水平線上のノア   作:野生のムジナは語彙力がない

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お帰りなさい!指揮官様!

タコの脅威を伝えつつ、他の参加者を探す指揮官とキラスターは、ビーチで黛ら極東出身者たちと遭遇する。お昼時という事もあり、みんなでBBQをするの運びになるのだが……

それでは、続きをどうぞ……


第4話:BBQと誘惑の日焼け止め

非公式夏イベント『水平線上のノア』

第4話:BBQと誘惑の日焼け止め

 

 

 

 

 

『水着を盗むタコ』の脅威を伝えるべく、依然として指揮官とキラスターは海水浴の参加者を探してビーチを進んでいた。

 

 

 

 

 

「ねーねー指揮官、あそこに誰かいるよ?」

 

(あれは…………黛だね)

 

砂浜に立てられた大きなパラソルの下でくつろいでいるその人物を見て、指揮官の脳裏に一瞬「素通りしようか」という言葉がよぎった。

 

「あれ? なんかテンション低くない?」

 

(いや、何でもない……)

 

キラスターの言葉にそう返しつつ、2人は黛の元へと向かった。水着姿の彼女は砂浜に敷かれた白いシートの上に座り、まるで眠っているかのように目を瞑っていた。だが指揮官の接近に気づくと急に目を開け……

 

「…………」

指揮官を見てニッコリ……と、意味ありげな表情を浮かべるのだった。

 

(…………)

 

そんな黛の笑みにヒヤリとしたものを感じつつも、例の『タコ』のことを伝えなければならない為、指揮官は渋々といった様子で黛の元に足を運んだ。

 

「指揮官、待ってたのよ〜?」

 

指揮官がパラソルの下に入ると、そう言って黛は妖艶な笑みを浮かべ、見せつけるようにして足を組んだ。シミひとつない色白の肌、一切の無駄がない引き締まった体つき、むちむちとした太腿、そして圧倒的な存在感を誇る巨大な双丘……

 

肌色面積の広い水着を着ていた為、否が応でもその大きさが強調されている。

 

キラスターは思わず、自身の胸と見比べた。

「ぐぬぬ……」

そして落胆した。

 

(黛……気分はどう?)

 

「最高よ〜。設備的には前に指揮官が貸切ってくれたビーチには劣るけど、広々としているから開放感があっていいわね! もういっそのこと、上着どころか水着も脱いじゃいたい気分よ〜」

 

(いや、流石にそれはやめてね)

黛が水着の留め金に手をかけたのを見て、指揮官は思わず身構えた。

 

「ん、それってつまり……私の裸を他の人に見られたくないってこと? もう、指揮官ったら欲張りさんなんだから〜」

 

(いや、というか基地の風紀的に……)

 

「うふっ……わざわざそんな堅い言葉を使って私を止めようとしなくても、私は貴方だけの黛さんですよ〜? 何ならいつでも見せてあげるし、言ってくれればいつでもイイコトしてあげるから……」

 

(あのね……)

 

「ふふっ……冗談よ〜」

 

冗談に聞こえないんだけど……

黛にからかわれていることに気づいた指揮官は、気を取り直すかのようにして小さく咳払いをした。

 

(そういえば臙脂は?)

 

「もー、せっかく人が積極的にアプローチしてあげてるのに、指揮官はすぐ他の女に目移りしちゃうんだからー!」

 

(他の女って……お姉さんでしょうに)

 

「ふふっ……冗談よ〜。姉さんなら、お昼ご飯の準備があるって少し前にここを離れたわ。もう少ししたら戻ってくると思うから……それまで、私とイイコトしましょ?」

 

(あー……魅力的な提案だけど、その前に1つ報告しておきたいことがあって……本当は臙脂と一緒に聞いて欲しかったんだけど)

 

「んー? 愛の告白とか?」

 

(いや、そうじゃなくて……)

 

「なるほどね。つまり私たち姉妹を侍らせて〜」

 

(違うから!)

