ゆずソフトの小説   作:かんぼー

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かんぼーです。こちら、以前にTwitter(@sub__kan__bo__)に投稿したものになります。

前半:私を照らす光(茨木リノ)
こちらは2021年の月食のときに書いたものになります。書きたいなーと思ったのですが全くストーリーが思いつかず、結局日付が変わる30分ぐらい前に登校した思い出があります。

後半:ボクを照らす光(城門ツバサ)
こちらは1月1日に投稿したものです。前半のものとわざと似たタイトルにしています。話そのものにつながりはありませんが、月と太陽が主題ということで。

※キャラ崩壊や元作品の設定崩壊が起こっている可能性もあります。この点を理解できる方のみ。お読みになることを推奨します。
※誤字脱字等の指摘も受け付けています。


私を照らす光(茨木リノ)/ボクを照らす光(城門ツバサ)

私を照らす光(茨木リノ)

 

「うおー、肉眼でも欠けてるの見えるんだな」

「ほんとだ、なんだか三日月みたいになってる」

 フラワーショップのバイトに向かう途中、カナトと一緒に月を眺める。周りを歩く人々が皆空を見上げていたので、なんだろうと思ったら月食とのことだった。

「月食って、なんで欠けちゃうんだっけ?」

「たしか、太陽と月の間に地球が挟まるから、地球の影が月に映るとかじゃなかったか?」

「あーそういえばそうだったかも」

 そんな話を小学生の頃に聞いた気がする。月は太陽によって照らされていて…とか理科の授業で習ったっけ。

「私ってさ―月みたいだよね」

「ん?どういうことだ?」

 カナトを見て、不意にそんなことを思う。この人に出会わなかったら私は今頃どうなっていたのだろうか。自分の心の中のわだかまりを抱えたまま、ずっと暗い日々を送っていたかもしれない。

 そんな私を照らしてくれたのは、まぎれもなく今隣を歩く人。私にとっての大切な「太陽」。

 そんな彼の横顔を眺めてそっとつぶやく。

「…カナト、ずっと私のこと照らしてよね」

「ん?今何か言ったか?」

「なんでもない」

 きょとんとしてるカナトをみて自然と笑顔になる。彼がいる限り、私の笑顔が欠けることはなさそうだ。

 


 

ボクを照らす光(城門ツバサ)

 

 一月一日の早朝、ボク達は近くの神社に来ていた。リノ君とカナトは去年も来たらしいけれどボクがここに来るのは初めてだ。

 三人でお参りをした後、屋台で暖かい食べ物をいくつか買って食べる。今年は三人で見たいものがあるため、それまでの時間つぶしだ。

「リノ君、美味しい!美味しいよ!!」

「ツバサさん、食べ過ぎないでよ?」

「相変わらずだな、ツバサは……」

 なんていつも通りの会話をしながらその時を待つ。

 

 しばらくして、ボク達はすこし開けた場所に移動する。ここからなら見やすいよ、とリノ君が教えてくれた隠れスポットだ。

 ボクを真ん中に、三人で横に並んで空を見つめる。そのうち青かった空が徐々に橙色に変わっていき、そして―

「うわぁ……!!」

「きれいだな……」

 太陽が昇ってきた。いわゆる初日の出だ。

 これまでに見たことのないような神々しい光に、つい飲み込まれそうになる。両隣のカナトとリノ君を見ると、二人とも光に見とれている。

 気付いたらボクは二人の手を握っていた。二人とも少し驚いていたようだけれどすぐに握り返してくる。二人の手は冷たいけれど、ちゃんと温もりが伝わってくる。

「今年も…ずっと三人でいよう」

 ボクがそうつぶやくと二人とも微笑んでうなずいた。ボクの未来を照らしてくれた二人は、今年もボクを照らす光になるはずだ。


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