再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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サブタイトルで一体何の恨みだと疑問に思われるでしょうが、読めば分かります。


来訪者編 日頃の恨み

 学校へ来て早々、まるで待ち受けるように1-Fの扉付近にエリカと幹比古、そして司波がいた。エリカが俺を見た途端に「付いて来て」と、まるでリーダーみたいな振る舞いをしてる事に、男性陣の俺達は苦笑せざるを得なかった。

 

 誰もいない空き教室へ連れて来られた後、情報交換をする事となった。そんな急いでやる必要は無いんじゃないかと言うも、向こうはすぐにでも情報が欲しかったらしい。特にエリカが。

 

 友人(レオ)思いだなと思いながらも、俺は言われた通りにしようと、昨夜の内容を話した。吸血鬼が複数いる他、交戦した仮面の女以外にも仲間がいて吸血鬼を狙っている事を。九島に相談した際、吸血鬼や仮面の女達がアメリカからやってきたと判明した内容は伏せている。一般人の立場である俺が、超大物である九島と電話して相談するのは普通にあり得ないから。

 

 此方の情報を一通り聞いたエリカと幹比古は驚きを露わにしていた。レオを襲った吸血鬼以外にも仲間がいたと言う事実に。ソレとは別に、仮面の女に関しては何となく予想していたようだ。エリカ曰く、「あんな超一流の技量を持った魔法師に仲間がいないなんておかしい」だそうだ。因みに司波に関しては大して驚いた様子を微塵も見せていなかった。ただ黙って聞いている、と言う感じで。

 

 他にもないかと催促されるように問われるも、昨夜に知ったのはここまでである事を言うと、次に幹比古が話してくれた。エリカは聞くだけ聞いて、もう如何でも良さそうな感じになっているが。

 

 幹比古が教えてくれた情報は、俺が能力(ちから)を使って頭の中で探った内容と同じであった。吸血鬼の正体がパラサイトであり、エリカ達がレオの敵討ちをしようと渋谷を見張っていた事も含めて。

 

 お互いに情報交換を終えたので、俺達は教室へ戻ろうとするも――

 

「兵藤、学校に来る途中で七草先輩に会わなかったか?」

 

 エリカと幹比古が空き教室から出たのを確認したように、司波が突然そんな事を訊いてきた。

 

「いや、会ってない。ってか、何故真由美さんが出てくるんだ?」

 

 いきなりだったので俺は素直に答えると、「会ってないなら気にしないでくれ」と言って司波は颯爽といなくなった。

 

 ……アイツが俺にあんな事を訊いてきたのは、何か理由がある筈だ。そして、真由美が司波に会った事も含めて。

 

 これはまだ確定じゃないが、もしかしたら真由美は――正確には十師族側が昨夜の件に気付いたのかもしれない。吸血鬼の捜索中に俺達が独自に動いていた事を。

 

 

 

 

 

 

「――と言う訳でリーナ、君には生徒会役員の書記になってもらうよ」

 

「ええ、分かったわ」

 

 授業が終わった放課後。と言っても、今日は土曜日である為、昼前から終わっている。

 

 今日は急を要する案件があった為、俺は生徒会室にいた。その案件が、目の前にいるリーナに関する事であるから。

 

 既に知っての通り、リーナは見目麗しい留学生である為、司波妹に並ぶ美少女の双璧と呼ばれる程の人気者となっている。そんな有名な彼女はクラブに興味が無いように無所属(フリー)であった為、各クラブの部員達が入部させようと、水面下で激しい勧誘合戦が繰り広げていた。因みに俺がいる剣道部は一切やってない事を補足しておく。

 

 勧誘合戦の内情を知った現会頭の服部が、ある提案を出した。『短期留学中、アンジェリーナ・クドウ・シールズを生徒会役員にしてはどうか』と。

 

 ハッキリ言って生徒会に丸投げするも同然である。けれど、それが最善の案でもある為に否定出来なかった。確かにリーナを生徒会メンバーに加えれば、他のクラブもそれを理由に手が出せなくなってしまう。故に生徒会長の中条は了承する形となった。

 

 その後にリーナと同じクラスメイトである司波妹と光井を通じて生徒会室へ呼び出し、こうして俺が生徒会役員になるよう話していたと言う訳である。

 

