゃん寂しかったが、今回の旅路ではやけに甘えてくれる。

 お姉ちゃん嬉しい限りだが、逆に何か心配でもある。

 

 紫翠は私とは違う。私は紫翠とは違う。

 私は紫翠より強い。紫翠は私より弱い。

 紫翠は私より強くて、私は紫翠より弱い。

 私は体が強くて、紫翠は体が弱い。

 私は魔術が使えなくて、紫翠は魔術が使える。

 とにかく、私達は反対で、だから大事で大切な姉妹で、どちらか片方だけが欠けると、忽ち崩れてしまう。

 私が使えない魔術の中に、〝先見〟というものがある。お伽話の中だけの存在だが、歴史書読み漁るに、その魔術は確かに歴史上に存在していた。

 不確定な未来を見る魔術、高い魔力と代償が必要な魔術だが、行使すれば未だに不確定な未来を見る事が出来、見た未来を確定する事が出来るというもの。

 

 無いとは思うが、もし紫翠がその魔術を行使し、最悪の未来を見てしまい、何らかの覚悟を決めていたとしたら、お姉ちゃんは何をしてやれるだろうか。

 私に出来るのは、妹達を背にして戦う事だけだ。

 とかく、戦って戦って屍山血河を築き上げ、その武勲を以て、領土と民を脅かす者を遠ざけるだけ。

 

 うん、妹の敵を斬ればいいのか。

 それならお姉ちゃん大得意だぞ。

 任せろマイシスター、お前の敵は全部お姉ちゃんが斬ってやるからな。

 

お姉ちゃんに平八以外の幼馴染み

  • いる(♂)
  • いる(♀)
  • 要らないぞ
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