 

 

 

 

 

黛のペースに流されてしまわないようにしつつ……指揮官はそこで、当初の予定通り『水着を盗むタコ』について黛に説明した。

 

 

 

 

 

「ふーん、それはエッチなタコさんね〜」

 

指揮官の説明を聞くと、黛はさらに妖艶な笑みを浮かべて指揮官のことを見つめた。

 

(そういうわけだから、気をつけてね……)

 

「なるほどね。つまり、指揮官は私がタコに襲われて、すっぽんぽんにひん剥かれてしまうのを期待しているってことね?」

 

(期待してたら報告しないから……)

 

「それか、エッチなタコさんのエッチな触手で私が█████されるのを期待しているのね? 触手に全身を纏わり付かれ、ブヨブヨとした皮膚からは████粘液が滴り落ち、██の効果を持つそれを全身に塗りたくられ、感度3,000倍、あられもない姿になった私の████を███と開き、タコさんは████し込んでくる。それだけではなく、全身の█という█全てに██が█████……」

 

(はいアウト! ストップストップ!!!)

 

突然、黛の口から飛び出してきたアレなワードの数々に指揮官は慌てた。隣にいたキラスターも思わず顔を赤くしている。

 

(というか、水着を盗む以外で特に何かすることはないって言ってるんだけど……?)

 

「でも、タコさんについてはまだ何も分かっていないんでしょ? だから、もしかしたらそういう事もあるかもしれないわね?」

 

(怖いからやめて……)

 

指揮官はため息を吐き、黛との会話を切り上げることにした。話をするだけでも物凄い疲労感に苛まれたからだった。

 

(それじゃあ、臙脂にも伝えといてね)

 

「ああん、待ってよ〜」

 

そう言って臙脂の元を去ろうとした指揮官だったが、パラソルの下から出ようとしたところで黛に腕を掴まれ、止められた。

 

「折角だから、私とイイコトしましょ?」

 

そのまま、黛は流れるような動きで指揮官の腕を抱き、その豊満な双丘の谷間に腕を挟み込んできた。

気恥ずかしさから、指揮官は黛の拘束からやんわりと逃れようとするも……極東の諜報員という事もあり黛の力は想像以上で、まるで大蛇に絡みつかれているように身動きが取れなかった。

 

(いや、流石にそれは……)

 

「ふふっ……大丈夫。むっつりスケベな指揮官が考えているような事じゃないから〜♪ まあ、君がそういう事をして欲しいんだった、何だってしてあげるんだけどね〜」

 

(…………それで、何したいの?)

 

黛が満足してくれさえすれば解放してくれるだろう……そう思い、指揮官はせめて手早く終わらせようとそう聞いてみた。すると、黛は恥ずかしそうに顔を赤らめ、そして指揮官の耳元に唇を寄せ……

 

「……日焼け止め、塗り直して欲しいの」

 

(ああ、それくらいだったらまあ……)

 

黛の囁きに、指揮官は軽く頷いてみせた。

「ふふっ、ありがと〜」

黛は小さく微笑むと、多種多様な化粧品が入ったバスケットの中から日焼け止めクリームのチューブを取り出すと、蓋を開けてその中身を自身の掌に落とし……

 

(ん……? 塗って欲しいんじゃないの?)

 

日焼け止めを塗って欲しいと言いつつ、なぜ自分の手につけたのだろうか? ……指揮官がそんな疑問を抱いていると……

 

「うん、その前に……ね」

黛はそこで、キラスターを手招きした。

 

「え? あたし?」

 

「貴方、紫外線対策してる?」

 

「あー、うん。必要だって指揮官に言われたから、去年買ったものがまだ残ってたからちゃんと塗ったよ? 確か……サラダオイルってのを……」

 

(塗ったの!? サラダ油を!?)

