再び転生した元神は魔法科高校へ   作:さすらいの旅人

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前回と同じく、前話に感想を書いた方々に対する返信を此処でさせて頂きます。

今回の内容も色々違和感があったり、やってる事が中途半端過ぎるかもしれません。

またしてもガッカリされるかもしれませんが、これが自分のスタンスだと思ってご容赦ください。


来訪者編 隆誠、怒る②

『――以上です』

 

「……なるほど、そう言う事だったのか」

 

 一通りの話を聞いて理解し、そして納得した。同時に光井が先程までじたばた暴れていた理由も含めて。

 

 どうやらパラサイトがピクシーに憑依して休眠状態になってる際、光井の強い想念によって覚醒したようだ。正確には『祈り』みたいだが。

 

 強い祈りの内容は、『司波に尽くしたい』、『司波の役に立ちたい』、『司波に仕えたい』、『司波のものになりたい。司波に全てを捧げたい』だそうだ。早い話、光井の司波に対する熱烈な求愛である。

 

 それによって目覚めたピクシーが司波に従属するとは……経緯は全く違うが、俺がレイとディーネと誕生させた後の展開と少しばかり似ていた。この世界の精霊やパラサイトは誰かに従属したい特徴でもあるのかと疑問を抱いてしまう。

 

 俺が内心呆れている際、次の話を聞いて少しばかり不味い事になった。

 

 ピクシーは前に憑依していた宿主の記憶は消滅しているが、『シューティング・スター』と言う渾名で呼ばれている俺に対する記憶は残っていたらしい。加えて、俺にはパラサイト達と思わしき繋がりがあり、その同胞(なかま)に会いたいとの事だ。

 

 その同胞(なかま)と言うのは、間違いなく聖書の神(わたし)が造った神造精霊(レイとディーネ)達だ。

 

 新たに憑依して記憶を失った筈なのに、レイとディーネ達に会いたいが為に残っていたとは、その執念にはチョッとばかり恐れ入る。

 

 だがそんな事よりも、精霊達との繋がりがある事を第三者の耳に入ったのが不味かった。

 

 司波達……と言うより司波がそれを聞いて一番に警戒した筈だ。どうせシスコン兄の事だから、『例えパラサイトでないにしても兵藤が妹の近くにいたら危険だ』とでも考えて、こうして俺を此処へ呼び出したのだろう。敵であるかどうかを確認する為に。

 

 さて、どうするか。本当なら俺を一方的に疑ったコイツ等に対して怒りたいところだが、レイとディーネの事をどうやって誤魔化すかを考えなければならない状況であった。

 

 もしあの子達の存在が明るみになってしまえば、絶対に面倒な事になりかねない。特に幹比古などの古式魔法師達は、神霊と勘違いして何が何でも知りたがるだろう。更には神霊を徹底的に調べたい理由で、俺を捕縛しようと考えるバカな奴等も必ず現れる筈だ。

 

 そんな展開を回避しようと今まで秘密にしていたのだが、此処に来て司波達に暴かれるかもしれない展開になってしまった。話したピクシーことパラサイトにそんな気は全く無くても、人間が耳にしてしまえばもう手遅れである。

 

「ところで兵藤、そろそろエリカを放してやれ」

 

「それは俺が決める事だ」

 

「お前やレオ達の位置からだと顔は見えないから言っておくが、このままだとエリカが窒息死するぞ」

 

「え?」

 

 そう言えばピクシーが話してる際にジタバタ暴れてたが、今は全くそんな様子を見せずに落ち着いていた。てっきり諦めたと思っていたが、司波の台詞を聞いて確認すると――瞳孔が開きかけて死にそうな顔だった。

 

「不味い!」

 

「「エリカ!?」」

 

「エリカちゃん!?」

 

 すぐに拘束してるエリカを解放した俺は慌てながらも、すぐに彼女を蘇生させる為の心臓マッサージを始めた。それを見た幹比古とレオ、柴田も大慌てで此方へ近付いてくる。因みに司波妹も駆け寄ろうとしていたが、恥ずかしさの限界を超えて沈んでいる光井を支えていた。

 

 

 

 数分後、生死の境を彷徨っていたエリカの蘇生に成功する。

 

 彼女が意識を取り戻した事で、俺に殺されかけた事に対する怒りで襲い掛かろうとするも、今度は流石に見過ごせないとレオ達が止めていた。

 

