ゆずソフトの小説   作:かんぼー

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かんぼーです。こちら、以前にTwitter(@vice__kan__bo__)に投稿したものになります。

前半:小悪魔のささやき(壬生千咲)
千咲ちゃんの声でささやかれたいという私の願望をそのまま文字にしました。
なんでヤンデレ風になってしまったかは、謎です。

後半:夜のひと時(在原七海)
七海ちゃんといえば…というと失礼かもしれませんが、こういうお兄ちゃんを盗られちゃって…という話は避けて通れないと思います。
実際のところ七海ちゃんは七海√以外でどれだけつらかったのか、考えただけで胸が締め付けられますね…

※キャラ崩壊や元作品の設定崩壊が起こっている可能性もあります。この点を理解できる方のみ。お読みになることを推奨します。
※誤字脱字等の指摘も受け付けています。


小悪魔のささやき(壬生千咲)/夜のひと時(在原七海)

小悪魔のささやき(壬生千咲)

 

 今日は土曜日。学院の宿題は昨日の夜に終わらせたので、今日は先輩の部屋でおうちデートをしている。

 二人で他愛無い話をしていた時、先輩のスマホからピロン♪と音が鳴った。

「ん、なんだ?七海からか…」

 先輩の気はスマホの方に向いてしまう。よほど長文のメッセージなのだろうか、全然こっちを向いてくれない。

 私という可愛い彼女がいながらなんということ!そうだ、仕返しにいじめちゃおう。

「せんぱーい?何してるんですかー?」

「今七海にメッセージの返事を…って、うぉっ!?」

 私は座っている先輩の背後に回り込み、首の後ろから手を回してちょっと力を込めて抱きしめる。

 そして先輩の耳元に顔を近づけて、そっとささやくように先輩に話しかける。

「せーんぱい、彼女がこんなに近くにいるのに、なんでほかの女の子とメッセージのやり取りしてるんですかー?」

「いや、え、ちょっと、千咲?」

 先輩が体を少し震わせる。耳弱いのかな?でも、効果てきめんならもう少し続けてもいいよね。

 抱き着いたまま片手を先輩のスマホに伸ばし、メッセージアプリの友達一覧画面を表示させる。

「『在原七海』、『三司あやせ』、『式部茉優』、『二条院羽月』…なんで私以外の女の子が友達欄にいるんですか、せ・ん・ぱ・い?」

「いやいやいやいや、七海は妹で、それ以外はみんな友達だから!というか千咲、耳元でささやかれるとくすぐった―」

「そんなこと言って…ほんとは私の見てないところで浮気しようとか考えてるんじゃないんですかー?」

「んなっ!するわけないだろ!!千咲という可愛い彼女がいるのに!!」

「ほんとですかー?じゃあ、()()()それを示してください」

「…具体的には?」

「ほんとに、先輩は鈍感さんですねー」

 私は思いっきりいじわるな笑顔で、先輩だけに聞こえるような小さい、それでいて圧を掛けるような声で告げる。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。できますよねー、せーんぱい?」

「そ、それは…」

「…なーんて、冗談ですよ冗談!なに真に受けようとしてるんですか」

 先輩の少し怯えるような顔をを見て思わず笑ってしまう。ちょっとやりすぎちゃったかな?

「友達は大切にしないといけないんですよ、先輩わかってますか?」

「わかってるよ。でも千咲が…」

「それは先輩が悪いんです。私がいるのにずーっとスマホ見てたじゃないですか。だからちょっといじめたくなったんですよ」

「…それは俺が悪かった。謝るよ。ごめん。でも、俺はちゃんと千咲のことだけが好きだから。そこは勘違いしないでくれ」

「それはわかってます。わかってますけど…やっぱり行動で示して欲しいな、なんて…」

 私は先輩の背中から離れて今度は先輩の目の前に座る。そして顔を先輩の方に向けて目をつむる。

 鈍感でもさすがにこの意味は分かってくれたみたいで、先輩は私をそっと抱きしめ、ほどなくして唇が触れ合った。

 


 

夜のひと時(在原七海)

 

「じゃあそろそろ俺は戻るからな」

「うん、おやすみ、お兄ちゃん」

「ああ、おやすみ」

 そう言って、暁君は窓から壁伝いに自分の部屋に戻っていく。

 任務の後は必ず暁君にわたしの部屋に来てもらうようにしている。怪我をしてたら治してあげたいという表向きの理由もあるのだが、深夜に暁君と二人きりの時間を作りたいというのももう一つの理由だ。

「この時間はわたしだけのものなんだから…」

 今の暁君には式部先輩という彼女がいる。二人は一緒に研究をしているということもあり、昼間はほとんど一緒に居る。

 でも、わたしは暁君の妹だし、仕事の相棒だし。二人きりの時間だって欲しくなる。

 さて、今日も暁君の元気そうな顔を見れて満足したし、明日も朝から授業だし早く寝ないと。あ、暁君が出ていった窓、ちゃんと閉めとかないとね。

「…あれ?暁君?」

 わたしが窓に近寄った時、階下にある暁君の部屋の窓から人影が出てくる。その人影は壁を伝ってそのまま―

「あそこは…式部先輩の部屋…」

 …そうだよ。暁君は式部先輩と付き合ってるんだよ。夜だって、一緒に居たいに決まってるじゃん。

 それに、わたしだって暁君と式部先輩が仲良くしてるのは嬉しいって思ってるよ。でも…でも…!

「この時間に暁君と会えるのは、わたしの特権だって、思ってたのに…」

 ダメだ。今見たことは忘れて、早く寝てしまおう。

 窓を閉めると同時に自分の心の蓋もしっかりと閉める。『妹』であり続けるために―


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