再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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来訪者編 (セント)バレンタインデー

 2096年2月14日

 

 

 

 バレンタインデー当日。

 

 予想通り、一高は所々浮ついた空気になっていた。今のところまだ大人しいが、恐らく放課後になった瞬間一気に盛り上がる事になるだろう。

 

 因みにもう既に浮ついてるどころかハイテンションになっている女子生徒――光井を発見した。司波と二人で登校して、緊張と興奮が天井知らずであったのが一目瞭然であったから。本来であれば司波妹も一緒にいる筈なのだが……恐らく光井に気を遣って二人にさせたのだろう。

 

 どうやら司波妹は光井に対して相当寛容であるようだ。いつもなら司波兄が女子(主に真由美)と二人きりになろうとしてるところを、必ずと言っていいほど嫉妬していた。更には先月、エリカと二人だけのバイクドライブで密着していた事を知った途端、まるで恋人の浮気を問い詰めるような嫉妬深い女の顔になっていた。そんな事をしておいて、昨日はよくもまぁ、『実の兄に本命チョコなんておかしい』など常識人らしく言えたものだと心底呆れた。

 

 あの兄妹の(色々な意味で)非常識なところは今に始まった事じゃないと言っても、高校卒業するまであと二年見なければならないと考えるだけで、チョッとばかり頭がおかしくなりそうになる。まさかとは思うが、実の兄妹でありながら結婚前提の婚姻を結ぶ……と言う展開は流石に起きないよな?

 

「おはよう、リューセー。朝から難しい顔してるけど、どうしたんだ?」

 

 不吉な事を考えながら教室に辿り着いて早々、修哉が俺に朝の挨拶をしながら不思議そうに訊いてきた。

 

「おはよう。チョッと常識や倫理に問題が起きそうな展開を考えててな……」

 

「はぁ?」

 

 言ってる意味が分からないみたいな表情をしている修哉。それは至極当然の反応であるが、教えるつもりはないので俺は流す事にした。

 

「そう言えば、紫苑はどうした? 珍しくまだ来てないが」

 

 いつも既に教室にいる筈の紫苑がいないから、話題を変えようといつも一緒にいる幼馴染の修哉に訊いた。

 

「さぁ? でも多分、昨日の放課後に千代田先輩が紫苑を連れて、一緒に帰った事に関係してると思うが」

 

「ほう、千代田委員長がねぇ……」

 

 彼女は紫苑と仲の良い関係であるのは知っている。だが二人が一緒に帰ったとなれば……バレンタインに関する事なのは間違いないだろう。千代田は啓に、紫苑は修哉に、と言う本命チョコを作る為に。

 

 そう考えると摩利も一緒に加わって良い筈なのだが、彼女の場合は現在自由登校の身だから、恋人の本命チョコを作る時間はいくらでもある。千代田はそれを考えて除外したか、もしくは摩利だけで本命チョコを作りたいが為に敢えてパスしたかもしれない。どちらにしても、それは俺が詮索していい事じゃないのは確かだ。

 

「恐らく本命チョコ作りの為に付き合わされてるかもしれないな」

 

「あり得る。そう考えると紫苑が気の毒になってきた」

 

「いや、お前の本命チョコも作ってるかもしれないぞ」

 

「ないない。確かに毎年チョコは貰ってるけど、俺の場合は義理同然の幼馴染チョコだし」

 

「……あ、そう」

 

 修哉は紫苑と恋人同士になりたいのに、何故こうも鈍感なのだろうか。こればかりは友人の俺でも全く理解出来ない。

 

 内心呆れながらも会話をしている中、先程話題になっていた紫苑が教室に入って来た。

 

「おはよう、二人とも。チョッと遅くなったわ」

 

「ああ、おはよう紫苑」

 

「おはよう」

 

 此方に朝の挨拶をしてきた紫苑ので、俺と修哉はいつも通りの返しをした。

 

「聞いたぞ。昨日の放課後に千代田委員長と一緒に帰ったんだって?」

 