 

「サンオイルね?」

 

「そうそれ!」

 

(言い間違えにも程がある……)

 

「ふふっ……」

黛はキラスターに優しく微笑みかけた。

 

「でも、別に肌を焼きたいわけじゃないんでしょ? 使ってるオイルも安物みたいだし……あら、すっかり落ちちゃってるじゃないの……これじゃあ効果はないわよ」

 

「え、そうなの?」

 

「海に入った後に塗り直さなかったのね? それにサンオイルだと、肌の老化の元になる紫外線を防げないから、折角の綺麗な肌が台無しになっちゃうわよ?」

 

「えぇー……それは困るなぁ……」

 

「そうよね! だからこれ使ってみましょう」

 

そう言って黛は、掌につけた日焼け止めクリームを示した。言うまでもなく、キラスターに塗ってあげるつもりなのだろう。

 

「SPF50でPA+++のこれならその心配は要らないわよ? さらにウォータープルーフが付いているから、水遊びした後でも塗り直す必要はないし」

 

「へー! なんだかよく分からないけど凄そうだねそれ! 塗って塗って〜☆」

 

「ふふっ……それじゃあ、ここにうつ伏せになってね」

 

キラスターがシートの上にうつ伏せになると、黛は慣れた手つきで水着の紐を解き、彼女の白い背中を晒した。

 

「むー! 指揮官、変なとこ見ないでよね!」

 

(分かってる)

 

上半身だけ、しかも大切なところは隠れているとはいえ、指揮官の前で裸を晒すことに抵抗を感じるのか、キラスターは頬を膨らませて指揮官を流し見た。

なのでキラスターのプライバシーに配慮して、あまり彼女のことを見ないようにするべく、指揮官は黛が日焼け止めを塗り終わるまでの間、遠くの海の景色を眺めていようとしたのだが……

 

 

数十秒後……

 

 

「んんっ……ふぅ、はぁ……はぁ…………んぅ!」

 

 

何故か、日焼け止めを塗って貰っている筈のキラスターから色っぽい声が漏れていた。

 

「ふふっ……気持ちいいかしら?」

 

「あ……そ、そこはらめぇ……ひゃん!」

 

「だめよ〜、体の隅々までちゃんと塗らなくちゃ」

 

「で……でも、はぅん!? や……やらぁ……」

 

(…………)

どうしてこうなったのだろうか……

つい先ほどまで、黛から普通に日焼け止めを塗って貰っていた筈のキラスターだったが、いつのまにか喘ぎ声のようなものが聞こえてくるようになっていた。

 

一体、自分の背後で何が行われているのだろうか……? キラスターのことが心配になってきた指揮官は、彼女の様子を確かめるべく背後へと振り返った。

 

「ふぁ……」

 

そこには酷く脱力し、息も絶え絶えとなったキラスターの姿があった。俄かに紅潮した肌、その瞳はハイライトを失い、口からはだらしなく涎が垂れ、時折その体がピクンと震えている。

 

元気なキラスターらしからぬ、そのあまりの乱れように指揮官が目を離せずにいると……指揮官の視線に気づいたのか、キラスターの背中に日焼け止めを塗っていた黛がウィンクしてみせた。

 

「ほら、貴方が変な声出しちゃうから、心配になった指揮官が見てるわよ?」

 

「だ…………だめぇ…………みないでぇ……」

 

「うふっ……それじゃあ、このまま指揮官に見られながら気持ちよくなってね〜」

 

「や……やらぁ…………きもちいの、もう……ッ」

 

「ん……これで、お・し・ま・い」

 

黛は小さく頷くと、キラスターのうなじをサッと撫で上げた。たったそれだけの動きにもかかわらず、キラスターはひときわ大きく体を震わせると、そのまま動かなくなってしまった。

 

(キ、キラスター……?)

 

指揮官はそこで、うつ伏せになっているキラスターの顔を覗き込んでみると……彼女はすうすうと息を漏らして眠っていた。

それも、とても心地良さそうな顔をして……

 

「ふふっ……気持ちよくて眠っちゃったみたい」

 

(……日焼け止め塗ってただけだよね?)

 

「当たり前じゃない〜」

 

(いやいや、おかしいよね!?)

 

まさかさっきの日焼け止めクリームの中に何か入っていたのではないだろうか? 指揮官がそう思っていると、黛は指揮官の頭を見透かしているかのように不敵な笑みを浮かべた。

 

(何、今の……?)