 本来は会長である中条の役目なのだが、此処は副会長の俺が代理としてやる事にした。誰にでも低姿勢である彼女の説得に、あの勝気なリーナが簡単に応じてくれそうにないと容易に想像してしまった為に。

 

 同副会長の司波妹、そして書記の光井はリーナのクラスメイトかつ同性であるだから説得に適任であるが、時間が掛かりそうだから、男の俺がやる事になったのだ。五十里は千代田(フィアンセ)の事もあってかは知らないが、女子には甘い性格である為、申し訳ないけど除外させてもらっている。

 

 俺が半強制的な感じで生徒会役員になるよう一通り話した後、リーナは気が進まなさそうな表情でありながらも、一切反対する事無く承諾してくれた。

 

 最初は難色を示しながら拒否すると予想していたのだが、余りにもアッサリと良い返事をした事に疑問を抱いた。当然それは俺だけでなく、一緒に聞いていた司波妹と光井も。

 

 念の為に理由を訊いてみると、他のクラブから執拗な勧誘をされるよりマシである他、毎回無理を言って俺に勝負を挑んで負け続けた(ペナルティ)には丁度良いそうだ。前者はともかくとして、後者に関して『俺に迷惑掛けてたのは自覚していたんだなぁ』と思ったのは内緒にしておく。

 

 まぁとにかく、向こうが引き受けてくれるなら、此方としても大変好都合であった。

 

「それじゃあ、今日はもう帰っていいかしら?」

 

「ああ、良いよ。詳しい話は後日、中条会長が説明するから」

 

 一通りの話を終えたリーナは生徒会室を後にするも――

 

「なぁリーナ、歩き方がチョッとばかりぎこちないが、どこか身体を痛めてるのか?」

 

「リューセーの気のせいよ」

 

 俺が不意にある事に気付いて訊ねてみるが、向こうは何でもないように振舞いながら生徒会室から出て行った。

 

 ふ~ん、気のせいねぇ。………まぁ、そう言う事にしておくか。

 

 

 

「お見事です、兵藤君。まさかリーナがあんな簡単に引き受けてくれるとは思いませんでした」

 

「もし私達だったら時間掛かったかもしれないよね」

 

 リーナが生徒会室からいなくなるも、時間が予想以上に空いてしまった事で、司波妹と光井が意外そうに話していた。

 

「俺としては逆に拍子抜けだったがな」

 

 中条に結果を報せる為のメールを作成しながら、俺は彼女達と話していた。

 

「ところで、二人はまだ帰らないのかい?」

 

 本日行う生徒会の仕事はリーナの説得をするだけである為、俺がメールを送れば終了となる。だから司波妹と光井が此処に残る理由はない。

 

「今日は此処で昼食を済ませようと思いまして」

 

「そうか」

 

 確かに今の時間から学食へ行っても売り切れてるだろう。けれど、この生徒会室にはダイニングサーバーがあるから食事を済ませる事が出来る。その為、此処には食事やお茶をする為のテーブル(と椅子)が設置されていた。

 

 これは生徒会役員である俺達ならではの権限の一つ、なのかは分からない。前生徒会長の真由美がいた時からあったのだから。

 

「だったら俺に気にせず食べても良いぞ。あと少しで終わるから」

 

「いえ、お兄様が此処へ来たら食べますので」

 

「え?」

 

 司波妹の台詞に俺は思わず手を止めた。

 

 確か今日行う風紀委員の巡回担当はアイツは含まれていない筈だ。

 

 もし司波兄が放課後に何の予定も無いのであれば、リーナがいなくなった直後、まるでタイミングを見計らうように此処へ来てもおかしくない。なのに、司波妹が今も待っているとなれば、何かしらの予定が入ったのかもしれない。

 

 待てよ。確か朝の情報交換を終えた直後、アイツは突然俺に妙な質問をしてきたな。確か………『学校に来る途中で七草先輩に会わなかったか?』だった。もしかすれば、司波が今も此処へ来てないのは、真由美に会って話しをしてるかもしれないな。

 

「なぁ司波さん。もしかしてアイツ、放課後に今も真由美さんと大事なお話中だったりする?」

 

「! やっぱり兵藤くんもご存知なのですね!」

 

「ええ!? チョッと兵藤君、それどう言う事! 何で達也さんと七草先輩が!?」

 

