ゆずソフトの小説   作:かんぼー

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お久しぶりです、かんぼーです。こちら、以前にTwitter(@vice__kan__bo__)に投稿したものになります。

前半:絵日記には兄の笑顔を添えて(在原七海)
夏休みシーズンに書いたものです。七海ちゃん絵上手そう

後半:ハロウィンの夜は終わらない(壬生千咲)
ハロウィンに書いたものです。コスプレはいつ何時も需要しかない

※キャラ崩壊や元作品の設定崩壊が起こっている可能性もあります。この点を理解できる方のみ。お読みになることを推奨します。
※誤字脱字等の指摘も受け付けています。


絵日記には兄の笑顔を添えて(在原七海)/ハロウィンの夜は終わらない(壬生千咲)

絵日記には兄の笑顔を添えて(在原七海)

 

「あの、お味は……どうですか?」

「うん、おいしい」

「……よかった」

 夏休みのある日、在原家の夕食の時間。いつもなら、わたしが作ったご飯を暁君とお父さんと三人で一緒に食べるだけ。でも、夏休みが始まってからは違う。わたしにはやらなければならないことがある。

「……ジー」

「なんだよ、七海。最近食事中に俺のことじっと見すぎだろ」

「え、あ、ごめんなさい……」

「まあ、別に見るなとは言わねえけどよ……」

 そう、わたしがしているのは「夕食を食べる暁君の観察」。わたしは夏休み中これをずっと続けなければならない。

 ご飯を食べ終えたあと、食器の片づけをし、一目散に自分の部屋に向かう。そしてノートを開き、さっき記憶した暁君の顔を色鉛筆で描く。

「今日も笑顔で食べてくれた……」

 顔を描いた後はその隣に今日の夕食の絵を描く。最後の仕上げに文章を。

 

『八月二十日、土曜日、晴れ、今日の夕食は焼き魚を作りました。焼き加減に注意しながら作りました。お兄ちゃんは今日もおいしそうに食べてくれました。お兄ちゃんに「おいしい」って言ってもらえてうれしかったです。』

 

 夏休みもあと十日ほど。最後まで宿題をやりきるためにも、明日も暁君の顔をちゃんと観察しなきゃ!

 


 

ハロウィンの夜は終わらない(壬生千咲)

 

「まだ……かなぁ」

 時計の針は既に午前1時。明かりを消した部屋の中で私は一人、ベッドの上で虚空を見つめています。

 それもそのはず。今日は先輩とハロウィンパーティをする予定だったんです。なのに先輩ったら、急にお仕事が入っちゃったみたいで……結局この時間になってもまだ先輩は帰ってきません。

 せっかく用意したたくさんのお菓子も、先輩に内緒で七海ちゃんから借りた魔女のコスプレ衣装も、出番無く終わってしまうのでしょうか。先輩と1週間以上前からパーティの計画をしていたのに、それが全部水の泡になってしまいそう。

 その時でした。窓側から聞き覚えのある声が。

「千咲?まだ起きてるか?」

「先輩!?」

 私は急いで窓を開け、声の主を部屋に招き入れます。そして思いっきり抱きしめます。

「おかえりなさい……っ、先輩!」

「千咲、遅くなってごめん!」

 ……ずるいです。さっきまですごく悲しい気持ちだったのに、先輩と触れ合ってると勝手に心が温まってしまうんですから。

「どうする、千咲。今からハロウィンパーティ、するか?」

 どうやらコスプレ姿の私と机の上に並べられたたくさんのお菓子を見て、先輩が気を利かせてくれたようです。

「しましょう先輩!ほら、早くあの言葉、言ってください」

「ああ、トリックオアトリート。お菓子くれなきゃイタズラするぞ」

 本当だったらお菓子をあげるんでしょうけど……先輩の温もりを感じてしまったらもっと欲しくなってしまって。もっともっと、先輩と深く交わりたくなってしまって。先輩に全てを委ねたくなってしまって。

「そうですねー、こんな時間にお菓子食べたら健康に悪いですしねー。だから……」

 こんな口実が通じるのかと疑問に思いつつ、私は先輩の耳元でそっと囁きます。

「いっぱい、私にイタズラしてください。せーんぱいっ!」


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