再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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お知らせ。

前話の内容で隆誠が催眠魔法を使った内容については修正しました。

修正した内容を読んでいない方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんが、前話から読み直して頂けたら幸いです。


横浜騒乱編 呂剛虎との再戦

 協会で調達した武器と女性用の戦闘スーツを装備した摩利と、一高の制服のままである俺は呂剛虎が暴れてる戦場へと向かう。

 

 摩利から武装した方が良いと指摘されたが、自分が使う魔法では却って邪魔になるからと言ってある。聖書の神(わたし)がその気になればオーラを物質化した防具を作る事も可能だが、それはそれで面倒な事になりそうだから敢えて使わないでおく。

 

 俺と摩利が戦場へ向かう際、真由美達も各々行動を開始していた。

 

 真由美、エリカ、レオは予定通りにベイヒルズタワーに入って賊の捕縛に向かっている。五十里、千代田、幹比古は俺達と違って回り込んでおり、呂剛虎の後方で戦っている敵兵と戦う手筈だ。

 

 そして目撃の場所へ辿り着くと、予想通りと言うべきか、タワーの正面で戦ってる魔法師達は全滅寸前となっていた。バリケード代わりになってる装甲車も破壊されて、残りはあと一つになっている。

 

 俺の記憶が確かなら、呂剛虎は鑑別所で戦った際、俺と摩利によって相当の重傷を負っていた筈だ。にも拘らず、あそこまで派手に戦闘してるのは、味方の治療によって回復力が高まったか、もしくは……奴が身に纏っている白い甲冑らしき軽装鎧によって傷を抑えているかもしれない。

 

 どちらにしろ、非常に厄介な存在である事に変わりはない。ヘリの中でも確認したが、あの軽装鎧を纏っている奴の戦闘力は鑑別所で戦った時とは大違いだ。俺は別として、完全武装した摩利が戦ったところで敗北する確率が非常に高い。相手は世界屈指の近接戦闘魔法師と呼ばれているのだから。

 

 覚悟しているからと言っても、摩利にもしもの事があれば大事だ。真由美達だけでなく、彼女の恋人である千葉修次に申し訳が立たない。

 

 そこで俺は作戦を立てる事にした。摩利を正面に立たせて相手の意識を集中したところを、俺が横から遠当てによる奇襲を仕掛けると言う作戦を。

 

 呂剛虎は以前の戦いで彼女に屈辱を与えられた為、もし対峙すれば真っ先に襲い掛かろうとする。そこを俺が障壁魔法を貫く事が出来る遠当てを当てれば、いくら奴でも防ぎようが無い。

 

 それを聞いた摩利は一瞬考える表情となるも、ただでさえ今は二人で戦わざるを得ない状況である為、その作戦で行こうと了承してくれた。

 

 上手く行って奴が戦闘不能になってくれれば良いが、もし失敗した場合……その時は俺が責任持って呂剛虎と戦う事にするのは、今の段階で内緒にしておく。

 

 

 

 

 

 

 バリケードとなってる装甲車を破壊し、呂剛虎が悠々と前進してるその瞬間、憎むべき小娘と遭遇した。呂はまたとない雪辱の機会に歓喜した。二度に渡って自分に屈辱を与えた小娘――摩利を見て。

 

 屈辱と言えば、もう一人いた。特殊鑑別所で自身の(ガン)()(ゴン)を貫いた小僧――リューセーと呼ばれる小僧が。

 

 あの時の戦いの最中、呂は途中から一切の油断を捨て、全力で挑もうとした。本来の装備である呪法具の鎧――「白虎甲(バイフウジア)」が無かったとは言え、生身のままでも(ガン)()(ゴン)を最大にすれば、大抵の魔法を簡単に防ぐことが可能だった。なのに、あの小僧は妙な魔法を使って簡単に貫き無効化(キャンセル)しただけでなく、更には自身に相当の傷を負わせた。それが原因で小娘に二度目の敗北を与えられた為、呂にとって小僧(リューセー)も許しがたい存在であった。

 

 今は目の前に小娘しかいないが、屈辱を雪ぐ対象である一人である為、呂は襲い掛かろうとする。

 

 身構えようとする摩利に対し、笑みを浮かべながら突進してくる呂剛虎。両者の距離があと十メートルを切ろうとする――瞬間、ここで呂は突如ハッとした。『今すぐ足を止めろ!』と、己の本能と言える直感が強く叫んでいたのだ。

 

