ゆずソフトの小説   作:かんぼー

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かんぼーです。こちら、以前にTwitter(@vice__kan__bo__)に投稿したものになります。

前半:大切な人のために(三司あやせ)
あやせさんです。とある方にあやせで書けと言われて書きました。
好きな人からカイロを貰うシチュがなぜか好きなのでそれをどうしても入れたかったという裏話があります。

後半:プレゼント交換(式部茉優)
こちらはクリスマスのSS。茉優パイにサンタになってもらいました。
初めは夜這いさせる()予定だったんですけどうまく書けず、結果このような感じになりました。

※キャラ崩壊や元作品の設定崩壊が起こっている可能性もあります。この点を理解できる方のみ。お読みになることを推奨します。
※誤字脱字等の指摘も受け付けています。


大切な人のために(三司あやせ)/プレゼント交換(式部茉優)

大切な人のために(三司あやせ)

 

 ここは俺のクラスで俺の席。目の前にあるのは複数のプリント。

 時計に目をやると既に午後6時半。教室を見渡しても俺以外に人がいるわけもなく、ただただ寂しい光景が広がっている。

 どうしてこうなってしまったのか。それは単純に2学期の期末試験で赤点を取ってしまったから。しかも複数科目で。

 そのおかげで大量の課題プリントをやらされているのだか…非常にめんどくさい。そして難しい。しかも提出期限は今日中。

 その上、追い打ちをかけるように教室の暖房が午後6時で切られてしまった。そのせいですごく寒い。茉優先輩の研究室に行けばまだ暖房もついているはずだが…こんな事情であの部屋に行くのもさすがに気が引ける。職員室に行くのも一手だが、あそこは行きたくないという気持ちの方が強い。

 門限もあるしとにかく早く終わらせないと、という思いで必死にシャーペンを動かすがなかなか進まない。寒さのせいで手が震えて文字が汚くなってしまい、そのたびに書き直しているので余計に時間が無くなっていく。

「……まだ残ってたのね」

 声が聞こえ顔を上げると教室の入り口にあやせがいた。見たところ今日の学生会長の仕事が終わって帰るところらしい。

「ほんとに暁ったら……」

「すみませんでした……」

 勉強がそこまで得意ではない俺はあやせにいろいろと教わっていたのだが…結局この様である。あやせからの視線が痛い。

 そんな中でもとにかく頑張って手を動かす。早くしないとプリントは完成しないし、寮に帰る時間も遅くなってしまう。ただ、やっぱり寒い。手が震える。

 すると、あやせがこちらに近づいてきて俺の隣の席に座る。

「あの、あやせ。寒いから寮戻ったほうがいいんじゃないか?」

「嫌よ」

「嫌って……風邪ひくぞ」

「風邪ひきそうなのはそっちも一緒じゃない……ほら」

 あやせがポケットから何かを取り出し俺の手に当ててくる。俺の手に広がる暖かさがその正体を教えてくれた。

「カイロか」

「そう。暁、寒くて震えてたでしょ。これで温まりなさい。あとプリント見せて」

「いやでもこれは俺が」

「いいからっ」

 あやせはプリントを覗き込むと、俺のわからないところを一から教えてくれる。さっきまでは一人で寂しくて勉強する気も起きなかったのに、こうやって好きな人が隣にいてくれるだけでやる気が出てくるんだから不思議なものだ。

「どう?これで解けるでしょ」

「ありがとう、あやせの説明はわかりやすいな」

「できればテスト前の説明の時にきちんと理解してほしかったんですけど」

「それは……申し訳ない」

 平謝りする俺を見てあやせはクスッと笑う。そして再びプリントに目を落とし授業を再開しようとする。

「次の問題は……暁、やっぱりカイロ一つじゃ寒いわね。そうだ、学生会室で勉強しない?あの部屋なら暖房つくわよ」

「ほんとか。じゃあお邪魔させてもらおうかな」

 俺は立ち上がり、急いでプリントや文房具をまとめて鞄に入れる。その様子を見ながらあやせは一言

「ほんと、暁は私がいないと駄目ね……」

と半ば楽しそうにつぶやいていた。

 


 

プレゼント交換(式部茉優)

 

『それじゃ、通信終了』

 室長との報告を終えスマホのSIMカードを入れ替える。もう夜もだいぶ遅くなっているため、寝ようかとベッドに向かった時、窓からコンコンと音がした。

 この時間に俺の部屋に窓から入ってこようとするのは七海か茉優先輩だ。七海には連絡をしてから降りてこいと伝えてあるが、そんな連絡はない。ということは―

「暁君、お姉さんだよー」

 カーテンを開けると予想どおり、茉優先輩が空中に浮いた状態で窓から俺の部屋を覗き込んでいる。いや、正確には彼女のアストラル能力で作った透明な床の上に立っているのだが。

「どうしたんですか、茉優先輩。こんな時間に」

「暁君、今日が何の日か分かっているかな?」

 茉優先輩を部屋に入れカーテンを閉めると、彼女はポケットの中から赤色の帽子―サンタ帽を取り出し自分の頭に被せる。

「ほら、式部サンタさんだよ。この寮は煙突が無いからね、暁君の部屋に窓から侵入しちゃった」

 そんなことを言いながらもやはり照れくさいのか、サンタ帽の先っぽについているボンボンを手でいじっている。そんな姿を見ていると愛おしくなってしまう。

「それで、暁君。サンタさんは暁君にプレゼントがしたいんだけど……その、腕広げてくれない?」

「これでいいか?」

 俺が言われた通りに腕を広げると、突然茉優先輩は俺の胸元に顔をうずめてきた。訳が分からず戸惑う俺に彼女はこう告げた。

「ほら、暁君へのクリスマスプレゼントはアタシだよ?ちゃんと大切に扱ってね?」

 …やっと意味が理解できた俺はそっと彼女を抱きしめる。しかし、彼女は顔を俺の胸に当てているだけで、抱き着いてこようとはしない。不思議に思いつつも抱きしめ、頭を撫でていると茉優先輩が不意につぶやいた。

「その、アタシから暁君にはプレゼントあげたから、できればそろそろアタシも何か欲しいなー、なんて……ダメ?」

「……俺のこと、先輩にプレゼントしますよ」

「……ふふっ、暁君大好きっ」

 待ってましたと言わんばかりに両腕を俺の体に巻き付け、さらに顔を俺の方に向け目を閉じる茉優先輩。今夜は長くなりそうだと感じたのは、俺の唇が彼女の唇と触れ合ったと同時だった。


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