 

「まあ、そんなことよりも……邪魔者はこうしていなくなったから、さっそく日焼け止めを塗り塗りして貰おうかしら〜♪」

 

そう言って黛はキラスターの体をシートの端に転がすと、自分はシート中央にうつ伏せになって水着の結び目を解き始めた。

一方、キラスターは派手に転がされたにもかかわらず一向に起きる様子がなく、むしろ丸出しになった自分の胸など御構い無しといった様子で爆睡していた。

 

仕方なく、指揮官はその辺にあったタオルをキラスターの体に被せてやり、それから黛の方へと視線を向けた。

 

(…………)

 

「君、どうしたの〜?」

 

(……その、相変わらず綺麗だなって)

 

シートの上に寝そべる黛の背中を見て、指揮官は率直な感想を述べた。水着の結び目を外したことで、上半身だけが生まれたままの姿になった黛の体は、間近で見ると芸術品のように美しかった。

 

シミひとつない白い肌、引き締まったお腹周りは誰がどう見ても理想のプロポーションであり、水着から少しだけはみ出した臀裂はセクシーなことこの上なく……

また、肩甲骨から腰にかけて伸びる胸椎の筋は普段あまり見ないこともあって、いやらしささえ感じてしまう程だった。

 

「そう? ふふっ……ありがとう。貴方に褒められるとすっごく嬉しくなっちゃうわ」

 

目を細めて喜ぶ黛を見て、指揮官はバスケットの中に収められた多種多様な化粧品のことを思い出した。チラッと見た限りではあったものの、日焼け止めだけでも5種類以上はあったことから、黛の美容に対する真面目な努力が伺えた。

 

努力したからこそ得られた美しい体。そして、自分はそれに触れることが出来るのだ……そんな思いからくる劣情を理性で抑えつけながら、指揮官は黛の用意した日焼け止めクリームを手に取った。

 

(それじゃあ、始めるよ)

 

「ふふっ……優しくしてね」

 

まるでそういう関係であるかのように言葉を交わして、指揮官は黛の背中に日焼け止めを塗り始めた。

 

(…………)

 

「ん…………あんっ!」

 

(…………)

 

「ぅん……はぁん…………ぁぁん、上手……」

 

黛のスベスベの肌が、指揮官の手によって白く染められていく。優しくしてと頼まれたこともあり、指揮官は黛の繊細な肌を傷つけてしまわぬよう細心の注意を払って日焼け止めを塗ってあげているのだが……

 

それが逆に、女性の体を愛撫するような手つきとなってしまっていた。指揮官は普通にやっているつもりなのだが、程よい力加減と手捌きは黛を喜悦へと導き、彼女の口から艶やかな声を漏れさせた。

 

(黛……その、やりにくいんだけど)

 

「だってぇ、相変わらず君の手が気持ちいいからぁ……つい声がでちゃうのぉ……というか、去年と比べると格段に上達したみたいね? はぁぁ……とっても嬉しいわ」

 

心地よさのあまり黛の体が時折小さく震えた。

その振動はうつ伏せになったことで妖艶に潰れた双丘にまで伝わり、豊満なそれをいやらしく揺らせた。

 

(…………)

その光景に思わず、指揮官は黛の背中に向けていた視線を彼女の下で潰れた双丘に向けてしまうのだが……

 

「ふふっ……君のいやらしい視線、感じるわぁ」

 

黛の呟きに、指揮官は慌てて視線を元に戻し……それから黛の胸に目が吸い込まれてしまわないよう注意しながら、彼女の背中に日焼け止めを塗り込む作業に集中するのだった。

 

(ん……こんなもんかな、お疲れさま)

 

「…………んっ」

 

一通り日焼け止めを塗り終えて指揮官がそう告げると、黛は礼も言わずに起き上がり、そのまま指揮官に背を向けたままの状態でシートの上に落ちていた水着を拾い上げた。

そのまま水着を着直してくれるかと思いきや、黛は首に紐をかけただけで動きを止めた。このままでは、少し風が吹いただけでめくれ上がり、大事な場所が丸見えになってしまう……

 

「黛さん、その気になっちゃった」

しかし、それにもかかわらず黛は指揮官へと振り返った。

 