「ええ。花音先輩ったら、今年はチョッと手の込んだチョコを作りたいって言ってて、急遽私も手伝う事になったの」

 

 私は単なるサポートでメインは花音先輩だけどね、と付け加える紫苑。

 

「因みにどんなチョコなんだ?」

 

「私が『ハート型の中に手作りの粒チョコレートを詰める』って咄嗟に思い付いたんだけど、花音先輩ったら直ぐに食いついて採用したのよ」

 

「粒チョコレートって、一体どれくらい作ったんだ?」

 

「化粧箱いっぱいに詰められる程の数よ」

 

 俺と修哉からの問いを答えてくれる紫苑だが、チョッとばかりウンザリしたような感じがする。と言ってもそれは千代田に対してだが。

 

 化粧箱は意外と大き目で底も深いから、紫苑の反応を見る限り、恐らく相当な量の粒チョコを作ったに違いない。あの現風紀委員長は大雑把な上に加減ってモノを知らないから。

 

「それで、その、リューセー君にはチョッと申し訳ないんだけど……取り敢えず、これどうぞ」

 

「お、ありがとう」

 

 紫苑は少し大き目な四角形の箱を俺に手渡した。義理でも女子から貰えるのは嬉しい。友人であれば猶更に。

 

「でも何で謝るんだ?」

 

「実はその中に入ってるチョコ……花音先輩が大量に作った余り物なの」

 

 余り物って……。千代田は本当に加減ってモノを知らないんだな。

 

「私や花音先輩だけで食べきるのは無理で、かと言って捨てるのも勿体無かったから……ゴメン、リューセーくん。味は保証するから!」

 

「良いって良いって。別にそんなの気にしてないし、貰えるだけで充分だよ」

 

 非常に申し訳なさそうに謝ってくる紫苑だが、本当に気にしていなかった。と言うより――

 

「なぁ紫苑、俺にはその余ったチョコは無いのか?」

 

 俺としては彼女が修哉にチョコを渡す気配が一切無い事に疑問を抱いている。

 

 普通に考えれば、俺に余り物チョコを渡す前、いの一番に修哉に渡してもおかしくない筈なんだが。

 

 すると、声を掛けられた紫苑は途端に頬をチョッとばかり赤くなっていく。

 

「あ~、修哉の分は郵便で送ったから、家で確認しておいて」

 

「は? 郵便って、何でそんな面倒な事してるんだよ? 学校で手渡しした方が確実じゃないか」

 

「う、うるさいわね! 今年はそう言う気分だったのよ!」

 

 紫苑にしては随分と遠回しなやり方だが、まぁそこは俺がどうこう言う事じゃないので気にしないでおこう。余計な事を言って馬に蹴られたくないし。

 

 あ、そう言えば郵便で思い出した。

 

「郵便と言えば、今朝俺宛に沓子達からの荷物が届いてたな」

 

「え? 沓子って……」

 

「もしかして、第三高校の四十九(つくし)(いん)(とう)()さんのこと?」

 

 俺の呟きに反応した修哉と紫苑が揃って此方へ首を向けてきた。

 

「ああ、その子だ。あと他にも一色愛梨、十七夜栞からも届いてた。中身はまだ確認してないけど、多分アレはチョコかもしれないな」

 

「へぇ~」

 

「リューセー君って本当に他校の女子から人気あるわねぇ~」

 

 さっきまでチョッとした言い争いをしていた幼馴染二人だが、俺が沓子達からチョコを貰ったと知った直後、意味深な笑みを浮かべてからかってくる。

 

 もし真由美からも貰えるとか言えば、この二人だけでなく、他の男子クラスメイトから羨ましがられると思うから秘密にしておこう。

 

 後になって知ったが、司波がいるE組にレオが退院して戻って来たそうだ。本当ならまだ病院暮らしの筈だったが、当の本人が完全回復した為に退院せざるを得なかったとか。既にどこも異常がない上に、患者本人が元気であれば問題無いだろう。

 

