内容はいまいちかもしれませんが、どうぞ!
「レイ、ディーネ、行こうか」
――はいなの!
――了解、しました。
午後七時。
学校を終えて帰宅した俺は今夜動く為の準備をした後、事前に用意した変装用の服と白般若の面を身に纏い、レイとディーネを連れて行動を開始しようとする。
如何でも良い事だが、母さんが急な用事があって出掛ける関係で、急遽セージ達の子守りをしなくてはいけなかった。その為、家に待機させる為に分身拳を使わざるを得ない。
本来なら変装した
分身拳は最大四人まで可能なのだが、既に一体を自宅に置いている以上、新たな分身を作って司波と遭遇する訳にはいかない。現時点でアリバイがあるのに、新たなアリバイを作ってしまえば奇妙な矛盾が起きるから。加えて、その矛盾を解消させる為に司波が徹底的に調べようと、軍を使って俺の動向調査する展開が容易に想像出来る。
明日に行動する選択も一応あったけど、そうすれば折角レイとディーネが位置を捉えたパラサイトを取り逃がしてしまう。頑張った
分身の俺がリビングでセージ達に用意した夕飯を一緒に食べているのを確認した後、部屋にいる本体の俺は転移術を使って姿を消す。傍に居るレイとディーネも一緒に。
ついでに俺と同じく行動を開始しようとする司波のオーラを探ってみたところ、ピクシーを連れて行こうとしているのか、学校へ向かっていた。司波妹と光井も連れて、な。
恐らく司波の手助けをしたいが為、無理を言って同行してるってとこか。単独で動きたかった司波としては、あの二人によって制限せざるを得ないだろう。
☆
誰にも見えないよう視覚阻害用の結界+飛翔術を使って空から眺めている俺は、目的地――多磨霊園前へ向かおうとする。そこがレイとディーネがパラサイトを発見した場所である為に。
多磨霊園は既に閉園しており、中に入る事は出来ない。その為に人はいないのだが、妙な違和感があった。誰一人いないのが、余りにも不自然であるから。
「レイ、ディーネ、本当に此処で良いんだな?」
――勿論なの。ちゃんとパラサイトはいるの!
――此処から先へ、向かえば……ッ!?
断言するレイとは別に、ディーネが改めてパラサイトの位置を確認してる最中に表情が変わった。
――主、大変です! 人間に、憑依している、パラサイトが、急に離れました!
「何だと?」
焦ったように報告して来るディーネに、俺は軽く目を見開く。
パラサイトは一度人間に憑依してしまったら最後、融合同然となって元に戻せない。それを解放する方法は唯一つ、パラサイトに寄生した宿主を殺さなければならない。そうなれば肉体の生命活動が停止したパラサイトは、再び霊体となって新たな宿主を求めようとする。
だからディーネの報告は、パラサイトに憑依した宿主が死んだと言う事になる。理由を挙げるなら、何かしらの目的で自爆、もしくは誰かに殺された。他にもあるが、それは今のところ全く分からない。
――あ、ご主人様! 霊体になってるパラサイトを追ってる人間がいるの!
