再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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フライング投稿です。


来訪者編 不名誉な呼び名+勝負

「シュ、『シューティング・スター』って……ぷっ」

 

「ず、随分と凄い渾名ね……」

 

 午後の休み時間に入った俺は、昼休みで司波達とリーナで食事した時の事を修哉と紫苑に話していた。

 

 案の定と言うべきか、修哉はリーナが俺に向かって言った不名誉な渾名に噴出しており、紫苑は笑いを堪えながらも苦しいフォローをしてくれた。

 

 チョッとばかり俺が睨みながらデコピンの仕草をした途端、笑いかけていた修哉は即座にゴホンゴホンと咳払いをする。本気でやると理解した他、俺のデコピンの痛さは身を以て知っているから。

 

「そ、そもそも、何でそんな渾名で呼ばれたんだ。理由は勿論あるんだろ?」

 

「ああ」

 

 気を取り直すように修哉が改めて問うと、俺はその時の事を話した。

 

 リーナに聞いた際、俺を『シューティング・スター』と名付けたのはUSNAのお偉方のようだ。まるで鮮烈に登場した『流星(シューティング・スター)』であった他、名前の「りゅうせい」を英語表記にすれば同じと言う理由で命名したらしい。

 

 高校生が行う九校戦は日本だけでなく各国からも注目しており、それは当然USNAも含まれている。リーナは楽しみの一つとして観ていると言ってたが、本当は敵情視察じゃないかと疑念を抱くも、敢えて気にしない事にした。

 

 俺が出場した九校戦の競技でやったアイス・ピラーズ・ブレイク、そして途中出場したモノリス・コードを見て、とても凄いインパクトを与えられたようだ。

 

 アイス・ピラーズ・ブレイクでは、秒殺とも言える速さで光の魔法で勝利。モノリス・コードでは途轍もないスピードを見せて、更には凄い剣技を使って相手を倒した事に、リーナがいるハイスクールでは非常に大興奮の嵐だったようだ。

 

 いくら何でも大袈裟過ぎじゃないかと思ったが、司波達は何故かリーナの話を聞いて納得する様に頷いていた。まるで俺が普通じゃないような感じに言うから、チョッとばかり司波達に強めのデコピンをしてやろうかと思ったのは内緒である。

 

 他にも疑問を抱かれていた。アイス・ピラーズ・ブレイク決勝戦では何故棄権したのかと。それはチョッとした事情がある為に言えなかった為、あの時は本当に体調不良であると誤魔化した。

 

 因みにその件については、以前俺にしつこく真実を追求しようとしていた司波妹や、留学中の北山も既に知っている。公にならないよう九島が箝口令を敷いていた事を知った二人は、俺に頭を下げて謝罪済だ。

 

 そう言う裏話は抜きにして、俺が九校戦で大活躍したのを知ったリーナは、機会があれば会ってみたいと考えていた。と言っても、それは去年の事だった為、俺を見てすぐには思い出せなかったようだが。

 

「へぇ~。やっぱりアメリカでもリューセーを注目してたんだなぁ」

 

「みたいね」

 

 日本だけでなく、留学生のリーナからも高評価されていた事に修哉はチョッとばかり嬉しそうだった。対して紫苑は逆に少しばかり考えるような仕草をしている。

 

「あ、話を戻すようで悪いけど、お前の渾名に誰か笑っていたんじゃないか?」

 

「多分だけど、千葉さんが大笑いしてたんじゃないの?」

 

「正解」

 

 リーナが俺の渾名について話している最中、紫苑の言う通り、エリカの奴が大爆笑していた。

 

 レオや柴田が止めようとしても、学食全体に響かせるよう笑っていた事に俺も流石にチョッとばかりキレて、力付くで黙らせる事にした。少し強めの指弾をエリカの額に当てた瞬間、座っていた椅子ごと後ろにひっくり返り、その痛みに悶えるエリカの姿にリーナはポカンとしていたが。

 