 もうついでに気になる事があった。バレンタインデーなのにリーナが本日欠席したとの事だ。これを知った一高男子達がかなりショックを受けていたとか。彼女本人は誰にもあげるつもりは無いと言っていたが、それは生徒会メンバーだけしか知らない。もし口外すれば密かに期待していたと思われる男子生徒がダブルショックを受けるのは確実である為、真実を闇へ葬る事にした。

 

 

 

 

 

 

 俺の予想は見事に的中していた。放課後になった瞬間、浮ついた空気が一気に盛り上がっていた。もう既に校内のあちこちで甘酸っぱい雰囲気が漂っている。

 

 例えば千代田だが、生徒会を妨害するかのように鬱陶しかった。仕事を始めようとした矢先、突然生徒会室へ押し掛けたかと思えば、会計の啓に紫苑が話してくれた手作り粒チョコレートをその場で食べるよう笑顔で圧力を掛けていたのだ。

 

 そして生徒会室ではこんなやり取りが行われていた。

 

 

「千代田委員長、仕事の邪魔なのでご退室下さい」

 

「そっちこそ邪魔しないで、兵藤君! 今こっちは一番大事な時なんだから!」

 

「…………もしもし摩利さん、風紀委員長が生徒会室で風紀乱してるので引き取ってくれませんか?」

 

「ちょ、チョッと待ちなさい! 摩利さんを呼ぶなんて卑怯よ!」

 

「そうさせたのは貴女でしょうが!」

 

「ひっ!」

 

「リュ、リューセー君、出来れば穏便に……!」

 

「五十里先輩。そう仰るのでしたら、千代田委員長を何処か別の場所へ連れて行くべきでは?」

 

「わ、私も深雪の意見に賛成かと……」

 

「五十里くん、私が言うのもなんですけど、もうちょっと強く出るべきだと思いますよ?」

 

 

 

 

「全く、バレンタインだからって生徒会室に来てまでイチャ付くなっての……!」

 

「ま、まぁまぁ兵藤君、落ち着いて……」

 

 あの後に摩利に千代田を引き取ってもらうつもりだったのだが、予想外の展開になってしまった。何と摩利が――

 

『すまない、リューセーくん。どうかここはあたしに免じて花音を見逃してくれないか?』

 

 と言ってきたのだ。仕事の邪魔だったから呼んだと言うのに、此処でまさか裏切られるとは思いもしなかった。お詫びではないだろうが、摩利から義理チョコを頂いている。

 

 摩利が俺に頭を下げて来た為、ここは俺が妥協するしかないと引き下がり、急遽ノート型の大型端末を持って生徒会室を出る事にした。本当は啓がやる予定だったのだが、急遽俺と光井が準備棟へ向かう事にしたのだ。理由は態々語るまでもない。

 

 因みに歩いてる途中、とある二科生の女子生徒が一科生の男子生徒にリボンの掛かった赤い箱を差し出すシーンを見かけた。敢えて名前は出さないが、とある剣道・剣術のエースカップルとだけ言っておこう。明日のクラブの時に見かけた事を話したら、彼女は一体どんな反応をするのか楽しみだ。

 

「そう言えば、生徒会室に来た時から気になってたが、それって水晶か?」

 

 憤慨していた俺はいい加減に思考を切り替えようと、光井の髪と一緒に揺れている光を見ながら訊ねた。

 

「あっ、うん」

 

 訊かれた光井が段々はにかんだ表情になっていくのを見て、すぐに理解した。

 

「なるほど、司波に貰ったんだな。チョコのお返しってか?」

 

「……うん」

 

 見事に的中したみたいで、頬を染めた光井が幸福感を醸し出していく。

 

「そっか。ま、深くは訊かないが、生徒会メンバーとして今後も応援するよ」

 

「……あ、ありがとう、兵藤君」

 

 自分を応援してくれる事に喜んでいるのか、光井は少々照れながらも礼を言った。

 

 だが彼女に申し訳ないが、司波との恋は恐らく実らない。非常に高い確率で。

 