 けれど、向こうも殺す気で襲い掛かってきたのだから非難される筋合いはない。例え訴えられても、先に仕掛けたのはエリカであり、その上に校内で未遂とは言え犯罪行為を行っていたのだ。だから彼女が圧倒的に不利な立場で敗訴となる他、千葉家の評判にも傷付ける事となり、却って不都合な結果を招いてしまう。千葉家のご令嬢も、それ位の事は理解している筈だ。

 

「それで兵藤、説明してもらおうか」

 

「お前は本当にブレない奴だな」

 

 エリカが元に戻った事で多少の安堵を見せる司波だが、直後に本題へ入ろうとした。

 

 説明しろとは、ピクシーが説明していた『同胞(なかま)』の事についてだ。

 

 因みに司波達は俺を囲っていない。今は俺と司波が対面しており、幹比古達は少々離れて見守っている。

 

「んなもん俺が知る訳無いだろ。大体何だよ『同胞(なかま)』って。俺にパラサイトの知り合いなんかいる訳ないだろう。仮にいたら俺は今頃こうしてお前達と話していないと思うんだが?」

 

「………………」

 

 勿論心当たりはあるが、取り敢えず知らないと誤魔化すしかなかった。

 

 俺が呆れながら否定するも、司波は表情を変えず、全く信じていないのが丸分かりだった。それどころか、何か隠していると感付いているかもしれない。

 

 すると、今度は自身の近くにいるピクシーの方へと視線を向けた。

 

「ピクシー、兵藤は本当にパラサイトじゃないんだな?」

 

『はい。彼には我々と思わしき反応は一切感じられません』

 

 ですが、と言ってピクシーは話を続ける。

 

『彼と繋がっている「同胞(なかま)」には、我々に近い何かを感じるのは確かです』

 

(また余計な事を……)

 

 ピクシーの台詞に俺は内心毒づいてしまう。

 

 初めてだよ……この世界に転生し、ここまで聖書の神(わたし)を非常に焦らせる存在がいた事に……。

 

 思わずピクシーの中にいるパラサイトを密かに消してしまおうかと考えるも、それはもう無理だった。もし実行すれば、司波が確実に俺がやったと疑うのが目に見えているから。

 

「あ、あの、達也さん……」

 

 此方の思惑とは別に、少々離れた所から柴田が挙手しながら声を掛けて来た。

 

「先程からずっと視ていましたが、兵藤君からそれらしき気配は感じませんから、パラサイトじゃないのは間違いありません」

 

「成程……」

 

 視ていたって……ああ、そう言えば確か柴田は水晶眼の持ち主だった。去年の横浜事変であった防衛戦の時、偵察に向かわせたレイとディーネを危うく捉えてしまいそうだったのを憶えている。

 

 不味いな。ここに来て彼女の厄介さを改めて認識する事になってしまうとは、チョッとばかり油断してた。こんな事になるなら、用心して精霊(こども)達との回路(パス)を一時的に切っておくべきだったと、今になって後悔してしまう。

 

 やはり司波一行の中で柴田が一番油断出来ない人間だったと内心嘆息してると、今度は幹比古が声を掛けようとしてくる。

 

「リューセー、今の僕がこんな事を言える立場じゃないのは重々承知してるんだけど……」

 

「もう良いから遠慮無く言ってくれ」

 

 此処で拒否しても意味が無い行為なのは理解してるので、チョッとばかり自棄になってる俺は早く言えと促した。

 

「これは以前レオにやったんだけど、出来れば君の幽体を調べさせてもらえないかな?」

 

 確か覆面女(パラサイト)がレオの精気を奪われたのを確認する為にやったアレだな。あくまで聖書の神(わたし)能力(ちから)で幹比古の記憶を覗いて知った情報だから、それを知らない幹比古達の前で口にする訳にはいかない。

 

 だが、それは非常に困る行為だ。古式魔法師の幹比古に調べられたら、間違いなくレイとディーネの繋がりを知られてしまう。

 

 九校戦の時、俺はある事を訊いたのを思い出す。レイとディーネの事を伏せて神造精霊の特徴を教えたら、それは『神霊』だと聞いて非常に後悔した事を。だから幹比古があの子達の存在を知れば、大騒ぎになる筈だと断言出来る。

 