そこで指揮官が目にしたのは……キラスターの時と同様、肌を俄かに紅潮させた黛の姿だった。

その瞳には恍惚とした色が灯り、セクシーに足を組み、そして外れかけた水着に零れ落ちそうなほど大きな巨峰を腕で抱える姿は、酷く官能的だった。

 

「ねえ指揮官……前も塗って欲しいなぁ」

 

(いや、それは自分でやって……)

 

「ふふっ……まあ、そう言わずに……今なら誰も見ていないし、君のために大きく育ったこの胸を好き放題触ってみたくない? それとも、今更胸くらいじゃ満足できないかしら?」

 

(目的がすり替わってるけど……)

 

「気にしない気にしない♪ 」

黛はそう言って、胸を寄せて強調してみせた。

 

指揮官の目の前に、圧倒的な存在感を放つ魅惑的な双丘が迫る。そのあまりの光景に指揮官は目を釘付けにされ、最早逃げようという気にはなれなかった。

そしてキラスターは未だ起きる気配がなく、もはや両者を妨げる者など何もない……その事実に、指揮官の理性が吹っ飛びかけた。

 

……その時だった

 

(うわっ!? 冷た……!)

 

突然、どこからともなく指揮官の顔に水が飛んできた。当初、打ち上げられた波が風に吹かれ、飛んできたと思われのだが、どうやら違うようで……

 

「へへへ〜、命中ぅ!」

 

(え? この声は……)

 

海側から聞こえてきたその声に指揮官が視線を向けると、海中から1人の少女が飛び出してきた。

 

(少羽……)

 

「やっほ〜、実力と美貌を兼ね備えた未来のミラージュクロス最有力候補……宏少羽だよ!!!」

 

(うん、知ってる)

 

砂浜に降り立ち、盛大な決めポーズと共に名乗りを上げた少女……宏少羽を見て、指揮官は苦笑いを浮かべた。

他の参加者たちと同様、水着姿の彼女は左手に網を持ち、右手に大きな水鉄砲を抱ていたことから、状況的に見ても指揮官の顔に水をぶっ放したのは彼女であることが分かる。

 

「指揮官、どう? あたいの水鉄砲の威力は? 遠く離れた海からでも抜群の命中精度を誇る、あたい専用の水鉄砲! ふふふ……びっくりした?」

 

(うん、お陰で助かったよ……ありがと)

 

「エ? なんで感謝するの……」

 

思わぬ指揮官の反応に、宏少羽は疑問符を浮かべた。というのも、つい先ほどまで黛から誘惑を受けていた指揮官にしてみれば、頭が冷えて理性を取り戻せたからである。

 

「時間切れね……あーあ、残念」

黛は水着を着直し、つまらなさそうに拗ねてみせた。

 

(ところで少羽、左手に持ってるそれは何?)

 

「あー、これ? ふっふっふ〜、よくぞ聞いてくれた!」

 

宏少羽が左手に抱えていた網について指揮官が尋ねてみると、彼女は高らかに笑って網を広げ、その中身を披露した。

 

「これが今回の戦果よ!」

 

網の中には沢山の魚が収められていた。

それだけではなく、網の底にはサザエやハマグリなどといった貝類もいくつか見受けられた。

 

(おお……凄い、これ全部1人で?)

 

「当然の結果よ! ここの魚たち、なぜか警戒心があんまりなかったから、手掴みでもこれだけ獲れたよ!」

 

(手掴みで!? すごすぎ……)

 

なんでもないようにそう言ってみせる宏少羽に、指揮官は驚きを隠せなかった。

 

「もうお昼時だし、早速食べるとしよう! あ、沢山獲ってきたから、指揮官も食べていくといいよ!」

 

(食べるって、調理道具もないのに……?)

 

「勿論、そのまま食べるけど? 魚を生で食べる文化は日ノ丸にもあるし、お皿はそこら辺の葉っぱで代用できるし! 火を起こせば焼き魚にも出来るからね!」

 

(ワイルド……)

 

どこからともなく太極剣(消毒済み)を取り出した宏少羽は、それを使って魚の下拵えを始めようとしたところで……

 

「あらあら〜、それじゃあ美味しくならないですよ?」

 

そこへ、1人の女性が姿を現した。

長い黒髪、水着姿、黛に負けず劣らずグラマラスな体つき、艶やかな雰囲気を放つその人物は、何やら大きな鞄を抱えていた。

 

「あら、姉さん。遅かったわね」

 

「ふふっ、お待たせ〜」

 

それは黛の姉……臙脂だった。

彼女はパラソルの近くまで来た臙脂は砂浜の上に鞄を下ろし、それから指揮官へ優しげな笑みを送った。

 

「ごきげんよう、指揮官様」

 

(ごきげんよう、臙脂。それは何?)