 司波の奴が光井に対する恋愛感情は抱いていないと俺は見ている。あくまで親身に接してくれる友人なのが精々だ。

 

 どう言う経緯なのかは今も知らないが、アイツは今も自身の妹にしか向けておらず、それ以外の事は殆ど無関心も同然だ。流石に友人の光井達に対して無関心ではないと言え、それでも妹と比較するような展開になれば、アイツは迷いなく妹を選択するだろう。

 

 光井はソレを理解しているのだろうか。まぁ本人がやろうとしてる事に、俺がああだこうだと口出しする気は無い。あくまで見守るだけに留まらせてもらう。もし完全にフラれるような展開になれば、その時は全力でフォローに回るが。

 

「っと、俺は向こうの準備棟に行くから、光井はアッチの準備棟を頼む」

 

「分かったわ。あ、もし何かあれば呼んでも良い?」

 

「ああ、構わないよ。それじゃ」

 

 そう言った俺は光井と別れ、片方の準備棟へ向かう事にした。

 

 着いて早々、端末を使っての作業をしている最中――

 

 ――んう?

 

 ――これ、は……。

 

(どうかしたか、お前達)

 

 俺の傍に控えている(透明化中の)レイとディーネが何かを感じたかのように声を出した。

 

 ――う~ん……何でもないの。

 

 ――恐らく、私達の、勘違いかと。

 

 気になって訊いてみるも、随分と歯切れの悪い返答だった。

 

 余りにもらしくない対応だったので、改めてもう一度聞こうとしてみるも、今度は別の報せが届く。俺の携帯端末からメールの着信が入ったのだ。

 

 こんな時に誰だよと思いながらメールフォルダを開き――

 

 

『From:七草真由美

 

 Sub:チョコレートの件

 

 リューセーくんが考案してくれた苦いチョコを達也くんが美味しく食べてくれました♪』

 

 

 本文を読んだ瞬間に俺は大爆笑してしまい、もうどうでも良くなってしまったのは仕方ないだろう。その所為でレイとディーネから思いっきり不審がられてしまったが。

 

 そして後に、真由美から義理チョコを美味しく頂く事になった。超苦いチョコを食わされた司波と違い、ほろ苦くも甘さ控えめなビターチョコを。

 

 

 

 

 

 

「ああ、チョコ贈ってくれてありがとう。とても美味しく頂いたよ」

 

『う、うむ、当然じゃ。此度はワシが腕に寄りをかけた自信作じゃからな』

 

 家に帰り、夕食後にデザートとして沓子が贈ってくれたチョコレートを(弟達と一緒に仲良く)食べた。案の定と言うべきか、部屋に戻って早々に沓子から電話が来たので、テレビ電話(ヴィジホン)モードにしながら俺は彼女にチョコレートの感想を話している。

 

 俺が本心で言ってると分かったのか、彼女は非常に嬉しそうな表情であった。同時に何故か頬を赤らめているが気にしないでおく。

 

「一色と十七夜には、明日以降に美味しく頂くって伝えてくれ。流石に今日中に全部食べるのは無理だからな」

 

『了解じゃ。あの二人も、折角チョコを贈ったのだから残さず食べるようにと言っておったぞ』

 

「はは、肝に銘じておくよ」

 

 十七夜はともかくとして、一色は三高の中でも人気ある女子生徒の一人と沓子から聞いた。義理とは言え彼女が贈ってくれたチョコを残したなんて第三高校の男子生徒達に知られれば、完全激怒するのは確実だろう。

 

 向こうが贈ってくれた以上、俺も相応のお返しをしなければならない。3月14日にあるホワイトデーで。

 

 因みにホワイトデーは日本のバレンタインデーに派生したモノで、キリスト教圏とは一切関係無い。聖書の神(わたし)としては、それでお返しが出来るならそれはそれで好都合だと思っているから問題無かった。前世(むかし)のキリスト教徒達が知れば憤慨するかもしれないが。

 

「なら俺も3月のホワイトデーに、沓子達がビックリするお菓子を贈るよ」

 