 とは言え、この状況で拒否してしまえば、司波はまたしても俺に疑惑の念を抱くのが目に見えてる。アイツはソレを解消しない限り調べる性格だ。妹に関わる案件であれば執拗に、な。

 

「良いぞ、幹比古」

 

 非常に申し訳ない表情になってる幹比古に、俺は全く気にしないように了承した。

 

「……本当に良いのかい?」

 

「ああ。こういうのはやるなら徹底的にやらんと誰かさんは納得しないだろうしな」

 

「何故そこで俺を見る?」

 

 俺の言葉に反応する司波が聞き捨てならないように言ってくるも無視させてもらった。幹比古も分かっていたのか、苦笑しながらも準備に取り掛かろうとする。

 

 

 

 幹比古は古式魔法師が使う呪符と思わしき札を使い、俺の状態を確認し終えた後、信じられないと言わんばかりの表情だった。

 

「リューセー、君って本当に人間かい……!?」

 

「随分なご挨拶じゃないか、幹比古」

 

 人外みたいな物言いをしてくる幹比古に俺が気分を害する様に言い返した。

 

 因みに司波達はこのやり取りを見て、何やら心当たりがあるような感じで見ている。レオが『どっかで聞いたセリフだな……』と呟いているのが聞こえた。

 

「いや、だってさ……他の魔法師とは比べ物にならない程の莫大な精気が満ち溢れているんだ。それにパラサイトの物とは思えない、荘厳かつ清廉な霊子(プシオン)も感じ取れる。前に調べたレオとは違う意味で驚きだよ……!」

 

 だろうな。今も抑えているとは言え、聖書の神(わたし)のオーラは人間と全く異なっている。幹比古がそう捉えるのは無理もない。

 

「それに……ま、まさか、そんな……!?」

 

「どうしたんだ?」

 

 とても尋常じゃない幹比古の様子に、司波が怪訝そうに訊ねてきた。

 

「リュ、リューセーから………『神霊』としか考えられない程の存在と繋がりがある!」

 

『!?』

 

(やはり気付いたか……)

 

 幹比古の発言に(ピクシーを除く)司波達が驚いている中、俺は内心舌打ちをした。

 

 聞いた話によると、神霊とは精霊の源であり集まりである、自然現象そのものであるもの。更には『国』レベルの大規模な気象操作すら可能な存在とも呼ばれているそうだ。レイとディーネが本気でやれば、それ位の事は出来るかもしれない。

 

 加えて、古式魔法師達が長年追い求めている存在であり、目標の到達点と呼ばれている。だから幹比古が狼狽するのは仕方のない事だった。

 

「まさかリューセーは神霊と契約しているのか……? だとすれば、あの莫大な精気と澄み切った霊子(プシオン)にも納得出来る……! 教えてくれ、リューセー! 君は一体何処で神霊と会ったんだい!?」

 

 ブツブツと呟きながら推測してる幹比古だったが、突如俺に詰め寄って神霊について訊いてきた。

 

「おいおい落ち着け、幹比古。大体俺は神霊なんて会った事ないし、契約した憶えも無いっての!」

 

 契約と言うより、聖書の神(わたし)が造り、あの子達が傍に居たいと言う理由で付いて来てるだけだ。それによって回路(パス)も繋がっている。

 

 幹比古がチョッとばかり暴走しかかった為、この場にいる俺達が如何にか宥める事となった。

 

 これによって俺がパラサイトじゃないと判明したが、司波からは別の意味で警戒される破目になる。

 

 

 

「さて司波君達ぃ、俺の疑いが晴れてめでたしめでたし……何て甘っちょろい展開になるとは思ってないよなぁ~?」

 

『……………………』

 

 全身から怒りのオーラを出しながら笑みを浮かべている俺に、司波一行は動けないでいた。多少の実力がある人間でも動けなくなる程の威圧感も出して、な。

 

 普段から呼び捨てにしてる相手に『君』を付けてる事で、いつも無表情である司波が額やこめかみから冷や汗が流れているのが見える。

 

 因みに逃げようとした赤毛の女子は、即座に縮地法(超スピード)を使って首根っこを掴んで捕えた。チョッと本気になった聖書の神(わたし)から逃げられる者など、この世界にはいないのだよ。

 

「兵藤、深雪の分は――」

 

「免除は却下。彼女も同罪だ!」

 