「は?」
レイからの新たな報告に、俺は思わず呆けてしまう。
人間がパラサイトを追ってるって、もしかするとソイツが宿主を殺した事になる。だとしても、ソイツは一体何を考えているのかが全く分からない。宿主を失ったパラサイトが、新たな宿主を求める為に人間に憑依すると言うのに、一体何を考えている。
何の目的かは知らないが、取り敢えず阻止しなければ。無関係な人間と言っても、
万が一に備えて人間の目に入れさせないよう、レイとディーネを一旦透明化させた後、俺は飛翔術で移動を開始する。
「見つけた……!」
レイとディーネの探知を頼りに追っている際、パラサイトを追跡していると思われる集団を発見した。その内の一人がリーダーなのかは知らんが、黒いコートを纏っている他にソフト帽を片手で押さえながら走ってると言う、妙に芝居がかった仕草をしている男がいる。
「アアァァァァァアアアアアアア!」
だが、同時に運悪く通りすがった女性を見たパラサイトが憑依してしまう。それを見た黒服の集団は一旦足を止めて、様子を伺うように観察を始めている。
本当なら割って入るような事はしたくないが、これ以上の犠牲者を出す訳にはいかない。
飛翔術で追っていた俺は降下して両足を地面に着地後、視覚阻害の結界を解いて姿を現す。
『!?』
直後、パラサイトを追跡してる集団が此方に気付き、全員揃って驚愕していた。
因みに俺は変装している為、ある意味向こうよりも目立っている。何処にでもある普段着の上にフード付きのパーカーで髪を隠し、更には白般若の面を着けているなど、完全に怪しい奴だと思うだろう。
「その般若の面……」
集団が驚愕している中、ソフト帽を被っている男だけが、変装している俺を見て何か知っているような素振りを見せた。
こんな怪しい連中を俺は知らんが、向こうは思い当たる節があるのだろう。
「おお! ついに来てくれたか、我等の同胞よ!」
「……は?」
すると、パラサイトに憑依して倒れていた人間が立ち上がって早々、俺を見ていきなり
俺は同胞じゃないが、奴がそう言ったのは恐らく透明化しているレイとディーネの事を指しているのだろう。
その発言によって、先程まで俺を警戒していた集団はパラサイトだと勘違いしてるのが丸分かりで、途端に構え出していた。
「予定変更だ。新たに憑依したパラサイト共々始末しろ。それと、そこの般若の面を被った奴は後ほど回収する」
ソフト帽を被ってる男の言葉に、集団が一斉に動き出そうとする。
やはりそうなる、か。あの男が何故俺を回収するのかは知らんが、絶対碌な事をしないのは確かだろう。
「やらせるか! 漸く見つけた
「勝手な事を言うなよ……」
俺が突っ込むも、向こうは此方の事などお構いなしだった。
パラサイトは俺を守ろうとする為に前へ出てきたので――
「がっ! な、何故……!?」
「っ!?」
少々汚いやり方だが、パラサイトに憑依した女性の首筋に手刀を当てて気絶させた。ついでに
ソフト帽を被った男やその集団から見れば、俺のやった事は完全に予想外だろう。仲間だと思っていた奴が、自身の同胞を手に掛ける光景を目にしているから。
コイツ等もすぐに気絶させたいのは山々なのだが、生憎とそんな暇は無かった。女性に憑依しているパラサイトを、一刻も早く摘出しなければならない。よく見るとまだ完全に融合していない状態であるため、今なら時間を掛ける事無くパラサイトを取り出せる筈。
けれど、この場から逃れる為に転移術を使ってすぐにオサラバ、と言う訳にはいかなかった。あの怪しい連中は見るからに魔法師であり、暗殺者らしき雰囲気も感じられる。もしかすれば、誰かの命令でパラサイトを始末する為に送られたエージェントかもしれない。
そんな奴等の前で転移術を披露すれば、依頼主に必ず報告するのが目に見えている。その依頼主が魔法師であれば猶更に、な。
この世界の魔法は、未だ空間を飛び越えるテレポーテーションの類が存在していない。それを使えるのは今のところ俺だけなので、狡猾な考えを持ってる魔法師であれば、何が何でも捕まえようとするだろう。
なので先ずは目を封じる手段として――
(ディーネ、霧で奴等の視界を封じろ!)
――了解、しました!
「な、何だこの霧は!?」
「落ち着け! これは奴の魔法だ!」
ディーネに頼んだ直後、突如周囲から濃霧が発生し、集団から目を逸らせる事にした。
集団の何人かは戸惑うも、ソフト帽を被った男だけは此方が仕掛けたものだと瞬時に理解しているようだ。
因みにディーネの霧は特別製であり、対象の方向感覚を狂わす事が出来る。向こうには悪いけど、コレが晴れるまでの間は彷徨ってもらう。
相手側が視界を完全に遮ったのを確認した俺は、すぐに倒れている女性を掴んで転移術を発動させる。
「逃がすか!」
既に方向感覚が狂っている筈なのに、ソフト帽の男がそう言って針らしきモノを此方に向かって投擲してきたが、俺の身体が当たる寸前に転移したので素通りする事となった。
色々指摘されるかもしれませんが、戦わずして退散と言う展開にしました。
ついでにリューセーが対面した男は、原作キャラの一人です。