『ビックリ? 一体どういう事じゃ?』

 

「それは来月のお楽しみだよ」

 

『良いではないか、今教えてくれても』

 

 俺が贈るホワイトデーのお菓子が気になるのか、教えろと催促してくる沓子。だが俺は答えない。此処でネタばらしをすれば面白みが無くなってしまう。

 

 そんなやり取りを続けていると、突如俺の扉からノックする音がした。これは母さんだ。

 

 話をしている沓子に『それじゃあまたな』と言って電話を切った後、タイミング良く扉が開いて母さんが入ってくる。

 

「リューセー、貴方に電話よ」

 

「電話? 誰から?」

 

 夜と言ってもそんな遅い時間帯ではないが、それでも誰かが自分に電話してくるのは珍しかった。仮に修哉か紫苑であれば、先程の沓子と同じく俺の携帯端末から電話する筈だ。

 

 全く心当たりがない俺は母さんに訊くと――

 

「リューセーの学校に留学してるアンジェリーナさんって人からよ」

 

「え、リーナ?」

 

 予想外の人物からの電話だった。 

 

 俺は少々急ぎ足でリビングへ向かい、そこにある電話へ視線を向けるも、通話モードだけになってて画像は見えなかった。

 

「もしもし?」

 

『ごめんなさいね、リューセー。こんな時間に電話しちゃって』

 

 電話に出ると、落ち着いた感じでリーナが俺に謝ってきた。

 

「別に大丈夫だけど、それより何で今日休んだんだ?」

 

『チョッとした事情よ』

 

「……そうか」

 

 その返答に俺はすぐに察した。リーナの言う事情とは恐らくUSNA軍関連である事に。

 

「まぁ良いや。んで、君が俺に電話してくるのは一体どういう事なんだ?」

 

『……リューセー、勝手なお願いなのは勿論分かってるんだけど、大事な話があるの』

 

「大事な話って……」

 

 え? 何? もしかして愛の告白をする為なのか? だとしたら凄く嬉しいなぁ。

 

 ……等と言う展開は微塵も考えていない。リーナが真剣な声で言ってくるって事は、愛の告白とは全く違う何かだろう。

 

「それは今すぐじゃないとダメな用件か?」

 

『ええ、とっても大事な話なの。場所を教えるから、すぐに来てくれないかしら?』

 

 明らかに浮ついた話じゃないのは分かっている。けれど、彼女が絶対に来て欲しいと俺に頼んでくるって事は、相応の理由がある筈だ。もしかすればリーナ個人でなく、USNA軍が俺に用があるかもしれない。

 

 用心するのであれば、此処は向こうの思惑に一切乗らず、適当な理由を述べて断るべきだろう。その後九島に相談すれば、何かしらの対処も出来る。

 

 だが、俺は敢えてその誘いに乗る事にした。まだUSNA軍の誘いだと判明してない他、何の確証もないまま九島に連絡をすれば無駄骨を折らせてしまいかねない。俺としては出来れば確実かつ有益な情報を彼に提供したいと考えているから。

 

「……分かった、場所を教えてくれ」

 

『助かるわ』

 

 若干間がありながらも、俺が了承の返事をするとリーナは感謝の言葉を述べた。

 

 場所は此処から少し離れたところにある喫茶店だった。帰るのは確実に深夜になるだろう。

 

 そう思いながらリーナとの電話を終えた後、母さんには『向こうが俺に大事な話があるみたいだから出掛けてくる』と言った瞬間――

 

「あらそうなの? まぁリューセーも年頃の高校生だから、それ位は当たり前よね」

 

 何やら思いっきり誤解されたような気もするが、魔法師関連で嫌悪感を抱かれるよりは遥かにマシなので、敢えてそう言う事にしておいた。

 

(レイ、ディーネ)

 

 ――はいなの!

 

 ――何で、しょうか?

 

 一通りの準備を終えて出掛ける寸前、俺は念話で精霊(こども)達に命令を下した。




次回は『来訪者編 戦闘バレンタインデー』です。
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