 呂剛虎は過去に己の直感を信じた事で、世界から『人食い虎』と畏怖される実力者へとなって今に至っている。自身の直感に対し微塵の疑念を抱いていない為、それに従って一旦足を止める事にした。

 

 その刹那、目の前で何かを横切った。まるで烈風の如く凄まじい勢いのある衝撃波。そしてそれはバリケード代わりになっていた半壊済みの装甲車に直撃し、破壊されながらも放物線を描くように吹っ飛んでいく。

 

 余りの光景に呂剛虎だけでなく、見ていた摩利ですら目を見開いていた。だが、それは一秒に満たぬ事で、呂はすぐに衝撃波を放った方へと視線を移した。

 

 そこにはあろう事か、鑑別所で自身の魔法を破った小僧――隆誠がいた。強く握りしめた拳を真っ直ぐ伸ばしていながら、舌打ちをしてそうな苦々しい表情となっている。

 

 先程の衝撃波は間違いなく隆誠が放ったと呂は結論する。同時に内心冷や汗を掻いていた。もし直感に従わずに摩利に向かっていたら、あの衝撃波に直撃して半壊済みの装甲車と同じ運命を辿っていただろうと。

 

 もしもアレがただの衝撃波であったなら、「白虎甲(バイフウジア)」を装備し、(ガン)()(ゴン)も発動させてる今の呂なら問題無く防いでいただろう。しかし、相手が隆誠であれば話は別だった。どう言う魔法かは未だに分からないが、あの衝撃波は(ガン)()(ゴン)を貫いた事がある為、最大級に警戒しなければならない。

 

 同時に、呂剛虎は標的を変更する事にした。あの小僧は目の前の小娘や、数日前に戦った『幻影刀(イリュージョン・ブレード)』千葉修次より、非常に厄介な相手であると確信したのだ。

 

 厄介な相手であると認識した為か、呂剛虎は先程までの雑念を捨てようと、途端に冷静な表情となった。

 

 隆誠は摩利から自分へと標的を変えた事に気付き、先程までの苦々しい表情から一変して笑みを浮かべる。まるで好都合な展開と言わんばかりに。

 

 すると、隆誠が構えた瞬間、身体から想子(サイオン)らしきモノが放出された思いきや、霧散せずに全身を覆っていく。

 

(馬鹿な!)

 

 ここで呂剛虎は再び驚愕を露わにした。隆誠が自身と同じ魔法――『(ガン)()(ゴン)』であったから。

 

 (ガン)()(ゴン)が既に各国に知れ渡っているとは言え、大亜連合は決して他国に盗用されないよう細心の注意を払ってきた。謂わば国の財産も同然である。

 

 だと言うのに、今目の前にいる小僧は間違いなく(ガン)()(ゴン)を使っている。それどころか、超高密度の想子(サイオン)を身体に纏わせており、下手をすれば自分以上の使い手ではないかと錯覚するほどだ。

 

 あの小僧がどうやって(ガン)()(ゴン)の術式を盗み、何故あそこまで使いこなせるかなんて呂剛虎は知らない。だが、そんな事は如何でも良かった。今の呂はやらなければならない事がある。あの小僧を捕縛して拉致、もしくは抹殺。更には奴の家族も拉致して本国へ連れて行き、情報を吐かせなければならない。大亜連合の財産である魔法を隆誠が盗用しているのだから。

 

(? 呂剛虎がいきなり凄いクソ真面目な表情になったな)

 

 いきなりの豹変に隆誠は内心疑問を抱いた。

 

 重大案件のように呂剛虎は考えているが、実際は違う。単なる思い込みによる勘違いであった。

 

 隆誠はチョッとばかり本気を出そうとオーラを放出させ、(ガン)()(ゴン)の真似事をしようと身体に纏わせただけだ。

 

 例え事実を知ったところで、呂は決して止まる事はしないだろう。勘違いであっても、隆誠が見せた(ガン)()(ゴン)擬きは自分以上に厄介な相手だと認識するから。

 

 そして、動き出した。今の呂剛虎は摩利を完全に放置し、隆誠を最優先に狙おうとする。

 

 

 

 

 

 

「リューセーくん!」

 

(何故俺を狙うのかは知らんが、それはそれで好都合だな)

 

 呂剛虎が突如標的を変えて此方へ突進してきた。

 

 摩利は叫びながら駆け付けようとするも、凄まじい速さで向かってくる呂剛虎と俺の距離が間近となって既に間に合わない。

 