 

「これですか? そろそろお昼時ということもありまして〜、お店から持参した調理道具を用意していたんです。BBQの感覚で、たまにはお外で料理を作るのも宜しいかと思っていましたが……ちょうど良かったみたいですね〜」

 

「BBQ! いいね!」

 

鞄を開け、臙脂がアウトドア用簡易調理キットと食材の入ったクーラーボックスを取り出したのを見て、宏少羽ははしゃぎ声をあげた。

 

(手伝うよ)

 

「いえいえ〜。礼尚往来……施されたら施し返すのがこの世の常なので〜、この場所にご招待してくれたお礼と言ってはなんですが、指揮官様は料理が完成するまでの間、ゆっくりお待ちになっていて下さい♪」

 

「そういうことなら、私も手伝うわ」

 

砂浜に調理キットを展開した臙脂は、黛と共にすぐに持参した食材と獲れたての海の幸を使って料理を始めた。

酔客酒店を経営する彼女は料理上手と評判なだけあって臙脂の手際は良く、しかも姉妹の連携プレーもあって、いくつもの料理を同時並行で作り始めた。

 

「ねえねえ、あたいも何か手伝おうか?」

 

「それでは、少羽さんにはお肉を焼く作業をお願いできますか? 食材は全部クーラーボックスの中に入っていますので……全部使い切る勢いで焼いちゃって下さい」

 

「はいよ! って……お肉これだけ? うーん、これだけだとあたし1人で全部食べちゃうよ?」

 

(そういうことなら……)

 

クーラーボックスの中を覗き込み、肉が少ないことに不満を漏らす宏少羽を見て、ある事を思い出した指揮官は早速それを実行に移すことにした。

 

「指揮官、どうしたのよ?」

 

(いや、こんな事もあろうかと……持ってたから)

 

「持ってたって……まさかお肉を!?」

 

(うん、まあね。鹿肉でよければだけど……)

 

そう言って指揮官は、どこからともなく好感度アイテム『鹿肉』(オグララ用)を数塊だけ取り出し、宏少羽へと手渡した。

 

「え……し、指揮官……これ、一体どこから出したの?」

 

(指揮官だからね。鹿肉くらい常備しているさ)

 

「うーん、いくら指揮官だからって普通……そんなもの持ち歩かないと思うんだけど……というか、肉を常温保存って……大丈夫なのよ?」

 

怪訝そうな顔をしつつも、宏少羽は渡された鹿肉を焼き始めるが……次第に肉の焼ける良い香りが広がるようになると、つい先ほどまで抱いていた疑問をなど、まるでなかったかのように目を輝かせるのだった。

 

「うーん……あれ……なんかいい匂い……」

 

(あ、起きた?)

 

役目を終えた指揮官が大人しくシートの上に座って料理が出来るのを待っていると、隣で眠っていたキラスターが目を覚ました。

 

「あれ? あたし……いつの間に寝て……」

 

(あ、今起きると……タオルが……)

 

「……え? きゃああああああ!? な、なんで服つけてないのあたし……って何見てんのよ! この変態指揮官ッ!」

 

(ぐは……!?)