 すると、俺の問いに司波妹と光井がまるで人が変わったように詰め寄って来た。

 

「お、落ち着け二人とも……!」

 

 俺に詰問してくる二人をどうにか宥めながらメール送信を終えた後、取り敢えず話をしようとテーブル(の前の椅子)に腰を下ろした。

 

 司波妹の話によると、どうやら今朝方学校に向かってる途中、真由美と鉢合わせたみたいだ。その時に「放課後、クロス・フィールド部の第二部室に来て」と言う用件だけを言い終えて去ったらしい。

 

 本当なら彼女も一緒に行きたかったみたいだが、兄が『自分だけで行く』と言われて引き下がるしかなかったと渋々諦めたらしい。多分アイツの事だから、妹にスイーツを奢るなどの方法でどうにか丸め込んだのだろう。

 

「言っておくが、俺は一切何も知らないからな」

 

「では、何故七草先輩と一緒だと分かったのですか?」

 

 俺の向かいに座ってる司波妹が怪訝な表情で言い返してきた。彼女の隣に座ってる光井も疑惑の視線を送っている。

 

 変な事で疑われたくないから、俺は朝にあった事を話す事にした。司波が俺に質問してきた時の内容を。

 

「そうでしたか。私とお兄様はてっきり、七草先輩が兵藤くんにも声を掛けてるかと思っていましたが」

 

 俺が全く知らないと分かった司波妹は、逆に真由美の行動に疑問を抱いていた。

 

「恐らくだけど、昨夜の件かもしれないな。司波さんも知っているんだろう?」

 

「……なるほど」

 

「え? え? 二人とも、一体何の話なの?」

 

 昨夜の件と聞いた瞬間、司波妹が合点がいったかのような表情になっていく。それを知らない光井は困惑する一方であるが。

 

 あ、そうだ。此処には俺を止めようとしていた幹比古がいないから、あの件も教えておくとするか。

 

「まぁそれとは別に、司波がエリカとイチャ付いて……あっ」

 

「兵藤くん。そのお話、詳しく教えて頂けませんか?」

 

 俺が態とらしく言ってる最中に手を口で塞ぐも、司波妹は聞き逃さなかった。徐々に怖い笑みになろうとしている。

 

 よし、食い付いた。この反応からして、やはり知らなかったようだ。

 

「も、もしかして司波さん、そこら辺は聞いてなかったとか……」

 

 内心分かっていながらも不味い事を言ってしまったと白々しい演技をしてる俺だが、向こうはそれに全く気付いた様子を見せていない。

 

「ええ、全くの初耳です。ですから兵藤くん、知っている事を全て話してくれますよね?」

 

「兵藤君、出来れば私にも教えて!」

 

 おお、司波妹が怖い笑みを浮かべると同時に全身からブリザードが吹き荒れようとしてる。チョッとばかり寒いが、今の彼女に何を言っても無駄だろうな。

 

 本当であれば光井は彼女に怯えてもおかしくないのだが、そんな様子を全く見せていなかった。それどころか、頬を膨らませながら負けじと俺に聞いてくる感じである。

 

 二人の勢いに(態と)負けた俺は降参して教える事にした。密かに携帯端末でカメラモードで撮った、負傷したエリカが嬉しそうに達也が乗ってるバイクに乗っていた画像も見せて。

 

「とまあ、こう言う訳です」

 

「ふ、ふふふ……エリカ、お兄様に密着し過ぎじゃないかしら?」

 

「エリカずるい! 達也さんのバイクに乗ってるなんて!」

 

 直後、司波妹は全身からブリザードを噴き出し、光井は逆に(エリカに対して)嫉妬の炎を燃やしていた。

 

 許してくれ、エリカ。俺は命が惜しいから、君を犠牲にさせてもらう………なんてな。

 

 まぁ他にも酷い目に遭う奴がいる。あと少ししたら此処へ来るであろう司波兄が。因みに司波妹が画像データをコピーして欲しいと頼まれた為、彼女に逆らえない俺は渋々従うしかなかった。勿論分かっててやってるが。

 

 言うまでもないが司波はこの後理不尽な目に遭わされ、そして俺を恨む事になるだろう。だが俺も普段から司波に色々やられている恨みがある為、これは正直言ってお相子である。