 突進しながら正拳突きを仕掛ける奴の攻撃は、並みの人間が受けたら確実に死ぬ威力である事は間違いない。頭に当たれば吹っ飛ぶだろう。

 

 死へと誘う呂剛虎の一撃に俺は――大して慌てる事無く片手で受け止めた。その瞬間、破裂音のようなモノが周囲に響き渡っていく。

 

 攻撃を防がれたのは予想外だったのか、呂剛虎の動きが止まるも、すぐに次の行動へ移ろうとする。もう片方の拳を振るおうと、再び当てようとするが――俺も空いてる手でまたしても受け止めた。端から見れば力比べをしてる光景である。

 

「んなっ!?」

 

 呂剛虎だけでなく、摩利も脚を止めて驚愕を露わにしていた。

 

「ぐっ、ぎぃ!」

 

「ほほう。中々の力だな」

 

 そんな彼女の反応とは別に、二つの拳を繰り出す呂剛虎と、その拳を両手で使って受け止めてる俺は完全な力比べ状態となっていた。

 

 尤も、必死になってる呂剛虎と違い、俺は今も余裕な表情だった。

 

「ッ! グオオオオオオッ!!」

 

 俺の態度に気に障ったのか、呂剛虎が突然野獣のような雄叫びをあげた。その瞬間、奴の身体から凄まじい想子(サイオン)が吹き荒れようとしてる。

 

 面白い。俺も少しばかり乗ってみるとしよう。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 呂剛虎の真似をしようと、俺も全身から想子(サイオン)と言う名のオーラを放出した。 

 

 間近で交差してる為、俺のオーラと呂剛虎の想子(サイオン)がぶつかり合い、まるで嵐のように吹き荒れていく。

 

「うわぁっ!」

 

 駆け付けようとしていた摩利が少し近くにいた為か、俺と呂剛虎が噴出してるオーラのぶつかり合いに巻き込まれていた。

 

 だがそれでも、彼女は被害から免れ、俺達から距離を取っている。

 

 摩利の無事を確認した俺は視線を呂剛虎に向けると、奴は今も必死に踏ん張った表情であった。

 

 流石は世界屈指の近接戦闘魔法師と呼ばれるだけの事はある。凄まじい力と想子(サイオン)に思わず感心してしまう。

 

 これ程パワーがある相手と戦うのは久しぶりだ。前世(むかし)の頃に戦った強敵ほどではないとは言え、それでも思わず笑みを浮かべてしまいそうだ。

 

 しかしコイツはパワーだけじゃない。中国武術による洗練された動きを披露していたから、テクニックも充分に備わっている。

 

 こんな面白い相手と出会えたのは、以前に手合わせした九重寺の住職――九重(ここのえ)()(くも)以来だ。その時は彼の弟子の目が合った為、態と負ける事にした。向こうもそれを理解しながらも、敢えてそれに乗っていたみたいだが。

 

 目の前にいる呂剛虎に、そんな事を気にする必要は一切無い為、遠慮なく叩きのめさせてもらう。摩利達の目があるが、最近は色々ストレスが溜まっていた為、ここで一気に発散させてもらう。考えるのはその後だ!

 

 そう決めた所為か、呂剛虎の二つの拳を受け止めていた俺の手は思わず力強く握り締めてしまった事で――

 

「グアアァァァァァァ!」

 

 相手が悲鳴を上げてしまった。先程まで覆っていた呂剛虎の想子(サイオン)が突如霧散していく。

 

 隙を晒したので、俺は即座に遠当てをやろうと、キッと力強く睨んだ。

 

「ゴッ!」

 

 直後、俺と力比べをしていた呂剛虎は吹っ飛んでいく。

 

 このまま地面に激突するかと思いきや、奴は体勢を整えるようバク転をして、両足で地面に問題無く着地した。

 

 大した反射神経だと感心しながらも、俺は超スピードを使い、真上から仕掛ける為に踵落としを仕掛ける。

 

「ッ!」

 

 それを見た呂剛虎は両腕を掲げて受け止めようとしていたが、すぐに後退した。まるで嫌な予感がしたかのように。

 

 奴が飛び退いた事により、俺の踵落としはそのまま地面に激突した瞬間、弾け飛んだ。

 

 飛び散る地面の破片により、呂剛虎は更に距離を取ろうと飛び退いていく。

 

「少しやり過ぎたか……」

 

「「………」」

 

