前半:大丈夫(明月栞那)(微ネタバレ注意)
すこししんみりする系のお話です。個人的にはかなりお気に入りの作品です。
栞那さんの言葉で支えられたいなぁ…なんて思ったりもしました。
後半:カラオケ(墨染希)
打って変わってこちらは賑やかなお話。幼馴染の強みをしっかり生かしてもらいました。
おこノゾミール、可愛いですよね
※キャラ崩壊や元作品の設定崩壊が起こっている可能性もあります。この点を理解できる方のみ。お読みになることを推奨します。
※誤字脱字等の指摘も受け付けています。
大丈夫(明月栞那)
昂晴さんと一緒に暮らし始めてかなり経ちました。
そしてついに先日、私のお腹の中に新しい生命がいることがわかりました。
それから毎日、昂晴さんは私のお腹に話しかけています。おそらくですが、親バカ路線まっしぐらですよ。
そんな昂晴さん、最近とても暗い表情をしています。仕事場でなにかあったのでしょうか…?それとも将来のことでなにか…?
蝶はまだ寄ってきていないようですが、それでも私は心配です。
ですが、悩みを聞いたところで、昂晴さんのことですから「これから子供も生まれるのに、栞那に迷惑なんてかけてられない」とか考えて正直に打ち明けてくれないのはわかってます。
ですから、私にできることはただ一つ―
「栞那、行ってくるよ」
「はーい。あ、昂晴さん、お弁当忘れてますよ?」
「あー、ごめんごめん。それじゃあ」
「昂晴さん、ストップです」
私は仕事に向かおうとする昂晴さんを呼び止め、そしてそっと抱きしめます。
「栞那?」
「昂晴さん。大丈夫ですよ」
「……」
「大丈夫です。怖くなんてありません。昂晴さんはこれからもっともっと、幸せになるんです」
私はそっと昂晴さんにキスをします。顔を離すと、昂晴さんは少し照れたような表情をしています。
「…ありがとう。栞那のおかげで今日も仕事頑張れそうだよ」
「それは何よりです。おっと、そろそろ家を出ないと電車間に合いませんよ」
「本当だ、じゃあ行ってきます」
少し急ぎ足で家を出ていく昂晴さん。その足取りは力強く見えました。
―『大丈夫』。昂晴さんを勇気づける魔法の言葉です。
だって、私が昔から、昂晴さんの魂に語りかけてきた言葉なのですから。
カラオケ(墨染希)
「おぉ~、やっぱりナツメ先輩歌上手ですね」
「そう…かな?そういう火打谷さんだっていい点数だったじゃない?」
今日はステラ定休日。普段は集まって遊んだりすることはないのだが、たまにはということで皆でカラオケに来ていた。
「昂晴~お酒追加で頼んでくれない~?」
「なんで俺が涼音さんの世話係になってるんですか。それと、昼間からあまり飲みすぎはよくないですよ」
「はいはい、涼音さんのことは私に任せてください」
「ありがとう、明月さん」
「いえいえ、それより高嶺さんは希さんといちゃいちゃしないんですか~?」
「か、栞那さん!?わたしたちだって時と場所はちゃんとわきまえますよ!」
「え~?でも今日ここに来るまでずっと二人で手をつないで、体を寄せ合って、アツアツで…」
「わー!それ以上言わないでください!昂晴君も何か反論してよー!」
「いや…事実だしなぁ…」
「昂晴君までわたしの敵なの!?むー、こうなったら!」
希はカラオケの次曲予約が入ってないことを確認し、マイクを持つ。そして俺の方をみてニコッと笑う。
…何か嫌な予感がする。まずい、希を止めないと。
「あの、希、俺が歌いたい曲入れてやr」
「墨染希、歌います!作詞作曲高嶺昂晴で『二人のキスは永遠に』!」
「のぞみぃ!?」
こいつ!俺の黒歴史を!
「あれー、その作曲家さんの名前、アタシどこかで聞いたことありますねー」
「奇遇ですね。あまり最近の曲はわからないのですが、私もその名前は聞いたことあります」
「まさか、ワタシの知ってる高嶺君と同一人物なんてことはないわよね?」
「昂晴、私の酔い醒めたから」
「なんでこのタイミングなんですか!おい、希!鼻歌でイントロ流すのやめろ!」
この後希に俺の黒歴史を一から十までバラされたのであった。