 

 聖書の神(わたし)がこんな陰湿な手段をやるのはどうかと思われるかもしれないけど、アイツは今もあの鬱陶しい眼で俺を観察し続けてるから、ストレスが溜まる一方なのだ。分かってても指摘出来ない立場である為、本当に堪ったものじゃない。

 

 司波が果たして一体どうやって切り抜けるかが楽しみだと思っている中、生徒会室に誰かが入ろうとしている。噂をすれば影ではないが、さっきまで話していた司波が丁度良いタイミングで来てくれた。

 

「あらお兄様、丁度良い時に来て下さいました」

 

「た~つ~や~さ~ん~……!」

 

「………兵藤、二人に一体何があった?」

 

 (ブリザードと一緒に)怖い笑みを浮かべる司波妹、可愛らしくも怒った表情をしてる光井。二人の様子が明らかにおかしいと司波は察して、話し相手となっていた俺に訊こうとしていた。

 

「別に何にも。さて、俺はこの後用事があるから帰るわ」

 

「待て。その前にこの状況を――」

 

 俺が帰ろうとするところを司波が引き留めようとするが、そこを司波妹とほのかが割って入る。

 

「深雪、ほのか、何をしてる?」

 

「お兄様、兵藤くんの邪魔をしてはいけませんよ」

 

「さぁ達也さん、チョッとそこに座りましょうか」

 

 司波兄を止めるように腕を掴んでいる司波妹と光井は、(強制的に)椅子に座らせようとする。

 

 俺はその隙に生徒会室を後にしようと、既に出入り口の方へ退避済みだ。

 

「それじゃ二人とも、戸締り頼むよ~。ついでに司波、これから楽しい時間を存分に過ごしてくれ♪」

 

「っ! 待て兵藤! 深雪とほのかに一体何を言った!?」

 

 二人の様子がおかしくなった元凶が完全に俺だと理解した司波だが、それはもう無意味な物となってしまった。

 

 全く無視する様に生徒会室を出た俺は扉を閉めた後――

 

 

『お兄様、昨夜はエリカとお楽しみでしたね。こんな事をしていたなんて知りませんでした』

 

『達也さん、説明して下さい!』

 

『落ち着くんだ二人とも。それにその画像は一体どこで……兵藤の仕業か!』

 

 

 証拠写真を見せられた事に、それも俺の仕業だと司波は気付いたようだ。 

 

 さ~てと、何も知らない中条と五十里が入らないよう、『生徒会室は現在立ち入り禁止』の情報を流しておかないと。

 

 携帯端末を使って二人に情報を流した直後、急に電話のコールが鳴った。ディスプレイには『七草真由美』と表示されている。

 

 色々な意味で世話になってる事もあって、真由美とはプライベートナンバーを交換する程の親しい仲になっていた。摩利も同様に。

 

 彼女がこのタイミングで俺に電話をするとなれば、もしかしたら司波を呼び出した件かもしれない。そう思いながら俺は電話に出ようとする。

 

「もしもし。どうしました、真由美さん」

 

『急に電話してゴメンね。今大丈夫かしら?』

 

 真由美は前生徒会長でありながらも、常に生徒会(こちら)の情報を得ている。リーナを生徒会役員に迎えようとする話も当然耳に入っており、今もそれに対応中であるかを確認しているのだ。

 

「ええ、これから帰るところです」

 

『あら、彼女の説得は思ったより早く終わったのね。なら丁度良いわ。リューセーくん、今すぐクロス・フィールド部の第二部室に来てくれるかしら?』

 

「……分かりました」

 

 真剣な声で言ってくる真由美からの誘いに俺は取り敢えず了承して電話を切った後、指定場所へ向かう事にした。

 

 

 

 

 隆誠がメールを送った後――

 

「え? 生徒会室に入ってはいけないって……ああ、そう言う事ですか」

 

「花音、今日の仕事はもう終わったから一緒に帰ろうか」

 

 詳細を確認した中条と五十里は巻き添えを恐れたのかのように、生徒会室へ戻らず、帰宅の準備に取り掛かろうとしていた。




原作だと達也が深雪とほのかと一緒に楽しい昼食時間を過ごしてますが、コッチではリューセーが達也の浮気現場(?)画像を見せた事で災難な目に遭う事になっています。
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