前半:見返したい(汐山涼音)
とある方からネタをいただいて書いたものです。ネタをいただいた方にも好評だったようで嬉しい限りです。
ナツメさんにお化粧を学んだ涼音さん、昂晴にやり返すことはできるのでしょうか…?
後半:大切な日(墨染希)
こちらは喫茶ステラ発売2周年に合わせて投稿したものになります。記念日なので、昂晴君には誕生日を迎えてもらいました(?)。
ゆずソは基本的に誕生日の概念がないので、割と何かの記念日にこういったストーリーが書きやすいかもしれませんね。
※キャラ崩壊や元作品の設定崩壊が起こっている可能性もあります。この点を理解できる方のみ。お読みになることを推奨します。
※誤字脱字等の指摘も受け付けています。
見返したい(汐山涼音)
「ナツメさん!!」
「え?はい?どうしたんですか、涼音さん?」
ここはステラの休憩室。ワタシが準備をしていると涼音さんが飛び込んできた。
「ナツメさん、ちょっと手を貸してくれない?」
「なんですか?もしかしてケーキの準備で何か問題が?」
ケーキの準備段階で問題があったとなると、今日一日の営業に支障が出る。もしそうだするとワタシも含めて総動員で作業を手伝わないといけない。少し気を引き締めたが、涼音さんの口から出てきたのは予想とは違った言葉だった。
「私に化粧を教えてくれない!?」
「……え?け、化粧?」
まあ、「ケーキの準備失敗した」じゃなくてよかったけど、「化粧教えて」だとは…。それにしてもいったい何が。
「今朝、昂晴と一緒にテレビ見てたら、最近のトレンドを紹介するコーナーで化粧品のこと放送してたの。そしたらアイツ『涼音さんってこういうのに興味あるんですか?』って……!!あのクソガキがぁっ!!」
「涼音さん、落ち着いてください。それにしても高嶺君ったら……」
高嶺君らしいといえばらしいのかもしれないけど、彼はもう少し乙女心を理解したほうがいいと思う。
「ただ、私も化粧のことあまり知らないのも事実なの。だからナツメさん!!あのクソガキを見返すためにも!!私に協力してくれない!?」
「わ、分かりました。私もそこまで詳しくないですけど、何から教えればいいですか?」
そのあとワタシによる化粧講座が行われた。涼音さんはケーキを作る時より真剣な顔で私の話を聞いているように見えた。
大切な日(墨染希)
午前零時まであと五分。
わたしはスマホを手に布団に入る。
昔から使っている四桁の数字を入力しホーム画面へ。そして通話アプリを起動し彼とのチャットを画面に表示させる。ここまでの動作はもう手慣れたものだ。目をつぶっても簡単にこなせる自信もある。
普段ならここから他愛無い会話を彼と開始するのだが今回は違う。それゆえ、送る文章に悩んでしまう。
画面の左上に表示される時刻は「23:57」。早く文章を考えないと明日に間に合わない。
こんなにも急いでいるのは、わたしが彼に一番早くメッセージを送りたいから。なんとか零時零分ちょうどにメッセージを送りたい。だけど、この調子だと間に合いそうにない。もっと早くから考えておけばよかったと後悔する。
だって今日もステラで遅くまでバイトだったし、彼と一緒に夜ご飯食べたかったし、見たいテレビ番組もあったし、学校の課題もあったし…と様々な理由で適当にごまかしつつ彼に送る文章を考える。
その間も時は進み、気づけば時刻は「23:59」。
―そうだ、毎年文章なんだし今年は電話で直接伝えてみるのもいいんじゃない?
ふと思いついた名案をそのまま実行。通話アプリの受話器マークをタップし彼へと電話を掛ける。もしかしたらもう既に寝ているのではないかという不安が一瞬頭をよぎるが、彼なら出てくれるはずとなぜか期待してしまう。
午前零時。
時計の針が真上を指すと同時にガチャと音が鳴る。
「希?どうしたこんな時間に」
「昂晴君!ごめんね、急に電話しちゃって」
彼の声が聞こえてきて安心する。もう何回も聞いている声のはずなのに、それだけで心の中が暖かくなって、同時に顔も自然と笑顔になってしまう。
「いや別に構わない。それで、何の用だ?」
「えー。昂晴君ったら、今日が何の日か覚えてないの?」
今日は彼にとっては大したことない日かもしれないけれど、わたしにとってはスマホのパスワードの数字として設定するぐらい大切な日。その意味を言葉に込めて、彼に告げる。
「お誕生日おめでとう、わたしの大好きな昂晴君!」