 それについても二人に教えたら、修哉と紫苑はエリカに同情していたが、同時に自業自得だと言っていた。大笑いしていたエリカが悪いと言う事で。尤も、それは彼女の友人である司波達も同様に思っていたみたいで、誰一人俺に対して非難しなかった。その後はエリカに食ってかかられたが。

 

 すると、紫苑は何か気になっていたのか、俺に別の質問をしてくる。

 

「そう言えば、そのアンジェリーナさんのフルネームの中に『クドウ』って入ってたけど、もしかして十師族『九島』の関係者なのかしら?」

 

「ああ。どうやら彼女は九島閣下の弟さんの血縁者のようだ」

 

 その話題は司波が振っていた。九島の弟が渡米して、そのまま家庭を築かれていたと確認する様に。

 

 それを聞いたリーナは当たりのように頷き、彼女の母方の祖父が九島閣下の弟だと正確に教えてくれた。

 

 まだ話を続けようとしたが、休み時間終了のチャイムが鳴った為に、俺達は授業の準備をせざるを得なく一旦中断した。

 

 

 

 

 

 

 リーナは留学して初日から、全校生徒で知らぬ者はいないと言う存在になった。決定的な要因としては容姿である。

 

 これまで学校一の美少女は司波深雪で、上級生だけでなく、女子生徒も含めて衆目の一致であった。

 

 だけどリーナの編入によって美少女の『双璧』となった。数日も経たない内に。

 

 そして現在、学校で絶賛話題となってる美少女のリーナは、第2演習室でとある男子生徒と対峙している。

 

「リューセー、行くわよ」

 

「どうぞ。カウントはそちらに任せる」

 

 その男子生徒は俺――兵藤隆誠が彼女の相手をする事となった。

 

 向かい合う距離は三メートルで、その真ん中には、直径三十センチの金属球が細いポールの上に載っている。

 

 留学生とは言え、一科生である筈のリーナが、二科生の俺と何故こうなっているかは勿論理由があった。

 

 修哉達に話した通り、リーナは俺が九校戦で活躍した事を知っている。そして会いたいと思っていた他に、一度勝負してみたいと向こうから直々のご指名を受けたのだ。

 

 本当なら彼女の相手は俺じゃなくて司波深雪がする筈だった。けれど、留学生であるリーナの意思を尊重すると言ったので、急遽俺が相手をする事になっている。

 

 これには当然、他の一科生達は面白くない反応を示すも、相手が俺だからかそんなに強く抗議出来なかった。反対する奴も一応いたのだが、リーナから『じゃあ貴方はリューセーより強いの?』と質問された瞬間、肯定も否定もせずに引き下がる事になった。情けないったらありゃしない。

 

 俺の参戦に誰も異論が無かった為、急遽一科生(リーナ)VS二科生(おれ)との勝負になった。それ故に、この第2演習室には一科生達だけでなく二科生達もいる。因みに司波一行や俺の友人達も見学中だ。

 

 中二階の回廊状見学席には、自由当校になった三年生がずらりと並んでいる。チラッと見た時には当然と言うべきか、真由美と摩利の姿もいた。真由美と目が合った瞬間には『負けないように』と強く訴えていたような気がする。

 

 勝負の内容は同時にCADを操作して中間地点に置かれた金属球を先に支配する、というシンプルな内容だ。先月から始まっている実習でもある。

 

 シンプルであるが故に、単純な力量差が露わになる勝負であるからこそ、リーナはそれを選んだのだ。

 

「スリー、ツー、ワン」

 

 カウントの「ワン」と口にすると同時に、俺とリーナは揃って実習用のCADであるパネルの上に手を翳した。

 

「GO!」

 

 最後の合図の瞬間、俺の手がパネルに触れ、リーナの手がパネルに叩きつけている。

 

 眩い想子(サイオン)の光輝(に見せた俺のオーラ)が、金属球の押されようとするところを、リーナの想子(サイオン)が阻止するように重なり合って爆ぜた。

 

 光輝が一瞬で消えた後、金属球がリーナへ向かってコロコロと転がっていく。

 

「うっそー、また負けた!」

 