 

勢いよく身を起こしたキラスターは、上に何もつけていないことに気がつくと、慌てた様子で胸を隠しつつ隣にいた指揮官を殴り倒した。

 

「本性現したわね! いくらあたしのセクシーな体を見たいからって、まさか寝込みを襲うなんて……変態! スケベ! ロリコン! 甲斐性なし! 性欲魔! うぇえーん……指揮官に見られたぁ! もうお嫁に行けなーい……」

 

(ご、誤解だ……)

 

しこたま怒った挙句、盛大に泣き喚かれ……

殴られた痛みにも相まって、指揮官はどうする事もできなかった。

この後、キラスターは姉妹の作った絶品料理と宏少羽の作った鹿肉ステーキを味わい、なんとか機嫌を直してくれるのだった。

 

「んん……いい匂いだな」

 

キラスターに続き、出来た料理を指揮官も味わっていると……今度は鬱蒼と生い茂る森側から茂みを抜けて、そこへ新たな登場人物が現れた。

 

(オグララ?)

 

「あ、指揮官みっけ」

 

それは水着姿のオグララだった。

褐色の肌を持つG.O.E.傭兵社出身のケモミミ少女は指揮官の存在に気がつくと、そこで盛大にお腹を鳴らした。

 

「指揮官、この匂い……鹿肉か?」

 

(あはは……匂いにつられて来ちゃったかな?)

 

「うん……私にも何か食べさせて」

 

(分かった。というわけで少羽、いいかな?)

 

「ふぉちろん! いまふぁらたふさん焼くよ!」

 

左手に料理の盛られた皿を持ち、口の中では焼けたばかりの鹿肉をもぐもぐさせつつ、宏少羽は指揮官から追加で渡された鹿肉を次から次へと焼き始めた。

 

「ララちゃーん、どこー?」

 

「ミア! 確かこっちの方に行ったと……って、なんかどっからともなく良い匂いがしてこないか?」

 

「くんくん……ほんとだぁ!」

 

そんな会話と共に、さらにスリーローゼス(ローズトライスター)のミア、アリス、ルルが森の中から姿を現した。例によって全員水着姿である。

 

「お! 指揮官じゃん、ねえララちゃん見なかった?」

 

(オグララなら、そこにいるよ)

 

「あ、ほんとだぁ……ララちゃーん、美味しそうなの食べてますねぇ! 可愛いでしゅねぇ!!!」

 

宏少羽の隣で、調理済みの鹿肉を幸せそうな表情で頬張っているオグララを見て、ミアもまた幸せそうな表情を浮かべるのだった。

 

「へぇ……砂浜でBBQか、いいねぇ!」

 

「うーん……美味しそうな匂いを嗅いでたら、私もお腹すいてきちゃった〜」

 

(じゃあアリスとルルも食べていってよ)

 

「いいのかい? お邪魔しちゃっても……」

 

「でも……私たちまで参加したら、食材が足りなくなるんじゃない?」

 

(ん……多分、大丈夫だと思う)

 

指揮官は確認の為に臙脂の方に目を向けると、

「大丈夫よ〜♪」

出来た料理を素早く紙皿に盛り付けながら、彼女はそう言って余裕の笑みを浮かべた。

 

「こんな事もあろうかと、魚も沢山獲っておいたから安心するがいいよ!」

 

肉を焼きながら、宏少羽もガッツポーズをしてみせる。

 

「それじゃあ、お言葉に甘えさせて貰おうかな」

 

「いただきまーす♪」

 

アリスとルルは黛から料理の入った紙皿を受け取り、2人は料理を作る姉妹と宏少羽に感謝を告げた後、料理に舌鼓を打ち始めた。

 

「食欲は満たされたけど、別の欲求はまだ満たされてないわねぇ……君もそうでしょ?」

 

指揮官に出来たばかりの料理を手渡しつつ、黛は去り際にそんなことを囁いてきた。

 

「あとで腹ごなしの運動なんてどう? 勿論、君と私の2人っきりで……なんて。ふふっ、楽しみにしててね〜」

 

(…………)

 

色っぽく、どこか挑発的な黛の視線を感じて、

指揮官は思わず頭をかいた。

 

 

 

 

第5話に続く……




黛はお色気枠! はっきりわかんだね!
(黛は攻め、エレインは受け)←指揮官に対して

ワルチャの皆様にアイデアを出して貰ったところ、「カーズとBBQ」とか抜かす不届き者がいたのでBBQだけ採用させていただきました。ムジナのアイサガではカーズは出禁なので……残念ですが

まあまあまあ……
次回、もう一度幼女します。
それでは、また……
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