「あ、あの、兵藤くん、出来ればお兄様には――」

 

「巫山戯るな!拒否!!」

 

 司波兄妹が嘆願しようとするところ、俺は聞く耳持たないと即却下した。

 

 互いに身を案じる麗しい兄妹愛は大変結構だが、それは時と場合を考えて欲しいものだ。今の俺はソレが許容出来ないほど気が立っているから。

 

「本当なら今すぐに罰を下したいところなんだけど……生憎今はパラサイトの件があるからな。それが片付くまで保留にしておこう」

 

 事件の真っ只中にやっていると、確実に司波達の身が持たない。だから保留と言う形にした。

 

 それを聞いた幹比古達は安堵の息を漏らしている。まぁ今は精々安心してるがいいさ。事件が片付いたら地獄が待っているから。

 

「ひょ、兵藤副会長、質問を良いでしょうか?」

 

「何かね、光井書記」

 

 俺が怒ってる事を理解してる光井は生徒会の役職を付けながら呼んできたので、俺もソレに合わせるように質問を許可した。

 

「えっと、副会長が考えている罰って一体……?」

 

「ほほう、前以て知りたいとは良い心がけだ。ならその意気に免じて教えてやろう」

 

 その瞬間、司波を除く一行がゴクリと息を飲んだ後――

 

「放課後に俺が用意した特別製の重りを手足に付けた状態で、長距離走を三日連続でやってもらう。当然魔法抜きにした身体能力のみだ」

 

『ええ~~~~~~!?』

 

 予想通りと言うべきか、物凄く嫌そうな悲鳴が響き渡った。

 

 文化系クラブに入ってる柴田なんか顔を真っ青にしているところを見た幹比古が助けようとするも、一切受け付けず却下している。まぁ流石に運動系メンバーと違って、多少緩めるつもりだから安心して欲しい。

 

「い、いいわ。やってやろうじゃないの……!」

 

「まぁ、俺としては全然OKだな」

 

 意気込むエリカに、他と違って余裕そうな表情をしてるレオだったが――

 

「因みにエリカとレオは別枠で、放課後に学校の授業で学んだ俺作成の抜き打ちテスト+俺直々の講義を三日間ぶっ続けで受けてもらうぞ。言っておくがズル休みや逃走なんかしたら、勉強量が倍になるって事を覚えておくんだな」

 

「「…………………」」

 

 武闘派にとって大の苦手な頭脳労働の罰を教えた瞬間、無言になりながら全身が真っ白となっていった。

 

 この二人が勉強嫌いである事は知っている。故にその嫌いなモノを罰として受けてもらうのだ。

 

「最後に司波、お前も別の事をやってもらう」

 

 コイツの場合、俺が考えた罰をやらせても普通にこなしてしまうから、違う事をやらせる必要がある。

 

「一体何をやらせるつもりだ?」

 

「俺のパシリ……って言うのは勿論冗談だ」

 

 司波にとっては屈辱とも言える罰だが、そんな事をしたら妹が絶対黙っていない。現に彼女の全身からブリザードが吹き荒れる寸前になっていたが、そこは敢えて無視している。

 

「ま、当日になったら教える。それまで楽しみに待ってな」

 

「出来れば遠慮したいんだが」

 

「平然と人にCADを向けていたお前に拒否権なんか無い」

 

「………………」

 

 笑顔のままで許さんと言い放つ俺に、司波は何も言い返さず無言となった。

 

 因みに司波の罰だが、俺と体術だけの組み手をやってもらう事だ。

 

 生徒会の仕事をしている時、司波妹が自慢気に語っていた。『魔法だけでなく、体術に関しても誰にも敵う者はいない』ってな。

 

 それを聞いた俺は、その内相手してみるかと考えていた際、その機会が運良く訪れた。今回の罰を口実に、司波の相手をしてみようと。

 

 パラサイトの件が片付いた後が楽しみだ。今までの恨みを込めて司波をボコボコに痛めつけ……おっと、いけない。アイツの実力を測る為に組み手をやるんだった。聖書の神(わたし)とした事が危うい事を考えてしまうとはいけないな。反省反省、っと。

 

 …………………………………………元神だからって、恨みを晴らしても許されるよな?




今回リューセーがやった罰はヌルいと思われるかもしれませんが、余り大人気ない事をしては色々問題がある為、人間として、学生としての罰が精一杯です。
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