 俺の踵落としによって地面が陥没したどころか、小さなクレーターが出来上がっていた。その中心に立っている俺が呟くも、呂剛虎と摩利は一切聞いておらず、無言となっている。

 

 クレーターから出ようと軽く跳躍して再び呂剛虎と対峙した瞬間――

 

「オオオオォォォォォッ!」

 

 まるで隙有りと言わんばかりに、突然呂剛虎が雄叫びを上げた。更には勢いよく突進して跳躍し、凄まじい勢いで俺に踵落としを繰り出そうとしていた。

 

 さっきのお返しのつもりなのかは分からんが、俺と似た攻撃をしている。恐らく呂剛虎が振り下ろす踵には相当な想子(サイオン)で覆われており、当たれば絶対タダでは済まないだろう。例えていうなら断頭台のギロチンも同然だ。

 

 恐らく奴は自分と同じく両腕を掲げて受け止める、もしくは後退のどちらかをするかと考えている筈だ。

 

 普通ならそう考えてもおかしくないが……生憎と俺の場合は違う!

 

「甘い!」

 

「ッ!?」

 

 咄嗟に身体を少しズラして、片手で呂剛虎の片脚を受け止めた。奴が振り下ろした脚の衝撃によって、両足で立ってる俺の地面から罅が入る。

 

 それを全く気にしてない俺は、もう片方の手も使って、両手で呂剛虎の脚を掴む状態となる。

 

「おらぁぁぁぁ!!」

 

 俺は呂剛虎の片脚を掴んだまま、背負い投げの勢いで地面に思いっきり叩きつけた。奴の顔が激突した事により、地面が少しばかり陥没している。

 

 だが、未だに掴んでる俺の両手は未だに放さず、次の行動に移ろうとする。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

「ッ!?」

 

 成人男性以上に重い呂剛虎を軽々と持ち上げた状態で、俺は素早く回転しながら振り回す。プロレスで言うジャイアントスイングだ。

 

 俺にブンブンと振り回されている呂剛虎は完全に困惑してると同時に、平衡感覚がどんどん失っていく様子である。

 

「せいやぁっ!」

 

 まるで独楽(こま)のようだと思いながらも、振り回している俺は掴んでる両手を手放すように放り投げた。しかも真上に向かって。

 

 勢いよく上空へと向かっていく呂剛虎は、さっきまでの回転によって平衡感覚を失っており、完全に無防備な状態となっていた。

 

 その間に俺は追いかけようと超スピードを兼ねた跳躍をし、アッサリと追い抜いて空中停止後――

 

「はぁっ!!」

 

「~~~~~~ッ!!!」

 

 此方へ向かってくる呂剛虎の背中に向かって、自身のオーラを纏わせた状態の強烈な肘打ちで叩き落した。

 

 因みにこれはドラグ・ソボールの極悪人キャラ――究極体デルが、ベジターを仕留める時に使った攻撃である。

 

 その攻撃を受けた呂剛虎は急速に地面へと落下していき、そして陥没する様に激突した。

 

「ふむ……既に虫の息ってところか」

 

 緩やかに地面へ落下してる俺は、うつ伏せとなってる呂剛虎を見てそう結論した。

 

 両足で地面に着地した後、状態を確認しようと、片手で対象の頭を掴んで軽く持ち上げる。

 

 表情を見てみるも、思った通り呂剛虎は完全に意識を失っていた。尤も、例え復活したところで、俺の肘打ちによって体中の骨がバラバラになってるから、暫くまともに動かす事は出来ないだろう。出来ればもう少し楽しみたかったが、動けなくなった以上、もうコイツに用はない。

 

 完全に興味を失った俺は、持ち上げていた頭を手放すと、呂剛虎の顔は再びゴンッと地面に激突する。それによって起き上がる事は無いが。

 

「摩利さん、お怪我はありませんか?」

 

「………………」

 

 呂剛虎との戦闘による巻き添えを受けた摩利の身を案じて、怪我が無いか確認するも、当の本人は口を開けたまま呆然としていた。

 

「チョッと摩利さん? 摩利さん、聞こえてるなら返事して下さい。摩利さ~ん」

 

「………………」

 

 再び声を掛けながら顔の前で手を振るも、まるで石化してるかのように全く動いていない状態であった。

 

 はて? 一体彼女の身に何が起きた? もしかして戦闘による余波で頭でも打ったかな?




呂剛虎との戦闘で隆誠の圧倒的勝利な展開となりました。
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