「そろそろ止めにしないか、リーナ。もう四連敗だぞ」

 

 盛大に口惜しがるリーナと、呆れたように言い放つ俺。

 

 このやり取りでもう分かるだろうが、今の勝負は俺の勝ちだった。四連敗とは勿論リーナの事で、俺の圧勝と言う意味でもある。

 

 

 

 

「……やっぱり噂の留学生でも勝てないみたいね」

 

「司波妹なら互角の勝負をしていただろうが、相手がリューセーくんではな……」

 

 中二階の回廊状見学席にいる真由美と摩利は、隆誠の勝利を初めから予想していたように見届けている。

 

 二人はもう既に理解しているのだ。隆誠の実力が自分達より遥かに上であると言う事を。

 

 隆誠は九校戦で見せた魔法や剣技だけでなく、去年の横浜侵攻では防衛に貢献。そして極めつけには一人で呂剛虎と真っ向勝負して勝利すると言う、直接見ていた摩利が現実逃避する程の成果をあげている。後に真由美や(軍経由で知った)達也も同様の反応をしていたが。

 

「あの様子では、全く本気を出していないようだな」

 

 焦りの欠片を全く見せていない隆誠の表情に、摩利は少しばかり呆れるように言っていた。彼女の言う通り、隆誠は本気を出していないどころか手加減している。もし本気でやろうものなら、リーナが「GO!」と言った瞬間に金属球が倒れるから。

 

「ある意味、達也くんより性質が悪いわね」

 

 真由美の呟きが隆誠と達也が耳にしたら、聞き捨てならないように抗議するだろう。

 

 彼女としてはどちらも大事な後輩と見ているが、もし比較をするのであれば、親しみやすい隆誠を選ぶ。今も自分の事を名前で呼んでくれる男子の後輩が隆誠だけであるから。

 

「リューセー、もう一回よ! 今度は本気でやりなさい!」

 

「何を言ってる? 俺はちゃんと――」

 

「嘘ね! ワタシの目は誤魔化せないわ!」

 

 心外だと言い返す隆誠にリーナが即座に否定した。

 

 彼女の台詞に周囲がざわめき出している。特に一科生が中心となって。

 

(やはりリーナも気付いていたか)

 

 更には二科生の観客として混じっている達也もリーナと同じく見抜いていた。精霊の眼(エレメンタル・サイト)を態々使わずとも、隆誠の余裕そうな表情(かお)を見ただけで、さっきまでの勝負は全然本気でやっていない事を既に分かっていたから。

 

「何回もやって分かったわ。貴方が全然本気じゃないって事がね! だから本気を見せなさい!」

 

「………それが正解であったとしても、そう言う台詞は先ず一度でも俺に勝ってから言え」

 

「うぐ!」

 

 確かにこれまで全戦全敗しているリーナが、相手に全力を出せと言える台詞では無かった。

 

 他の一科生達としては彼女をフォローしたい気持ちであったが、忌々しそうに隆誠を睨むだけで精一杯だった。下手に口を出せば、確実に隆誠の標的になってしまうと分かっている為に。

 

 逆に二科生達は隆誠が何度も勝利してる事で気分良さそうに見ていた。今まで一科生達の独壇場であった為、同じ二科生である隆誠が活躍してるから、自分の事ではないと分かってても、それでも優秀である一科生に勝利するのが嬉しいのだ。

 

「つ、次はワタシが勝つわ! もう一度勝負よ!」

 

「はいはい」

 

 一科生と二科生の立場が逆転したような構図になっているが、それに全く気付いていないリーナは再勝負をするのであった。

 

 その後、勝負は四回繰り返されるも、合計八対〇で隆誠の圧倒的勝利(ワンサイドゲーム)となって終了した。

 

「リューセー、また明日勝負しなさい!」

 

「無理」

 

 完全涙目状態になってるリーナが再勝負しろと言うも、予定があるからと言う理由で断る隆誠。

 

 それから数日の間、彼女は頻繁に1-Fを訪れて隆誠に勝負を挑み続けるのであったとか。




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