「……りょ、両津さん……これを……」
起女は懐から梵字で書かれた二枚の白い札を両津に手渡す。
「……これは……私がいない時に……暴走した時に備えて作った……式札……額……貼れば…………眠りま……──」
そう言って首をガクッと落とすと
「すーぴー、すーぴー」
と寝息を立て始めた。
「あの二人の額にこれを貼る……だと……」
大きく目を見開き小刻みに身体を震わせながら両津は二人がいる背後を見る。そこには再び暴れ出すため屈伸などのストレッチをする日暮兄妹の姿があった。
(日暮も休女も一人の時でさえ暴走を止めることが出来なかった相手だぞ!? その二人がタッグ……出来るわけがないだろっ!?)
今にも叫びたい両津だったがこのままでは被害が拡大するのは目に見えていた。
「両津ッ!!」
「ウガァッ!!」
どうするか考えている内に二人は両津に襲い掛かってきた。
「クソッ!」
両津は気持ちよさそうに眠る起女から離れて二人の攻撃が及ばないようにすると、近くにエンジンがかかったまま放置されたバイクに跨った。
「逃がすかッ!!」
「ガオォッ!!」
背後から放たれるエネルギー弾と斬撃をバイクを小刻みに左右に動かすことで避けながら両津は必死になって考える。
「中川や麗子などあいつらの好きそうな奴らを呼んで……クソッ!」
二人の攻撃を回避しながらポケットに手を入れる両津だが、普段入れているはずの携帯はそこにはなかった。
「しまった! 携帯は充電がなかったから自宅に充電したままだった!」
応援を呼んで止めてもらうという方法が断たれ焦る両津。その時だった。
「あれ?」
必死に逃げ回っていた両津はあることに気づく。とある目的のためにたまに足を運ぶ路地にバイクを走らせていたことに。
「そうか! これならあいつらを止められる!」
名案を思い付いた両津は即座に行動に移した。乗っていたバイクを休女に向けて走らせる。
「ウウッ!?」
自分に迫るバイクに一瞬たじろぐ休女だったが、日暮のエネルギー弾によってバイクは休女にぶつかる前に爆散。バイクの破片が少なからず休女に襲い掛かったが、拳銃の銃弾を受けても傷一つつかない顔には損傷はなかった。
両津を見失う二人だが人の何十倍の聴覚を持つ休女は口から涎をポタポタと垂らしながら一直線にとある店に入る。
日暮は妹が入った店を見る。そこは裏路地ということもあり
「ふにゃああああああぁぁぁぁぁぁんんんんんんっっっっっっ!!!!」
店外にも聞こえる休女の黄色い悲鳴。訳がわからず日暮は地面に降りると地面を滑るように店内に足を踏み入れた。
「?」
日暮は店内を見渡す。そこは新刊や古本が乱雑に置かれた古びた印象の本屋そのものだった。
「両津、そして休女は?」
ガタッ!
店の奥から聞こえた物音に、日暮は振り返る。そこは壁だった。しかし彼は自身が持つ超能力の一つ、透視で壁の向こう側を見る。そこには自身が探していた両津と起女が渡した白い札が額に貼られた休女の姿があった。
「両津ッ!」
日暮は忍者屋敷で使われる回転する壁をエネルギー弾で破壊し、飛び込むように隠し部屋に入り、固まった。
「こ、これはッ!?」
そこには全年齢のこの小説では紹介することが許されない、多種多様の美男美女の
「おぉ! これはまさしく……」
両津を追っていたことを忘れ、ある商品を手に取った時だった。
「これで終わりだ! 日暮!!」
「ッ!?」
商品に夢中になる日暮は両津の姿を視認する。しかしさきほどまで商品に気を取られていたこともあり間合いに入られ札を額に貼られた後に、熟睡し始めた。
「ふう、これで終わったな。それでは!」
二人が寝始めて周囲には今回の騒ぎによって人がいない事をいいことに、両津は店内の物色を始めた。
「わしがこの二人を止めなければここにあった
そう言いながら両津は日暮兄妹と物色した商品を台車に載せると店内を後にした。
その直後に日暮兄妹を止めるために追ってきた部長と遭遇。日暮兄妹の引き渡しと共に物色した商品は押収され、その後商品を置いていた店舗は有害図書を不正に取り扱っていたとして閉店に追い込まれたのは言うまでもない。
次回予告とは違うものを投稿して申し訳ありません。
149巻で早矢と纏が戦う話があり「二人が共闘する話があったら面白そうだな」と思い再度その話を読んだのですが……二人の躍動する動きと迫力を見ていたら「このレベルでは投稿できない」と自己嫌悪に陥ってしまいました。
もし期待していた読者の方がいらっしゃいましたらこの場を借りてお詫びいたします。